2016年04月23日

●歴史的勝利を目撃したぞ (サンウルブズ×ジャガーズ)



サンウルブズ 36−28 ジャガーズ (スーパーラグビー第9節)

スーパーラグビーに日本チームとして初参戦を果たすも、開幕から7戦全敗のサンウルブズ。前節は敵地でチーターズに17-92と大敗を喫してしまい先行きが危ぶまれたところだったが、「真のホーム」秩父宮に戻った今節は粘りのラグビーを見せ、接戦を制してついに初勝利を挙げた。


キックオフ直後にハイパントを競り合ったロロヘアとトゥクレットが共に負傷退場するという波乱の幕開けから、5分、SOピシが50m近くあるPGを決めて幸先よくウルブズが先制。だが、そこからはジャガーズが優勢に試合を進める。SOエルナンデスが多彩なキックをDFの背後や隙間に蹴り込み、処理にもたつくウルブズに対しジャガーズは新鋭BKのボフェリを中心に果敢なキャッチングを見せ攻め込んでいく。

7分、縦突進の連続からHOクレービーが右中間にトライ。続く10分には右サイドのモールから左へ速く大きく展開してブレイクし、WTBアモロシーノがトライ。ただし、エルナンデスのGKが決まらず差はあまり開かない。20分、今度はウルブズが22m内の連続攻撃から左サイドを突き、ピシ→立川→笹倉と細かくつないでトライ。ピシが難しいGKを決めて10-10。さらに32分にピシがまた長いPGを決めて13-10と逆転した。

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2015年12月13日

●これぞワールドカップ後のトップリーグ! (東芝×パナソニック)

昨日は、秩父宮ラグビー場でラグビートップリーグ第5節を観戦。東芝ブレイブルーパス 17-17 パナソニック ワイルドナイツ。既に黒星がついて上位進出のためには後のない東芝と、開幕から順調に連勝街道を歩む王者パナソニックの対決。リーグ戦序盤の大一番は、万力で潰し合うような壮絶な防御戦の末に恨みっこなしの同点決着となった。


この日は晴天に恵まれ、寒さもさほどではない絶好の観戦コンディション(前日の雨でピッチはぬかるみ気味だったようだが)。秩父宮には2万を超える大観衆が詰めかけた。開幕直後にはW杯後の急激な注目度の高まりにラグビー協会が対応できず、「チケット完売なのに空席」という状況が話題になっていたが、ようやくというかやっとというか、ほぼ満員のスタンドが実現できた。協会もさぞかしホッとしたことだろう。


試合は、序盤から挑戦者の東芝が攻める展開。FLリーチやCTBカフィを軸にパワフルな突進で押し込んでいく。が、先制したのはパナソニック。4分、自陣ゴール前のターンオーバーからWTB北川が快走し、CTB林のキックパスを逆サイドのWTB児玉が収めて一気に走りきった。いかにもパナらしい鮮やかなカウンターに大観衆がどっと沸く。0-7。その後も鋭い逆襲を見せるワイルドナイツが主導権を握るかに思えた。

しかし、この日のパナはラインアウトに安定感を欠き、次の得点をなかなか奪えない。すると東芝はPGで差を詰めた後の26分、ラインアウトから怒涛のモールで押し切ってFL山本が右中間にトライし、10-7と逆転。勢いに乗る東芝はさらに攻勢に出て差を広げにかかる。ところが、パナは幾度も食い込まれながらも粘りの守備で追加点を許さない。逆に終了間際、バーンズのPGで追いついてハーフタイムへ。

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2015年11月05日

●ジャパンの「3勝1敗」が残したもの

ラグビーワールドカップ2015が閉幕して間もなく1週間。日本代表の最終戦(対アメリカ)からも3週間がたち、南アフリカ戦勝利に始まった「ジャパンブーム」もさすがに落ち着きを見せ……たかと思いきや、ハロウィンの日には五郎丸のコスプレをした若者たちが渋谷の街を闊歩したりするのだから油断がならない(笑)。今回は、ジャパンの戦いがもたらしたものを振り返ってみよう。


今回のW杯で日本代表が残した成績は疑いなく素晴らしいものだ。なにしろ、それまでの7大会でわずか1勝、24年間無勝利だったのが1大会だけで3勝。グループリーグ終了時にメディアで何度も繰り返されたように、3勝を挙げて決勝トーナメントに進出できないチームは史上初めてだった。前回大会で準優勝したフランスなんて、グループ戦ではNZとトンガに敗れて2敗でギリギリ突破したチームだったのに。

しかもうち1つは、南アフリカ相手の金星であった。南アといえばNZに次ぐ南半球の巨人であり、世界の楕円球界を見渡しても確実に五指に入る「格」のチーム。日本が南アに勝つなどと予想した人間はこの世に何人もいなかったに違いない。ヘスケスの決勝トライが決まるまでは南アの選手たちだって(「PGを狙え!」と叫んだジョーンズHCだって)そんな事が現実になるなど信じられなかったはずだ。

そんな日本の「3勝1敗」は、とてつもなく大きなインパクトをもたらした。

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2015年11月03日

●釜石シーウェイブスが熱い! (日野自動車×釜石シーウェイブス)



日野自動車 11−16 釜石シーウェイブスRFC (ラグビートップイーストリーグ)

W杯の決勝戦と同じ土曜日の昼間、秩父宮ラグビー場でトップイーストリーグ1部の試合を観戦してきた。


トップイーストは要するに2部リーグ。それをわざわざ観に行ったのは、ジャパンの活躍ですっかりラグビー熱が高じてトップリーグ開幕が待ちきれなかったのと、豪州代表のスコット・ファーディー(元シーウェイブス)が東日本大震災の際に釜石に残留してボランティアで活躍してくれた、という新聞記事が心に引っかかっていたから。あと、元日本代表の伊藤剛臣さんが釜石に所属しているというのも大きな理由であった。

試合前にシーウェイブスのテントに行ってみると、マスコットの「なかぴー」と「なかりん」がお出迎え。なんで虎やねん、とか色々とツッコミどころはありそうだが、お付きのお兄さん(顔全体に虎のペイント)ともどもなかなか愛想の良い2匹であった。応援グッズは当然のごとく大漁旗。釜石といえばそりゃあ大漁旗だよ、キミぃ。昔は毎年成人の日に国立競技場のスタンドででっかい大漁旗が振られてな……。

あと、入場門の前でキョロキョロしながら歩いていたら、やたらデカくて姿勢のいい背広の男性にぶつかりそうになって、慌てて避けながら顔を見たら桜庭吉彦ディビジョンマネージャーであった。さすが元日本代表ロック(W杯出場3回!)、カッチョいいのう。というか、そんな凄い人がそこらに普通にいるのがラグビー。

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2015年11月01日

●最強オールブラックス連覇(ニュージーランド代表×オーストラリア代表)


ニュージーランド代表 34−17 オーストラリア代表 (ラグビーワールドカップ2015 決勝)

1ヶ月半に渡って熱戦が繰り広げられてきたラグビーW杯もいよいよ大詰め、決勝戦である。史上2回目の南半球同士の対決、世界ランク1位と2位とのまさに頂上決戦は、王者NZオールブラックスが無類の完成度と強さを見せ、宿敵ワラビーズに快勝。3度目の優勝、そして史上初の連覇を達成した。


試合は、序盤から引き締まった攻防が延々と続く展開となった。攻勢に出たのはNZ。持ち前の正確無比なパス展開と個々人の強靭さが一体となったアタックが次々と襲い掛かる。しかしワラビーズもじりじり後退しつつも粘り腰のタックルで破綻はせず、一方豪州の攻撃に対してはオールブラックスの水も漏らさぬDFラインがほとんど前進を許さない。なかなか得点の入らない時間帯が続いた。

そんな展開でものを言うのはキックの正確さ。NZのSOダン・カーターは完璧な出来を披露し、8分、27分、36分とPGを刻んでいく。豪州はSOフォーリーが1本決めて9-3。そして39分、NZは一段ギアを上げたかのように速く細かいパスをたて続けに通して豪州のDFを翻弄し、最後はSHスミス→FLマコウ→WTBミルナースカッダーと電光石火のパスをつないでトライ。16-3とリードを広げて前半終了となった。

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2015年10月19日

●レッドドラゴン惜敗と (南アフリカ代表×ウェールズ代表 とか)


南アフリカ代表 24−19 ウェールズ代表 (ラグビーワールドカップ2015 準々決勝)

いよいよラグビーW杯も準々決勝、まさに佳境に差し掛かってきた。土日に4試合が行われたが、事前の予想も実際の試合内容も大いに白熱したのが、南アフリカとウェールズの一戦である。80分間に渡る肉弾戦と僅差のシーソーゲームの末、スプリングボクスが辛くもレッドドラゴンに勝利。


ノックアウトラウンドらしい壮絶な試合だった。

開始早々ウェールズが速い左右への展開でビッグチャンスを掴むも、ラストパスがわずかにそれてトライならず。すると南アが激しい縦突進でウェールズ陣へ入り、ウェールズFWがたまらずたて続けにペナルティ。SOビガーが一本返したものの、17分までに南アが9-3とリード。これに対してウェールズはビガーを中心にハイパントやロングキックで対抗し、FWも密集への鋭い働きかけで盛り返していく。

18分、ピッチ中央で自らハイパントを上げたビガーが目の覚めるようなキャッチから快走し、SHデービスにラストパスをつないでトライ。9-10と逆転した。南アも一旦はPGで逆転するもののキッカーの不調もあって突き放せず、ウェールズはキック戦と自陣での粘りの守備でボクスと互角に渡り合う。そしてロスタイムに入った41分にビガーが狙いすましたドロップゴールを決め、12-13でハーフタイムへ。

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2015年10月12日

● 終わりよければ何とやら!(日本代表×アメリカ代表)


日本代表 28−18 アメリカ代表 (ラグビーワールドカップ2015 プールB第4戦)

早いもので、もうプール最終戦。我らがジャパンにとっては、前日にサモアがスコットランドに惜敗して決勝ラウンド進出の望みは絶たれていたものの、過去最高の成績を収めている大会だけに下手な幕切れはできない一戦であった。結果は、米国の激しいラグビーに苦戦しながらも、3つのトライで見事な勝利。


苦しい戦いだった。

前半、今大会まだ勝ち星のないアメリカは、粗いながらも速く浅く前に出る攻守で日本を苦しめる。キックオフから前がかりに押し込んで5分にマッギンティのPGで0-3。しかし日本も弾丸のような米国BKの突進を粘り強いタックルで受け止めて反撃。7分、DFの間を突いた小野の快走でゴール前へ迫り、速い左展開で巧みにリーチ→堀江→松島とつないで左隅へトライ。五郎丸がコンバージョンも決めて7-3。

その後もタイトな攻防は続き、24分、今度はアメリカが速い横展開を見せて右WTBングウェニアがトライ。7-8。だが、日本は直後のキックオフで藤田が勘の良いポジショニングでボールを確保し、FWの連続突進からモール、最後は藤田が勢い良く飛び込んで14-8。さらに33分には五郎丸が40m超のロング PGを撃ち抜いて17-8。終了間際の日本ゴール前のピンチもしっかり防いで、12点のリードで前半を終えた。

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2015年10月04日

●山田飛び、サモアに完勝 (日本代表×サモア代表)


日本代表 26−5 サモア代表 (ラグビーワールドカップ2015 プールB第3戦)

プール戦も佳境に差し掛ってきた3試合目。世界のラグビーファンを驚かせた南アフリカ戦、失意のスコットランド戦と1勝1敗の日本は、世界最強クラスの打撃力を誇るサモアとの対戦。色々な意味で正念場の一戦と思われたが、南ア戦を思い起こさせる素晴らしい戦いぶりでまたも下馬評を覆す勝利をつかんだ。


思わぬ完勝、というか。

試合は序盤から日本ペースとなった。中9日で回復した日本は守っては粘り強く網を張ってサモアに大きなゲインを許さず、攻めてはお得意の連続攻撃でじわじわと押し込んでいく。開始早々に五郎丸がPGを決め、さらにゴール前まで攻め込むとサモアがラフプレー2発でたて続けにシンビン。数的優位の時間帯に南ア戦を想起させる強気の攻めが功を奏し、24分にはスクラムで押し込んでペナルティトライを奪った。10-0。

サモアも15人に戻ってからはパワフルな近場の連続攻撃で日本の防御を崩しにかかるが、畠山やホラニの素晴らしいタックルにノックオンを連発し、流れを変えられない。そして五郎丸のPGで3点を追加した日本はさらに41分、ゴール前でのしつこい連続展開から畠山が右隅に走り込む山田へラストパス。山田はサモアDFのタックルを受けるも鋭いスピンで振り切り、ジャンプ一番右隅へ飛び込んだ。20-0でハーフタイムへ。

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2015年09月27日

●ラグビーはおそろしい (イングランド代表×ウェールズ代表)


イングランド代表 25−28 ウェールズ代表 (ラグビーワールドカップ2015 プールA第2戦)

W杯のプール戦も二巡目に入り、早くも決勝ラウンド進出に向けて重要な試合が出てきたところ。「しの組」とも言われるプールAでは優勝を狙うイングランドと怪我人続出に苦しむウェールズが激突し、ウェールズが接戦を制して下馬評を覆す勝利。開催国が予選敗退の危機に見舞われる波乱となった。


2試合目とはいえ大会の帰趨を決しかねない一戦だけに、序盤から激しいボール争奪戦が繰り広げられ、PG・DGの撃ち合いが続く。イングランドのファレル、ウェールズのビガーという両SOが確実に決めて前半半ばで9-6。大観衆の後押しを受けるイングランドはスクラムの優位を生かして攻め込み、バックスリーにSHヤングが加わる攻撃でトライ。しかしウェールズも終了間際にビガーがPGを返して7点差で前半終了となった。

後半もともに攻め込んではトライを取りきれず、しかしDFも耐えきれず反則、の繰り返し。完璧な出来のファレルがPG2本を決めるが、ビガーも負けじと3本蹴り込んでウェールズが食い下がる。60分の時点で22-18。だが、ここで試合前から満身創痍のウェールズはさらにWTBアモスやFBウィリアムズが負傷退場。いつもとは違う選手配置を強いられた上に、ファレルがPGをたたみかけて25-18。勝負あったか、に思えた。

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2015年09月24日

●本当の勝負はここからだ (日本代表×スコットランド代表)


日本代表 10−45 スコットランド代表 (ラグビーワールドカップ2015 プールB第2戦)

初戦で南アフリカ代表を破り、「ラグビー史上最大の番狂わせ」とも言われる金星を挙げた日本代表。続く第2戦は多くのファンや関係者が「ここがターゲット」と睨んでいたスコットランドとの一戦だったが、途中まで互角に渡り合いながら、後半一気にたたみかけられて35点差の完敗となってしまった。


悔しい敗戦だった。

序盤から、日本は4日前に比べてイマイチの出来。攻守ともに陣形を整えるのが遅れがちで、ミスや反則が頻発(最初の10分で南ア戦を上回るハンドリングエラーを記録した)。対するスコットランドは予想通り次々にハイパントを上げて日本のさらなるミスを誘いつつ、SHレイドローが淡々とPGを重ねていく。さらには焦りからか松島が反則でシンビンをくらい、日本は南ア戦に引き続いて耐える展開となった。

それでも、地力の上がったジャパンは苦しい前半を持ちこたえた。15分には五郎丸の好タッチキックから一気呵成のモール攻撃でトライし、一旦は逆転。数的不利の時間帯も得点こそできなかったものの相手陣で粘ってスコアを許さず、終了間際には自陣ゴール前ギリギリの攻防をFWの粘りと五郎丸の素晴らしいカバーディフェンスで防ぎきった。南ア戦の後半の出来からすれば勝機はあるように思えたのだが……。

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2015年09月20日

●日本ラグビー史上最高の白星 (日本代表×南アフリカ代表)


日本代表 34−32 南アフリカ代表 (ラグビーワールドカップ2015 プールB第1戦)

世界をあっと驚かせる、そして日本のラグビーファンにとってもあっと驚く結果だった。第8回ラグビーワールドカップの緒戦、日本代表は世界ランク3位の超強豪・南アフリカとの接戦を制して24年ぶりの白星。「ワールドカップ史上最高のアップセット」であり「日本ラグビー界最大の金星」である。


まさかこんな日が来ようとは。それも、これほど早くとは。あまりの快挙にどう喜んだら良いのか、僕は正直戸惑っている(笑)。

ラグビーにおいて番狂わせを起こすためのお手本のような試合だった。大会初戦、優勝候補の相手が手堅く、力にものを言わせて突進してくるところ、低くしつこいタックルで粘り続け、ここぞという場面ではDFが思い切り飛び出してミスを誘発する。南アの4トライのうち2つはタックルミスでそのまま独走を許したものだけど、逆に言えばそれ以外の場面でいかに精度の高い守備ができていたか、ということだ。

勝因の一つは、ミスが少なかったこと。結局ハンドリングエラーは3つしかなかったのかな?相手がハードヒットの権化みたいなチームであることを考えたら、これはとんでもない数字だろう。懸念していたハイパントなどのキック処理についても、松島が一度弾いたくらいで、後は五郎丸を筆頭に確実に処理するか互角に競ることができていた。ミスの少なさは持ち味を出すことにつながるし、地力が上がった証拠でもある。

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2015年09月17日

●28年目のラグビーワールドカップ (後編)

中編からつづく)


第6回(2007年)はフランス大会。南アフリカが豪州に続く2度目の優勝を飾り、日本は豪州、フィジー、ウェールズ、カナダを相手に1分け3敗の成績だった。

日本代表は2004年以降の迷走からチームを立て直し、ヘッドコーチにNZの英雄ジョン・カーワンを迎えて臨んだ。4試合の過密日程を乗り切るためにターンオーバー制を採用してフィジー戦・カナダ戦に注力したジャパンだったが、フィジーには4点差の惜敗。カナダには後半ロスタイムのCTB平のトライとSO大西の劇的なコンバージョン成功で引き分けに持ち込んだものの、「あと一歩」の印象が残る大会だった。

この時はチーム全体としてはかなり地力が上がっていて、「2勝は行けるのでは」という雰囲気はあったように思う。特にフィジー戦は惜しかった。後半、小野澤が投入されてDFを切り裂くランを見せた時、テレビ解説の清宮克幸さんが「ああ、これで小野澤が勝負を決めるんですね」みたいなことをつぶやいたのを覚えている。結果的には届かなかったのだが……有賀やニコラスもいていいチームだったんだがなあ。

優勝した南アは、何というか、非常にバランスの良いチームだった。FWのフィジカルに頼りすぎず、NO8モンゴメリーのプレースキックとWTBハバナの快足で仕留めるスタイルは完成度が高かった。あと、HCジェイク・ホワイトの襟の高いヘンテコな洋服ね(笑)。準優勝のイングランドもピークは過ぎたチームだったけれど、ウィルキンソンのPGで僅差を制するしぶとさに唸らされた。ウィルコはやっぱり凄いよ。

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2015年09月16日

●28年目のラグビーワールドカップ (中編)

前編からつづく)


第4回大会(1999年)はウェールズで開催された。優勝はオーストラリアで、日本はサモア、ウェールズ、アルゼンチンと戦ってまたも3戦全敗だった。

日本代表は平尾監督とマコーミック主将の下、前年はアルゼンチンに勝利しアジア予選も全勝で突破、その年のパシフィック・リム選手権でもトンガ、サモア、アメリカなどに勝って優勝と、絶好調で大会に臨むことができた。また、元オールブラックスのNO8ジョセフとSHバショップもメンバーに加えるなど、史上最強の布陣とも言われたものである。第2回大会以来の勝利が期待されたのだが……あいにく結果は全て完敗。

今でも覚えているのは、初戦のサモア戦で風下の前半を10点差以内で耐えて「さあ後半逆転だ」とワクワクしながら観ていたら、先に日本が力尽きて逆に叩き伏せられてしまったこと。サモアにはその年の春に花園で勝っていたのに。本番の厳しさと、チームとして調子の波を合わせることの難しさ。期待と結果のギャップを考えれば、僕にとってはこの時のジャパンが一番の「苦い思い出」だったかもしれない。

大会全体としては、SHグレーガンとSOラーカムを擁し、戦術と個人技を極めて高いレベルで両立させた豪州が見事2度目のエリス・カップを獲得。南アとの壮絶な防御戦をしのぎきった準決勝は特に印象的であった。また、もう一つの準決勝で突如鮮やかなフレア・ラグビーを炸裂させて最強NZを撃破したフランス代表(WTBはドミニシ!!)も素晴らしかった。日本の結果を除けば、この大会が一番楽しかったかも(笑)。

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2015年09月15日

●28年目のラグビーワールドカップ (前編)

ということで、今週の金曜日はいよいよ、全世界ラグビーファン待望の第8回ワールドカップの開幕だ。開幕戦は開催国イングランドとフィジーの一戦である。

4年おきにワクワクドキドキハラハラさせられるこの大会だが、今回はこれまでになく楽しみなのだ。それは、優勝候補の拮抗ぶり(まあ普通に考えりゃNZなんだろうが、おそらくそうは問屋がおろさない)もあるのだけれど、何といっても我らが日本代表が「史上最強」と称される状態にあるから。世界のスターたちのスーパープレーももちろん見たいんだけど、やっぱり見慣れた「俺たちの」チームが健闘しないと、ね。

思えば、サッカーと違ってラグビーのW杯はたったの8回目、始まってからまだ28年の年月しか経っていないのだが、たかが28年、されど28年。僕の人生の過半はこの大会と付き合ってきたことになるわけだ。今週は、これまでの僕のラグビーW杯に関する体験と記憶を振り返ってみよう。


ニュージーランドを会場に第1回ワールドカップが行われたのは、1987年のこと。開催国NZが優勝し、招待参加の日本代表はイングランド、オーストラリア、アメリカ相手に3戦全敗だった。

正直、この頃は大学ラグビーに夢中(お気に入りは魂のタックルの慶應)だったので、W杯をやっていたことは途中で知った。確か「Number」誌の見開き記事かなんかで見たんじゃなかったかな。まだW杯がほとんど知られていなかった頃、観客のまばらなスタンドを背景に、アメリカ相手に思わぬ敗戦を喫したジャパンの面々ががっくり肩を落としている写真が記憶に残っている。苦難の道はあの時から始まったのか(笑)。

優勝したNZはとにかくフィジカルがたくましく、「これは全然かなわない、別次元だな」と思わされるチームだった。実際、その後来日して日本代表と対戦した時は全く歯が立たなかったし。とりわけトライを量産して優勝に大きく貢献したWTBのジョン・カーワンは凄まじく……まさかその後日本で二度に渡って再会(NECでプレー、その後日本代表ヘッドコーチに就任)するなんて夢にも思わなかったけども。

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2015年08月30日

●そしていざ、ワールドカップへ (日本代表×ウルグアイ代表)

昨日の晩は、雨上がりの秩父宮ラグビー場へ。日本代表 40−0 ウルグアイ代表 (リポビタンDチャレンジカップ)。日本代表のワールドカップ前最後の国内テストマッチは、同じW杯出場国のウルグアイを相手に、福岡での第1戦に引き続いて危なげない快勝。壮行試合としては最高の結果となった。


この日のジャパンは序盤から安定感のあるプレーぶりで、持ち前の速いパス攻撃にDF裏を狙うキックやWTBを走らせるキックパスなどを織り交ぜながら攻めたてる。4分、小野のキックパスで福岡がラインブレイクした場面、フォローするマレ・サウをSHオルマエチェアが引き倒してしまいシンビン。日本はこのチャンスを逃さず、12分にFWの突進から右サイドに細かくつなぎ、五郎丸がDFの間を突いてトライした。7-0。

続く15分、ツイの豪快な突破から松島が快走し、最後は田中が中央へ飛び込む小野にラストパスを通して電光石火のトライ。五郎丸がコンバージョンを確実に決めて14-0とした。さらに25分にも近場のパスで飛び出した福岡が快足を飛ばして大きくゲインし、ラックの早い球出しからブロードハーストが豪快にDFを突き破って左隅にトライ。驚くべき正確性を見せる五郎丸のキックがまたも決まって21-0で前半終了となった。


後半も日本の優勢が続く。まず44分にゴール前で大きく右展開、五郎丸が巧みなチップパスを通して松島が右隅を抜けた。難しいキックを決め続ける五郎丸に大歓声が沸いて28-0。続いて50分、連続攻撃から敵味方がひしめく状況で松島が細かいステップでゴールに迫り、最後はツイが飛び込んでトライ。33-0。ウルグアイは時折ミスを突く形で日本陣に入るも、日本のカバーディフェンスを振り切れずに得点には至らない。

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2015年05月13日

●28年前のラグビージャージには襟があったのだ

久しぶりにラグビーネタ。

今年はワールドカップイヤーということで、我らがJSPORTSでは「熱狂再び!ラグビーワールドカップ名勝負」と題して過去のワールドカップの名勝負の数々を流してくれてるんだけど、いやー、なかなか楽しいんだこれが。

既に放送された主なものだけでも、映画『インビクタス』のモデルになった第3回決勝や、最強NZを撃破したフランスをグレーガン・ラーカムの豪州が破った第4回決勝、ウィルキンソン率いるイングランドが北半球に初の栄冠をもたらした第5回の決勝、そして宿沢ジャパンが世界の実力を思い知らされた第2回のアイルランド戦……僕にとってはどれも忘れられない試合ばかりである。


で、そんな至福のラインナップの中、特に興味深く観たのが第1回W杯(1987年)の3位決定戦、オーストラリア×ウェールズだ。これは僕も初見で、トライを奪い合うシーソーゲームの末、ロスタイムにウェールズがトライ&逆転コンバージョンを決めるという熱い試合だったんだけど、なにしろ28年前の試合だけあってルールもそれ以外も今とは異なる点が多くて面白かった。以下、箇条書きにしてみよう。

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2015年03月01日

●ヤマハ初優勝!! ('15ラグビー日本選手権決勝)

昨日の午後は、秩父宮ラグビー場でラグビー日本選手権決勝。ヤマハ発動機ジュビロ 15-3 サントリーサンゴリアス。初優勝を目指すヤマハと王座奪還を目指すサントリーの対戦は、一進一退の攻防が延々と続くタイトな展開となったが、粘り強いディフェンスでサンゴリアスをノートライに封じ込めたヤマハが見事勝利を収めた。


試合は序盤からヤマハがペースを握った。着実な防御でボールを奪ってはPGを狙わず攻め、7分、縦突進からSH矢富が右へ素早く展開。SO大田尾の好パスを受けたCTBマレ・サウが巧みな走りで右中間に飛び込んだ。7-0。その後もヤマハは果敢なパス攻撃を見せ、13分には五郎丸が約50mの長いPGを決めて10-0。サントリーも20分にSOピシのPGで追い上げるも、肝心なところで反則が出てトライを奪えない。

次の得点は26分。ヤマハはWTB伊東のインターセプトからまたもPGを狙わず攻め、右から左へ大きな展開。矢富→五郎丸→中園と速いパスをつないで、最後は中園がDF2人に挟まれながら左隅に飛び込んだ。15-3。さらに32分、SHデュプレアが反則の繰り返しでシンビン。ヤマハはここぞとばかりに力攻めに出るが、ここはサントリーDFが頑張ってヤマハのパス攻撃をしのぎきり、12点差のままハーフタイムへ。

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2015年02月15日

●帝京大学、堂々たる戦い ('15ラグビー日本選手権2回戦)

今日は秩父宮ラグビー場でラグビー日本選手権2回戦を観戦した。東芝 38-24 帝京大学。1回戦でトップリーグチーム(NEC)を倒した大学6連覇王者が強豪・東芝に挑む注目の一戦は、6トライを重ねた東芝が危なげなく勝利を収めるも、帝京が所々で光るプレーを見せる好試合となった。


試合は立ち上がりから東芝ペース。素早い近場への展開とFWの突進で攻めたて、いきなり3分、SH小川がDFラインんの隙間をぬうように走ってトライ。18分にはCTBカフィが豪快な突進で、25分にもWTB大島が鋭いフォローで帝京DFを突き破り、21-0とリードを奪った。さすがに東芝は一つ一つのプレーの強度が高く、帝京も受身に回る場面が多い。一方的な展開になるかと思われた。

しかし、帝京は前半終了間際、SO松田のPGがゴールポストを直撃したこぼれ球を拾って素早く右展開、CTB濱野が東芝DFのタックルにもめげず右隅に初トライ。21-5と一本返してハーフタイムへ。

後半になるとネジを巻きなおした東芝が再び攻勢に。今度はスクラムやモールで押し込む力攻めもまじえ、まず43分に大島が再びゴール間際の狭いところを這うように飛び込んでトライ。続いて54分、左サイドの攻めから右へキックパスで大きく振り、WTB伊藤がタックルを跳ね返して右隅に飛び込んだ。31-5。またも東芝が圧倒する展開となるかに見えたのだが……。

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2015年02月01日

●ワイルドナイツ連覇!! (LIXIL CUP 2015決勝)

はじめに。日本人に対する陰惨なテロでメディアは騒然としているようですが、テロというものが文字通り恐怖によって平和な日常を潰乱することを目的とする以上、奴らに対抗するために大切なのはこの日常をできる限り守っていくことだと僕は思います。


今日の午後は、秩父宮ラグビー場でラグビートップリーグ プレーオフ決勝。ヤマハ発動機ジュビロ 12-30 パナソニック ワイルドナイツ。尻上がりに調子を上げて怒涛の3連勝で勝ち上がってきたヤマハが王者パナソニックに挑んだ一戦。一進一退の攻防が続くタイトな試合となったが、鉄壁に近い防御を誇るワイルドナイツが快速ランナーたちの活躍で得たリードを守りきり、見事連覇を達成した。


強く風が舞う中でキックオフ。序盤は交互に点を取り合う展開となった。まず3分、バーンズがPGをポストに当てながら成功させてパナソニックが先制。しかしヤマハもすぐに反撃、ゴール正面のPGをあえて狙わず、深い位置の右ラインアウトから一気にモールを押し込んでトライを奪った。おそらく試合前から狙っていたプレーなのだろう、岩のように固くパックしたナイスモールだった。 7-3。

だが、この日のパナは動きが早い。不安定な風も味方につけてバーンズのキックでヤマハ陣深く入り、11分、連続攻撃からバーンズが右サイドへキックパス。跳ねたボールを余っていた霜村がキャッチし、絶妙のタイミングで北川に渡してトライをアシストした。7-8。ヤマハも冒険的なタックルで対抗しようとするが、22分、ヤマハの早い出足を逆手にとって笹倉が被タックル寸前に山田へパスを通し、快走した山田のグラバーキックをバーンズが押さえてトライ。7-13。

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2015年01月26日

●ジュビロ頂点への挑戦 (LIXIL CUP 2015準決勝その2)

で、もう一つの準決勝は花園開催でリーグ戦1位と4位の対戦。神戸製鋼コベルコスティーラーズ 12-41 ヤマハ発動機ジュビロ。こちらは下馬評とは全く逆に、ヤマハのあっと驚く快勝となった。


実はこの試合、所用で出かけていたためリアルタイムで観れずWEB速報をスマホでちらちら見ていたのだが、ヤマハ贔屓の僕は得点が動くたびに一喜一憂、矢富のトライで先制して「おっ」中園のトライで「おお!」正面に1トライ返されて「うーむ」五郎丸のPGで「よし!」後半早々1本ずつ取り合って「ぬお!」そしてクリシュナン・三村・斉田の連続トライで「うおおおお!!」という感じでなかなか楽しかった。

もちろん、口には出さず心の中で叫んでたわけだけど、おそらく表情には出てただろうから周りの人間から見たらさぞかし不審だったろうな、と(笑)。

で、帰ってからJSPORTSの録画を観たのだが……清宮監督が試合後にコメントしたとおり「まさかこれほどハマるとは」という試合だった。監督にしてみれば全体のゲームプランも勝負所のサインプレーも、ほぼ思い通りだったのではなかろうか。ヤマハ自体は決して決定力のあるチームではなく、この試合も逸機はそれなりに多かったのだがそれでも6トライ。大半の時間帯はジュビロのペースだった。

リーグ戦では10-40と大敗しているヤマハだったが、立ち上がりから怯むことなく大胆なパス展開(まるで早稲田のような!)を挑んだのには驚かされた。一方の神鋼はその勢いに押され、また攻守の要フーリーの欠場も大きかったか、受け身に回ってしまった印象。というか、多彩なサインプレーに象徴されるようにこの一戦に賭ける姿勢が顕著だったヤマハに比べると、神鋼はいかにも普通に試合に入ってしまったように見えた。

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2015年01月25日

●超人軍団爆発 (LIXIL CUP 2015準決勝その1)

さて、国内ラグビーシーズンもいよいよ佳境、プレーオフトーナメント(いつの間にかLIXIL CUPなどと大そうな名前(笑)になっていた)準決勝である。



まずは、本日秩父宮ラグビー場で観戦したリーグ戦2位と3位の対戦。東芝ブレイブルーパス 15-50 パナソニック ワイルドナイツ。リーグ戦の戦績はパナが上位ながら、直接対決では東芝の2連勝という相性。よって競った試合を予想していたのだが……。


先に点を奪ったのはパナソニック。開始直後に22m内へ攻め込むと、FW・BK一体となったパス回しから右サイドを西原が抜けてトライ。0-7。あっけない先制点だった。もちろん東芝も黙っておらず、そこからしばらくはボールを支配してFWの突進を中心に攻めたてるが、パナは強靭なタックルと素早いDFラインの再形成、ここぞというタイミングでのカウンターラックでトライを許さない。

16分、パナは左ラインアウトから展開、バーンズの速いパスから猛然と飛びだした山田が力強い走りでDF数人をまとめてかわしてトライ。豊島・立川のタックルをものともしない走りはまさに規格外、思わず「すっげー!」と声が出た。3-17。さらに28分、パナは田中・堀江らのアクロバティックなパス回しから北川が一気に右サイドを駆け抜けてトライ。3-27。あれよあれよのトライラッシュである。

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2015年01月12日

●そしてプレーオフへ (東芝×NTTコム、ヤマハ×パナソニック)

気がつけば国内ラグビーシーズンも佳境に近づき(というか昔は1月15日が最後の盛り上がりだったんだよな……)、トップリーグ2ndステージ最終節。昨日は現地とテレビでそれぞれ1試合を観戦した。

まずは秩父宮ラグビー場で東芝 31-14 NTTコミュニケーションズ

前節サントリーと接戦を演じたNTTコムだったが、序盤から実力上位の東芝にペースを握られる。10分頃にゴール前で東芝ボールのスクラムとなると、組み負けたNTTコムが反則を連発、延々とやり直しが続いた末にペナルティトライとなって7-0。直後にNTTコムが自ゴール前でノックオンしてしまい(つくづく人間というのはやってはならん事をするもんだ)、再びスクラムからのペナルティトライで14-0。

その後は東芝がハンドリングエラーを連発して逸機を続けるも、FWのごり押しでジリジリとトライを重ね、一方NTTコムは思い切ったパス攻撃で見せ場を作るが決定力を欠いて得点を奪えない。後半半ばまでに31-0まで差が開いて勝負あり、終盤にようやくNTTコムが意地の2トライを返すも大勢に影響はなかった。結局、17点差で試合終了。東芝は勝点5を加えてプレーオフ進出を決定した。

とはいえ、試合後に冨岡監督(ついキャプテンと書きそうになるな(笑))がシブい顔をしていたように、東芝もミスが多くて試合内容は決して良いとは言えなかった。つーか、前半のウンザリするスクラム組み直しを含めてとにかくゴール前のゴニョゴニョばかりで……観客のため息が多い試合だった。

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2015年01月05日

●野武士軍団の「強さの秘訣」は

昨日は駒沢陸上競技場で3日連続のラグビー観戦。トップリーグ2ndステージの第6節、パナソニックワイルドナイツ 38-13 キヤノンイーグルス


この試合、下馬評的にはパナソニックの圧倒的優位だったのだろう。しかし、意外なことに、立ち上がりからキヤノンの健闘が目立つ展開となった。まず8分にパナがPGで先制するも、直後の11分、キヤノンはSO和田の好タッチキックでパナ陣深くへ攻め込み、ラインアウトからのテンポ良い連続攻撃で押し込んでFLマーフィーが左中間にトライした。コンバージョンも決まって3-10。

もちろんパナも黙ってはおらず、14分に素晴らしいトライ。中盤で展開し、キヤノンDFがかぶり気味に出てきたところでSOバーンズが速いロングパスを左隅のWTB山田へ。山田は迷わず勝負しトイメンの菅谷をかわして快走、内側をフォローしたバーンズが折り返しのパスを受けて左中間にトライ。全くスピードを落とすことなく2人で50mを走りきった豪快なトライだった。8-10。

だが、ここから試合は膠着する。パナはボールを左右に回して攻め立てようとするが、キヤノンは素早いDFラインの構築で粘りの守備を続け、フェイズを重ねるうちにパナにミスが出て、の繰り返し。キヤノンはキック戦でも負けていないばかりかPGで追加点も加え、パナはようやく前半終了間際に百武の飛ばしパスを受けた山田が左隅に飛び込んでトライを奪うにとどまった。

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2015年01月03日

●清宮ジュビロ危機一髪(なのか?)

昨日に引き続いて秩父宮ラグビー場に足を運び、今度はトップリーグを観戦してきた。2本立ての第1試合で、東芝ブレイブルーパス 28-29 ヤマハ発動機ジュビロ


試合は序盤からジュビロペース。東芝の密集周りの反則につけ込んでたて続けに攻め込み、容易な角度からもPGを蹴らずにトライを狙っていく。まずは8分に右ラインアウトからつないでCTBマレ・サウがDFライン右隅を突き破ってトライ。続く12分にも連続攻撃からNo8堀江が鋭い突進でトライ(FB五郎丸のコンバージョン成功)をあげ、幸先良くジュビロが12点を先制した。

完敗するとプレーオフ出場権(4位)が危なくなる東芝は、スクラムの優位(というか麻生レフリーとの相性の良さ?)を活かして反撃。ゴール前の連続攻撃からNo8リーチ・マイケルが中央に飛び込んで26分にトライ。7-12。しかしジュビロはすぐに攻め返し、ゴール正面のPGさえも狙わずにラインアウトから再び堀江が飛び込んでトライ。7-19での折り返しとなった。

後半立ち上がりは東芝が深く攻め込むが、2度に渡るゴール前のモールを押し切れず、逆にジュビロは五郎丸の素晴らしいタッチキックからチャンスを得て、54分にまたも堀江がゴールラインギリギリでボールを押さえてトライ。7-26。4トライのボーナスポイントを得たジュビロは一転PGを狙うようになり、20分に五郎丸が決めて7-29。残り20分で22点差は決定的に思えたのだが……。

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2015年01月02日

●東海も慶應も、明日があるさ (全国大学ラグビー選手権準決勝)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

本日は死ぬほど寒い中、小金井市と江東区で仕事の挨拶回りという厳しいスケジュールだったのだけれど、何しろ今年はフットボール二毛作のチャンス。合間を狙って全国大学ラグビー選手権の準決勝に足を運んだ。いつもの国立競技場が解体中(まだ業者も決まってないみたいだが)なので、秩父宮ラグビー場での開催である。



第1試合は筑波大学 17-16 東海大学

キックオフには間に合わず、前半途中で到着。東海がWTB近藤のトライ(SO野口コンバージョン成功)で0-10とし、その後もFWの優位を生かしながらペースを握る。終了間際には東海FB野口のドロップゴールが決まって0-13。後半に入っても追加点こそ奪えないものの、東海が堅実な守備で筑波の前進を許さないシーンが続き、スコアはなかなか動かない。

筑波はスクラムやブレイクダウンの劣勢で球出しに苦労し、パス攻撃も順目に回しては突破できず、の繰り返し。日本代表WTB福岡にもほとんどボールが渡らない。47分にようやくFB山下がPGを決めて3-13とするも、56分のPGは失敗。逆に67分に東海FB野口がまたもドロップゴールを決めて3-16と再び13点差に。気がつけば残り数分、勝負あったかに思えた。

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2014年12月15日

●たまにはくだけたって、いいじゃない (ウルトラファミリーデー)


国内サッカーシーズンが終わろうとしている週末だけど、フットボール二毛作ファンにはオフなどない!ということで、秩父宮ラグビー場で久しぶりにトップリーグを観戦してきた。何しろサントリー×東芝とパナソニック×神戸製鋼という、そのままプレーオフ準決勝になってもおかしくない好カードだったのである。
 
 
まず第1試合はサントリー 32-16 東芝。前節パナソニックに快勝した東芝が序盤こそ風上の優位を活かしてペースを握るも、前半途中からはサントリーの多彩なパス攻撃が炸裂し、一方的にトライを積み重ねる展開に。終わってみればトライ数5対1という圧勝。東芝は調子がピークを過ぎたのかタックルの甘さが目につき、一方のサントリーは攻撃オプションの豊富さと精度の高さが見事だった。やっぱり強い。


続く第2試合はエキサイティングな展開となった。パナソニック 29-27 神戸製鋼。前半は神鋼がパナソニックのミスを逃さず効率的にトライを積み重ね、後半は気合を入れ直したパナソニックがスクラムの優位を突破口にゲームを支配して反撃。前半が3-27、後半は4トライを連取して26-0(!)。これほどはっきりした逆転劇も珍しい。

後半の神鋼が特段不出来には見えなかったので、前半のパナソニックの方が「らしくない戦い」だったのだろう。にしても、ワイルドナイツの面々はハーフタイムを境にまるで別人のようだった。前半はミスを犯した後のカバーリングが遅く、あっという間にカウンターからトライを献上していたのが、後半はなかなか得点できなくても幾度かターンオーバーされても粘り強く集中力を保ってDFの穴を探し続けた。

そして、田中・堀江のスーパーラグビー勢を中心に、アタッカーが「ここぞ」という場面で見事な機転とコンビネーションを発揮。山田・堀江・ピーターセン・稲垣と4トライを畳み掛け、終了間際に攻め込まれた場面でも素晴らしいカウンターラックで得点を許さず、ついに逆転勝ちを収めた。何というか、力の集中させる勘所をよくわかっているというか、ウイニングカルチャーとはこういうものか、という勝ち方だった。
 
 
この日の2試合だけを見ると、やっぱりパナソニックとサントリーが抜けている印象を受けた。ただ、今シーズンはこのメンツにヤマハを加えた5チームが組み合わせによって勝ったり負けたり、という感じで来ているので、まだまだわからないのかな。
 
 
で、今回はここからが本題(笑)。

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2013年06月16日

●ジャパンがウェールズに初めて勝った日 (日本代表×ウェールズ代表)

日本代表 23−8 ウェールズ代表 (リポビタンDチャレンジ2013 秩父宮ラグビー場)
 
 
花園での惜敗に続くウェールズ来日第2戦は、雨上がりの蒸し暑い秩父宮にて。大入り満員のスタンドの一角で、歴史的勝利の瞬間を見届けてきた。
 
 
初戦の苦戦ぶりと高い気温を考慮して早く勝負をつけたかったのだろうか、ウェールズはSOビガーを中心に序盤から速い横への展開を繰り返して攻勢に出てきた。前半の大半は日本陣で試合が進むことに。

だが、ジャパンは22m内の苦しい時間帯を堅実なタックルと素速い動き直しでしのぎ続け、ロースコアの緊迫した展開となる。前の試合で悔しいキック失敗のあった五郎丸が40m超のロングPGを決めるなど日本が得点機を着実にものにして、6-3のリードで折り返すことに成功した。

後半、44分にウェールズがビガーの変則パスを交えた展開で日本の防御を破り、トライ。6-8。しかしすぐさま日本も鋭いパス攻撃で逆襲し、48分、廣瀬らの突進から最後はウィングが右隅を突き破ってトライ。五郎丸が難しいコンバージョンを決め、13-8。沸き返る超満員のスタンド。

さらに日本は次第に疲労の色が濃くなる相手に畳みかけ、59分、怒濤の連続攻撃から見事な判断を見せる田中のロングパスが決まってブロードハーストが右隅にトライ。五郎丸がまたもや角度のないキックを蹴り込んで20-8。

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2010年02月28日

●三洋電機三連覇 ('10ラグビー日本選手権決勝)


雨上がりの午後、秩父宮ラグビー場でラグビー日本選手権決勝。三洋電機ワイルドナイツ 22−17 トヨタ自動車ヴェルブリッツ。いよいよ国内ラグビーシーズンも大詰め、泣いても笑ってもこれで最後のタイトルが決まる一戦は「決勝戦」ではちょっと記憶にない顔合わせとなった。泥沼のピッチで行われた試合は、やや自滅気味の三洋に対してトヨタがリードを奪う展開となるが、後半半ばから底力を発揮した三洋が怒濤の逆転劇でシーズンを見事締めくくった。
 
 
ただでさえ痛んでいた秩父宮のグラウンドは直前まで降っていた雨で泥が浮き、非常に滑りやすい状態。しかし両チームともそんなピッチにひるむ様子なく、序盤から激しいぶつかり合いが繰り広げられた。7分、SH田中の巧みな抜けだしから三洋がゴールまであと1mの地点へ至るも、トヨタDFが絡んでノットリリース。しのいだトヨタは直後に反撃。9分、DF裏を突くSOアイイのキックで攻め込み、ラインアウトからのモールで左隅になだれ込んだ。0−5。

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2010年02月14日

●赤い竜の底力 ('10シックスネイションズ ウェールズ×スコットランド)

土曜日の夜は、JSPORTSでラグビーシックスネイションズ。ウェールズ 31−24 スコットランド。2週目に入った今年の6カ国対抗、この日は初戦で完敗したチーム同士の「負けられない」対戦であった。アウェイのスコットランドが大半の時間ペースを握り、残り数十秒までリードを奪う展開となるが、土壇場にウェールズが怒濤の攻撃でドラマティックな大逆転勝利を収める。
 
 
序盤からスコットランドペースで試合は進む。9分、甘いタックルをくぐり抜けてFLバークレイがトライ。続いて20分、ゴール内へのグラバーキックをWTBエバンスが押さえて3−17。その後スコットランドはエバンスやFBパターソンを負傷で失うも、手堅いボールキープでリードを守る。56分、WTBウィリアムスの快走からウェールズがトライするが、67分にSOパークスがDGを決めて14−24。さらに時計は進み、勝負は決まったかに見えた。

流れが変わったのは74分、スコットランドHOローソンが妨害行為でシンビン(一時退場)になってから。数的優位に立ったウェールズはそれまでのミス連発が嘘のように高い精度と集中力でボールを動かし続け、78分、パス展開からWTBハーフペニーが右隅を抜け、中央まで回り込んでトライ。21−24。ウェールズは勢いに乗ってさらに攻め、ラインブレイクからミニパントを上げたFBバーンが倒されて22m内でPK獲得、倒したグッドマンは一発退場。

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2010年02月10日

●清宮監督退任

ありがとうございました (清宮克幸オフィシャルブログ)
 
 
ということで、やっぱりというか、案の定というか、清宮監督が辞任の発表。

ファンとしては残念に思う一方で、負けた以上はこれで良かったんじゃないかな、と。清宮さんもサントリーを率いて4年目、年数的にも一区切りつけるにはちょうどよい頃合いのようにも思えるし、「いよいよ」結果が出なかったところで周りにあれこれ言われる前にスパッとやめたことで、キャリアに変に傷がつくのを防げるだろうし。

まあ、自他ともに認める「プロ」の監督だから。内部の事情はよくわからないけど、結果に対して潔く責任をとった態度は間違いなく立派であると思う。

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2010年02月07日

●「取りかえしのつかないこと」 ('10ラグビー日本選手権1回戦)


寒い風が吹きまくっていた今日の昼間は、秩父宮ラグビー場で日本選手権1回戦。東海大学 7−11 NTTコミュニケーションズ。「大学1・2位と社会人下部リーグ・クラブ王者」の組み合わせになり、学生の勝機が俄然大きくなった近年の1回戦。帝京×六甲ファイティングブルは前者の楽勝だろうと見込んで、より接戦になりそうな方を観戦した。試合は一進一退のせめぎ合いが続くロースコアゲームとなり、絶好機を大チョンボで逃した東海がわずか4点差の惜敗。
 
 
前半は風上に立った東海が押し気味に試合を進めた。いきなり2分、FB豊島のミニパントでゴール前まで攻め込んでスクラム・ラインアウトからトライを狙うが、ラックで微妙にボール出しを邪魔する社会人の巧さに阻まれる。東海は果敢なパス攻撃とキックを交えて攻め立てるが、セットプレーと密集のボール出しで苦戦する場面が多く、また奥目を狙ったキックはNTTコムのSO君島・FB栗原徹の着実な処理にあってなかなかチャンスにつながらない。

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2010年01月31日

●気迫の勝利、継続の勝利 ('09-'10トップリーグプレーオフ決勝)


今日の午後は、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフ決勝。三洋電機ワイルトナイツ 0−6 東芝ブレイブルーパス。リーグ優勝をかけた大一番は、無敗の三洋とサントリーを倒した東芝という、昨季と全く同じパターンの顔合わせとなった。試合は今季最高1万8千観衆の前で行われ、東芝が準決勝に引き続いて激しいブレイクダウンでペースを握り、トライゲッターを欠く三洋は最後までゴールラインを越えることができず。東芝が2年連続5度目の優勝。
 
 
前半は立ち上がりから、決勝らしい張り詰めた攻防に。東芝はサントリー戦と同様にラック・モールで厳しくプレッシャーをかけ、三洋にスムーズなボール出しを許さない。インフルエンザで霜村・北川を欠く三洋は勢いに押される形となり、SOブラウンのキック不調もあって東芝がやや押し気味に試合を進めていく。9分、東芝はSH吉田がDFの間をぬってゴール前まで走り、たまらず三洋はオフサイド。SOヒルがPGを難なく決めて東芝が先制した。0−3。

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2010年01月24日

●デジャヴなプレーオフ ('09-'10トップリーグプレーオフ準決勝)


飲み会明けで二日酔いの午後は、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフトーナメント。東芝ブレイブルーパス 35−24 サントリーサンゴリアス。9月から続くトップリーグもいよいよ大詰め、秩父宮での準決勝は「好敵手」同士の2位・3位対決となった。試合は、前半サントリーが着実にトライを重ねてリードを奪うも、後半怒濤の反撃に出た東芝が一気に逆転し、そのまま逃げ切ってリーグ戦の雪辱を果たす結果に。サントリーはまたも肝心の試合で勝てず。
 
 
キックオフ。東芝は予想通り接点で反則ギリギリの圧力をかけ、サントリーはきれいにボールを出すことができない。次第にサントリーはラックを嫌ってキックが増え、SOピシとヒルの蹴り合いになるが、WTB長友のキャッチミスなどがあって東芝の攻勢が続く。それでもラインアウトを奪取するなどサントリーは粘り、前半半ばまではノースコア。しかし19分、ニコラスの落球から東芝のカウンターとなり、パスをつないでつないで最後はFB立川がトライ。7−0。

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2010年01月11日

●ウイニングカルチャー構築中、かな ('09-'10ラグビー大学選手権決勝)


昨日の午後は、国立競技場でラグビー大学選手権決勝。東海大学 13−14 帝京大学。準々決勝で早稲田が、準決勝で慶応と明治が敗れ、いずれも勝てば初制覇といういわば新興勢力同士の対戦となった今回の決勝。地力上位と見られた(よね?)東海が序盤もたつきながら一旦は逆転に成功するも、キックとFW戦に狙いを絞った帝京が根性と執念の再逆転。わずか1点差の大接戦を制した赤黒ジャージが創部40年にして初の栄冠をいただくことになった。
 
 
帝京が持てる力の全てを出し尽くした一方で、東海はやや不完全燃焼だったかもしれない。

決勝進出自体が初めての東海は序盤明らかに浮き足立っており、ダイレクトタッチなどのミスを連発。すかさず帝京はたたみかけ、4分にSO森田のトライで先制。しかし東海も前半半ばになると落ち着いてゲームを支配するようになり、16分にはカウンター攻撃から早いリスタートを仕掛けたSH鶴田がトライを奪う。その後も東海は幾度か22m内へ攻め入る場面がありながら密集近場での攻めにこだわり過ぎて逸機してしまう。7−7の同点で前半終了となった。

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2009年11月01日

●W杯決勝を10年先取りできたのかも (ブレディスローカップ NZ×豪州)


昨日の夕方は、国立霞ヶ丘競技場でニッスイ東京2009ブレディスローカップ。ニュージーランド代表 32-19 オーストラリア代表。「ブレディスローカップ」とは80年近い歴史を誇るNZ代表と豪州代表の定期戦のことで、昨年の香港に続く2度目の「海外開催」とのこと。まさかオールブラックスとワラビーズのガチンコ勝負が日本国内で観られるとは……日本ラグビーにとっては、2019年ワールドカップ招致成功に続く快挙と言ってもいいのかもしれない。
 
 
試合の1時間ほど前、大江戸線「国立競技場前」駅に到着。駅構内は既に大量の黒衣ニュージーランダー&カンガルー軍団に占領されていた(笑)。もともとラグビーはサッカーあたりに比べてゴツイ体型の観客が明らかに多いのだが、この日はまたデカい人が多くて……つーか、こんなに多くの南半球人が日本にいるとは思えないので、わざわざ来日した人もいるのだろう。スタジアムに入場すると、さっそく売店のビール売場には大行列ができていたのはさすが。

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2009年10月11日

●北川△ (三洋電機×九州電力)


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場で2日連続のトップリーグ第5節。三洋電機ワイルドナイツ 54-10 九州電力キューデンヴォルテクス前日とはうって変わり、気持ちよい青空の下でのデーゲーム。今回のお目当てはサントリー・東芝と並ぶ優勝候補である三洋の出来の確認と、その三洋のエースWTB北川智規の活躍ぶりである。試合は、三洋が九電の積極的なディフェンスに苦しみながら、後半北川のハットトリックなどでたたみかけて大勝を収めた。
 
 
前夜あまりに一方的なサントリー×ホンダ戦を観たせいもあるかもしれないが、序盤の九電は健闘を見せた。開始早々にHOマンレーのPGで先制。6分には三洋が田邉→ヒーナン→若松→田邉と近場でつなぎながら怒濤の突進でトライ。7-3。しかし24分、九電はまるで意趣返しのように22m内で細かいつなぎを見せ、ゴールラインまで縦になだれ込んで逆転。7-10。三洋は自力で上回っているはずだが、九電の前へ出る防御に押される形で反則が多い。

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2009年10月10日

●日本ラグビーは10年後を目指す、てか (サントリー×ホンダ)


金曜日の夜は、秩父宮ラグビー場でトップリーグ第5節。サントリーサンゴリアス 52-5 ホンダヒート。今季初めてのトップリーグ観戦。お目当ては、贔屓にしているサントリーの出来もさることながら、慶応のエースWTBが「なぜか」ホンダに加入して2年目、山田章仁のプレーである。試合はサントリーが終始コントロールする展開となり、前後半4トライずつを奪って快勝。
 
 
仕事帰りのナイトゲーム。キックオフ直前に慌てて駆け込もうとすると、入場門の脇に「ラグビーワールドカップ2019日本開催決定!」の横断幕が。五輪やサッカーW杯招致の陰に隠れて地味な扱いになってはいるが、そう、これだけは既に決定済なんである。ファンとしてはもちろん嬉しいことには違いないのだが……10年後というとあまり現実感がないというのが正直なところ。でも、色々な所を今から強化していかないと間に合わないんだよな、きっと。

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2009年03月01日

●清宮氏とサンゴリアスの大きな宿題 ('09ラグビー日本選手権決勝)


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場で日本選手権決勝サントリーサンゴリアス 16-24 三洋電機ワイルドナイツ。半年間続いてきたラグビーの国内シーズンもいよいよ大詰め、トップリーグと並ぶ「最高峰」の大会の決勝である。MS杯ではともに苦渋をなめた2チームの対戦は、サントリーがキック戦法で優位に試合を進めながらチャンスに攻めきれず、逆に少ない逆襲の好機をものにした三洋電機が勝利。同じ顔ぶれの前回決勝と同じ結果となった。
 
 
立ち上がりから優勢だったのはサントリー。前日の雨雪の影響で軟弱なピッチ状態も考慮したのだろう、自陣や中盤ではとにかくキック戦法で前進を図り、敵陣に入ってからは密集周辺で細かくボールを動かしていく。復帰したSO曽我部が低くスペースへ蹴り込み、あるいは22mライン前に高々と蹴り上げ、そこへFWが殺到。受身に回った三洋はたて続けに反則を犯し、5分、11分、18分とニコラスのPGが決まってサントリーがリードを奪う。9-0。

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2009年02月15日

●スティーブン・ラーカム対ヤコ・ファンデルヴェストハイゼン ('09ラグビー日本選手権2回戦)


今日の午後は、秩父宮ラグビー場で日本選手権2回戦。不況の影響で選手カットやらロアマヌの大麻陽性で東芝が出場辞退やらと暗い話題が続くラグビー界だが、一ファンとしてはこんな時こそ支えてあげねば、と思う。第1試合はリコーブラックラムズ 24-23 NECグリーンロケッツ。1回戦で帝京大と引き分けたリコーと、神鋼を破って勝ち上がってきたNEC。当然後者の方が下馬評が高かったのだが、リコーが接戦を制して驚きのアップセット。
 
 
前半はやはりNECが攻め、リコーが我慢する展開となった。リコーとしてはできるだけ敵陣で戦いたいところだったが、2分、SO河野のキックがチャージされ、NECはラトゥ→箕内→マーシュとつないで、最後はCTB水田が左隅にトライ。コンバージョンも成功で0-7。その後もトップリーグ最強のFW3列目を中心にNECの攻勢が続く。13分には松尾がPGを成功させて0-10。「やはり一方的展開になるか」という雰囲気が漂っていた。

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2009年02月08日

●「逆風」をはね返した鉄壁 ('09ラグビーMS杯決勝)


今日の午後は、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフ(マイクロソフトカップ)決勝。東芝ブレイブルーパス 17-6 三洋電機ワイルドナイツ。選手の不祥事を機に団結してリーグ終盤破竹の快進撃を見せたものの、再びの不祥事に揺れる東芝。一方、昨年準優勝の雪辱に燃え、サントリーとの接戦を制して勝ち上がってきた三洋電機。試合は、強風の中キックで主導権を争う展開となったが、鋼鉄の守備を見せた東芝がロースコアゲームを制して優勝。
 
 
秩父宮は大抵の場合メインスタンドから見て左→右の風が吹いているのだが、この日はそれが特に強かった。よって、前半は自然と風上に立つ東芝の攻勢に。ヒルのロングキックで深く押し込み、力強いFWの突進でクサビを打ってから横へ展開していく。これに対して三洋は反則すれすれの激しく高いタックルで対抗。22m内で粘ってなかなかトライを許さない。3分に入江のPGで三洋が先制してから20分はスコアが動かず、地味なつぶし合いが続く。

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2009年01月14日

●3連休の最後は、マンU、味スタ、ICC

1月12日(祝)

夜中、JSPORTSでプレミアリーグの大一番。マンチェスターU 3-0 チェルシー。リーグと欧州CLに加えてCWCと2つのカップ戦、週2日ペースで超ハードスケジュールを戦い続けるユナイテッドが、2位チェルシーにホームで完勝。これで2試合消化が少ないユナイテッドと首位リバプールとの差が「5」、チェルシーとの差はわずか「1」。一気に詰まってきた印象である。

マンUは強かった。3得点ももちろん見事だったが、チェルシー攻撃陣につけいる隙を与えず完封した守備はさすがだった。CWC決勝でもそうだったように、今のこのチームの強さが豪華攻撃陣ではなく、11人のハードワークに支えられた堅いブロック守備にあることが証明された内容だと思う。対するチェルシーは、やっぱり何かが噛み合っていないのか、監督の采配は迷走気味だし、選手たちの表情がどこか冴えないのも気になる。大丈夫なのか?

試合前、観客席にはジョゼ・モウリーニョ氏の姿も。当然、CLで当たるユナイテッドの偵察なんだろうが、元監督としてチェルシーの動向もやはり気になるには違いない。そういや、「ハマれば凄いけど、やや個人能力頼みで不安定な攻撃」と「組織力に裏付けられた堅牢な守備」の組合せ、という点では、意外と今のユナイテッドとインテルのチームカラーってのは似ているのかもしれないな、と思う。完成度はユナイテッドの方が全然上だとは思うけど。

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2009年01月05日

●ラグビー初めと、飲み会初め (サントリー×神戸製鋼)


新年最初のラグビー観戦は、3日に秩父宮ラグビー場でトップリーグ第11節。サントリーサンゴリアス 67-3 神戸製鋼コベルコスティーラーズ。トップリーグも地味~に(笑)佳境に入ってきた年明け早々は、やや波に乗りきれないながらきっちりプレーオフ圏内に食い込んでいるサントリーと、東芝を下して上り調子の神戸製鋼との対戦。サントリーがもたつきながらもBKを中心に決定力の差を見せつけ、思わぬ一方的展開で9トライを重ねる大勝となった。
 
 
序盤から優勢はサントリー。風下ながらSO曽我部の的確なキックで陣地を稼ぎ、攻め込んでいく。9分にPGで先制。しばらくはセットプレーのミスと神鋼のイヤらしい絡みで逸機が続いたものの、22分に曽我部がDFの間に鋭く切り込んでトライ。10-0。しかし、その後は神鋼NO8マパカイトロがストンピングでシンビンとなったにも関わらず、近場攻めに固執しすぎたサントリーは反則でボールを失い、神鋼の攻勢を許してしまう。山本のPGが決まって10-3。

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2008年11月23日

●ラストゲームは、苦手相手に快勝 (ラグビー日本×アメリカ)


昨晩は、秩父宮ラグビー場で「リポビタンDチャレンジ2008」。日本代表 32-17(前半19-10) アメリカ代表。トップリーグを中断して行われた、貴重で大事な秋シーズンのテストマッチ第2戦。堅実な防御と勝負所での鮮やかなパスムーヴを見せたジャパンが試合を優位に進め、2人シンビンのピンチもしのぎながら4トライを奪取。苦手アメリカを相手に、寒い中詰めかけた1万ラグビーファンの期待に応える快勝となった。
 
 
両チームとも初戦と3人が入れ替わったスタメン。キックオフ直後、いきなりアメリカが縦突進で連続してゲインし、右タッチ際をFBワイルスが抜けてトライ。なんと1分。あっけない失点にスタンド唖然、である。0-5。だが、日本の反撃も早かった。7分、アメリカ陣22m内で素早い集散からドライビングモール、最後はPR畠山が抜け出して右中間にトライ。5-5。このあたり、両チームともまだ体が暖まっていない、という感じで早い仕掛けに対応できていなかった。

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2008年09月07日

●ラグビー場が混む分にはいいんだけど ('08-'09トップリーグ開幕戦)


金曜の夜は、秩父宮ラグビー場でラグビートップリーグ第1節。サントリーサンゴリアス 9-19 三洋電機ワイルトナイツ。今年もトップリーグは金曜夜、そしていきなり組んでしまうにしてはもったいないような豪華カード(前年度の1位と2位の直接対決!)で開幕。ラグビーにしては多い1万5千の観客を前に行われた試合は、昨季レギュラーシーズン全勝の三洋電機が「つぶし合い(つぶれ合い(笑)?)」のロースコアゲームを制して好発進をきった。
  
 
開始直後にサントリーがニコラスのPGで先制したものの、すぐに三洋はゴール前で密集が割れたところをSH田中が巧く持ち出して(というかオブストラクションくさかったが)トライ。その後は両チームとも展開しては反則やミス、の連続でなかなかボールが22mラインを越えず、じれったい展開に。注目のSHグレーガンはさすがに正確な球さばきを見せるものの、そのボールを味方が生かせないのでは仕方がない。PGを撃ち合って9-10で前半終了。

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2008年06月24日

●2勝の壁は厚い、などと言ってちゃいかんのだが (ラグビー日本×フィジー)


日曜の午後は、国立競技場で'08パシフィック・ネーションズカップ第3戦。日本代表 12-24 フィジー代表。前節仙台でトンガを撃破して意気上がる我らがジャパン、今度はさらなる強敵フィジーと今季最初(で最後?)の東京でのテストマッチである。悪天候の中行われた試合は、前半キック戦法に徹した日本が小刻みにリードを奪ったものの、後半フィジーの力強い攻勢を前に痛恨のミス連発。結局、3トライでたたみかけられて悔しい逆転負けとなった。


降りしきる雨の中、開始直後からキック戦に徹する日本と近場を突くフィジーとのせめぎ合いが続く。前半は我慢比べの様相。ジャパンは縦突進に対して箕内・マキリを中心にしつこくタックルを浴びせてノックオンを誘い、奪ったボールはタッチキックかハイパント。5分、フィジーのハンドで得たPGをアレジが決めて先制。11分には攻め込まれてPGで同点に追いつかれるものの、14分にアレジが40m以上はあるロングPGを決めて再びリードを奪う。

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2008年06月07日

●ホントに抽選になったら…(笑)

さて、いよいよ明後日はナビスコ杯グループリーグの最終節ヴェルディ戦、今季3度目の「東京ダービー」である。現在首位清水に続く2位につけている我らがFC東京だが、今回のナビスコはACL出場の鹿島とガンバがシードされているため、グループ2位の4チーム中2番目の成績を収めないと決勝ラウンドには勝ち上がれない。

仮に東京も含めて各組の1・2位チームが全て勝つとすると、グループA2位の神戸は勝点13、グループBの東京は12、グループCは1位2位対決だが、仮に2位の川崎が勝ったとしても勝点9、グループDの大分は勝点12となる。つまり、東京としてはヴェルディには当然勝たなければならないとして(引き分けでも可能性がなくはないけど)、九石ドームで大宮と戦う大分の成績にも決勝ラウンド進出の可否が左右される、ということだ。

面白いのは、東京と大分が現在勝点8、得点8失点5と全くの同成績であること。しかも、ともに既に決勝ラウンド進出の望みが絶たれている相手との対戦だ。Jリーグ公式サイトによると(つーか「FC東京■景気動向指数」が教えてくれたところによると)、2位同士が同勝点の際の順位決定方法は(1)得失点差(2)総得点数(3)抽選なのだそうだ……え、抽選(笑)?

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2008年03月18日

●「これで良かった」かな ('08ラグビー日本選手権決勝)


日曜の午後は、秩父宮ラグビー場で日本選手権決勝。サントリーサンゴリアス 18-40 三洋電機ワイルドナイツ。国内シーズンの締めくくりとなる大一番は、トップリーグプレーオフ決勝の再戦に。リーグ戦を全勝した三洋電機と、その三洋を撃破してリーグ優勝を飾ったサントリー。まさに現在の日本ラグビー界の頂点を競う対戦である。試合は、リベンジに燃える三洋が終始アグレッシブな姿勢を貫き、快勝で初の日本一に輝いた。


立ち上がり、サントリーがハーフウェー付近でモールを形成した時には、またしても勝負重視の「ファイナルラグビー」が繰り返されるかに思えた。「勝つこと」に徹したサントリーがやはりタイトルを奪うのか、と。だが、今日の試合においては、初タイトルとリーグ戦の復讐に燃える三洋電機の気迫がサントリーの「計算」を上回った。モールを押されながらも何とかもちこたえ、トニー・ブラウンのロングキックで押し戻す。6分には田邉がPGを決めて先制。

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2008年03月03日

●猫とワセダとイエモッツ (山口旅行記その2)


土曜日。午前中は一番上の子の高校の卒業式やら何やらがあって家の大人は出払ってしまい、残りの子供たちと留守番。ポチにあれこれちょっかいを出してパンチ(&引っかき攻撃)をくらったり。世の中には「犬派」と「猫派」がいるようで、僕はどちらかといえば前者なんだけど、猫という存在もかなり好きではある。特にポチは愛想がそこそこ良く、べっぴんさんだからなおさらだ。あとは、一緒に散歩ができればいいんだけどな……。

ちなみにこのポチ、可愛さとともに山奥育ちのワイルドな面も備えており、しばしば小動物を獲ってくるとか。特に小鳥関係の被害は著しく、この地方では今度の春はウグイスが鳴かないのではないかと心配されているそうな(笑)。そういや、昔、飼っている犬(「ゴン」という名前だった)がよくタヌキを獲ってきた、という話を聞いたことがある。あと、ゴンの後に番犬を勤めていた「チビチビ」君が、侵入してきたイノシシと格闘して撃退したことがあった。

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2008年02月24日

●「決勝戦」の重みと難しさ ('08ラグビーMS杯決勝)


午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフ(マイクロソフト杯)決勝を観戦。三洋電機ワイルドナイツ 10-14 サントリーサンゴリアス。いよいよ今季の王者が決まる一戦は、リーグ全勝、準決勝も東芝相手に劇的な逆転勝ちを収めた三洋と、昨季同じ舞台であと一歩届かず東芝に敗れたサントリーの対戦に。試合は大一番にふさわしくロースコアのしのぎ合いとなったが、「勝ちに徹した」サントリーが強力防御で三洋を押さえ込み、見事初優勝。


東京に「春一番」の吹いた翌日だけあって、この日もピッチには終始強い風が吹きつけた。

前半は風上に立った三洋がSOトニー・ブラウンのロングキックを武器に攻め込んでいく形に。いきなり3分、ブラウンのPGが決まって先制。その後もほとんどの時間帯サントリー陣で試合が進んでいく。しかし、三洋はなかなか決定機を作れない。理由はおおむね2つ。まずはラインアウトでの劣勢。サントリーは東芝以上に入念な対策を立ててきたらしく、完全に球筋を読まれた三洋はマイボールをほとんどキープできない。

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2008年02月18日

●勝負とはなんと残酷で、切なくて、美しいのだろう ('08ラグビーMS杯準決勝)


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフ(マイクロソフトカップ)準決勝。三洋電機ワイルドナイツ 25-21 東芝ブレイブルーパス。リーグで4位に沈んだ「3連覇王者」東芝が、リーグ戦全勝の偉業を成し遂げた三洋電機に挑む一戦。勢いに乗る三洋が一発勝負の舞台でその強さを発揮できるか否かが注目だったが……元王者の意地と挑戦魂がリーグ戦の劣勢を覆したかに見えた展開から、あっと驚きの結果に。


前半は完全な東芝ペースとなった。おそらく相当念入りな研究をしていたのだろう、ラインアウトではことごとく球筋を読み切って三洋ボールの半分程度を奪取し、守備の局面では反則スレスレの出足としつこい絡みで素早い展開を許さない。ピッチの悪さから両チームともキックを選択することが多かったのだが、これも驚くべき事に(トニー・ブラウン相手に!)東芝が互角以上に渡り合う。ワンプレーごとに東芝の気迫が圧倒しているように見えた。

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2008年02月05日

●「展開、接近、連続」と「接近、展開、連続」

先々週のチリ戦、そしてボスニア・ヘルツェゴビナ戦と、岡ちゃんが監督に復帰しオシム爺さんも皆の前に姿を現して、とうとう08年の日本代表キャンペーンが始まった。まあ、当然のことながら船出直後だけに不明瞭な部分も大きいのだが、やたら取り上げられているのは「接近、展開、連続」という言葉である。スポーツ新聞の報道によれば、岡田監督が同じ早稲田出身の故・大西鐵之祐さんのラグビー理論から引用したものだという。

前にも書いたとおり、ラグビーファンとしては大西さんの名前やその理論の一端が紹介されることは素直に嬉しい。ただ、同時に、それをそのままの形でサッカーに当てはめることについては、正直首を傾げる部分がないではない。それは、まず第一にサッカーとラグビーの競技特性の違いに発するものであり、続いて「日本人の優位性」をどう認識するかの問題でもある。
 
 
まず、大西鐵之祐さんの「展開、接近、連続」について。

これは、他の球技に比べて激しい肉体的接触が頻発するラグビーにおいて、小柄で俊敏な日本人がどう戦っていくか、という問題意識に由来する戦法だ。時代を問わず、密集プレイや一対一のぶつかり合いにおいて体格や体重に恵まれない日本チームは、程度の差はあれ欧州や南半球の強豪に対して「力負け」するのが通例である。その状況を打破すべく、大西さん(及び背景としてのワセダの伝統)が編み出したのがこの方法論。

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2008年02月03日

●ユキには勝てまへんでした (トップリーグ最終節延期とか)


今日はラグビートップリーグ最終節、しかも秩父宮ではNEC×三洋電機にサントリー×トヨタと豪華カードということで、雪の予報も「屋根のあるメインスタンドなら大丈夫!」とさほど気にせずに早起きして出かける準備……までしたのだが、交通機関を確認しようとネットに接続したところ、JRFUから延期を知らせるメールが。うーん、ホカロンを山ほど(寒冷地用、靴の中敷タイプ、貼る用の3種)用意して備えていたのに、残念。

ラグビーはサッカーと同様、荒天で中止することは珍しいスポーツだ。台風直撃や落雷ならともかく、多少の雪なら強行するのが普通だから。例えば85年大学選手権決勝の慶明戦、87年の早明戦あたりは名勝負として強く印象に残っている。サッカーでも、本山らの東福岡と中田浩二らの帝京が戦った高校選手権決勝は雪景色でカラーボールを使ってやっていたような。まあ、今回は翌週が空き日だったのも大きかったのかな。

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2008年01月27日

●まんまるたこ焼き、まんまる笑顔 (サントリー×ヤマハ)


昨日の午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ第12節。サントリーサンゴリアス 31-7 ヤマハ発動機ジュビロ。プレーオフでの戦いに向けて調子を上げていきたい2位サントリーと、神鋼・三洋に連敗して苦しい状況に追い込まれた5位ヤマハとの一戦。ベスト布陣を取り戻しつつあるサントリーが素晴らしいパフォーマンスを発揮し、ファンも監督も満面の笑みを浮かべたくなるような快勝でマイクロソフトカップ進出を決めた。


冒頭の写真は、試合前に食べたたこ焼き。競技場入口の屋台で売っているもの。作り置きだったようだがきちんと湯気もたつくらい暖かく、中がトロリとしていて美味しかった。たこの大きさも下品すぎず、しかし小麦粉の中に埋没しない存在感があって良し。500円也。

試合は序盤から双方が積極的に地上戦を挑み合う展開となったが、ペースを握ったのはサントリー。この日はタックルの成功率が高く、ヤマハの前進を確実に阻止し、攻めてはWTB山下やFB有賀のパワフルなランでゲインを重ねる。セットプレーも安定しており、一方的な攻勢が続く。3分、ゴール前の密集からPR尾崎が飛び出してトライ。11分には有賀の突破からSO菅藤がゴール内へゴロパントを入れて山下が走るも、惜しくもトライならず。

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2008年01月19日

●大逆転秩父宮とウルトラマン、飛行機雲に月


午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ第11節。NECグリーンロケッツ 33-21 東芝ブレイブルーパス。プレーオフ4枠へ向けたサバイバル継続中、2位と6位の直接対決。首都圏チーム同士の対戦カードだけに当然盛り上がりが予想されたのだが……観客動員もプレー内容もやや物足りないながら、「展開の綾」に救われた試合となった。


序盤は双方FWを前面に押し立てゴリゴリ押そうとするが、ほぼ互角と見るや今度はパス展開のやり合いに。NECはBKのタレントで劣る上に動きの連動性もイマイチで、数的不利な形でDFの壁に当たってばかり。東芝も攻撃にかかる時の切り替えの早さや連動性はさすがながら、SO廣瀬を筆頭にパスの精度が悪く、ハンドリングエラーも多い。じれったい攻防が続く。

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2008年01月13日

●サンゴリアス、じれったい勝利 (NEC×サントリー)


午後、柏の葉公園競技場でラグビートップリーグ第10節。NECグリーンロケッツ 8-19 サントリーサンゴリアス。トップリーグのレギュラーシーズンもいよいよ大詰め間近、ここから「トップ7」同士の対決は全てプレーオフ進出のかかった大一番と呼んで差し支えないだろう。強風下で行われた実質NECホームの一戦は、サントリーが拙攻に苦しみながらも攻撃力の優位を生かして接戦をものにした。


冷たく厳しく吹き付ける風の中、前半は風上に立ったNECがまず攻めたてた……と思うのだが、実は最初の10分ほどは試合を観ていないのである。いや、競技場にはなんとかキックオフ前に着いたんだけど、腹減ってたんで売店のカレーライスの列に並んでたら遅くなっちゃって。ポークカレー、ポークがどこにあるかわからなかったけど、美味かった……という話はともかく(笑)、3分、PGを得たNECがきっちりと決めて先制。

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2008年01月09日

●そこでその名前を出すとは……さすが岡ちゃん

岡田ジャパン×大西ラグビー=世界一…「接近・展開・継続」を指針 (スポーツ報知)
 
 
「接近、展開、継続」じゃなくて「展開、接近、連続」だろう、というツッコミはさておき(スポナビの記事の書き方は微妙に違ってるな)、こういうところで「大西鐵之祐」の名前が出てくるのは、ラグビーファンとしてはちょっと(いやかなり)嬉しい。妥当性はともかくとして、だが(笑)。あの頃の日本ラグビーと現在の日本サッカーとで、果たしてどれだけ共通点があるか……。

確かに、「早稲田」「日本代表」というキーワードで考えれば、岡田さんが大西さんを引っ張りだしても不思議ではない。そういや、加茂さんが解任されて岡田さんが後を継いだ時、Number誌上で金子達仁さんがジーコの起用を主張し、それに対して藤島大さんが早稲田の定食屋の親父の発言(「岡ちゃんならやるよ」)を引用して反論してたな。ちょっと思い出した。

まあ、大西先生の名前を出したからには、岡ちゃんには是が非でも成功してもらわんと。「日本選手の現状」に合うかどうかは別にして、目指すスタイルとして魅力的なのは間違いないから。

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2008年01月07日

●「ジャパンの10番」候補現る? (NEC×トヨタ テレビ観戦)


前日の飲み過ぎと、あと年が明けて以来なんだかんだと出かけてばかりということもあり、日曜日は秩父宮へ出かける予定をとりやめてテレビ観戦に切り替え。でもカード的には魅力的なんだよね、と思っていたら、案の定というかこれが好ゲームになってしまった。NECグリーンロケッツ 24-40 トヨタ自動車ヴェルブリッツ。ここまでやや不調だったトヨタが前節まで2位だったNECを激しい攻防の末に撃破。いや、失敗した!!


肉体的なクラッシュの激しさはトップリーグの中でもトップに位置する両チームは、立ち上がりから熱くぶつかりあった。トヨタは麻田・正面のリードから遠藤・菊谷・難波・水野が突撃を繰り返し、NECは辻とヤコの冷静なさばきからセミシが、箕内が、向山が体を張って迎え撃つ。守ってはトヨタは個々の鋭い飛び出しからプレッシャーをかけ、一方NECは秩父宮のピッチ状態の悪さも考慮して、キックを織り交ぜつつソリッドに試合を作る構え。

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2008年01月06日

●'08ラグビー初めと、すっとこ初め


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場で名古屋在住フットボール賢人の森末さんと一緒にトップリーグ第9節を観戦。サントリーサンゴリアス 55-26 福岡サニックスブルース。トップリーグも年が明け、いよいよプレーオフ争い(もしくは残留争い)が厳しくなってくる時期。サントリーにしてみれば「格下」ながら好チーム相手の嫌な試合だったかもしれないが、FW中心の攻めから確実に得点を積み重ねて勝ちきった。


前半はサントリーのFWへの拘りが目立った。相手陣22m内に入るととにかくスクラム、モール……開始直後に押し込んでトライ、14分に認定トライ、28分にもPR尾崎がトライ。37分平のトライも「余ったからしょうがないか」という感じだった。BKのムーヴは封印して、とにかく「FWを固める」プレー選択。それで相手の攻めも封じ込めれば完璧だったのだが、サニックスも終了間際、CTBフィフィタの突破に好フォローで1トライ。やや弛んだ空気で後半へ。

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2007年12月23日

●今年最後のトップリーグは「中盤の山場」


土曜日の午後は、味の素スタジアムでラグビートップリーグ第8節。東芝ブレイブルーパス 36-17 神戸製鋼コベルコスティーラーズ。前節、三洋電機に大敗した東芝と、サントリーに完敗して2連敗となった神鋼。どちらも首位争いに生き残るためには負けられない戦い。最高気温8度、かつ小雨もちらつくこの冬一番の寒さの中で試合は行われた。


前半は神鋼ペースだった。徹底したハイパント攻撃はサントリー戦と同様ながら、その精度は明らかに高まっており、22mライン付近を狙うSO森田のパントにFBウィルソンがどんピシャのタイミングで飛び込んでチャンスを作る。9分にはまさにその形からWTB濱島が先制トライ。その後も神鋼の攻め込む場面が多く、平尾総監督の策はズバリ当たっていたように思う。

しかし、神鋼はせっかくの攻勢を得点に結びつけられない。インターセプトからFO松原が抜け出した場面はフォローの遅さで逸機し、2度のイージーなPGも森田が外してしまった。逆に東芝は地味ながら慌てず繋ぎ続ける攻撃を繰り返し、39分、モール突進からLOホルテンが右隅に飛び込んで逆転トライ。WTB吉田が難しいコンバージョンも決め、10-5で折り返し。

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2007年12月18日

●日曜日、濃密な4試合

日曜日は、午前中からでかけてサクッと用事をすまし、あとはひたすら家でラグビー観戦・サッカー観戦に没頭。味スタ詣でにいそしむ(今年はあまりいそしまなかったが)シーズン中とは違った形ながら、シーズンオフ(いや、まだオフじゃないか(笑))もまた忙しいのである。たまにはテレビ観戦のレビューなど。
 
 
神戸製鋼 14-31 サントリー (ラグビートップリーグ@JSPORTS)

リーグ戦も折り返しの第7節、首位への挑戦権をかけた2位と4位の対戦。序盤から神鋼が徹底したパント攻撃を繰り出し、サントリーがもたついて前半半ばまではスコアレスの展開。慣れない屋根付きスタジアムに加えて神鋼の厳しいプレスも効いたのか、サントリーはSO野村やFB有賀にミスが目立つ。まあ、ここら辺はやるな平尾、という感じ。

しかし、それでもサントリーは「強くて速い」CTBを核にパスをつないでリズムを整え、20分以降は着実にトライを重ねていく。圧巻だったのは後半早々、ニコラスから近場を弾丸のようなスピードで追い越す平へのオフロードパスが決まって、独走トライ。これは鮮やかだった。神鋼もNO8伊藤の力強いラン等で反撃するも、劣勢は否めず。17点差でサントリーの勝利。

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2007年10月27日

●今年もがっぷり四つ ('07-'08トップリーグ開幕戦)


昨晩は、秩父宮ラグビー場でトップリーグ開幕戦。東芝ブレイブルーパス 3-10 サントリーサンゴリアス。現在のトップリーグを牽引する2強がいきなりの激突。開幕戦にふさわしい、というより、なんだかちょっともったいないようなカードである。悪天候の中行われた試合は、大方の予想通りキックと密集を中心にロースコアのせめぎ合いとなり、ただ一度目の覚めるような展開プレーでトライを奪ったサントリーが勝利。


小雨降るコンディション、開幕戦、そして強敵相手。やはり慎重な蹴り合いと密集周辺のせめぎ合いが繰り返されることになった。特に前半は双方の22mラインの間を行き来するばかりで、地味というか、見ていてじれったい展開。サントリーはBK展開のリズムがつかめず、モールで押そうとするも東芝の巧みな防御にしばしばボールを奪われ、一方の東芝もターンオーバー後の攻め手を欠いた。ニコラスのPGによる3点のみでハーフタイムへ。

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2007年10月17日

●「奇跡」は果たして起こるのか ('07ラグビーW杯準決勝)

土・日の深夜にはラグビーフランスW杯の準決勝を観戦。前回のエントリーで僕は「アルゼンチン×フランスの決勝なんて素晴らしいと思う」なんて書いたけど、まあ世の中そうはうまく行かないもので、開幕戦に続くアルゼンチン×フランスの再戦は3位決定戦で実現することになったのだった。つまりは、W杯優勝経験のある南北の2チームが決勝進出、ということだ。


第1試合 イングランド 14-9 フランス

準々決勝ではNZ相手に99年大会「史上最大のアップセット」を再現してみせたフランスだったが、その次の試合での煮え切らない敗北も再現(笑)。結局、良くも悪くもこういうチームなんだよな、フランスって。ピークパワーはもの凄いけど、その力を安定して出すことができない。まあ、オールブラックス相手に歴史に残るような戦いをしてしまったら、燃え尽きちゃうのはそりゃ仕方がないのかもしれんけど。

もっとも、イングランドの方も豪州相手に120%の力を出したばかり。前戦に比べればやはり出来は劣ったように思う。リードしている時間の長さや好機の数、そして地力ではフランスの方が明らかに上のように見えた。9-8の場面からあと一本がとれれば……でも、そこで藤島大さん曰く「しくじって」リードを広げられぬまま、ズルズルと終盤へ。こうなると威力を発揮するのはウィルキンソンの黄金の左足である。

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2007年10月11日

●アリエナイ試合、があった。 ('07ラグビーW杯準々決勝)

ラグビーのフランスW杯もいよいよ決勝トーナメントに突入。今回は開幕戦でいきなり開催国フランスがアルゼンチンに負け、いわゆる「主要8カ国」のうちアイルランド・ウェールズが予選リーグで敗退するなど波乱含みの展開になっている大会だが、準々決勝ではさらなる驚愕の試合が待っていたのだった。


第1試合 オーストラリア 10-12 イングランド

正直なところ、4試合のうち実は一番結果が堅いゲームではないかと思っていた。もちろん豪州の圧勝予想で。ところが蓋を開けてみると、イングランドが無謀とも思えるハイペースでプレッシャーをかけていき、豪州は完全に受け身に回る展開。それでもウィルキンソンのキック不調もあり、「最後は豪州だろ」と思いながら見ていたのだが……まさか最後までイングランドが頑張り抜くとは。母国の底力、としか言いようがない。

残念なのは、グレーガン&ラーカムという、おそらくこの10年の世界ラグビーでベストのハーフ団がもう観られなくなってしまうこと(両者とも代表引退を表明)。この試合でもグレーガンは良かったと思うんだけどなあ。ラーカムは結局日本戦しか出られなかったのか。世界で一番ボールを確実かつ素早くさばけるSHと、世界で一番「前が見える」SOのコンビ。僕はこの2人が大好きだったので、優勝で花道を飾ってほしかった。

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2007年09月26日

●複雑な心境 ('07ラグビーW杯 日本×カナダ)


火曜日の深夜、JSPORTSでラグビーW杯予選プールB。日本 12-12 カナダ。ジャパンにとっては泣いても笑ってもこれが大会最後の一戦。試合は日本の好守と拙攻もあってロースコアの接戦となり、一旦はカナダがリードを奪ったものの、日本がロスタイムのトライ&コンバージョンで引き分けに持ち込んだ。W杯連敗は「13」でついにストップである。


序盤から目立ったのはジャパンの前へ出る守備。バックスやフランカーはもちろん、ロックやプロップまでもが出足良く巨漢達に突き刺さっていく。前半のカナダは比較的パスを多用する攻撃を志向していたのだが、日本の好タックルに阻まれて前進できない。12分にはハーフウェー付近のラインアウトからWTB遠藤が自慢の突進力でDF3人を弾き飛ばして走りきり、トライ。まさしく完璧な立ち上がりだった。

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2007年09月22日

●完敗 ('07ラグビーW杯 日本×ウェールズ)

昨日は、朝の4時前に超早起きしてJSPORTSでラグビーW杯グループB。日本 18-72 ウェールズ。必勝を期して臨んだフィジー戦に惜敗し、後のなくなったカーワンジャパン。3試合目は敵地カーディフに乗り込んでアップセットを狙ったが……ウェールズの「本気以上モード」にあえなく返り討ち。高速パス交換に翻弄され、実に11トライを奪われる大敗となってしまった。仕方がない、これが今のジャパンの実力である。


立ち上がりは日本の前に出るタックルがよく決まり、ウェールズがノックオンを連発。4分に大西のPGで先制、11分にタッチキックのミスからトライを奪われるものの、密集でもターンオーバーを奪うなどジャパンの健闘が続く。19分には相手ラックから大野が出足良くボールを奪ってカウンター、ロビンス→大西→今村とパスがつながり、最後は遠藤がタックルを受けながら飛び込んだ。理想的な攻撃による素晴らしいトライ。ここまでは最高の展開である。

ところが24分、左タッチ際で今村がパスフェイクに引っかかって独走トライを許してしまい、ここからウェールズが勢いに乗る。不成績に批判が高まっているというウェールズは汚名返上を狙ってか、過剰なまでに冒険的なパス回しでジャパンを翻弄。特に、豪州戦でもそうだったが日本の防御はキャリアーと交差するように方向を変えてくるアタッカーに弱く、しばしば内側を一気に突破されて苦況に陥った。2トライを追加されて11-29でハーフタイムへ。

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2007年09月14日

●言葉にならない ('07ラグビーW杯 日本×フィジー)

水曜日の深夜は、JSPORTSでラグビーW杯グループリーグ第2戦。日本 31-35 フィジー。厳しい日程を勝ち抜くべく、ジョン・カーワンの秘策「ダブルチーム大作戦」を決行中の日本代表。初戦はその負の側面(?)が出て豪州に91失点の大敗を喫したが、今度こそは真価の問われる第2戦である。試合は終始緊迫感のある接戦となり、日本は最後まで健闘を見せたものの、結果はわずかに4点届かず。悔しい、実に悔しい敗戦だった。


日本健闘の要因としては、まずFW陣の健闘が挙げられるだろう。特に、大野・トンプソン・マキリ・オライリー・箕内と並んだ第2~3列はおそらく世界のどこに出しても恥ずかしくない強力さ。しばしば密集でボールを奪い取り、スクラムを押し、ゴール前ではラインアウトからのドライビングモールでフィジーを圧倒して2トライをスコアした。W杯でジャパンのFWが相手と互角以上に渡りあったのは、もしかしたら初めてのことかもしれない。

2つめは、粘り強い守備である。個の力で上回るフィジーのBKを一発では倒せないものの、あっという間に二の矢三の矢を浴びせかけ、タックラーのリカバーも非常に速かった。特に前半、大西が膝上に突き刺さるタックルでノックオンを誘発した場面と、右タッチ際で数的不利に陥った場面の有賀の連続タックルには魂が震えた。ラグビーで一番大事なのはタックルである。そして、そのタックルへの集中が最後まで途切れなかったのが良かった。

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2007年09月09日

●まだ3試合ある!! ('07ラグビーW杯 日本×豪州)

昨晩は、ラグビーW杯フランス大会日本代表初戦をJSPORTSで観戦。「いよいよやってきた」というべきか、「とうとうやってきてしまった」というべきか……結果は日本 3-91 オーストラリア。前半こそゲームを支配されながらも粘って失点を抑えたジャパンだったが、後半に入って堤防が完全決壊。13トライを献上し、攻めてもノートライの惨状。大会に臨む根本戦略さえも揺さぶられかねない、言い訳の効かない大敗となってしまった。


立ち上がりから豪州が日本陣に攻め込み、ジャパンはすんでのところでしのぐ展開。太陽を背負う形になった豪州がキックとそこからの縦突進を多用したのに対し、日本はタックルの入りが悪いものの集中力を保って食い下がり、豪州のハンドリングエラーを誘う。SO小野のキックも安定していた。タックルミスによるラインブレイクとモール押し込みで3トライを奪われたものの、3-23でハーフタイムへ。「これなら十分許容範囲」という感じだったが……。

後半開始直後、オープン攻撃からFLエルソンがラインブレイク、あっさりと中央へトライ。これである種の精神的なバランスが崩れてしまったのか、前がかりになった日本は、しかし豪州の厳しい防御にターンオーバーを食らいまくる。ただでさえ雑なパス回しやタックルは心身の疲労から精度が落ち、さらに新入りFBの不用意なミスも加わった。一生懸命やっている選手たちには申し訳ないが、見ているのもツラい40分であったように思う。

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2007年08月11日

●ここから上り坂だと信じたい (ジャパン壮行試合)


昨晩は秩父宮ラグビー場で日本代表W杯壮行試合。日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ。「アジア・バーバリアンズ」とは、この試合のために編成された、日本の元代表選手を中心としてアジア各国の有力選手が加わった混成チーム、ということでいいのかな?この時機の強化という観点からすれば、本当は互角よりもちょい弱くらいの代表チーム(前々回はスペインだったっけ)とかがいいのかもしれないが……。


この試合は、先日取り付けられたばかりの夜間照明のお披露目ゲームでもあった。周りが神宮の森だけにピッチがきれいに浮かび上がって、うん、なかなかいい雰囲気ではないの。途中から目が疲れてきたので、もしかすると照度の絶対値は低めなのかもしれないけど。前にVTRで観た71年のイングランド戦を思い出した。今後は「夏の夜、ビール片手にラグビー観戦」は定番になりそうだ(だから、場内のビール販売を改善しないとね)。

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2007年06月21日

●センチメンタルな旅(仙台編)

先週の土曜日はラグビー日本代表を応援するため、日帰りで仙台遠征。仙台の地を踏むのは2002年に仙台スタジアム(現・ユアテックスタジアム)で東京×仙台戦を観戦して以来だから、5年ぶりになるのか。



到着後、まずは新幹線の改札を出てすぐのところにある「伊達の牛たん」で昼メシ。僕は「大麦牛極上芯たん定食」と牛タンシチューのハーフ、カミさんは「極厚牛たん芯たん定食」。何のひねりもない感想で恐縮だが、美味かった。ぶ厚くて肉汁がジュワッとしみ出て……どちらの定食も数量限定なのは(そして1500円以上するのは)、それこそ伊達じゃなかった。適度に弾力があって柔らかすぎないのも、定食としては良かったか。

そういやこの店は5年前の試合後、帰りの新幹線に乗る時に前を通りがかったんだけど、「もしや選手が食べてたりしないよな」とか冗談を言ってたら、ホントに由紀彦と小峯がカウンターで並んで食事してたんだよな(笑)。その後店を出た小峯がキヨスクでコーラを買っていたり由紀彦が女性ファンにサインをせがまれたりしていたのも、今となっては懐かしい光景だ。

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2007年04月30日

●ここまでは助走の助走 (ラグビーアジア三ヶ国対抗試合)


昨日の午後、秩父宮ラグビー場でアジア三ヶ国対抗試合第2戦。日本代表 73-3 香港代表。圧勝の韓国戦から大幅にメンバーを変更して臨んだカーワンジャパン。前半からミスが多発、なかなか押し切れないもどかしい展開となったものの、後半には立て直してトライの山を築き、結果的に13トライを奪う圧勝となった。課題が散見されたのも確かで諸手を挙げて大喜び、とはいかないが、勝って反省できるのは悪いことではない。


先制点は早かった。1分、テンポの早いパス回しで香港守備をブレイク、最後はSO廣瀬が右ライン際を駆け抜けてトライ。有賀のコンバージョンは惜しくも外れたものの、幸先の良い出足である。ところが、そこから前半半ばまではなかなか得点の入らない時間帯が続く。日本の優勢は揺るぎないものの、ハンドリングエラーによる逸機が多い。また、慣れないシンガポール協会レフリーの教条的な判定もじれったさに拍車をかけた。

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2007年04月23日

●幸先の良いスタート (ラグビー日韓定期戦)


日曜の午後、秩父宮ラグビー場でアジア三ヶ国対抗試合兼日韓定期戦。日本代表 82-0 韓国代表。大事な大事なW杯イヤーを迎えた「カーワンジャパン」。強風の中行われた緒戦は、新戦力のテストに主眼を置いた布陣ながら東アジアの宿敵・韓国を全く寄せつけず、過去最高得点差での勝利。もちろんまだまだ課題も多いチームではあるが、とにかく良いスタートを切ることができたのは幸いであった。


前半は風上の日本が終始圧倒。3分、韓国陣22m付近左サイドから大きく右へ展開、余ったWTBロアマヌが走りきってトライ。6分、ラックからDFの虚を突いたSH吉田がショートサイドを駆け抜け、独走してトライ。いずれもSOアレジが難しいコンバージョンを決めて14-0。いきなりの新戦力の活躍からも両チームの実力差は歴然としていた。その後も日本は鋭い出足でボール争奪戦を制し、パス攻撃でトライの山を築く。前半だけで7トライ、49-0。

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2007年02月27日

●東芝×トヨタ自動車 ('07ラグビー日本選手権決勝)


日曜の午後は、ラグビー日本選手権決勝を生観戦。東芝ブレイブルーパス 19-10 トヨタ自動車ヴェルブリッツ。準決勝でヤマハ・サントリーという強豪を一蹴して勝ち上がった、好調同士の対戦。東芝にしてみれば連覇(そして昨年は逃した単独優勝)が、トヨタにしてみれば20年ぶりの優勝のかかった大一番である。寒風吹きすさぶ冬晴れの午後、秩父宮には1万8千人の観衆が詰めかけた。



立ち上がり、まずはトヨタが攻勢に出る。SOアイイが大きくボールを散らし、NO8菊谷・CTB赤沼・WTB遠藤らが次々と突破を図る。押し込まれた東芝はたて続けに反則を犯し、6分に2つ目のPGをアイイが成功させてトヨタ先制。準決勝の勢いそのままに自信をみなぎらせるトヨタのプレーぶりは、その後の展開に大きく期待を膨らませるものだった。

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2007年02月19日

●東芝×ヤマハ発動機 ('07ラグビー日本選手権準決勝)


午後、秩父宮ラグビー場で日本選手権準決勝。東芝ブレイブルーパス 47-10 ヤマハ発動機ジュビロ。試合直前まで降っていた雨のせいか、お客さんはちと少なめ。メインはいつも通り常連さんで一杯だったが、バックスタンドはややまばら、大半が青か赤の雨合羽を着た応援団のようだった。MSカップ決勝の満員ぶりと比べてやや寂しく感じてしまう。まあ、トップリーグも「社会人」と「プロ」の境界線上にある状態だからなあ……。



序盤から攻勢をかけたのは、風上に立つ東芝。最近にしては珍しく(?)思い切りのいいパス攻撃を仕掛けていく。4分、SO廣瀬からロングパスを受けたCTBマクラウドが右ライン際へスワーブを踏んで勝負、タックルを受ける間際にWTB吉田大へ渡し、吉田が躊躇のないカットインでDF2人をぶち抜いてインゴールへ。続く11分、ヤマハ陣深くまで押し込んでから必殺のドライビングモールが中央に決まる。あっという間の連続トライで14-0。

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2007年02月12日

●「勝ちきる」というのは本当に難しい ('07シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で、ラグビーシックスネイションズ第2節。アイルランド 17-20 フランス。昨年の1位と2位の直接対決であり、下馬評的にも優勝争いを大きく左右すると見られる大一番。厳しいプレッシャーの応酬からロースコアの展開となり、22年ぶりの優勝を目指す地元アイルランドが前回王者フランスをあと一歩まで追い詰めたが……後半ロスタイム、劇的な逆転トライがその夢を打ち砕いた。


この日ダブリンのクローク・パークに集まった観客数、実に8万余り。先日秩父宮が2万3千人で埋まったのを見てちょっと感動したものだが、まあちょっとスケールが違うわな(笑)。もちろんほとんどがアイルランドの応援者である。普通のチームならおそらく雰囲気に呑まれっぱなしだろうが、そこはさすがにフランス。序盤から密集の勢いで上回り、HOイバニェスのトライ等で最初の15分に13得点を重ねる。

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2007年02月05日

●まだ、差はあった ('06-'07マイクロソフトカップ決勝)


昨日の午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ決勝。東芝ブレイブルーパス 14-13 サントリーサンゴリアス。今季日本ラグビー界の覇権を争う両チームの対決は、トップリーグらしからぬ(?)ロースコアの激戦に。どちらが勝っても全くおかしくない展開だったが、東芝が土壇場で底力を見せ、劇的な逆転勝ちで王座防衛。熱い戦いだった。

この試合、なんといっても嬉しかったのは、スタンドが超満員になっていたことである。観客数実に2万3千。社会人の大会で立見も出るというのは極めて珍しい(試合後、富岡は「初めて」と語っていた)。招待券をかなりバラまいていたのかもしれないが、この寒い時期にこれだけの人が実際に足を運んでくれたという事実は素直に喜ばしい。もちろん観客が多ければ、場内の雰囲気、そして試合そのものの印象も断然違ってくるのだ。

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2007年02月03日

●気の毒なケース

ラグビー日本選手権1回戦をJSPORTSで録画観戦。九州電力 36-33 早稲田大学。九州社会人の雄・九電とワセダとの対決は、両者怪我人続出でベストメンバーを組めない状況ながら見応えのある接戦に。結果は九電の貫禄勝ちで、早稲田2年連続の社会人食いはならず。


実はこの試合、事前にニュースで結果を知ってしまったのだが、スコアを見た瞬間に抱いたのは「意外だな」という感想だった。昨年ほどの強さはなく大学選手権優勝も逃した早稲田だけれど、トップリーグの上位ならともかくその下のカテゴリーのチーム(来季昇格が決まっているとはいえ)には勝てるだろうと思いこんでいたのだ。

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2007年02月02日

●「魔術と呼ばれた組織プレー」


先日BS-hiで録画しておいた『スポーツ史の一瞬 魔術と呼ばれた組織プレー』を観た。


日本ラグビー史上最高の名将である、故・大西鐵之祐監督が率いた日本代表の「伝説の」戦いを描いたドキュメンタリー。当時の選手たちの証言を交えながら、大西監督の編み出した数々の新プレーや「知と熱」を兼備した独特の指導法を紹介し、50年代の早稲田時代から68年のNZ遠征、71年のイングランド戦に至るまでをバランスよくカバーする構成となっていた。

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2007年01月29日

●'06-'07マイクロソフト杯準決勝


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ準決勝を観戦。東芝ブレイブルーパス 38-33 トヨタ自動車ヴェルブリッツ。事前に当事者もファンも頭に思い浮かべていたであろう「王者・東芝にタレント軍団トヨタが挑む」という構図そのままの内容となった。結果は、優位に試合を進める東芝をトヨタが何とか追走し、トライの奪い合いの末にわずかの差で東芝が逃げ切り。最後まで一方的にならずなかなか楽しめる試合だったと思う。


序盤は完全な東芝ペース。先制点こそトヨタがPGであげたものの、すぐさまFB立川が右タッチ際を巧みなドリブルで抜け、あれよという間の独走トライ(さすがは日本有数のビッグプレーメーカー!)。そして9分、東芝が今度は左→右とピッチを横断するパス攻撃を見せ、WTB吉田がきれいに抜けてトライ。仕留めの正確さとDFライン構築の速さでは明らかに東芝が上回っており、「これは大差がつくかも」と思える展開だった。

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2007年01月14日

●「関東学院」を忘れてた!!

昨日の午後、JSPORTSでラグビー大学選手権決勝。早稲田大学 26-33 関東学院大学。早稲田念願の3連覇はならず、10年連続決勝進出の関東学院が6度目の優勝。予想外の結果、と言っては失礼だが、しかしここ最近の早稲田の盤石ぶりと、夏~秋の関東の出来の悪さを考えれば「ビックリした」というのが本音である。強豪・関東学院の存在を忘れていましたゴメンナサイ、という感じ(笑)。


「前後半の最初の10分を制する」との宣言通り、関東学院は立ち上がりから重量FWを前面に立ててラッシュ。早稲田は低く足を止めるタックルと機先を制するフォローで対抗し、モールの前進を許さない。関東の攻勢が続くもなかなかゴールは割れず、「さすがは早稲田、よく研究しているな」というのが第一印象だった。そのままモール戦を巧みにしのげれば、ラインアウトの不利も致命傷にはならないように思えた。

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2007年01月06日

●東芝×サントリー (ラグビートップリーグ)

午後、本当なら生観戦する予定だった東芝とサントリーの「天王山」が行われたのだが、急な用事やら引っ越しの準備やらで結局現地まで赴くことはできず。JSPORTSで録画観戦。味スタでのトップリーグ第12節。


今日は朝から天気が悪く、冷たい雨が降りしぶく中での試合となった。ワイドな展開は困難でキックの距離も出ない。選手の体からは白い湯気が立ち上り、特にスクラムやモールを組んだ時にはモワッと……いいなあ。僕も基本的にはオープンな攻め合いが好きなんだけど、こういう試合もまたラグビーらしくて良し、という感じ。85年の雪の慶明戦とか思い出すなあ。条件が厳しいと両チームの集中力も問われるし。

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2007年01月03日

●ワセダ強し、はいいのだけれど

昨日のラグビー大学選手権準決勝、第1試合の関東学院 34-3 大体大は思いっきり見逃し、第2試合の早稲田 55-12 京産大はカミさんの実家でテレビ観戦となった。結果は関東学院と早稲田がともに快勝し、これで決勝は6年連続同じカードとなったのだけれど、少なくとも第2試合は見た目のスコアよりも締まったゲームだったように思う。


大畑組以来9年ぶりに準決勝に進出した京産大は、とにかく自分たちの長所(重量FW!)を前面に出そうとしていた。スクラムでのプレッシャー、ラインアウトからのモール攻撃、そしてしつこい近場の突進。それに思い切りよく面でぶつかるDFが加わって、序盤は優位に試合を進め、インターセプトから見事なトライも奪って見せた。ひたむきさもあり、好感の持てる戦いぶり。前半半ばまでは「あるいは」とも思えるような出来だった。

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2006年12月26日

●12月24日(日)

前のエントリーでも書いたように、日曜日は猛烈な筋肉痛に襲われ、1日中出来の悪いアニメーションのようなギクシャクした動きになっていた。まあ普段から僕の動きは「マンガみたい」とか言われることもあるから、ある意味いつも通りかもしれんが……。

つーことで、自宅とカミさんの実家でゴロゴロしながらラグビーやらサッカーやらをさんざん流し見したので、その感想なぞ。


サントリー 59-12 ワールド (トップリーグ)

今年サントリーが強くなったのはFWのボールへの働きかけを相当に鍛えたせいだと思うのだが、CTBの充実もまた見逃せない。ニコラス・平の「DFの間を真っ直ぐに押し込む」ランはかなりの迫力。で、生まれたスペースを最強バックスリーが走りまくり、と。まだまだ雑なプレーも多いし、本当はSHにもう少しボールさばきの巧い選手がほしいのだろうが、途中経過でこれだけ強いのが凄い。これで有賀が本領発揮したら……。

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2006年09月01日

●'06-'07トップリーグ開幕戦


夜、国立競技場のラグビートップリーグ開幕戦へ出かけてみた。

03年の創設以来僕たちファンを確実に楽しませてくれているトップリーグだが、ジャパンの不振などによるラグビー自体の地盤沈下もあり、知名度・人気はともにイマイチの状況である。今年はプレーオフの導入やチーム数の増加(12→14)、さらに初の開幕戦ナイトゲーム開催と、いよいよ「勝負をかけてきた」様子。良いことだと思う。

今日の演出も、選手入場でスモークが炊かれるわ和太鼓がバンバン鳴り響くわXリーグのチアが何十人も跳ねてるわハーフタイムに麻倉未稀さんが『スクールウォーズ』のテーマを熱唱するわ、そりゃもう気合が入りまくり。で、金曜のナイトゲームということでスタンドに酔っぱらったオヤジ軍団が多かったせいか、割とスベることもなく盛り上がったのにホッとした。

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2006年07月08日

●NZ×オーストラリア ('06トライネーションズ)

夕方、JSPORTSでトライネーションズ(南半球3カ国対抗)第1戦。NZ 32-12 オーストラリア。復調著しいと言われていたワラビーズがアウェイでオールブラックス相手にどこまでできるか楽しみだったのだが…残念ながら一方的な展開になってしまった。地元NZが隙のないラグビーで完勝。


途中まではそれなりに拮抗した戦いだった。NZにボールを支配されながらも豪州がよく耐え、逆に先制トライを奪う。16分、FBレイサムがミニパントを自ら拾ってDFライン裏へ抜け、CTBロジャースのランからWTBトゥキリへの見事なリターンが決まった。鮮やかなトライ。その後も豪州リードの時間が続き、「これは行けるかも」と期待は膨らんだ。

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2006年06月18日

●訃報

訃報:宿沢広朗さん55歳=三井住友銀行専務執行役員 (毎日新聞)


記事のタイトルを見ても、一瞬何のことやらさっぱりわからなかった。日比野さんは「信じられない」とコメントしているみたいだけど、僕も全く同じ気持ちだ。というより、「信じたくない」といった方が正確か。なんででこの時期にこの人がこういう亡くなり方をしてしまうのか…。55歳とはいくらなんでも早すぎるだろう。愕然、である。

実は、昨晩実家で両親と妻と夕食をとっていた時、最近のラグビー日本代表の不調ぶりが話題になり、その中で「早稲田出身の人がジャパンの監督になるといい仕事するんだよ。オールブラックスJrに勝った大西鐵之祐さんでしょ、ウェールズをアウェイで追い詰めた日比野さんでしょ、スコットランドに勝った宿沢さんでしょ…」なんて話をしたばかりだった。まさか、その時亡くなってたなんて。

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2006年06月11日

●共に戦え…ません、これでは。 (ラグビー日本×イタリア)


午後、秩父宮でラグビーのテストマッチ。日本 6-52 イタリア。最初は腹が立って、次第に笑えてきて、それを通り越すと…悲しかった。力の差があるのはわかっていた、のだけれど、ここまで何もできないとは。2年前に対戦した時は、最後は突き放されたけどまだ「やりようによっては勝てないことはない」という感じだった。でも今回は…。ジャパンの相対的な弱体化に愕然、である。


試合前の君が代独唱は平原綾香さん。上手いね~。声量と声のきれいさに音響設備が追いついていないような様子だったけど、素直に感心して聞き入ってしまった。雨の中肩出しの衣装で頑張ってくれたし。あと、ハーフタイムには彼女のデビュー曲の『Jupiter』も披露してくれたんだけど、どうせなら『World in Union』(ホルストの『Jupiter』に歌詞をのっけたW杯公式ソング)を歌ってくれれば良かったのに、と思ったのは僕だけか?

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2006年06月05日

●日本×トンガ ('06パシフィック5ネーションズ)

パシフィック5ネーションズの初戦はJSPORTSの録画で観戦。日本 16-57 トンガ。大敗。世界ランクが下とはいえ、トンガが実質格上の相手だということは承知している。でも、福岡の満員のお客さんの前で、今季初戦でもあるまいに、しかも今年からIRBがわざわざセッティングしてくれた貴重な国際大会の場で、いくらなんでもこれはないんじゃないの、というのが正直な感想。頭を抱えてしまった。

キックオフ前のハカに気押されてそのまま、というわけではなかった。前半は、確かにいい出来では決してなかったけれども、最低と言うほどでもないように見えた。開始早々のあっけない、そして30分過ぎの軽いキック処理からのトライ献上はいただけない。でも、全般的には密集で集中力を見せてしのいでいたし、終了間際はジャパンの方が押し気味、追い上げて後半に入る良さげな展開だった。

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2006年06月02日

●J1お休み中の主なスポーツ

6/4(日)              日本×トンガ(ラグビー)
6/4(日)              安田記念(競馬)
6/4(日)              日本×マルタ(サッカー)
6/9(金)~6/23(金)     W杯予選リーグ(サッカー)
6/10(土)~6/18(日)    ツール・ド・スイス(自転車)
6/11(日)             日本×イタリア(ラグビー・現地観戦予定)
6/12(月)             日本×オーストラリア(サッカーW杯)
6/14(水)             ヤクルト×日ハム(野球・現地観戦予定)
6/17(土)             サモア×日本(ラグビー)
6/18(日)             日本×クロアチア(サッカーW杯)
6/22(木)             日本×ブラジル(サッカーW杯)
6/24(土)             オールブラックスジュニア×日本(ラグビー)
6/24(土)~6/27(火)     W杯決勝T1回戦(サッカー)
6/25(日)             宝塚記念(競馬)
6/30(金)・7/1(土)      W杯準々決勝(サッカー)
7/1(土)              日本×フィジー(ラグビー)
7/1(土)~7/23(日)     ツール・ド・フランス(自転車)
7/4(火)・7/5(水)       W杯準決勝(サッカー)
7/9(日)              W杯決勝(サッカー)
7/19(水)             アビスパ福岡×FC東京(J1第13節)


………なんだ、全然「お休み」じゃないじゃん、俺(笑)。

2006年04月25日

●まだまだ足慣らし程度か (ラグビー日本×韓国)

JSPORTSの録画でラグビーW杯アジア予選。日本 50-14 韓国。スコアは事前に知っていたので、どんな快勝をしたのかと期待して観たのだが……微妙なところだな、これは(笑)。代表シーズンは始まったばかりということや相手が苦手・韓国という事を考えれば「よしよし」なんだけど、内容的にはやや肩すかし気味だったかな。

良かったのは、もちろんきっちり勝ちきったこと。相手がいくら若手中心でメンバーを落とした韓国とはいえ、これまでの苦戦の歴史を考えれば危なげのない勝利は喜んでいいだろう。序盤日本のミスにつけ込もうと韓国がイケイケで来た時間帯をこらえ、モールで確実にトライを重ねていった。モールトライには首をかしげる人もいるかもしれないが、1枠しかない予選を確実に勝ち抜くには妥当な手だと思うし、「引き出し」を多く持つに越したことはないのだ。

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2006年03月14日

●フランス×イングランド ('06シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で6カ国対抗ラグビー。フランス 31-6 イングランド。けっこう驚いたぞ、この結果には。こんなに強いフランスを見たのは初めてかもしれない。選手間の連携が良くてミスも少なくて、かといって堅すぎるわけでもなくそれなりのスペクタクルがあって……実にバランスが良かった。安定感のあるフランスなんて、どうも違和感があるというか、まるで他所のチームみたい、と言ったら失礼か(笑)。

この日のフランスは、イバネスやニャンガ、マーニュといったFWたちが相変わらずのボールハンターぶりを発揮しつつも、自力で無理に崩しに行かず、あくまで黒子役にとどまってBKを助け続けた。もしかすると、そこら辺の案配がチーム全体の安定感につながったのかもしれない。で、基本的にはキックの応酬が多くなりながらも、ここぞという場面でBKが思い切った仕掛けで突破!CTBフリッツ・CTBトレイユ・WTBドミニシで3トライ。まさしく会心の勝利であった。

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2006年03月10日

●秩父宮を、守ろう。


昨日、どこの局だったか夜のテレビニュースで、「東京都のオリンピック招致計画の中に(あくまでオプションの1つではあるが)秩父宮ラグビー場を壊して跡地にメインスタジアムを建設する案が含まれている」、という報道を目にして愕然とした。東京五輪についてはまだ計画に不確定な部分も多く、何とも評価し難い(石原さんらしいな、という気はする)のだけれど、もし五輪用多目的スタジアム建設の代償として秩父宮が失われるというのであれば、その1点だけで僕はこの招致については断固として反対の立場をとりたい、と思う。

秩父宮ラグビー場は、「聖地」という呼び方が正しいかどうかはともかく、日本ラグビーにとって数々の栄光と想い出が詰まったスタジアムである。ジャパンの試合だけを思い出しても、イングランドと3-6の激闘を繰り広げたのも、スコットランドを撃破したのも、村田亙がカナダからロスタイムに逆転トライを奪ったのも、岩淵健輔がアルゼンチンをチンチンにやっつけたのも、そして数々の敗戦に涙したのも、みーんなみーんな秩父宮での出来事なのである。少なくとも、日本における最も重要なラグビー場である事は間違いない。

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2006年03月01日

●ロースコアの醍醐味、そして幸せな結末 ('06日本選手権決勝)

JSPORTSの録画で、ラグビー日本選手権決勝。東芝府中 6-6 NEC。東芝の三冠がかかったシーズン最後のゲーム。近年日本ラグビーの覇を競ってきた社会人二強の直接対決は、激しい攻防の末に両者優勝の結末を迎えた。


降りしぶく雨、ぬかるむグラウンド、狭い地域で果てしなくぶつかり合う選手たち。悪コンディション下の真剣勝負はキックと近場の攻め中心の展開を呼び、厳しいタックルの応酬に両チームとも細かなミスが頻発。ただしミスと言っても「下手」の類ばかりではなく、ともに最後まで崩れず均衡した攻防が続いたということ。結果としてのノートライ。ボールを速く大きく動かすのが難しい状況は東芝の不利に働いたようにも思うが、しかしNECがマイクロソフト杯準決勝に比べてかなり立て直してきたのも事実だろう。

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2006年02月19日

●「いいラグビー」を観た! ('06日本選手権準決勝)

ここ数日ちょっと体調に自信がないので(と言いつつ酒は飲んでたりするのだが(笑))、ラグビー日本選手権はNHKでテレビ観戦。


秩父宮の試合は、東芝府中 43-0 早稲田大学。人間の心理とは面白い。僕は元々トップリーグでのひいき度は東芝>トヨタなのに、先週よりも今週の方がずっと素直に早稲田を応援する気になったのだ。基本的に「トップリーグが大学に負けてはいけない」という気持ち(下記注参照)があって、トヨタについては「ポカ(自滅)があるかも」という心配があった(そして的中した)のに対し、東芝には「ポカはあるまい」という信頼があった。だから、判官贔屓的な気持ちが表に出てきたのかもしれない。

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2006年02月15日

●スーパー14ってスゴイのね

録画していたスーパー14開幕戦を観る。ウェスタン・フォース 10-25 ACTブランビーズ。昨年まで「スーパー12」だった南半球3カ国(NZ、豪州、南ア)の地域プロクラブ対抗戦が、新たに2チームを加えて拡大リニューアル。今回は新規加入フォースのホームだったが、スタンドも3万人台の観衆で大盛り上がり、「活気があるなあ」という感じである(我ながらアホみたいな感想だ(笑))。

試合の方は、序盤こそフォースの粘り強い防御に苦しんだものの、グレーガン、ラーカム、モートロック、ギタウら現・元ワラビーを多く抱える強豪ブランビーズが徐々にボールを支配。後半半ばにバックスの展開からきれいな2つのトライを奪い、4トライのボーナスこそ逃したもののまずは順当な勝利。個人的には、現在一番好きなSOスティーブン・ラーカムの元気な姿を観ることができたのが何より。

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2006年02月12日

●複雑な心境 ('06ラグビー日本選手権2回戦)

JSPORTSでラグビー日本選手権2回戦第2試合。トヨタ自動車 24-28 早稲田大学。早稲田に大敗した関東学院が1回戦でコカコーラWJを追いつめ、そのコカコーラが第1試合でNECといい勝負をした時点で「接戦にはなるだろうな」とは思ったのだが……本当に早稲田が勝つとは思わなかった(というか、思いたくなかった)。大学チームがトップリーグチーム撃破の快挙。

早稲田のラグビーは文句なしに素晴らしかった。守ってはトヨタの攻撃パターンをよく読み、しつこいタックルで外国人を含めた強力アタッカーを自由にさせなかった。攻めてはFWがセットでもルースでもがっちりボールをキープし続け、SO曽我部を中心にDFラインの穴を果敢に突くパス攻撃も冴えた。内橋のインターセプト→独走トライが象徴するように、ここぞという場面での思い切りも良かった。お見事、である。

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2006年02月07日

●やったね相田さん!!

昨日、ラグビートップリーグの表彰式が行われたそうである。サッカーのJリーグがシブい地域密着で実績を残しながら、一方で(創設当初ほどではないにせよ)華やかなイメージを保っている要因の一つは、「Jリーグアウォーズ」のような行事の存在だろう。観客の前でリーグを挙げて選手・チームを様々な面から讃える表彰式は、プロモーションの面からもモチベーションの面からも非常に重要なのである。ラグビーも頑張らないと。


まず、チーム表彰では、リーグとカップの優勝チームの他、神戸製鋼が「ベストファンサービス賞」と「フェアプレーチーム賞」の2冠を獲得。前者については、チームの人気に昔から気を遣っている(サインボール投げとかも早くからやってたよね)神鋼が獲得するのは納得できるんだけど、後者はちょっとイメージと齟齬が…(笑)。どういう基準で選んでいるのかもよくわからないが(HPに選考基準載っけてほしいな)、大西一平以来の「バレない反則技術」が効いてたりして。

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2006年02月05日

●東芝府中×サントリー ('06マイクロソフトカップ決勝)


午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ決勝。東芝府中 33-18 サントリー。準決勝を観た後で「サンゴリアスとしては、とにかくゲームスピードを上げて点の奪い合いに持ち込みたい」なんて書いたのだけれど、一方的に奪われちゃあかんがな、サントリー(笑)。大差こそつかなかったものの、東芝の完勝だった。


東芝の最初のトライが両チームの力量差をよく表していたように思う。4分、サントリー陣10m付近中央での東芝のラック。サントリーは両サイドにDFを散らして十分な人数で待ち構え、対する東芝は密集付近に集まりすぎて展開が難しそうな場面。ボールを出すSH吉田が後ろにいたBKたちと目を合わせた刹那、おそらく予定通りのムーヴなのだろう、全員が一斉に右サイドへ散っていく。サントリーDFの対応は一瞬遅れ、ほぼ同数のマッチアップからCTBマクラウドがグイッと抜け出し、WTB廣瀬にラストパスを通してトライ。どう見ても防御側有利の状況だったのだが……うーむ。

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2006年01月29日

●'06マイクロソフトカップ準決勝

マイクロソフトカップの準決勝はJSPORTSにて観戦。天気も良く秩父宮の試合が好カードだっただけに、ここは生で観戦するべきだったのかもしれないが、何しろ昨晩後輩の結婚式の二次会(と、そこから流れた「すっとこどっこい」)で飲み過ぎたのである。起きられなかった…。頭が痛いのだよ、頭が。


さて(笑)。まず秩父宮の試合は、東芝府中 23-10 NEC。多くのラグビーファンが「事実上の決勝戦」と思っていたであろう対戦。激しいぶつかり合いとなったが、組織力で上回る東芝がPGも交えた着実な加点で13点差をつけ、リーグ戦の雪辱を果たした。さすがは王者・東芝である。

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2006年01月22日

●東芝府中×神戸製鋼 ('06マイクロソフトカップ)


午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフト杯1回戦。東芝府中 38-7 神戸製鋼。6トライを積み重ねた王者・東芝が復調気配の神鋼を寄せつけず、完勝。トップリーグ最終節とは打って変わった試合ぶりに、「トップランナー」東芝の地力の強さを見せつけられた思いであった。


前半は締まった試合展開。神鋼のFWが予想外(と言っては失礼か)の健闘を見せ、東芝にスムーズな球出しを許さず、雪の残るピッチ状態を考慮したモール戦法にも耐えきった。逆に、神鋼が深く攻め込んで東芝がキックで逃れ続けるような時間帯もあったのだが、あともう一歩の決め手が足りない。大畑がフィニッシャーとして絡めれば、というところだったが…ホラの欠場も痛かったかな。スコアレスのまま試合は進んだ。

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2006年01月09日

●NEC×東芝府中


午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ最終節。NECグリーンロケッツ 20-5 東芝府中ブレイブルーパス。既に優勝を決めている東芝にとっては消化試合、しかしNECにとっては2位のかかった大事な試合。両チームにどこまで意識のズレがあったか定かではないが、結果は非常に微妙なものとなった。試合内容の方も、凡戦というわけでもないが…盛り上がったとも言い難い。

東芝府中に、特に手抜きはなかったと思う。前半途中まではFWのボール獲得力で圧倒し、NEC陣へ押し込み続ける一方的な展開。16分にはSH吉田が先制トライも奪った。しかし、徐々に密集への集散が鈍り始め、反則も増え、追加点を奪えぬままNECに反撃の余地を与えてしまった。いつもの東芝からすれば「らしくない」出来。まあ、こういう状況ではやはりモチベーションやコンディションの上げ方は難しいのだろう。むしろ最後までよく頑張ってくれたと言うべきか。

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2006年01月08日

●第42回全国大学ラグビー選手権決勝


午後、国立競技場で全国大学ラグビー選手権決勝。早稲田大学 41-5 関東学院大学。5年間にわたる清宮体制の総決算。「アルティメット・クラッシュ」の実現。早稲田がFWのボール争奪力にものを言わせた攻撃ラグビーを見せ、5トライを奪取。ライバル・関東学院大学(この5年ずっと決勝の相手!)に完勝した。


前半の立ち上がりは下馬評通り早稲田が優位に立つも、ラインアウトのミスや関東のしぶといタックルによりなかなか得点を挙げられず、やや膠着気味の展開。ターンオーバーの応酬から関東陣22m内へ攻め入っては、関東がキックで押し戻す場面が続く。15分押し込み続けた末に早稲田がPGを狙った時には、「攻めあぐんでいるな~」と接戦の期待も抱いたし、実際その後は関東が早稲田陣へ攻め込む場面も出てくるのだが…。

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2006年01月07日

●第85回全国高校ラグビー決勝

JSPORTSで全国高校ラグビー決勝。桐蔭学園 12-36 伏見工業。前半風上を選択した伏見が軽快なパス攻撃で着実に3トライを奪う。後半は桐蔭が強力FWを前面に立ててモール・縦突進で反撃するも、伏見は粘り強いタックルでしのぎ、トライの奪い合いに。結局、前半の24点差は変わらず試合終了。伏見4度目の全国制覇となった。
 
前半の伏見も「圧倒した」という印象ではないのだが、しかしここぞという場面での切れ味はさすが。ラックからの速い展開に桐蔭DFが前に出きれないところ、ポンポンポンとお手玉のようにWTBまでつないでトライを奪う。解説の小林さんや村上さんは「接近戦」という言葉(大西ジャパン!)を持ち出していたけれど、そこまで行くかはともかく、「目の前のDFをパスで外して抜く」という、すげえ単純なんだけど実は社会人でもあまりできていないプレーがきちんとできるのはお見事。

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2005年12月05日

●フランス×南アフリカ

録画しておいた、南ア北半球遠征最終戦(by JSPORTS)を観た。フランス代表 26-20 南アフリカ代表。好調のフランス代表が攻守に出足の良さを見せてくれた。早々に速攻で2トライを奪い、その後も南アと互角のプレーの激しさで対抗し続け、ついにリードを守り抜いて快勝。北半球勢の健闘が目立つこの秋のテストマッチシーズンを象徴するような試合であったように思う。

フランスの過激な豹変ぶりにはちょっと驚いた。春の6カ国対抗の頃は、良く言えば即興的な、悪く言えば「固まっていない」ラグビー。なんちゅーか、「いいラグビー」をしようというのはよく分かるんだけど、でも最終的な目標・目的意識が曖昧になっているというか。「君たち本当に勝ちたいのかね?」とでも言いたくなる場面さえあったように思う。例えるなら、サッカーの山本ジャパンみたいな(笑)。

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2005年11月28日

●ウェールズ×オーストラリア

週末にJSPORTSで放送されたウェールズ代表×オーストラリア代表は、とびきりの好ゲームであった。W杯でも六カ国対抗でもトライネーションズでもない「ただのテストマッチ」なのだが、それでも選手が涙するほどの熱戦になるのは、やはりラグビー独特の「対抗戦思想」の名残なのだろうか。勝点や順位といったものが関係ないだけに、よりフェアでより純化された闘志のぶつかり合いになる、とでも言おうか。

最終スコアはウェールズ 24-22 オーストラリア。ミレニアム・スタジアムの大観衆に背中を押されたウェールズ代表が、対豪州戦の連敗を「9」でストップ。思い切ったパス回しのぶつかり合い。ハンドリングエラーも多く落ち着かない試合ではあったが、見応えある接戦だった。勝敗は、精神的な紙一重の差で分かれたように思う。ウェールズはホームの空気を味方にして最後まで攻めきり、ワラビーズはスクラムの弱さが足を引っ張って後一歩押し切れなかった。

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2005年11月24日

●第82回早慶戦

昨日JSPORTSの録画で観た、ラグビー早慶戦の感想なぞ。

秋晴れの秩父宮、満員の大観衆、そしてピッチ上の惨劇。早稲田大学 54-0 慶応義塾大学。慶応必死の抵抗をあっさりと蹴散らし、早稲田が対抗戦5連覇を達成。早稲田とその他のチームでは、あまりにもレベルが違いすぎるのかもしれない。関東大学ラグビーの対抗戦システムそのものが、もはや時代遅れ、あるいは瀕死の状態にあることを示した一戦。

スコアの内訳は、前半14-0、後半38-0。前半こそ慶応の前に出るタックルがよく決まったものの、後半は完全なワンサイド。いや、点差が離れなかったというだけで、前半もワンサイドだったかな。とにかく慶応は「タックルだけ」で、攻撃に映ってもモールは押し切れずパス攻撃はバラバラ、全く点が取れる気がしなかった。ロースコアに持ち込みたかったのかもしれないが、FW戦で完敗しては苦し紛れのキックもカウンターの基点になるだけだ。

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2005年11月05日

●日本代表×スペイン代表


午後、秩父宮ラグビー場でテストマッチ。日本代表 44-29 スペイン代表。2011年W杯開催国決定2週間前のカウントダウンマッチと位置づけられた、それこそ「絶対に負けられない戦い」。苦労し一時はリードを許しながら、なりふり構わず逆転に成功。なんとか格好はつけることができた。エリサルドジャパン、まずは白星スタートである。


ジャパンがやろうとしていたラグビーは、攻撃に関しては「よくボールを動かす」「なるべくラックを作らない」「ランは相手DFの隙間を突く」「近場遠目にはこだわらない」といった感じだったろうか。攻撃の方向やテンポについては、かなりその場の(特にハーフ団の)判断に委ねられるようである。割と好感の持てる方向性だと思う。守備については…不発タックルが多すぎてよくわからない(笑)。キックが意外と多かったのは、やはり試合の位置づけを考えて堅実に行こうということだったのだろうか?

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2005年10月24日

●三洋電機×東芝府中

土曜日のトップリーグ全勝対決はJSPORTSの録画で観た。三洋電機ワイルドナイツ 51-32 東芝府中ブレイブルーパス。ホーム(太田ラグビー場)の三洋電機が6トライを挙げて王者・東芝府中に快勝。驚いたし、思わず喝采したくなるようなワンダフル・ラグビーだった。強いぞワイルドナイツ!すごいぞワイルドナイツ!!俺たちのワイルドナイツ!!!……ハアハア。

いや、真面目な話、三洋電機のラグビーは素晴らしかった。精力的で粘り強い防御、冒険的でダイナミックな攻撃、そして優秀な司令塔。特に目を引いたのはカウンターからのパス攻撃で、あの東芝府中のDF網がバラバラになるほどの威力だった。三洋のBKは、必ずDFの隙間を狙ったコース取りで走るし、パスもきちんと引きつけてからタックラーを外すタイミングで放っていた。いずれも当たり前のことだけど、クラッシュに明け暮れている今の日本ラグビーでは忘れかけられているものだ。後半11分の榎本のトライなんて、全国の少年ラガーマンにビデオを配れ!とさえ思う。

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2005年10月09日

●東芝府中×リコー

午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ第4節。東芝府中 31-10 リコー。点差こそ開いたものの、昨日の試合とはうってかわって引き締まった好ゲーム。結果は、「進化する王者」東芝が後半の連続トライで突き放して勝利。

立ち上がりからボールは東芝が支配。なるべくラックを作らない方針は継続しているようだが、ラックになった時でもFWが速攻で駆けつけスイープ、ターンオーバーを許さない。前半13分、CTBマクラウドのオフロード・パスからWTBオトが抜け、ラストパスを受けたSH伊藤がポスト下へ駆け抜ける。このトライは鮮やかだった。ただし、リコーも強いタックルとSH月田の速い球さばき、さらには東芝ラインの裏(立川)を狙うキック攻撃などで健闘。前半は12-10の僅差で終了した。

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2005年10月08日

●サントリー×神戸製鋼


秩父宮ラグビー場でトップリーグ第4節。サントリー 18-23 神戸製鋼。僕は、ロースコアゲームが決して嫌いではない。トライラインの往復が続いて40点も50点も入るバスケのような試合よりは、拮抗してなかなか点が入らない方がよほどいい。でも、今日みたいに締まりがなくて退屈な試合もまた御免被りたい。数年前ならサントリー×神鋼なんて黄金カードだったんだけどね。

サントリーは理論家・林雅人さんがスタッフに入ったし、前評判も高かったのでかなり期待していたのだが…。確かに密集からの仕掛けパターンの多さやキックシチュエーションでの面で押し上げるような防御等にその片鱗はうかがえたものの、選手たちが課題をこなすことにいっぱいいっぱいな印象で、まだ戦闘集団としてのレベルアップには至っていないようだ。

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2005年09月17日

●05-06トップリーグ開幕


午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ開幕戦。神鋼のお出ましとあって、なかなかの客の入り(合計1万5千人くらいか?)。メインスタンドの端で傾いた日の光を浴び、缶ビールをすすりながらの観戦。


第1試合は東芝府中 24-9 神戸製鋼。開幕戦だけにまだ上げきっていないということなのか、東芝側にミスが目立つ。キックオフをそのまま出したりダイレクトタッチを連発したり反則が多かったり…。そこを突く形で神鋼がPGを続けて決めてリードを奪ったときには「おお!さすが!と思わされた。が、途中からはやっぱり実力差が出た形になってしまった。

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2005年09月06日

●NZ×オーストラリア ('05トライネーションズ)

JSPORTSの録画でトライネーションズ最終戦。ニュージーランド 34-24 オーストラリア。前節南アを下していたNZがホームで豪州を破り、トライネーションズ優勝を決めた。南アの健闘が光った大会だったが、強さとしては確かにNZが少しだけ勝っていたように思うので、この結果は順当と言えば順当。

それにしてもこ最終戦は予想外にもつれた、というよりオールブラックスが手間取ったな、というのが正直な感想。前半はもうNZFWの強さ炸裂!という感じで、なにせ最初のキックオフ直後のラックをいきなりめくり上げてターンオーバーするほどである。その後もラインアウトにスクラムに、圧倒しっぱなしの展開。20-0まで差が開いた時には惨劇が待っているのかとさえ思わされた。ところが、そこからミスが多く出て追加点をとりきれず、逆にワラビーズの追撃を許す展開に。

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2005年08月28日

●NZ×南アフリカ ('05トライネーションズ)

JSPORTSの録画でトライネーションズ第5戦。ニュージーランド 31-27 南アフリカ。優勝争いの懸かった大一番らしく、白熱極まる接戦となった。結果は、ホームのオールブラックスがスプリングボクスの前へ出る守備に苦戦しながらも、終盤に逆転トライを決めて勝利。

NZの勝因としては、対南ア用戦術の成功が挙げられるだろう。南アの防御、特に密集のそれは、解説の梶原さんが感嘆していたようにとにかく「重い」。だからNZはその圧力に負けないようにいつもほど冒険的なパス回しをせず、近場の攻めとボールキープを重視している様子であった。ウィープーと(本来FBの)マクドナルドという突進力重視のハーフ団の編成も、おそらくその線に沿ってのもの。そして、ボールが遠くに行きすぎないところでFWが素晴らしいパックとスイープでがっちりボールキープ。ここのFWは本当に速い!!

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2005年08月23日

●トヨタ×ニューカッスル

今日は予想以上に仕事で遅くなり、帰ったら午後11時半頃になっていた。家に飛び込んで慌ててTVをつける。

JSPORTSでニューカッスル日本ツアー最終戦を後半から。トヨタ・ヴェルブリッツ 29-24 ニューカッスル・ファルコンズ。おー、やったよ。すごいじゃないかトヨタ!!20日にはNECが6-73なんてスコアで大敗してしまい「こんなはずはない。こんなはずは…」と思っていただけに、日本の一ラグビーファンとして実に嬉しい勝利である。

前半はトヨタが健闘しながらもハンドリングエラーでチャンスを逃し、ロスタイムにファルコンズが逆転トライを奪う際どい展開(だったらしい)。互角に戦えたことで自信も得ていたのだろう、後半もトヨタの戦いぶりは勇猛果敢だった。開始早々にファルコンズの不用意なパントを拾ってカウンター、WTB遠藤幸からのショートパスでタッチライン際をFBアイイが抜け、WTBレアウェレに戻してトライ。相手の運動量が落ちていたとはいえ、スピード感抜群の攻撃はお見事であった。

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2005年08月21日

●オーストラリア×南アフリカ ('05トライネーションズ)

JSPORTSの録画でトライネーションズ。オーストラリア 19-22 南アフリカ。ホーム2連戦を接戦で制した南アが、今度は敵地でさらに際どい試合をものにして首位キープ。相変わらず華麗さには欠けるが、魂のタックルを80分間浴びせかける泥臭さ上等のラグビーがまた威力を発揮。前の試合の時、「ホームの利」「アウェイで勝点を奪うのは難しい」「どうやら優勝はNZ」などと書いてしまって本当に申し訳なかった。強さ本物ですわ。

この試合のハイライトは後半25分前後。何度かのアドバンテージを挟みながら数分間プレーが継続し、豪州が十数次にわたる波状攻撃をかけた場面。豪州選手のスキルは素晴らしく、速いパス回し→ズラしたクラッシュ→巧みなスイープ→パスアウト、が延々と続く。これが10回も続けばさすがに防御に穴もできそうなものだが…南アDFは信じられないほどのしつこさで起き上がってはタックルを続け、ついに耐えきる。のみならず、果てしない攻防の果てにボールを奪うやいなや自陣から逆襲、WTBハバナが快足を飛ばして一気に逆転トライを奪った。気力体力集中力予測力…全てが張りつめていたからこその素晴らしい得点。おみそれしました。

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2005年08月13日

●オーストラリア×NZ ('05トライネーションズ)

夜、JSPORTSでトライネーションズ第3戦。オーストラリア 13-30 ニュージーランド。先週は南アの野獣タックルに不覚をとったNZだが、今節は世界ランク1位の実力を発揮してアウェイで快勝。オーストラリアは怪我人続出、まるでカミサマ監督が総取っ替えでもしたんじゃないかというメンバー(笑)で太刀打ちできなかった。


前半立ち上がりは、意外なことにホームの豪州が攻勢。SOラーカムの代役ギタウが深くクラッシュし、乱れたDFラインをFBレイサムの代役ミッチェルが弾丸のように突き破る。あっという間にPGを2つ奪い、さらにミッチェルがタックラー2人を引きずりながらトライラインを越えた。13-0。一方的な展開に沸くスタジアム。これはもしかしてもしかするか、という雰囲気ではあった。

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2005年08月06日

●南アフリカ×NZ ('05トライネーションズ)

JSPORTSでトライネーションズ。南アフリカ 22-16 ニュージーランド。闘志、勢い、強さ。そんな言葉の固まりのようなラグビーでスプリングボクスが際どい勝負を制す。先週に引き続いて、凄まじい戦いであった。


立ち上がりは南アがラッシュ。ただでさえ大きく強い選手たちが闘志露わに前へ出るタックルと鬼のようなサポートを見せ、NZを圧倒。岩をも砕く第三列の突進!PGにDG、さらに自陣からの逆襲が決まって13-0。もちろん盛り上がりまくるホームの大観衆。この時点では、南アの圧勝もあり得るのではないかというくらいの雰囲気だった。

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2005年07月30日

●南アフリカ×オーストラリア ('05トライネーションズ)

JSPORTSでラグビートライネーションズ開幕戦。南アフリカ 22-16 オーストラリア。両チームほぼ互角の戦いが70分余り続き、終盤南アがPGとDGでちょいと突き放して先勝。最後はホームの有利さがちょっと出たかな。

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2005年07月07日

●オーストラリア×フランス

JSPORTSの録画で、ラグビー仏代表南半球遠征。オーストラリア 37-31 フランス。ボールがよく動き、選手がよく走る。それも、明確な意図と闘志にの下に。80分間があっという間に過ぎた好ゲーム。


立ち上がりからオーストラリアの連続攻撃が止まらず、一方フランス代表は細かいミスを連発。「やはり北半球の選手はこの時期出しがら状態にあるのだろうか…」と思った瞬間、フランスのWTBがインターセプトから独走トライ。その後オーストラリア怒濤の展開攻撃で15-7とされるも、フランスはとにかくボールを動かしまくり、敵(と味方も(笑))を混沌の渦に巻き込みながら食い下がる。ボール所有がポンポン移りながら攻防が延々と続く。前半ロスタイム、フランスがインゴールまで持ち込んだのに惜しくもタッチダウンできず。

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2005年06月27日

●いかりや長介の口調で

「ラグビー日本代表萩本監督、留任の見込み」だとか……駄目だこりゃ。


もう笑うしかないか?あははははは。ありえんよな、フツー。8-100に0-98の監督が。

つーか、森喜朗も「課題は代表チームの強化」とかヌカしてるんなら、何とかしろよ。

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2005年06月25日

●オールブラックス×ライオンズ

JSPORTSでライオンズNZ遠征。NZオールブラックス 21-3 オールブリティッシュ・ライオンズ。4年に1度のライオンズの南半球遠征は僕たちラグビーファンにとって非常に楽しみなイベントだが、今回ばかりはちょっと期待はずれかもしれない。両者の実力差が明白であった一戦。

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2005年06月19日

●日本×アイルランド

午後、秩父宮ラグビー場でテストマッチ。日本 18-47 アイルランド。完敗。色々な意味で実力不足が露呈した一戦であり、単に「監督替えろ」では済まない(もちろん替わるべきなのだが)状況を突きつけられて気の重くなる試合後であった。


立ち上がりは両チームのボール奪取力の差がはっきりと出た。密集から次々とアイルランドがボールを出し、リサイクルし続ける。開始8分までにほとんど為す術のないまま2トライを喫する。「こうしてジャパンが攻撃の糸口すらつかめぬまま、延々トライを重ねられてしまうのでは」。大敗濃厚の雰囲気に背筋が冷たくなった。

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2005年06月09日

●森喜朗会長

新会長に森前首相=W杯招致の先導役期待-ラグビー協会 (スポーツナビ)

心底失望した。

おそらく、2011年W杯招致のために森氏の「政治力」にものすごく期待しているのだね、協会の人々は(スーパーカップでの小泉首相メッセージも森氏の力によるのだろう)。しかしなあ…あまりにあからさま過ぎないか。もっとクリーン(なイメージ)で、具体的に日本ラグビーに貢献できる有能な人間はいるだろうに…。

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2005年05月29日

●TOSHIBAスーパーカップ


午後、名古屋在住フットボール賢人森末潤一氏と一緒に、秩父宮ラグビー場でラグビーTOSHIBAスーパーカップの2試合を観戦。


まずは3位決定戦。ルーマニア代表 22-28 アメリカ代表。両チームともラグビー中堅国らしい、これといった特長もないが目立った弱点もない、オーソドックスな戦いぶり。まあルーマニアの方がFWが強く、アメリカの方が全体的に走力があるかな、といった感じ。この試合の時はけっこう日が差して暑かったため、結果としてアメリカ代表が走り勝つことになった。しかし両方ともBKの展開に全然工夫がなかったな…。

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2005年03月22日

●ウェールズ×アイルランド ('05シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で、6カ国対抗ラグビー。ウェールズ 32-20 アイルランド。ウェールズがホームで快勝し、27年ぶりの全勝優勝(グランドスラム)を達成。今大会でのウェールズは接戦に次ぐ接戦で、「グランドスラム」と言われてもピンと来ないのだが、では、他に勝者に相応しいチームがあったかと言われればそれもまた思いつかないのだよなあ…。

この試合でもウェールズは、オープンプレーで前に出る勢いはあるものの、ミスの多さも目についた。特にノックオンの多さは、ちょっとこのレベルの戦いとは思えないくらい。相手のアイルランドもスクラムがヘナチョコで、フランスのイマイチ加減やイングランドの不出来を併せて考えると、もしかすると今回の6カ国対抗は「どんぐりの背比べ」だったのかもしれない。

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2005年03月16日

●アイルランド×フランス ('05シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で6カ国対抗ラグビー。アイルランド 19-26 フランス。勝つには勝ったが、どうも今大会のフランスはすっきりとさせてくれないのだよな…。何がやりたいかわからないというか。

この試合でも、前半果敢なパス攻撃とモール突進を織り交ぜて一気に2トライを奪い、そのまま快勝してもおかしくない雰囲気だった。でも、後半風上に立ってからは変なキックを多用して、早めの大量交代も悪い方に作用したか、全くリズムを失ってグダグダと受身に回る。最後ベッツェンのボール奪取からドミニシが走りきって何とか突き放したものの、どうも足元がおぼつかない感じ。チームの芯がしっかりとしていないので、流れによって力が大きくブレるような。

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2005年03月02日

●フランス×ウェールズ ('05シックスネイションズ)

録画で6カ国対抗ラグビー観る。フランス 18-24 ウェールズ。好調ウェールズ、ホームのフランスに逆転勝ちで3連勝。

前半のフランスは素晴らしかった。冒険的なラン、速くて長いパス、そしてFWの運動量。爽快な、極めてノリのいい攻撃だった。早い時間帯で2トライを奪い、なお攻めたてるその迫力を見て、早くも「優勝はフランスか」とさえ思ったものだ。が、しかし、最後の最後、あと数mのところで何度となくウェールズのDFがボールキャリアーを羽交い締めにする。わずか9点差でハーフタイムに入り、そこで流れが変わった。

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2005年03月01日

●NEC×トヨタ ('05ラグビー日本選手権決勝)

JSPORTSの録画でラグビー日本選手権決勝。NEC 17-13 トヨタ。いい試合だった。胸が熱くなった。今シーズンのベスト・ゲームは、最後の最後で待ち構えていたのであった。

前半はNECの狙いどおり(?)割と地味な展開。7-6でNECリード。後半に入ってすぐNECが3点追加するものの、そこからトヨタが大攻勢に出る。鋭い突進の連続からFL菅原が右隅に飛び込んでトライ。廣瀬のコンバージョンも鮮やかに決まって10-13。さらに続くトヨタの攻撃。SH麻田がテンポ良くボールを出し、後方からアタッカーが次々に飛び出していく。連続、連続、また連続。

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2005年02月19日

●トヨタ×東芝府中 ('05ラグビー日本選手権準決勝)

JSPORTS(後半は諸事情によりNHK)で、ラグビー日本選手権準決勝。トヨタ自動車 24-19 東芝府中。悪コンディションの中、粘り強い防御で東芝に思うようなラグビーをさせなかったトヨタが快勝。


雨の降り注ぐ泥んこのグラウンド。トヨタのしつこいタックルと密集での絡み。前半、風上の東芝は攻めあぐんだ。多くの時間トヨタ陣で試合を進めながら、得点はモールでもぎ取った2トライ(1C)のみ。一方のトヨタはNO8ティアティアがシンビンを受けながらも少ないチャンスを有効に生かし、廣瀬が3PGを決める。9-12での折り返しは、トヨタにとっては思う壺の展開だったろう。

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2005年02月14日

●イングランド×フランス ('05シックスネイションズ)

JSPORTSで、6カ国対抗ラグビー。イングランド 17-18 フランス。イングランドの鋭い近場攻撃に苦しんだフランスが、SHイエシヴィリの6PGで逆転勝利。イングランドはホームで痛い敗戦。

勝つには勝ったものの、フランスのラグビーには物足りないところがあった。もちろんイエシヴィリの50m近いロングPGを含む18得点は文句なしに素晴らしいし、それらのペナルティにつながった連続攻撃もなかなかの迫力だった。でも、前半の粗さと終盤の冒険心の喪失(慎重にボール出しを遅らせたためにかえってターンオーバーをくらった)は大きな反省点だろう。SOウィルキンソンの不在に救われた形でもあり、逆に言えば、イングランドにとっては不運な敗戦であった。

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2005年02月06日

●ウェールズ×イングランド ('05シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で、6カ国対抗ラグビー。ウェールズ 11-9 イングランド。ピッチの状態が悪く、両チームともセット・プレーやハンドリングが不安定でしかも守備が粘り強いのだから、ロースコアは必然の結果。だが、見応えは抜群だった。

この手のシーソー・ゲームの勝敗を左右するものと言えば、途切れない集中力と一発のスーパー・プレー、あとは運だろうか。この試合では3つの要素全てにおいてウェールズが上回り、見事アップセット。CTBヘンソンが角度の無いところから蹴り込んだ43mの決勝PG。最高の結果を呼び込んだ、まさに最高のプレー。

しかし、ウェールズの観衆の実に嬉しそうなこと!!まったく羨ましいったらありゃしない。日本のラグビーファンが次にアップセットの快感に酔えるのは、いったいいつになるのやら…。

●東芝府中×ヤマハ ('05マイクロソフトカップ決勝)

秩父宮ラグビー場で、マイクロソフトカップ決勝。東芝府中 20-6 ヤマハ発動機。地味ながらなかなか締まった攻防で、勝負らしい勝負を見たなあ、という試合。


前半は風上の東芝がほとんど攻め込みっぱなしの展開。ヤマハは粘り強いタックルと統率のとれた守備・モールで耐えるが、しかしSOネイサン・ウィリアムスのキックの当たりが悪く、押し返しきるには至らない。FB立川がスワーブで抜けて東芝先制、さらにドライビング・モールで1トライ追加。ヤマハはPG1本を返すのみ。12-3でハーフタイム。ただ、9点差というのは微妙な点差ではあった。

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2005年01月30日

●東芝府中×神戸製鋼 ('05マイクロソフトカップ準決勝)

午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ準決勝。東芝府中 41-0 神戸製鋼。念入りなスカウティングの賜物なのだろう。神鋼の強みを完全に抑えきり、かつ弱みを突いた攻守で東芝が完勝。


立ち上がりから一貫して東芝のペース。攻めては、神鋼DFラインの間をたて続けに突破して、前半半ばまでに3トライ。一方防御では、いつもの堅実なライン形成・カバーリングに加え、この日はWTBホラを徹底マーク。セットプレーで、あるいはラックができるたびに東芝選手が「ホラ!ホラ!」「ホラ見ろ!」(声の響きが可笑しくて思わず吹き出しそうになったが(笑))の声を上げていた。ストロングポイントを抑えられた神鋼は敵陣に入ることもなかなかできない。

前半の後半になると、立川のコメントにあるように東芝が神鋼の駄目さ加減に合わせるような雰囲気になり、両チームともノックオンやキックのキャッチミス、を連発。「こりゃ今年の日本一は学生だな(笑)」なんて声もスタンドでは上がっていた。それでも、終了間際に日原がフィールド中央からのロングPGを見事に決めて22-0。後半に流れをつなげる意味で、この3点は大きかった。

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2005年01月23日

●'05マイクロソフトカップ1回戦


秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ1回戦2試合を観戦。2試合観られること自体はファンとして嬉しいのだが、冬場の、しかも特にくそ寒い日に200分余りじっとしているのはキッツいわなあ…。


第1試合はNEC 16-51 神戸製鋼。経験の差、勝ち慣れの差が出た試合だった。

立ち上がりからNECが優勢に試合を進めたのだが、細かいミスが頻発してなかなか得点につながらない。対する神鋼は自陣で粘り強く守り、接点やスクラムの駆け引きで巧みさを見せる。次第にNECがリズムを崩し、少ないチャンスをものにした神鋼が2トライを奪ったところでハーフタイムへ。

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2005年01月09日

●早稲田リベンジ達成


後半早々インターセプトからのトライで関東が逆転した時はどうなることかと思ったが、結局早稲田が3トライを追加して31対19で押しきる。両チームともにミスが多かったものの、攻守ともに(特にセットとライン構築の)早さで早稲田が上回った。関東学院も意欲的な攻撃と個々の強いタックルで食い下がったのだが、チーム力の上昇期が遅くなってしまったためか、セット等の精度を上げるとこまで手が回らなかったみたいだ。今年は、チーム完成度の差がそのままスコアに出た模様。

4年連続決勝で対戦した(関東は実に8年連続決勝進出!)両チームだが、昨年は関東が圧勝しただけに、再逆転してからフルタイム後までの早稲田ファンの盛り上がりようはかなりのものであった。リベンジ達成、といったところか。ただ、今年の関東学院はまだ若いチーム。来年はまた逆のスコアになっていても不思議はない。というか、そろそろ他の大学も出てきてほしいと思うのは僕だけか?法政や明治あたりにはもうちょっと頑張ってもらいたいのだが…。

●'04-'05ラグビー大学選手権決勝


国立にて観戦中。早稲田が2トライを先制してリード。早稲田DFラインの構築スピードが早く、関東はムーヴ等を駆使しながらも、なかなかゲインラインを切れない。

と、書いたとたんに関東がキックのチャージからFBの中央突破でトライ(笑)。面白くなってきた。

2004年12月26日

●法政×明治 東芝府中×ヤマハ

午後、JSPORTSでラグビー大学選手権。法政 38-7 明治。FW縦突進からのボールつなぎのテンポと精度で上回る法政が勝利。明治も個々の選手の強い当たりとスピーディーな逆襲展開で後半途中までは粘ったのだが、後半20分を過ぎたあたりで力尽きた。リーグ戦で関東学院を破っている法政はこれで一躍優勝候補に浮上、したと言っていいのだろうが、クラッシュの強さはともかく攻撃の組み立ての単調さがやや気になるところ。もしこのままの戦いぶりで法政が早稲田を破って優勝したら、新勢力台頭を喜ぶと同時に「大学ラグビーもレベルが低くなったよなあ」と嘆いてしまいそう。


夕方には今度はトップリーグの大一番。東芝府中 29-10 ヤマハ発動機。攻防のレベルの高さ、ボール争奪時における両チームの闘志が際立っていた一戦。多くの時間帯東芝が攻め続ける展開ながら、ヤマハの22m内守備の強さが接戦をもたらした。最後は東芝が攻撃力で押しきって差が開いたが、しかしまさに「トップ」リーグの首位攻防戦にふさわしい締まった試合であったと思う。大学選手権を生中継してこの試合を録画に回したJSPORTSの判断には軽くブーイングを送っておこう(笑)。

この試合の結果、東芝府中のトップリーグ優勝が決定。シーズン序盤に秩父宮でモールごり押しを目撃した時には「早くも日本にありがちなエセ王者に堕するのか」と疑ってしまったのだが、今から考えるとあれはチームの幅を広くするための布石、あるいは三冠に向けた準備の一つだったのかもしれない。ともあれ、このチームにはもっともっと「突き抜けて」もらいたいと思う。