●第82回早慶戦
昨日JSPORTSの録画で観た、ラグビー早慶戦の感想なぞ。
秋晴れの秩父宮、満員の大観衆、そしてピッチ上の惨劇。早稲田大学 54-0 慶応義塾大学。慶応必死の抵抗をあっさりと蹴散らし、早稲田が対抗戦5連覇を達成。早稲田とその他のチームでは、あまりにもレベルが違いすぎるのかもしれない。関東大学ラグビーの対抗戦システムそのものが、もはや時代遅れ、あるいは瀕死の状態にあることを示した一戦。
スコアの内訳は、前半14-0、後半38-0。前半こそ慶応の前に出るタックルがよく決まったものの、後半は完全なワンサイド。いや、点差が離れなかったというだけで、前半もワンサイドだったかな。とにかく慶応は「タックルだけ」で、攻撃に映ってもモールは押し切れずパス攻撃はバラバラ、全く点が取れる気がしなかった。ロースコアに持ち込みたかったのかもしれないが、FW戦で完敗しては苦し紛れのキックもカウンターの基点になるだけだ。
おそらくは、選手の質でも早稲田が上だったと思われる。ただ、それだけではこの点差(とそれ以上の内容の差)にはならない。コーチングの差。率直に言って、チーム全体に戦術が行き届いていている早稲田に比べれば、慶応は「烏合の衆」という印象だった。慶応の松永監督には申し訳ないが、やはり長期間現場を離れていたコーチでは清宮氏のチームにとても太刀打ちできない、ということなのだろう。両チームのFB、五郎丸と山田の動きの質の差は象徴的だった。
慶応は明治に大勝したチーム。そしてその慶応がこの大敗である。単純な足し算ではないとわかってはいるが、早明戦はいったいどんなスコアになってしまうのか。こんなに実力差のある対戦がシーズンスケジュールで特別な扱いを受けて、本当の強豪同士は冬が深まるまで真剣勝負を繰り広げることはない。有望な、それこそ2011年のジャパン候補を多く抱える大学ラグビー界がこういう状況でいいのだろうか。ちょっと考え込んでしまった。
早稲田の選手では、五郎丸も良かったけれど、CTBの今村が凄かった。スピード・馬力・体の強さ、どれも一級品。順調に育って早くジャパンの13番を付けてほしいと思う。今の日本代表において人材難のポジションだし。ただ、早稲田だと大丈夫だけど、社会人のチームに上がった途端にWTBとかにコンバートされてしまう危険はあるけど。
あと、このテレビ中継の解説はご存じ慶応OBの上田昭夫さんだったのだが、これが慶応に厳しくて厳しくて……って、厳しくなってしかるべき内容だったから仕方ないか(笑)。この人の場合は厳しさが愛だから。上田さんは場内解説をやっていたせいか、プレーの説明が簡潔でしかもわかりやすい。選手への愛もたっぷり。村上さんや藤島さんみたいに話題豊富な解説もいいけど、こういうソリッドなのもまた魅力ではあるね。
コメント
早稲田は対抗戦を離れて、トップリーグチャレンジリーグにゲスト参戦した方が面白いかもしれませんね(笑)。
空いた対抗戦グループ枠に同志社を入れると興行的には妙案かと(笑)。
それにしても、早慶戦の大観衆は考えさせられますね。
仮にふるいにかけてトップリーグ観戦派のファンがどれだけ残るのか…
お釈迦と化したW杯招致より足元の構造改革に着手しないといけませんね。
ラグビーファンの仮面を付けた虚栄心の塊の大人たちがでかい顔をしている限りは…
慶応に対して、いくら伝説の松永監督とはいえ、ビジネスマンとの第一線で活躍されたゆえに一時ラグビーに寄り添っていなかったのは致命的ですね。
革のボールの頃とは時代が変わっています。
清宮監督の経歴を比較すればなおのこと…
継続的にラグビーに関わり、カリスマがありさらに新しい血を注ぎ慶応ラグビーを具現化できる指導者はいまのところ上田昭夫氏だけのようですね!
同じ名前なので親しみがありますが(笑)。
慶応は対抗戦3位で大学選手権は関西リーグ3位校と瑞穂で対戦しますが、既に慶応ファンは1回戦を飛び越えて2月25日の早稲田との再戦に頭が飛んでいます(笑)。
恐らく京産大が相手になると思います。
関西は同志社がダントツの強さを見せていますが、慶応とは毎年五月に練習試合を組んでいる京産大も手強いですよ!
舐めてかかったら再戦の前に足元をすくわれかねません。
Posted by: クロゴマ | 2005年11月25日 00:41
>空いた対抗戦グループ枠に同志社を入れると興行的には妙案かと(笑)。
関西がムチャクチャ空洞化するじゃないですか!
あ、でも、そうなると大体大超久しぶりの優勝とかになるのか。いいかも(笑)。
>それにしても、早慶戦の大観衆は考えさせられますね。
そうですよね。それで、しかもあのワンサイドゲームですものね。
別に大学ラグビーにお客さんが入るのは普通にいいことなんでしょうけど、でもラグビー界全体としてそこにウェイトを置きすぎなんですよね。
>継続的にラグビーに関わり、カリスマがありさらに新しい血を注ぎ慶応ラグビーを具現
>化できる指導者はいまのところ上田昭夫氏だけのようですね!
まったく!
今回、松永さんは、タックルがビシビシ決まっている時間帯にすごく嬉しそうな顔をしていただけに、ちょっと最後は可哀想に思えました。
慶応ファンとしては、上田さんの復帰を切に望みます。…いや、上田さんほどの人を慶応だけに縛っちゃいかんかな。やっぱ望まない(笑)。
>舐めてかかったら再戦の前に足元をすくわれかねません。
そうですね。多分、今の実力差からして1ヶ月後にひっくり返せるとは思えませんが、でも一歩でも二歩でも迫った姿は見てみたい。その前で消えることなく、何とか早稲田戦までたどり着き、もう一度ぶつかって美しく散ってもらいたいものです。
Posted by: murata | 2005年11月25日 01:40