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2015年03月01日

●ヤマハ初優勝!! ('15ラグビー日本選手権決勝)

昨日の午後は、秩父宮ラグビー場でラグビー日本選手権決勝。ヤマハ発動機ジュビロ 15-3 サントリーサンゴリアス。初優勝を目指すヤマハと王座奪還を目指すサントリーの対戦は、一進一退の攻防が延々と続くタイトな展開となったが、粘り強いディフェンスでサンゴリアスをノートライに封じ込めたヤマハが見事勝利を収めた。


試合は序盤からヤマハがペースを握った。着実な防御でボールを奪ってはPGを狙わず攻め、7分、縦突進からSH矢富が右へ素早く展開。SO大田尾の好パスを受けたCTBマレ・サウが巧みな走りで右中間に飛び込んだ。7-0。その後もヤマハは果敢なパス攻撃を見せ、13分には五郎丸が約50mの長いPGを決めて10-0。サントリーも20分にSOピシのPGで追い上げるも、肝心なところで反則が出てトライを奪えない。

次の得点は26分。ヤマハはWTB伊東のインターセプトからまたもPGを狙わず攻め、右から左へ大きな展開。矢富→五郎丸→中園と速いパスをつないで、最後は中園がDF2人に挟まれながら左隅に飛び込んだ。15-3。さらに32分、SHデュプレアが反則の繰り返しでシンビン。ヤマハはここぞとばかりに力攻めに出るが、ここはサントリーDFが頑張ってヤマハのパス攻撃をしのぎきり、12点差のままハーフタイムへ。


後半になると一進一退の攻防が続く。デュプレアが戻ったサントリーはパス展開の連続で打開を図り、対するヤマハもスピーディーなパス攻撃で対抗。だが、ヤマハは50分に大田尾のハイパントで22m内へ攻め込んだところで五郎丸が危険なプレーをしてしまい、なんとシンビン。もちろんサントリーは攻勢に転じ、BKの大黒柱の一時退場で場内には「ヤマハ危うし」の雰囲気が漂ったのだが……。

しかし、ここからヤマハが底力を見せる。デュプレアの軽快なパスさばきから突進を繰り返すサントリーに対し、しつこく絡むタックルと献身的なカバーで決定的な突破を許さない。幾度かゴール前に迫られるも、FW・BK一体となった防御から矢富やWTB陣の鋭い走りなどで押し返す。そしてひとたびサントリー陣に入れば、矢富の巧みなコントロールでボールを保持し続け、時計を確実に進めていった。

尻に火のついたサントリーはニコラスに続いてスカルク・バーガーを投入。対するヤマハも池町・ピウタウ・ハビリロッキーとフレッシュな選手を入れてペースを渡さない。さらにスクラムではヤマハが徐々に圧倒するようになり、プレッシャーを受けたサントリーにミスが増えて行く。終了間際、FB塚本がラインブレイクした場面も、伊東と大田尾の素晴らしいタックルが決まってノックオン。

そして、ヤマハFWが幾度目かスクラムを押し込み、めくりあげたところで終了のホーンが鳴った。ヤマハ発動機、日本選手権初優勝!!

ヤマハにとっては何しろ初の栄冠。会心の勝利だろう。内容的にも実にらしい戦いぶりだった。守ってはタックルの粘り、カバーリングの意識、ピンチでの判断力いずれも素晴らしく、体格や数的な不利を存分に補っていた。攻めてもサントリー相手に全くひるまず速く外へと展開して勝負し、トライは2つにとどまったが幾度も大きなゲインを見せた。小さなWTBが大外でボールを失わないのは、早稲田のノウハウなのかな。

あと忘れてはならないのはスクラムの強さか。ヤマハのスクラムって、準決勝の東芝戦もそうだったけど、キックオフ当初は互角ないし劣勢だったとしても、試合が進むにつれてどんどん優勢になっていくんだよね。おそらく、相手のFWが疲労したり交代したりして力が落ちる一方で、ヤマハの方は組み方が良いから力を保てているということだと思うんだけど。長谷川コーチはいい仕事してるな、と。

個々の選手では、まず矢富の緩急のコントロールが見事だった。若い頃は身体能力が先立っているような選手だったけど、ベテランの域に差しかかってどんどん周りが見えて動かせるようになってるよね。キャプテン三村をはじめとするFW陣も健闘していたし、BK陣もマレ・サウと両WTBなど個性を活かして持てる力を発揮していた。ただ1人、五郎丸だけはちょっと反省した方がいいかもしれない(笑)。

一方のサントリーは、レギュラーシーズンの終わり頃から華麗なパス攻撃が復活し、パナソニックも撃破して好調と思われたのだが……ちょっとデュプレアやピシ、松島らの「個の力」に頼りすぎではないか(そして当然彼らは思いきりマークされてた)という印象であった。特に終盤、大外で勝負しても良いと思える場面が幾度かあったのだけど、ね。有賀あたりが怪我で出られないのも大きかったか。


いやー、しかし、ヤマハのショッキングな「強化停止」と、サントリーが日本選手権でNECに抽選負けして清宮監督が辞任してから5年ですか。4年間一つ一つ積み重ねてきて、ついに(清宮さんにとっては古巣相手の決勝で)大輪の花を咲かせた、と。試合後のインタビューで清宮さんが珍しく上気した顔で「誇らしい!」と語っていたけど、あの一言にはホント色々な思いが詰まっているのだろうな。

とにかく素晴らしい戦いだった。ジュビロの選手たちとスタッフの皆さん、そしてバックスタンドの半分以上を埋めていた熱心なファンの方々には心から拍手を送りたい。優勝おめでとう!!


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コメント

いや、ほんといい試合でしたねー。
清宮早稲田からの系譜を考えると感慨深いメンツでした。
ここまでヤマハの試合になるとは正直思ってなかったですが…
昨日のサントリーは個になっちゃったなーって自分も思いました。
NHKでたまたま観た人がラグビー面白いと思ってくれたらいいなと思います。

ねー。いい試合だった。
両チームから早稲田出身選手をピックアップしてガッチャンコすると、そのまんま「清宮早稲田ベストフィフティーン」になる感じだったね(笑)。
しかし、ホント、ヤマハがここまで好いチームになるとはね。「信は力なり」ですな。

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