●帝京大学、堂々たる戦い ('15ラグビー日本選手権2回戦)
今日は秩父宮ラグビー場でラグビー日本選手権2回戦を観戦した。東芝 38-24 帝京大学。1回戦でトップリーグチーム(NEC)を倒した大学6連覇王者が強豪・東芝に挑む注目の一戦は、6トライを重ねた東芝が危なげなく勝利を収めるも、帝京が所々で光るプレーを見せる好試合となった。
試合は立ち上がりから東芝ペース。素早い近場への展開とFWの突進で攻めたて、いきなり3分、SH小川がDFラインんの隙間をぬうように走ってトライ。18分にはCTBカフィが豪快な突進で、25分にもWTB大島が鋭いフォローで帝京DFを突き破り、21-0とリードを奪った。さすがに東芝は一つ一つのプレーの強度が高く、帝京も受身に回る場面が多い。一方的な展開になるかと思われた。
しかし、帝京は前半終了間際、SO松田のPGがゴールポストを直撃したこぼれ球を拾って素早く右展開、CTB濱野が東芝DFのタックルにもめげず右隅に初トライ。21-5と一本返してハーフタイムへ。
後半になるとネジを巻きなおした東芝が再び攻勢に。今度はスクラムやモールで押し込む力攻めもまじえ、まず43分に大島が再びゴール間際の狭いところを這うように飛び込んでトライ。続いて54分、左サイドの攻めから右へキックパスで大きく振り、WTB伊藤がタックルを跳ね返して右隅に飛び込んだ。31-5。またも東芝が圧倒する展開となるかに見えたのだが……。
ところが、ここで帝京が底力を見せる。直後の55分、速い右展開からWTB尾崎がタックルをすり抜けながら右タッチ際を駆け抜けてトライ。31-12。力の差を見せたい東芝は61分に小川の快走をカフィがフォローしてトライし、38-12まで差を開く。だが帝京はここからまたしても反撃、67分、76分とピッチを横断する素晴らしいパス攻撃から、WTB磯田の連続トライで12点まで差を詰める。
結局、38-24でノーサイド。最後まで切れずに戦った帝京フィフテーンには、スタンドから大きな拍手が送られた。
試合を通じて印象に残ったのは、帝京大学の堂々たる戦いぶりだった。持ち前の速さと正確さとムーヴの揃ったパス展開はこの日も健在で、4トライはいずれも見事にDFラインを破ったもの。もちろんスクラムなどの弱点はあるものの、そこで大崩れはしなかったし、カフィやステイン、リーチなどワールドクラスの選手が揃っている東芝相手にこのスコアはやっぱり賞賛に価すると僕は思う。
2006年に早稲田がトヨタに勝った時は、もちろん清宮監督率いる早稲田の偉業に感嘆しながらも「トップリーグの上位チームが大学に負けちゃいかんだろう」と複雑な心境になったものだ。でも、今回帝京がNECに勝った時は素直に「おー!やった!強い!」と思ったんだよな。まあ、あの頃の早稲田は関東学院との2強だったけど、今の帝京は盤石の6連覇中だから……いや、人間の心境なんていい加減なもんである(笑)。
で、その帝京を止めたのは、やっぱりというか、前に早稲田を止めたのと同じく東芝だった、と。9年前に早稲田のFWにスクラムで膝蹴りかましてた大野は今日も元気に先発して、つかみ合いもしてましたな(笑)。東芝らしいっちゃらしいよね。正面から挑んでくる大学の好チームの挑戦を受け止めるのは実直なチームがふさわしい、みたいな。まあ、その東芝にあの豊島くんがいるのがちょっと笑えるんだけど。
とはいえ東芝としては、今後の厳しい対戦相手を考えれば今日のスコアと内容では決して満足できないだろう、とも思う。特に後半破られまくった大外の守備は、いくら点差は関係無い状況とはいっても、ちょっとどうなんだろうと思った。あとはオフサイドをはじめとする反則の多さか。パナソニックとの差は、DFの後方への戻りとライン再構築のスピードの差だと思うんだよな。ヤマハはどう出るか。
いやー、個人的には日本最高峰はあくまでトップリーグ王者であって、日本選手権はその後のオマケみたいなもん(ボーナスステージ)だと思ってるんだけど、でもこうしてみると面白いっちゃ面白いね。サッカーの天皇杯みたいなアップセットの魅力もあるし、トップリーグ同士でも再戦の楽しみがある。Jリーグ開幕までには終わってくれるのが不幸中の幸い(笑)か。
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