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2009年10月11日

●北川△ (三洋電機×九州電力)


昨日の午後は、秩父宮ラグビー場で2日連続のトップリーグ第5節。三洋電機ワイルドナイツ 54-10 九州電力キューデンヴォルテクス前日とはうって変わり、気持ちよい青空の下でのデーゲーム。今回のお目当てはサントリー・東芝と並ぶ優勝候補である三洋の出来の確認と、その三洋のエースWTB北川智規の活躍ぶりである。試合は、三洋が九電の積極的なディフェンスに苦しみながら、後半北川のハットトリックなどでたたみかけて大勝を収めた。
 
 
前夜あまりに一方的なサントリー×ホンダ戦を観たせいもあるかもしれないが、序盤の九電は健闘を見せた。開始早々にHOマンレーのPGで先制。6分には三洋が田邉→ヒーナン→若松→田邉と近場でつなぎながら怒濤の突進でトライ。7-3。しかし24分、九電はまるで意趣返しのように22m内で細かいつなぎを見せ、ゴールラインまで縦になだれ込んで逆転。7-10。三洋は自力で上回っているはずだが、九電の前へ出る防御に押される形で反則が多い。

ただ、九電にとって残念だったのはキッキングゲームが不調だったこと。せっかく三洋のミスを誘ってもタッチキックでミスが出て押し返せず、いつの間にかまた三洋ペース、の繰り返し。三洋は22m内でしつこくスクラム・モール攻撃を繰り返し、30分に山本貢が、37分には入江がゴールライン上で押さえ込んでトライ。抜群の安定感を見せる田邉がいずれもコンバージョンを成功させて21-10。力関係からすれば順当に思えるスコアでハーフタイムへ。
 
 
堅実なキックと分厚いランで押し込む三洋、積極的な守備でしのぐ九電、という構図は後半も同じ。九電はCTBアトキンソンやWTB吉永の力強いランでゲインするが、三洋のカバーDFを破るに至らない。三洋の方もラインアウト失敗の連続に苦しむものの、48分、SO入江のキックが九電の選手に当たり、前に残っていたFL劉の胸にスッポリ。すかさず脇にいた霜村からWTB三宅へラストパスが通って独走トライ。九電にとっては不運な形だった。28-10。

あきらめない九電はオープンに回して打開を図るが、ここで効いたのがそれまで目立たなかった三洋WTB北川。60分、鋭い飛び出しでインターセプトした劉からパスを受けた北川は右タッチ際を一気に走り、追いすがるアトキンソンも二段ロケットばりの加速でちぎってトライラインを駆け抜けた。思わず喝采したくなる快走。田邉のGKは初めて失敗したものの、33-10で「勝負あり」。直後の63分には交代出場のHO堀江がポスト下に抜けてトライ。40-10。

こうなるともう一方的、北川のトライ・ショーが続いていく。72分、九電のキックチェイスが遅れたのを見た三洋がクイックスローからカウンター、きわどいパスをいくつもつなげて最後は北川でしとめた。47-10。さらに76分、今度はFKから霜村が早い仕掛けで右タッチ際を抜け、外を追い越す北川へラストパス。「あっ!」という間に数十mを走り抜けた北川に九電DFは追いすがることさえできず、見事ハットトリック達成である。54-10。そして試合終了の笛。
 
 
いやあ、スッキリした。お目当ての選手が目の前(メインスタンド前)で3度も得点してくれたのだから、そりゃあ気持ちよくないはずがないのである。

ワイルドナイツにしてみれば、とりあえず満足の行く結果だろう。九電の前へ出る防御に反則を連発して苦しみながら、モール作戦に切り替えて3トライをもぎとった前半。偶然と相手のミスを逃さず得点に結びつけ、切り札も生かして5トライをたたみかけた後半。底力を見せてもらったなあ、というのが率直な感想。ポジションごとによく整理された組織的な動きと、そしてチャンスの場面に対する反応の良さについてはトップリーグでも一頭地を抜いているように思う。

ただ、一方でまだチームとしてトップフォームには達していないのかな、という気もした。お得意の、フォローの連鎖で縦方向に数的優位を作ってしまう場面は意外と少なかったし(田邉の先制トライくらい?)、細かいミスはけっこう多かった。あと、セットプレー、特にラインアウトについては相変わらず失敗が目立ち、「わかっていても止められない」東芝や「何だかよくわからないけど圧倒している」サントリーに比べれば、弱点のはっきりしているチームだとは思う。

試合のMVPには北川が選ばれたそうだ。終盤にとどめを刺しただけでは……という気もするけど、とにかくインパクトの強い走りだったし、彼を使うことがファーストチョイスではなく「いざという時の切り札」にしておけるのが三洋の強みでもある。いいよね~、この選手。体は大きくないけどスピードがあって、強靱で、少ないチャンスを逃さない根気と集中力があって……「ザ・ウイング」または「日本のドミニシ」というか。代表に定着しないのが不思議なくらい。北川△!!

あ、そういや、トニー・ブラウンが出てなかったな。どうしたんだろう。怪我?温存?なにしろ大黒柱とも言うべき選手である。昨シーズン怪我のせいで長期欠場し、プレーオフでもコンディションが上がらずに東芝に敗れる原因の一つとなってしまったのも記憶に新しいところだ。代役の入江もキックなんかは見劣りしないんだけど、パスさばきの判断とか守備力とかでは大きな差があるように思える。いずれにせよ、今後の優勝争いに向けて気がかりなのは確かだ。
 

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