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2007年02月12日

●「勝ちきる」というのは本当に難しい ('07シックスネイションズ)

JSPORTSの録画で、ラグビーシックスネイションズ第2節。アイルランド 17-20 フランス。昨年の1位と2位の直接対決であり、下馬評的にも優勝争いを大きく左右すると見られる大一番。厳しいプレッシャーの応酬からロースコアの展開となり、22年ぶりの優勝を目指す地元アイルランドが前回王者フランスをあと一歩まで追い詰めたが……後半ロスタイム、劇的な逆転トライがその夢を打ち砕いた。


この日ダブリンのクローク・パークに集まった観客数、実に8万余り。先日秩父宮が2万3千人で埋まったのを見てちょっと感動したものだが、まあちょっとスケールが違うわな(笑)。もちろんほとんどがアイルランドの応援者である。普通のチームならおそらく雰囲気に呑まれっぱなしだろうが、そこはさすがにフランス。序盤から密集の勢いで上回り、HOイバニェスのトライ等で最初の15分に13得点を重ねる。

アイルランドが本領を発揮しだしたのは、前半も残り少なくなってから。モールに注力し、華やかさはないが力強い突進でフランスの勢いを削いでいく。フランスはタッチキックの不調もあって、徐々に自陣へ押し込まれるように。前半終了間際、左サイドへの素早い展開からSOオガーラが素晴らしいフォローで抜けてトライ。これで12-13。ホームの利を考えれば、「アイルランド有利」と思える展開だった。

後半は、互いに「大一番」と相手のプレッシャーを意識しすぎたのか、キックの応酬とハンドリングエラー連発で落ち着かない展開。ほぼ五分の展開ながら、パスでボールを動かす得意の展開にならない分フランスがより苦しい印象。アイルランドもトライチャンスにまでは至らないものの、19分にPGを決めて逆転。終盤になるとフランスも目の色を変えて攻めたてるが、大観衆をバックにしたアイルランドDFの集中力は途切れない。

そしてロスタイム。46分(!)にオガーラがPGを決めて4点差となった時、万歳をして喜ぶ地元の観衆は勝利を確信したに違いない。なにしろ70分もの間、フランスに全く点を与えていないのだから。ところが、その直後。キックオフからボールを奪ったフランスは右サイドへ大きく展開、タッチ際で人数をかけて攻めるかと思いきやすぐさま左に大きく振り、WTBクレールがDFの間へカットイン、追いすがるタックルを次々に外して左中間へ飛び込んだ。コンバージョンも決まって17-20……。

次のキックオフをきっちり確保したフランスは、十分にキープしてからタッチへ蹴り出して試合終了。レフリーの笛が鳴った瞬間、画面を通じてスタジアムからは、わずかなどよめきと沈黙と少数のフランス人の大歓声とが入り混ざった、何とも妙な雰囲気が伝わってきた。半ば呆然としながらフランスの選手たちと握手するオガーラの表情が印象的。しかし、何と、まあ。


アイルランドの選手もスタッフもファンも、とにかく試合後は茫然自失状態だったろう。まだ2試合目とはいえ最大の敵がフランスであることは間違いなく、あと2分間それまでのラグビーを続けさえすれば「優勝」の2文字も現実的になったのだが。大魚を逃した」というか「やっちゃった」というか……。思えば逆転トライの場面、フランスの速い展開に対してアイルランドは明らかに後手を踏んでいたし、クレールへの寄せも遅かった。

結局、ロスタイムの追加点で圧倒的優位に立ったことで、かえって浮き足立ってしまったということなのだろう。ここら辺、勝ち慣れない者の弱みと言ってしまえばそれまでだけど、しかし後悔はするだろうな。逆に言えば、あの瀬戸際でそれまで封印していた冒険的プレーに出ながら、ミスなく揺さぶって押し切ったフランスの底力はさすがである。まあ、案外こういう劇的な勝ち方をして次でコロッと負けるのがフランスのカラーだったりもするが(笑)。

「勝つ」という事の難しさを思い知らされる試合だった。

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コメント

最後の最後でやっちゃいましたね。ちょっと気の毒でした。でも、さすがラグビーなのか、終わった後にひっくり返って号泣って選手とかいないんですね(笑)。
でも、この間、イタリア対どこかの国がやっていた時、「さすがラグビー。イタリア人も紳士的にやってるわ」と思った次の瞬間、敵の選手の胸ぐら掴んでイロイロ怒鳴ってました。それみて我が家で大爆笑。イタリア人、向いてない。

>終わった後にひっくり返って号泣って選手とかいないんですね(笑)。
あまりの出来事に、呆然自失で泣く余裕さえなかったのでは(笑)。
でも、確かに、ラグビーの国際試合で試合後涙を流す選手ってあんまり印象にないなあ。試合前に感極まって半泣きになってる選手はけっこういたりしますが。

>イタリア人、向いてない。
まあ、イメージ的には、確かに向いてないっつーか、似合わないというか(笑)。
ただ、「非紳士的」という意味では南半球の方がすごいですよー。エキサイトするとパンチなんて至極当然の世界ですから。体重100kg以上同士が。

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