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2010年01月24日

●デジャヴなプレーオフ ('09-'10トップリーグプレーオフ準決勝)


飲み会明けで二日酔いの午後は、秩父宮ラグビー場でトップリーグプレーオフトーナメント。東芝ブレイブルーパス 35−24 サントリーサンゴリアス。9月から続くトップリーグもいよいよ大詰め、秩父宮での準決勝は「好敵手」同士の2位・3位対決となった。試合は、前半サントリーが着実にトライを重ねてリードを奪うも、後半怒濤の反撃に出た東芝が一気に逆転し、そのまま逃げ切ってリーグ戦の雪辱を果たす結果に。サントリーはまたも肝心の試合で勝てず。
 
 
キックオフ。東芝は予想通り接点で反則ギリギリの圧力をかけ、サントリーはきれいにボールを出すことができない。次第にサントリーはラックを嫌ってキックが増え、SOピシとヒルの蹴り合いになるが、WTB長友のキャッチミスなどがあって東芝の攻勢が続く。それでもラインアウトを奪取するなどサントリーは粘り、前半半ばまではノースコア。しかし19分、ニコラスの落球から東芝のカウンターとなり、パスをつないでつないで最後はFB立川がトライ。7−0。

一本とられて目が覚めたか、失点後のサントリーはかえってプレーが冴えるように。ピシのハイパントから生まれた絶好機を宮本の判断ミスで逃した直後の27分、東芝ゴール前のスクラムを猛プッシュしてボールを奪い、連続攻撃からピシがDFを振り切って走り抜ける。7−7。続いて30分、今度はゴール前ラインアウトから何とモールを一気に押し切ってトライを奪った。東芝の鋼鉄FWがメキメキとひしゃげた音が聞こえるような、驚きのプレーである。7−14。

さらにサントリーの猛攻は続く。35分、東芝陣22m付近のスクラムから速い展開、近くに寄っていた長友がタックルを受けるも鋭いターンでDFラインの裏に飛び出し、よろけたのを立て直して飛び込んだところがトライライン上。この選手の足腰の強さは本当に凄い。7−21。その後の数分間は東芝にミスが目立ち、サントリーは長友がタッチライン際を快走するなどチャンスを得る。が、ピシのPG失敗で無得点。結果的に、ここで加点できなかったのは痛かった。
 
 
後半になると戦況は一変、東芝が再び攻勢に。まず42分、ハイパント後の混乱からカウンター攻撃、LO望月が甘いタックルをかわしながら50m以上を走りきった。優勢な状況に気のゆるみもあるのか、サントリーの守備はいかにもユルい。14−21。50分にはゴール前で東芝のモールを押し返したサントリーが一旦はボールを奪うも、グレーガンのパスがブレて痛恨のノックオン。パス展開からヒルがトライを奪い、あっという間に21−21の同点となった。

ここでサントリーはグレーガン・佐々木に代えて田中・ファンニエルデンを投入、しつこい継続攻撃で勝ち越しを狙う。ところが55分、攻め込んでのノックオンからまたしても東芝のカウンターになり、左タッチ際でDF裏にチョン蹴りした立川がさらに大きく蹴り出し、ゴール前で弾んだボールをピタリ胸に収めてゴール内へ。お見事、というか、ここで出るかねコイツのビッグプレーが(笑)。サントリーは一番ノせてはいけない男をノせてしまった。28−21。

こうなると東芝は強い。サントリーも63分にピシがPGを決めて4点差に追いすがるが、その後は鉄壁のDFに防がれてチャンスを作れない時間が続く。いつの間にかラックの圧力が復活しているのもさすが東芝。68分、深く攻め込んだ東芝が意地のモールを押し切ってトライ、難しいコンバージョンもヒルが決めて35−24。これで勝負あった。終盤は冨岡「キャプテン」・ジョン松田らを投入した東芝が、サントリーの縦突進を反則混じりにしのいでタイムアップ。
 
 

いつもの「プレーオフの東芝」であり、いつもの「プレーオフのサントリー」だったな、と。

12月のレギュラーシーズンで行われた同カードはサントリーの圧勝。ただしあの時はDF裏をグラバーキックで狙うサントリーの意図がはまりまくって「出来過ぎ」の印象もあったから、プレーオフまでにどのように力関係が変わっているか注目していたのだが……やはり、というべきか。東芝の勝負強さと集中力、サントリーのポカ体質と「あと一歩足りない」感じ。幾度か目撃してきたものをまた再確認させられ、終わってみれば東芝の強さが際立った一戦だった。

キーとなったプレーは、後半頭の望月のトライになるだろうか。あっけなく1トライ差まで詰められたことで東芝は相当精神的に楽になったはずだ。そして、その場面も含めて、東芝の5トライのうち4つはカウンター攻撃で奪ったもので、逆にサントリーは攻め込みながらのミスでペースを失ってしまったのも印象的だった。勝つために必要なポイントをつかむ力が明暗を分けたというか。Jリーグで言えば、ガンバや川崎が鹿島に敗れる時のパターンに似ているような。

東芝については、昨季のトラブルや今季序盤のもたつきにも関わらず、薫田監督の築いたベースは未だ健在なりということか。正直、やっているラグビーに目新しいものは感じられないのだけれど、その分選手のプレーには迷いがなく、試合途中での立て直しもさすが。ウイニングカルチャー(勝ちなれっぷり)という面においてはトップリーグ3強の中でも突出しているのがこのチーム。立川という「飛び道具」も復活したことだし、決勝の戦いぶりも楽しみである。

対するサントリーは……どうにもあと一皮が剥けきれないというか、志は高そうなんだけど勝負のリアリズムに関してはまだ甘さが残っている感じ。FWに関しては(ほぼ日本人のみの構成にも関わらず)かなり強化されたようだし、BKはもちろん「そのままジャパン級」(平の欠場は痛かったが)。ハーフ団の能力も決して三洋電機や東芝に劣ってはいない。それでもまた勝てなかったのだから、サンゴリアスとしてはショックが相当に大きいのではないだろうか。

なんつーか、清宮監督びいき・サントリーびいきの僕としては「今季こそ最強チームを作ってくれるだろう」と期待し続けてはや3年。そろそろやってくれないと困ってしまう(などと言われても困るだろうが)のだが……。もしかすると、僕の期待が大きすぎるのであって、サントリーにしろ、清宮監督(まあ監督だけでチームが決まるものでもないとも思うのだが)にしろ、このあたりが限界だったりするのだろうか。だとしたら、ファンとしてはとても残念ではある。

とりあえず、思い過ごしであることを願いたい。
 

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コメント

それにしてもお客さん入りませんね。準決勝のこのカードで10000人を割るとは。決勝はどうなるでしょうか。決勝ですが、昨年はBS朝日でライブ中継があったのだけど、今年はなしです。
映像見てないので試合内容については触れないことにします。

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