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2015年01月03日

●清宮ジュビロ危機一髪(なのか?)

昨日に引き続いて秩父宮ラグビー場に足を運び、今度はトップリーグを観戦してきた。2本立ての第1試合で、東芝ブレイブルーパス 28-29 ヤマハ発動機ジュビロ


試合は序盤からジュビロペース。東芝の密集周りの反則につけ込んでたて続けに攻め込み、容易な角度からもPGを蹴らずにトライを狙っていく。まずは8分に右ラインアウトからつないでCTBマレ・サウがDFライン右隅を突き破ってトライ。続く12分にも連続攻撃からNo8堀江が鋭い突進でトライ(FB五郎丸のコンバージョン成功)をあげ、幸先良くジュビロが12点を先制した。

完敗するとプレーオフ出場権(4位)が危なくなる東芝は、スクラムの優位(というか麻生レフリーとの相性の良さ?)を活かして反撃。ゴール前の連続攻撃からNo8リーチ・マイケルが中央に飛び込んで26分にトライ。7-12。しかしジュビロはすぐに攻め返し、ゴール正面のPGさえも狙わずにラインアウトから再び堀江が飛び込んでトライ。7-19での折り返しとなった。

後半立ち上がりは東芝が深く攻め込むが、2度に渡るゴール前のモールを押し切れず、逆にジュビロは五郎丸の素晴らしいタッチキックからチャンスを得て、54分にまたも堀江がゴールラインギリギリでボールを押さえてトライ。7-26。4トライのボーナスポイントを得たジュビロは一転PGを狙うようになり、20分に五郎丸が決めて7-29。残り20分で22点差は決定的に思えたのだが……。

だが、そこからは気持ちの問題かそれとも体力の問題なのか、ジュビロの選手たちのタックルの出足や密集の集散が目に見えて遅くなり、対照的に開き直った東芝は目の覚めるようなパス攻撃を連続させていく。65分、左オープン攻撃からそれまで全く目立たなかったWTB豊島がきれいに回り込んでトライ。途中出場のCTBステインがきっちりコンバージョンを決めて14-29。

その直後のキックオフ。キャッチしたリーチが足を滑らしたところ、それがフェイントのような形になってジュビロのDFが乱れ、WTB松延が矢富らのタックルを外しながら右タッチ際を快走して独走トライ。21-29と一気に勝敗がわからなくなってしまった。さらに72分にはもはや大外に届かないジュビロDFを振り切って豊島が再び快走し、トライ。28-29と東芝が1点差まで迫る展開に。

そして終了間際にジュビロ陣10m付近でのスクラムとなり、幾度も組み直してホーンが鳴ったところでジュビロにコラプシングの判定。十分ステインの射程距離内であり逆転サヨナラPGは間違いないかと思えた。が、観客が息をのんで見守る中でステインがキックしたボールは、力んでしまったのか、足が滑ったのか、なんとポール左に大きくそれてしまう。そのまま試合終了となった。



ヤマハ発動機にしてみれば、命拾い以外の何ものでもないというか。清宮監督が試合後のインタビューで語ったとおり「勝って反省できること」を何より喜ばなければならない内容と結果だった。

途中までは完全にゲームプラン通りだったのだろう。既に2ndステージで2敗しているジュビロとしては是が非でも勝点5(勝利+4トライボーナス)が必要であり、かつライバルである東芝にはできれば勝点を渡したくない試合だった。で、あえて容易なPGを狙わず安定したラインアウトから後半半ばまでに4トライ。あとはPGで加点しつつ時間を使うだけ、だったのだけれど……。

あまりに順調な展開にやや気が抜けたのか、それとも東芝の厳しい当たりに見た目以上に体力を奪われていたということなのか、後半半ばからのジュビロは全くいただけない出来だった。最後の最後でステインのキックミスに救われた形になったけれども、あれが入っていたらプレーオフはほぼアウトだったわけで、勝ち慣れていないゆえの脆さを見せる形になってしまった。

一方の東芝は、本当にあと一歩というところまで追い詰めて、ペナルティの笛が鳴った瞬間ステインはガッツポーズまでしてたもんね。そりゃそうだ。昨日の東海大じゃないけど、応援しているファンも「勝った!」と思ったことだろう。まあ、そもそもFW戦にこだわらず、終盤の思い切ったパス攻撃をもう少し早く出してれば、とも思うが、それはスタイルの問題なのかな。

とはいえ、終盤の攻勢で東芝は4トライと7点差以内のボーナスポイントを獲得し、そのせいでジュビロは東芝との順位を逆転することができなかった。となると、やはり豊島の2本目のトライは決定的な意味を持つことになるのかもしれない。ジュビロは最終戦でパナソニックに勝ったとしても東芝やサントリー、神鋼が勝点を落とすことが必要となり、苦しい状況になった。

結論としては、ジュビロは「試合に勝って勝負に負けた」というところだろうか。もちろん東芝はその逆ということで。うーむ。

……と思ってたら、「どうせサントリーが勝つだろう」と思って途中までしか観なかった第2試合でサントリーが大苦戦(NTTコム 17-18 サントリー)、勝点4しか取れないという思わぬ結果に。なんだ、最後まで観ればよかった(笑)。これでジュビロの自力プレーオフ進出がまた復活することになったわけで、清宮さん持ってんな……最終戦はパナソニック相手にどう戦うか、楽しみだ。


つか、先月のパナソニック×神戸製鋼を観た時も思ったのだが、今年のトップリーグは上位勢の実力が伯仲していて実に面白い。できればもう少しお客さんが入ってくれるといいんだけどな……まあ大学ラグビーは特にラグビーファンというわけでもない在校生やOBも来るから観客が多いんだろうけど、日本最高峰のラグビーはトップリーグなんだから、せめてもうちょい、ね。


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