2010年07月20日

●競争と友情、難しいね


昨日のツール・ド・フランス第15ステージ。フランスチャンピオンジャージを身にまとったヴォクレールが見事な独走勝利を決める一方で、総合争いの中ではやや後味の悪い出来事が。
 
 
終盤のパレ峠、人数を減らした集団の中からマイヨジョーヌのアンディ・シュレクが絶妙のタイミングでアタックをかける。しかし、ライバルのコンタドールをうまく出し抜いたかに思えた瞬間、アンディの自転車のチェーンが脱落するトラブル。ここで、コンタドールが逆にアタックをかけ、それにサムエル・サンチェスとメンショフが続いてアンディを置き去りにしたのだ。

自転車ロードレースにおいて、有力選手がメカトラブルや落車で遅れた場合は待つのがフェアプレー精神、というか不文律とされている。コンタドールはこれを破ったということでアンディは激怒し、マスコミやファンの間でもコンタドールの行為に対する非難が起こっているようだ。

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2010年06月01日

●大逆転バッソ復活 ('10ジロ・デ・イタリア)


久々の自転車エントリーは今年最初のグラン・ツール、第93回ジロ・デ・イタリア。例年以上の難関ステージが揃った今年のジロは序盤から波乱続きの展開となり、一時は伏兵勢が総合有力者たちに10分以上の大差をつける状況も。しかし後半の山岳に入ってチーム力に勝るリクイガスが度重なる猛チャージをかけ、第19ステージでついに逆転に成功。バッソが4年ぶりの総合優勝を飾る結果となった。
 
 
序盤の3ステージはオランダ開催。海沿いの美しい風景の中で優雅なレースが……なんてことは全然なく、狭い市街地コースは多数の落車を、吹きすさぶ横風はプロトンの分断を引き起こし、早くもエヴァンスがタイムを失ってしまう。例年、平坦区間は割とノンビリした展開になることも多いのだが、今年は終始ピリピリとしたムードが漂っていた。トラブルの多くをうまくやり過ごし、イタリアに戻ってのチームTTを制した本命リクイガスがまずは主導権を握る形に。

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2009年07月28日

●大団円じゃーん ('09ツール・ド・フランス第18~第21ステージ)


優勝候補のど本命がリードを保ったまま終盤戦に突入したツール・ド・フランス。果たしてコンタドールがそのまま盤石の強さで最後まで走りきるのか、ランスは表彰台に上れるのか、シュレク兄弟はアスタナの牙城を崩せるのか、別府や新城は最後の見せ場を作れるのか、そしてカヴェンディッシュはシャンゼリゼでモーモーに一矢を報いることができるのか……etc。個人的には、これほどまでに楽しく観られるツールは初めてであった。ドキドキワクワク。
 
 
第18ステージは40.5kmの個人タイムトライアル。放送開始前に新城も別府も、さらにはぶっちぎりのタイムを叩き出したカンチェラーラも走り終わってしまうJSPORTS的に苦しい展開(笑)。総合争いの中ではアンディ・シュレクが健闘して2位に踏ん張り、その座を脅かすと思われていたアームストロング・ウィギンス・クレーデンはいずれも伸び悩んで表彰台争いは団子レースの様相を呈してきた。やはりモンバントゥーはガチの勝負レースになるか。

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2009年07月23日

●克服する意志 ('09ツール・ド・フランス第14~第17ステージ)


平坦ステージ連続の中だるみも過ぎ、いよいよ終盤戦が近づくツール。総合争いはトップ10に3人(ライプハイマーリタイアまでは4人!)を送り込むアスタナ帝国にサクソバンクが挑みながら、アスタナ内でランスとコンタドールがバトルを繰り広げる複合的展開。一方ポイント賞争いは「ボク狙わないも~ん」と公言しながらセコくクレバーにポイントを積み重ねるカヴェンディッシュに迫る「グリムスターの雄牛」ことフースホフト。どちらも目が離せない。
 
 
第14ステージ。最後の平坦ステージは翌日に重要な山岳を控えていることもあり、メイン集団が早々に逃げを容認する展開。残り10kmで逃げグループから飛び出したイワノフが独走優勝。ロシアチャンピオンがカチューシャに初勝利をもたらしたんだから美しいわな。また、16秒遅れてゴールしたヒンカピーにはマイヨ・ジョーヌのチャンスもあったが、コロンビアを含む追走がペースを上げたこともあってわずか5秒差の総合2位どまり。これはしゃーないな……。

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2009年07月18日

●絶賛なかだるみ中 ('09ツール・ド・フランス第10~第13ステージ)

今年のツールは第1週に個人及びチームTTとピレネー山脈があり、最終週に決戦TTとアルプス越えが配置されている。よってその間の2週目は平坦基調の、総合争い的には「つなぎ」となるはずなのだが、最初の休息日におけるランスの挑発コメントはレース全体にいい刺激をもたらした、かな?一歩間違えば(というか既に)ただのワガママオヤジだけど。
 
 
第10ステージ。休息日明けの「革命記念日」は無線使用禁止の特別ルールが適用されたこともあり、逃げを得意とするフランス人選手にとって絶好の狙い目。のはずだったのだが、ウポン・ヴォグルナール・ドゥムランの逃げプランは、空気を読めないロシア人・イグナチエフのツキイチ→隙を突いての仁義なきアタックによって崩壊。結局集団スプリントになって、余裕の加速でフースホフトを振り切ったカヴェンディッシュが大会3勝目を挙げた。

カヴちゃんがゴール後に見せたサングラスを外すパフォーマンス、一見意味不明だったんだけど、どうも「この緑のグラサン、いいでしょ~!!」という感じだったらしい。ガキか!つーか、お前「マイヨ・ヴェールなんて狙わないもんね~!」ってコメントしてたじゃねーかよ(笑)。まあ、おそらくフースホフトはコツコツとポイントを稼ぎ続けるだろうから、カヴがポイント賞を獲るためにはあと2~3勝は必要かな。シラッと勝っちゃいそうな気もするけど。

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2009年07月14日

●アスタナ帝国進軍中 ('09ツール・ド・フランス第5~第9ステージ)


チームTTでアスタナが他を大きく引き離し、早くもコンタドールとアームストロングのマッチレースの様相を呈してきた今回のツール。しかし、総合争いよりもステージ優勝狙いのチーム・選手にとってはもちろん毎日が一発狙いのチャンスなのであった。ブエルタあたりだとダレかねない展開なれど、さすがにツールは選手たちのモチベーションが違うということだろうか。
 
 
第5ステージはほぼ真っ平のコースだが、どうも「平穏無事」に済まない日が続く。吹きつける横風・向かい風に煽られたプロトンはたびたび分裂し、逃げグループとの差もなかなかつまらない。残り5kmで逃げの中からトマ・ヴォクレールが力強く飛び出し、そのまま逃げ切り勝ち。毎年積極果敢な走りで目立ちまくるヴォクレールだけど、ちょっと驚いたことにこれがツール初勝利なんだね。地元選手の活躍に観客も大盛り上がりで、よかったよかった。

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2009年07月08日

●ランスはランスである ('09ツール・ド・フランス第1~第4ステージ)

写真はArashiro
7連覇の「伝説の男」ランス・アームストロングの現役復帰に「三冠王」アルベルト・コンタドール2年ぶりの参戦、そして13年ぶりとなる日本人レーサー(しかも2人!)の出場と、話題には事欠かない今年のツール・ド・フランス。序盤から期待に違わずというか、予想をはるかに超えるエキサイティングな展開となり、JSPORTSで観戦する日本のサイクルロードレースファンは寝不足の海に叩き込まれているのであった。いや、幸せな事なんだが……。
 
 
第1ステージはモナコ公国を舞台とした個人タイムトライアル。F1では見慣れた市街地コースを自転車が高速で駆け抜けていくのは、それはそれで新鮮な光景だった。中継のゲストが我らが片山右京だったのもナイスな人選。右カーブのトンネルを抜け、ヌーベル・シケインを曲がり込んだところがゴール。あそこは92年のモナコGPでセナが絶好調マンセルを抑えきったところだね。三宅アナの「ここでのパワーはホンダが上か!」の実況、最高だった。

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2009年04月15日

●男たちの闘い ('09ツール・デ・フランドル、'09パリ~ルーベ)


先週、そして今週の日曜夜は年に一度のお楽しみ、サイクルロードレース「北のクラシック」2連戦(本当は、間の平日にヘント~ウェヴェルヘムが行われるから3連戦らしいんだけど)をJSPORTSでフル観戦。吹きすさぶ横風に激坂石畳が続くツール・デ・フランドル、そして27カ所ものデコボコ石畳が選手たちを痛めつけるパリ~ルーベ。毎度の事ながら「テレビの前で観ている側で良かった」と言いたくなるほど過酷な、しかし最高に面白い2レースである。
 
 
まず第93回ツール・デ・フランドルは、昨年のリプレイを見ているかのような展開となった。レース全般を通して、トム・ボーネン率いるクイックステップが抜群の存在感を発揮。コッペンベルグをはじめとする難所ではペースアップして集団を制圧、ボーネンがパワフルなペダリングで他の有力選手をふるい落としにかかる。そしてボーネンが厳しいマークに遭うや、今度はこれまたエース級のデヴォルデルとシャヴァネルが好位置から仕掛けていく。盤石。

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2009年03月18日

●不屈の魂を見た ('09パリ~ニース)

先週は、毎日家に帰ってからはJSPORTSのパリ~ニース中継に釘付けだった。ツール・ド・フランスの前哨戦、というには早すぎるけど、ツールと同じASOの主催で行われ、権威ある中仏~南仏縦断8日間のステージレース。今年の大会は悪天候や様々な思惑が入り交じって目まぐるしい展開となったが、落ち着いたレース運びを見せた"LL"サンチェスが総合優勝。一方敗れた三冠王者コンタドールもその力を見せ、今後が楽しみになる内容であった。
 
 
大会は雨の中で幕を開けた。初日のTTを制したのは優勝候補筆頭のコンタドール(アスタナ)。平均速度50kmオーバーでTT本職のウィギンズを制した走りは圧倒的なもので、そのまま総合争いを優位に運ぶかに思われた。しかし、強風の吹き荒れた第3ステージでは集団が崩壊し、混乱の中でアスタナはアシストが全滅。コンタドールが独り前を追う苦しい展開となり、果敢な走りでステージを制したシャヴァネル(クイックステップ)がマイヨ・ジョーヌを奪取。

続く第4ステージ、早くも次の動きが。ステージは好タイミングでアタックしたヴァンデベルデ(ガーミン)が制したのだが、その後ろでコンタドールとルイスレオン"LL"サンチェス(ケースデパーニュ)、サミュエル・サンチェス(エウスカルテル)のスペイントリオが猛攻を仕掛け、タイム差を大幅に縮める。シャヴァネルは何とか総合トップをキープしたものの、この大会に平穏な「休息ステージ」などないということが明らかになり、後から考えれば重要な1日だった。

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2008年09月27日

●新時代の幕開け、のはずが…… ('08ブエルタ・ア・エスパーニャ)


こないだの日曜日まで3週間に渡って行われていたブエルタ・ア・エスパーニャ2008。今回は今年度ツールの勝者と今年度ジロ・昨年度ツールの勝者、さらにはプロツアーランキングトップの選手まで揃う豪華メンバーの争いとなったが、アスタナのアルベルト・コンタドールがずば抜けた安定感を見せて優勝。わずか14ヶ月間で3大グラン・ツールを制する偉業を達成し、堂々と新時代の幕開けを宣言した、と、誰もが思うはずだったのだが……。


コンタドールの強さは本物だった。

コンタドールについては、その才能や経歴は類い希な魅力を発していながらも、一方でどこかひ弱なイメージがつきまとっていたのも事実である。昨年のツールはラスムッセンの失格による「繰り上げ優勝」でしかも2位のエヴァンスとの差はわずか26秒、今春のジロでも「1週前はビーチでバカンス」と三味線まがいの言い訳を繰り返しながら20Sまでで2位のリッコとの差は4秒しか開かず、本当に強いのかどうか確信しきれないところがあった。

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2008年07月28日

●自転車レースは、チームスポーツなり ('08ツール・ド・フランス)


ここのところ毎年ドーピング関連であーだこーだありながらも、結局いつも観てしまうツール・ド・フランス。今年も「コンタドールもボーネンもベンナーティもいねーよーじゃよー、全然最高峰レースじゃないじゃんよー」などとボヤきながらもやっぱり全部観てしまった。だってー面白いんだもーん(笑)。今回の総合は昨年同様に終盤までもつれ、僅差をTTで争う展開となったが、CSCの苦労人サストレが見事マイヨ・ジョーヌを獲得した。


サストレの優勝は、「チーム力」と「経験」の賜物と言って良いだろう。

まず、チーム力。終盤の山岳、特に超級3つの並ぶ第17SでCSCの示したチーム力はまさに「圧巻」の一言だった。フォイクト、アルヴェセン、オグレディ、カンチェラーラ、そしてアンディ・シュレク。他のチームなら普通にエースに収まって不思議ではない実力者たちが引いて引いて引きまくって……まるでマシンのようだった。気がつけばバルベルデもクネゴもヴァンデヴェルデも、時にはメンショフさえもが後方に取り残されていた。

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2008年07月05日

●またまたツール前夜祭に行ってきたヨ!


毎年恒例のJSPORTS「ツール・ド・フランス前夜祭」。またまた抽選が当たったので、3年連続で行ってきた。今年は6倍以上の競争率だったとか。我ながら変なところで運がいい。


会場はHUB六本木2号店昨年のOVEに比べると狭さは否めないが、ビールや飲み物は飲み放題だったし、食べ物も「軽食」と言いながら充実していた(ちまき美味しかった……)し、会費2000円でこれはちょっとありがたいな、という感じだった。ただ、僕はカウンターに寄っかかってみていたのだけれど、そこからだとトークの3人が仮設スピーカーに隠れがちだったのがちと残念。せっかくの生クリリンなのに~(笑)。

今回の出演者は今中大介さん、栗村修さん、Sachaさんというおなじみのお三方。ツール開幕が迫って栗村さんハイになっちゃったらしく、始まった時にはビール飲み過ぎでベロベロに酔っぱらってやんの(笑)。前半、当日行われたばかりのチーム・プレゼンテーションを見ながらのトークではツァベルが映ると「寿司職人!」を連発し、今中さんたちの喋りをさえぎってまでイサシに関する思いを熱く語るなど、いつも以上の暴走ぶりが笑えた。

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2008年06月05日

●柳の強さ、あるいは納豆走法の勝利 ('08ジロ・デ・イタリア)


2008年のジロ・デ・イタリアは昨年の三大ツール覇者が揃い、また展開的に接戦が続いたこともあり、なかなかの盛り上がりようだった。結果は、ツール・ド・フランス王者のアルベルト・コンタドールが地元の新鋭リッコを僅差抑えての優勝、名実ともに自転車レース界のトップに躍り出た。コンタドールの所属するアスタナはドーピング問題のあおりを受けて1週間前まで出場が決まっていなかったという経緯を考えれば、これは驚くべき勝利でもあった。


今回のコンタドールは結局ステージ優勝なしということで、たとえばツール連覇中のアームストロングや06年ジロのバッソなどと比べると破壊力やインパクトにおいてやや見劣りするのは否めない。ただ、本人もレース後に語っている通り「1週間前までビーチでバカンスを楽しんでいた」ことを考えればそれもやむを得ないことなのかもしれない。むしろ、3週間という期間を利用して巧みに帳尻を合わせていったスマートさを讃えるべきなのだろう、と思う。

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2008年04月15日

●パーフェクト・レース ('08ツール・デ・フランドル、'08パリ~ルーベ)

先週今週と、日曜の夜は、JSPORTSでサイクルロードレース「北のクラシック」2連戦をまったり観戦。最近は色々と生放送されるようになったワンデーレースの中でも、この2つ、すなわちツール・デ・フランドルとパリ~ルーベはダントツのお気に入りである。ステータスの高さゆえに選手の質やモチベーションが抜群というものあるが、やはり笑っちゃうほど過酷なコース設定が面白くてたまらないのだ(走っている方は別の意味でたまらないだろうが(笑))。


先週の日曜日はツール・デ・フランドル。相変わらずの石畳急坂に加え、小雨や小雪が降ったかと思えば数分後には強い日差しが降り注ぐ天候の目まぐるしさ。展開的には、ど本命のクイックステップが盤石のレース運びを見せた。アシスト(しかしベルギーチャンプ)のデヴォルデルを常に前へ先行させ、ボーネンは好位で力を温存しつつ、激坂区間になると脚力にものを言わせてジャンプアップ、の繰り返し。ボーネンは久しぶりに王者のオーラを漂わせていた。

で、結果はやはりクイックステップの完勝。ただし、優勝はボーネンではなかった。クイックステップはボーネンへのマークを利用する作戦を採用、終盤の勝負所の手前でデヴォルデルがアタックをかけ、ボーネンは追走集団にとどまって睨みをきかす。それまでにもさんざん仕事をしていたはずのデヴォルデルは驚異的な粘りを発揮し、フレチャらの追撃を振り切って見事逃げ切り。後方でそれを見届けたボーネンの派手なガッツポーズが印象的だった。

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2007年07月31日

●思わず絶句の日々 ('07ツール・ド・フランス後半戦)

今年のツール・ド・フランス後半戦は、慌ただしかった前半戦が無風状態に思えるほどの荒れ模様に。優勝候補が次々とドーピング絡みの不祥事によりレースを去っていく展開は、ある意味オペラシオン・プエルト&ランディス陽性で無茶苦茶だった昨年にも劣らない、まさに「2年連続で最悪のツール」。いや、極東のファンはいったいこれらをどう受け止めればいいのやら。


序盤の落車&負傷で同情を集めていたヴィノクロフは第13S個人TTでダントツの優勝、翌日の大ブレーキで優勝争いからは脱落したものの、第15Sで再びステージを制するなど大いに気を吐いた。……と、ファンを喜ばせたところで、なんとヴィノのドーピング陽性反応によりアスタナはチームごとツール撤退。昨年の開幕前日に「Basso OUT」の文字を見た瞬間と同様、奈落の底に突き落とされた気分になった。

で、その後はラスムッセンとコンタドールの丁々発止の戦いで盛り上がったものの、今度は第16Sの優勝によりマイヨ・ジョーヌを確かなものにしたかに思えたラスムッセンがドーピング・コントロールにおける所在地の虚偽申告でツールから排除……。おまけに(と言っては失礼だが)モレーニのドーピング陽性でコフィディスもチームごと撤退。なんか、もう、底の見えない恐ろしさとでも言おうか。「ホントに最後までやるの?」という。

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2007年07月20日

●ヴィノクロフの涙に、涙 ('07ツール・ド・フランス前半戦)

今年も観てますツール・ド・フランス。いやあ、やっぱり楽しい。なにしろ昨年は開幕前日に優勝候補の2人がドーピング疑惑で排除、おまけにミラクル優勝を果たしたかと思われたランディスがやはりドーピング陽性と、スッキリしないどころか「もうどーでもいいや」という展開だったから(繰り上がり優勝?のペレイロ君は素敵だったけど)。ペタッキが出られないのは残念だけど、昨年に比べたらもう……。とりあえず第10ステージまでの感想。


プロローグと第1Sのイギリス開催は新鮮だった。これは昨年の忌まわしい記憶を振り落とし「新しいツール」をアピールするのにもちょうど良かったように思える。特にプロローグは、快晴のロンドン中心街を次々に高速で駆け抜けていくエキサイティングなもので、個人的にも3年前のロンドン旅行の記憶をなぞることができてとても楽しめた。あわやバイクに追突するスピードを見せたカンチェラーラもマーベラス。

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2007年07月07日

●ツール前夜祭に行ってきたよ!


抽選に当たったので、昨年に引き続き「ツール・ド・フランス前夜祭」に行ってきた。


会場は外苑前から歩いて10分ほどの住宅街にある自転車をモチーフにしたカフェ(?)「Life Creation Space OVE」。形式はオールスタンディング。昨年の会場だったアップリンクファクトリーも良い雰囲気だったけど、飲み物片手に出演者に近い場所で楽しめる今回の方がより気楽でいいかも。最初は上左の写真のように人がステージに押し寄てしまったのだが、そこはさすが日本人というか、呼びかけ一発で即座に体育座り、整列(笑)。

開始前にギネスを飲んでいたら、「村田さんですよね?」と声をかけられた。このKさんという方、ありがたいことに本ブログの読者とのこと。「昨年のドーピング問題以降自転車の話題が全く書かれなくなっていたので、興味を失っちゃったのかと……」。いえいえ、そんなことはないんですけどね。FC東京と同様、試合は観ているし色々思うところはあるのだけれど、どうも書きづらい状況で。一段落ついたらまた書きますよ……って、その一段落がいつになるのやら。

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2006年10月31日

●大山鳴動して……

ネズミ一匹すらもなし。

バッソや全ライダー開放 オペラシオンプエルトの結末は「無」


えーい、腹立たしい。こんなに腹立たしいのは久しぶりだ。まったく、ツール・ド・フランス直前のあの失望はいったい何だったんだ。

ジロ・デ・イタリアを圧勝してツール優勝最有力候補と目されながら、出場さえできなかったバッソ。ツール・ド・スイスを見事制して上り調子、「今度こそ来るか」と思われたのに、やはり出場できなかったウルリッヒ。今年はポスト・ランスの年として、ファンとしては7月のツールをひっじょ~~に楽しみだしていたのだが……。

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2006年09月26日

●UCI世界自転車選手権2006

JSPORTSの録画で、UCI世界自転車選手権2006男子ロード。サイクル・ロード・レースの世界王者を決する戦いは、265kmの長丁場。序盤の逃げから中頃でのプロトン加速→合流、終盤のアタックの連続と、さすがに目まぐるしい攻防が繰り広げられた。勝ったのはパオロ・ベッティーニ。ここ数年「失敗」続きだったイタリアが、待望のアルカンシェル獲得である。


ベッティーニの優勝自体に驚きはない。2度のキツい上りを含んだ周回コース、頻発するアタック、そして少人数でのゴール・スプリント。まるで彼に「勝ってください」と言わんばかりの展開だったのだ。ビックリしたのは、ゴールした後のベッティーニとチームの喜び方。泣いて叫んで抱き合って……ツール優勝より嬉しそうなくらいじゃないか!「これです。これが世界選手権なんです」との栗村さんのコメント通り。なるほど特別なレースなのね、と納得。

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2006年09月20日

●'06ブエルタ・ア・エスパーニャ

遅まきながら、先日3週間に渡って行われていたブエルタ・ア・エスパーニャの感想なぞ。ドーピング・スキャンダルの激震に揉まれた今年のグラン・ツール。締めくくりのブエルタは、まさにそのスキャンダルの渦中にあったアスタナのヴィノクロフが逆転優勝を遂げるという劇的な展開に。まったく、これだからまた、見逃せなくなっちゃうじゃないかよー(笑)。


正直なところ、途中までは熱心に観る気にならない大会だった。ただでさえ3大ツールの中では最もショボい印象がある上に、ツール・ド・フランス後のウンザリする騒動、そして優勝候補の少なさ。そりゃステージ優勝は毎日違う顔ぶれで、そういう意味では面白かったのかもしれないが、総合争いはバルベルデのリードで「無風」の雰囲気だったし。

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2006年07月31日

●なんて素敵な笑顔なんだ ('06ヴァッテンフォール・サイクラシックス)

さて、気を取り直して自転車ロードレースである。


昨晩は、JSPORTSでクラシックレース後半戦第1弾、ヴァッテンフォール・サイクラシックス。ツール・ド・フランスが終わってからわずか1週間。最初は正直「もう始まっちゃうのかよ…」という感じだったが、始まってしまえばロードレースはやっぱり面白いもの。出入りが多く忙しい展開から、ゴール前の大激戦へ。

久々に観るワンデー、それもツールの間お休みしていた選手たちが多く出ているということで、やはりスピード感が違った(狭い道が多いせいもあったか?)。とにかく集団は高速、にも関わらずアタックをかける選手が続出して、気を抜く暇もない。3度目のヴァーゼベルクの後で飛び出したジルベールとヴェーグマンが潰され、その後6人の逃げも形成されたがこれもあっさり吸収、勝負はスプリントに。

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2006年07月18日

●アルプスは王者誕生の地となるか ('06ツール・ド・フランス第13~第15ステージ)

あっという間にピレネーも越してしまい(つーか山らしい山は11Sだけだったな)、勝負のアルプス(15~17S)を前にひと休みか…と思っていたところで大きな動きが。「おお、いよいよ始まったぞ!」という感じである。


第13ステージ。230kmの長丁場。フォイクト、ペレイロ、シャヴァネル、クインツィアート、グリブコの5人が飛び出し、ノンビリペースで進む大集団を尻目に、超大逃げが決まった。残り20kmくらいからは5人の中での駆け引きが繰り返される。ここで目を引いたのが、34歳フォイクトの老獪さ。ペレイロと巧みに連携して残りの「若い奴ら」を徐々にふるい落とし(ここら辺については、市川さんの解説が実にわかりやすかった)、最後はスプリントでペレイロに先着して優勝。お見事!である。

そして、フォイクトとペレイロが6位以下につけた差は実に約30分!29分近くあった遅れを一気に取り戻したペレイロは総合でトップに立った。ペレイロと言えば、昨年の「サンドイッチくわえたまま崖下落下事件」(笑)でてっきり「ネタ系」と思っていたのだが、やるときゃやるのお。一方、マイヨ・ジョーヌを失ったフォナックは「体力温存作戦」だったそうが、それにしてもヘナチョコではないか?ディスカバリーやCSCと比べちゃいかんのかもしれんが…。

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2006年07月14日

●「本命」なき静かなるピレネー ('06ツール・ド・フランス第10~第12ステージ)

さて、いよいよ山岳ステージの開始である。とはいえ、栗村さんが盛んに強調していたように、この時点では誰が有力でどういう展開になるのか全く読めない。そりゃそうだ、バッソもウルリッヒもマンセボーもバルベルデもいないんだから。


第10ステージ。JSPORTSが6時間もの生中継を敢行(途中の解説陣の補給食はたこ焼き(笑))。逃げの試みが連続する序盤は、普段は観られない場面だけになかなか面白かった。次々に仕掛ける逃げ選手と集団をコントロールするTモバイルの駆け引き。ほとんどのアタックは失敗に終わるのだが、ある時ふとしたタイミングで逃げが成功する。結局、この日は逃げ切りの展開になった。サッカーと同様、「無駄走り」が重要なんだね。

それにしても、「本命」不在の影響か、各チームの戦いぶりは手探り状態が続いている様子。Tモバイルはさんざん集団を引いたあげくに成果なしだわ、マイヨ・ジョーヌが先頭を引く場面はあるわ、ディスカバリーは地味なチームに成り下がってるわ、アルカンシェルがボトルを運んでるわ…って、最後のは単にボーネンがいいヤツだからか。結果、アグリチュベル(非プロチーム)のメルガドが優勝で、AG2rのデッセルが総合トップに立つ波乱。大勝負は明日からか?

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2006年07月12日

●トム・ボーネンの苦闘 ('06ツール・ド・フランス第4~第9ステージ)

お隣ドイツでW杯が盛り上がっている間も密かに(?)続いていたツール・ド・フランス。ピレネー山脈まで連続する平坦コースは、ポイント賞の大本命ボーネンがもがき続ける展開となった。


第4ステージは、またマキュワン。圧倒的な加速力でダントツの勝利!なんか、ステージレースのゴールスプリントでこれだけ大差がつくのも初めて見たような。最後のカーブで発射台のアシストが外れた瞬間、あっという間の加速で抜け出していた。ハスホフトもボーネンもぜ~んぜん届かず。まだまだ「格が違う」ということなんだろうか。「マキュワン先生」だな。

ボーネンは5着。いい感じでアシストに引っ張られてたのに、最後失速して一気に順位を落としてしまった。どうも今回、爆発力もイマイチだけど、脚の使いどころの感覚が狂ってるように見えるんだよね。マークされる立場なのと、あと多少慌て気味でもあるのだろうか。守りたかったマイヨ・ヴェールを失う一方でマイヨ・ジョーヌにとどまったのは、ちょっと皮肉。黄色は似合わないぞ…。

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2006年07月04日

●'06ツール・ド・フランス序盤戦

せっかくの「ポスト・ランス」の年だというのに、ウルリッヒ・バッソ・ヴィノクロフを欠く寂しいメンツのツール・ド・フランス。でも、何だかんだ言って、家に帰ればやっぱりJSPORTSの中継に見入ってしまうのであった(笑)。まあ、中毒ですから。さすがに今回は全部は観られなそうだし。


プロローグはなんとハスホフトが優勝。これは意外な…。「スプリンター」に分類される選手なのにね。ただ、彼の場合は逃げも上りもスプリントも器用にこなせる代わりに爆発力に欠けるところがあるから(マイヨ・ヴェールを獲った去年もステージ優勝は無し)、「短いTT」なる中途半端な条件で勝ったのは、言われてみれば「なるへそ」かも。

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2006年06月30日

●ツール・ド・フランス終了…

ウルリッヒ&バッソ、ツール・ド・フランス不出場決定 (BBC)
 
 
な、な、な、なにいぃぃぃぃいいいいいいい!!


そんな、あーた、せっかくの「ポスト・アームストロング」の年にウルリッヒとバッソが出られないって…どーゆーことよ?!

ドーピング疑惑……しかも本人が否定してても血液検査でシロでも、ドーピングに関わった医師と接触していたっつーだけの理由で即座に排除、か……。恐ろしい話やね。

一昨日あれほどイベントで気持ちが盛り上がったのに……どうしよう……ボーネンのマイヨ・ヴェールだけを楽しみに流し観することにするか……。

2006年06月28日

●ツール・ド・フランス開幕直前イベント


夜、渋谷のアップリンクで「ツール・ド・フランス2006開幕直前イベント」。にわかファンなれども昨年来ベタ惚れ継続中の身としては、いくらW杯中とはいえツールのイベントを無視するわけにはいかん!ということで言ってまいりました。開場10分前に到着すると既に行列ができており、その中には東すか編集部のKeiko先生とそのお姉様の姿も(「多分いるだろうな」と思ってたら、やっぱりいた(笑)。席取りサンクスです)。

昨年のツールのダイジェスト映像(これがまた音といい画といい、とにかくカッチョ良いのだ)が流れた後、Saschaさん、今中大介さん、栗村修さんとお馴染みのJSPORTS軍団が登場。Saschaさんは背が高くて愉快なお兄さん、という感じ。今中さんは引き締まった体で「精悍」そのものの印象。栗村さんは…見た目は「物静かな青年」だけど、こういうタイプが実はとんでもない、というのはよくある話だ(笑)。

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2006年06月07日

●それを自転車レースでは「アシスト」と呼ぶ

「サッカーというのは、バランスを保つために水を運ぶ役割をする選手が必要」( J's GOAL )


当たり前といえば当たり前すぎるくらいの事なんだけど、一部では次期代表監督とも噂される名将イビツァ・オシムの言葉となると重みが違うよな、重みが(笑)。

ここでオシムの言う「水を運ぶ役割をする選手」とは、前にサッカーマガジン(だっけ?)のインタビューで名波が言ってた「コマネズミ」の事だろう。エース級の選手を生かすために、汗をかきまくって献身的な役割を果たせる選手。野球で言うところの2番打者。サイクルロードレースでは「アシスト」。確かに、それは必要に違いない。

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2006年06月02日

●J1お休み中の主なスポーツ

6/4(日)              日本×トンガ(ラグビー)
6/4(日)              安田記念(競馬)
6/4(日)              日本×マルタ(サッカー)
6/9(金)~6/23(金)     W杯予選リーグ(サッカー)
6/10(土)~6/18(日)    ツール・ド・スイス(自転車)
6/11(日)             日本×イタリア(ラグビー・現地観戦予定)
6/12(月)             日本×オーストラリア(サッカーW杯)
6/14(水)             ヤクルト×日ハム(野球・現地観戦予定)
6/17(土)             サモア×日本(ラグビー)
6/18(日)             日本×クロアチア(サッカーW杯)
6/22(木)             日本×ブラジル(サッカーW杯)
6/24(土)             オールブラックスジュニア×日本(ラグビー)
6/24(土)~6/27(火)     W杯決勝T1回戦(サッカー)
6/25(日)             宝塚記念(競馬)
6/30(金)・7/1(土)      W杯準々決勝(サッカー)
7/1(土)              日本×フィジー(ラグビー)
7/1(土)~7/23(日)     ツール・ド・フランス(自転車)
7/4(火)・7/5(水)       W杯準決勝(サッカー)
7/9(日)              W杯決勝(サッカー)
7/19(水)             アビスパ福岡×FC東京(J1第13節)


………なんだ、全然「お休み」じゃないじゃん、俺(笑)。

2006年05月30日

●アシスト、万歳!!

月曜日の晩。11時前に帰宅して遅い夕飯を食べ終わり、いつものようにJSPORTSをつけてみると、当たり前だが自転車レースはやっていなかった。野球好きだった子供の頃にナイターのない月曜日は、妙につまらない夜だったのをふと思い出した。つーか、もはや中毒ですな、これは(笑)。


結局ジロ・デ・イタリアは全部観てしまった。自転車レースはムチャクチャ面白い、というのは最初からだが、観るたびにその面白さが増しているのだからたまらない。昨年からツール、ブエルタ、ジロと一通り観て、もちろんまだまだ「観る目が付いた」なんてとても言えないのだけれど、個人競技としてのみならず、団体競技としての魅力が分かるようになってきた(ような気がする)ことが大きいのだと思う。

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2006年05月29日

●大団円 ('06ジロ・デ・イタリア20S・21S)

19Sでガラーテに勝利をプレゼントしたフォイクトのコメントが良かった。「僕はずっと前を引かなかったから、勝利には値しなかったんだよ」。フォイクトは後方のバッソを助けるために逃げ集団でも前を引かず、ガラーテと一騎打ちになってからも先頭交代に積極的ではなかった。だから…というのはまことに筋の通った話。フォイクトの男気、そしてCSCのくそ真面目と言っていいほどの実直さ。ガラーテもフォイクトを讃えていたようだし、なんと気持ちのいい男たちなんだろう!


第20ステージ。「チマ・コッピ」(その年一番の難所)パッソ・ディ・ガヴィア、1級山岳モルティローロ、そして山頂ゴールと、難所続きの最後の山場。「チマ・コッピ」を越えた時点で既に先頭集団は総合上位のみとなり、モルティローロの山頂ではやはりというかバッソとシモーニの一騎打ちになっていた。グティエレス・クネゴ・ピエポリ・サヴォルデッリが切れ切れになりながら後を追う。今回のジロを象徴するような光景。そして、残り5km、ついにバッソがペースアップ。

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2006年05月26日

●バッソ盤石 ('06ジロ・デ・イタリア第17S~第19S)

第17ステージは大荒れの天気の下でのレースとなった。本当ならば最大高低差2000m近く、1級山岳に山頂ゴールという超難関コースでの勝負になるはずが、ふりしぶく雨や雪、そして寒さとの戦いに。1級のエルベ峠は迂回、そしてゴール前の上りも5km短縮。それでも選手たちは一様にキツそうな表情を浮かべ(バッソ除く)、上りに差しかかると脚色は確実に鈍った(バッソ除く)。

最後はバッソとピエポリの一騎打ち。で、13Sに続いてピエポリが優勝。コース短縮のせいでカーブを曲がってすぐのところにいきなりゴールがあって、「あれもう終わり?!」と思った瞬間にたまたまピエポリが前にいたという(笑)。まあ、ピエポリは総合争いには関係のない選手だから、バッソも全然無理するつもりはなかったろうし、2人とも望むべきものは手に入れた、ということなのだろう。

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2006年05月23日

●人気者の笑顔、そして「王冠が見えた」 ('06ジロ・デ・イタリア15S・16S)

第15ステージは最後の平坦。逃げの4人を集団が泳がせてコントロール…と展開もまた平坦だった(でも道中、栗村さんの34歳話は楽しかった)のだけれど、残り30kmを切ってからの集団の追い上げは見応えがあった。クイックステップ勢を中心に10人くらいが先頭交代を繰り返してグングンとスピードアップ。ここのところ上りの踏み合いやバラけた下りの走りを見慣れていただけに、この集団走行はかなりの迫力。選手たちが次々と風のように駆けていく。

そして集団は猛スピードのまま逃げを呑み込んで、濁流のようにゴール・スプリントへ。勝ったのはベッティーニ。早め先頭からわずか数cm差押し切る。ペタッキリタイア後のミルラム・トレインを利用するヤドカリ戦法(笑)が実を結んだ、というところか。先日は勘違いのガッツポーズで失敗しただけに、恐る恐る手を挙げたところがまたお茶目。イタリア人たちも大歓声!人気者が勝つと雰囲気が明るくなっていいね。ちなみに、彼も74年生まれだ(嬉)。

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2006年05月22日

●'06ジロ・デ・イタリア第11~第14ステージ

休息日を挟んだ第11ステージは、50kmの個人TT。ここまでタプタプのお腹を揺らしながら「調整~調整~」って感じで流し気味だったウルリッヒがついに本気発動。圧巻のスピードで超絶タイムを叩き出し、文句なしのステージ優勝。これならツールには間に合うな…。そして、その彼と28秒差の2位をゲットしたのは、やはりというかバッソ。こちらもライバルたちに大きな差をつけるスーパーラップ。

このレースを観て、今さらながらよくわかった。去年のツールでバッソ(2位)とウルリッヒ(3位)が「何もできずに」完敗したのは、彼らの力が足りないんじゃなかったんだ。ランス・アームストロングが凄すぎたということだったんだ。むしろ、あの表彰台の3人は別格だったんだ、と。

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2006年05月16日

●'06ジロ・デ・イタリア第7~第10ステージ

さて、ジロも序盤戦から中盤戦に差しかかり、山岳ステージもチラホラと現れてきた。ペタッキのリタイアによりスプリントははマキュワン独走態勢なので、早々と山岳に入ってくれるのはいいね(というより、そういうコース設定だからこそスプリンターがあまり出ていないのだが)。まだ数人だけの勝負、というほどではないけれども、タイム差はついてきた。


第7ステージ。最初の山岳。序盤からシェイリングス(コフィディス)が逃げ、数人の追走集団が追いかける展開。シェイリングスは追走集団に呑み込まれたものの、ペースアップしたメイン集団が後方に迫った残り数kmで同じコフィディスのヴェルブルッヘが爆発的なアタック。一気に逃げ切って見事ステージ優勝をものにした。勇気のある仕掛けは気持ち良し。ゴール前の急坂を1人「おいしょおいしょ」とこぐ姿には思わず拳を握りしめてしまった。おめでとう!

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2006年05月12日

●'06ジロ・デ・イタリア第4~第6ステージ

大方の予想通り(笑)、毎晩ジロを見続けている春の夜長である。別に暇している訳ではない(むしろ仕事はかなり忙しい部類)なのだが、夜の10時半とか11時に帰るとちょうど中継がいい所になっていて、結局そのまま見続けちゃうんだよね。もうこうなっては仕方がないのである。火曜日のキリンカップも録画かけるの忘れちまった…。


第4ステージ。平坦。コースばかりではなく、展開も実に「平坦」だった。なぜかハイテンションの解説・市川氏の声ばかりが響く。5人の逃げを集団が余裕でコントロールし、残り15kmで捉えてゴールスプリント。マキュワン!ペタッキがリタイアしてしまったので、残る唯一の「キング・スプリンター」としては貫禄勝ち、といったところか。僕の応援するベッティーニはまた2位だった。いい感じでマキュワンの背後に付けていたのだけれど、ゴール前で前が塞がって…あと一歩が続くなあ。

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2006年05月08日

●'06ジロ・デ・イタリア開幕っす

今年最初の「グラン・ツール」ジロ・デ・イタリアが土曜日から始まったのだが、なにしろ今回からJSPORTSが全ステージ生中継ということで、まったくエライコトである。大体1ステージの放送が3時間くらいあるから…全部で30時間以上か…。せいぜい週1回開催のワンデーレースをフットボールに喩えるなら、ステージレースは野球というところか。毎日やってるから集中して見入るというほどでもないけど、でも結局テレビはつけてダラダラ見てしまう(笑)。


第1ステージは顔見せ的な個人タイムトライアル。昨年王者のサヴォルデッリ(ディスカバリー)がスペシャリストたちを押さえて優勝、という意外な結果に。サヴォルデッリは試走もしていなかったそうだが、見ている方が怖くなるくらい攻めに攻めてスーパーラップを叩きだした。実況の白戸さんも大興奮。もっとも、表彰台でのはしゃぎぶりなんかは「ちょっと地に足が着いていないのでは?」という印象でもある。バッソやクネゴといった他の優勝候補もいい位置に付けているし、ま、これからっしょ。

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2006年04月24日

●'06リエージュ~バストーニュ

昨日の夜は半分居眠りしながらJSPORTSでUCIプロツールリエージュ~バストーニュ~リエージュ。春のクラシックシリーズ最終戦、ということになるのかな?レース自体も実力者のせめぎ合いで白熱したが、ジロ・デ・イタリアの前哨戦という意味でも面白かったように思う。

レースは、散発的な逃げのほとんどが不発に終わり、大集団のまま終盤の勝負所へ突入する展開。残り30kmを切ったところ(だっけな?)で善戦大将ボーヘルト(ラボバンク)がいいタイミングでアタックをかけ、ロドリゲス(イリス・バリアレス)と協調態勢で逃げる逃げる。栗村さんの大応援にも背中を押された(笑)ボーヘルト、ついにやったかと思えたのだが…。

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2006年04月16日

●'06アムステル・ゴールドレース

夜、JSPORTSでUCIプロツールアムステル・ゴールドレース。まだまだ続く春のクラシックシリーズ、今週はオランダで行われる唯一の(?)大レース。30以上もの小高い丘が連続する、おそらく見た目以上にハードなコースでの仕掛け合い。結果は、意外と言えば意外なものだった。

全般的には、ラボバンク勢、Tモバイル軍団、ベッティー二(クイックステップ)ら優勝候補の入った集団がレースをコントロール。次々に生まれる逃げも、適度に泳がせてはそのほとんどが潰されることに。勝負所の最後の6つの丘に突入して集団が10人程度まで絞られ、残り15kmでベッティーニがアタック、単騎逃げのウェゼマン(Tモバイル)に追いついた時には、平凡っちゃ平凡な展開ながら「これで決まった!」と思ったのだが…。

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2006年04月09日

●'06パリ~ルーベ

夜、JSPORTSでサイクルロードレースパリ~ルーベの生中継を観る。ツール・ド・フランドルに続く「北のクラシック」。断続的に石畳の路面が続く点では先週と同様だが、しかし今日の方が平坦・高速でしかも砂埃が凄まじく、より危険な印象。実際落車が何人も出て、優勝候補のヒンカピーなんて振動でハンドルが折れて(!)転倒→負傷リタイア。カメラもグラグラと揺れまくり、観ているこちらもクラクラするほど。まさに狂気の沙汰である。

そんな難レースを制したのは、CSCのカンチェラーラ。最大の難所アーレンベルグできっちり先頭集団に生き残り、残り5つめの石畳ゾーンで意表を突くアタック。他の選手がボーネンに気をとられている隙にグングン差を広げ、そのまま残り10数kmを独走することに。自らの特長(タイムトライアルのエキスパート)を最大限生かす展開に持ち込み、終わってみれば2分近い差をつける快勝となったのだった。いや、これは強かった!

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2006年04月05日

●'06ツール・ド・フランドル

日曜日の夜、JSPORTSでツール・ド・フランドルを観た。20時から24時まで実に4時間の放送、しかも生中継!さらには、4月中にあと3つのワンデーレースを生中継するという。さすがはスポーツ専門チャンネルの面目躍如と言えよう。実況のSaschaさんや解説の栗村さんがやたら興奮していたのも頷けるぜ。

4時間の放送と聞くと、フットボールファンなんかは「長っ!」と思って敬遠するかもしれない。でも、そこがいいのよ自転車は。スポーツにはそれぞれ固有の観戦のリズムがあるものだが、自転車ロードレースのそれは「まったり」。ワンデーはステージレースより見せ場が多いとはいえ、それでも時間の過半は逃げと大集団との(一見)のんびりした追いかけっこ。だからこそ、短い勝負所(アタックやゴールスプリント)がより引き立つのである。JSPORTSの場合は「まったり」時間の雑談も楽しいしね。

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2005年11月15日

●'05ジロ・デ・ロンバルディア

JSPORTSの録画で、UCIプロツールジロ・デ・ロンバルディア。プロツール最終戦、同大会100周年記念のレースは、チューリッヒ選手権の好調を維持したベッティーニが今季2勝目を飾った。「遅れてきた実力者」が終盤ようやく力を見せてくれたことで、シーズンが締まった感じで終わってメデタシメデタシといったところか。

終盤、有力選手4人の凌ぎ合いとなり、入れ替わりながら狭い狭い道を高速で駆け抜ける戦いは実に見応えがあった(つーか、コースアウトしたら死んじゃうよ!)。アタックの応酬。シモーニやシュレックも思い切って何度か仕掛けたけれど、後続を振り切るには至らず、スプリント勝負に。こうなるとマルチな能力が強みを発揮する。で、ベッティーニが的確なタイミングのスパートで1車身抜け出してガッツポーズ。うーん、さすが。

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2005年11月01日

●'05パリ~ツール選手権

JSPORTSの録画で、UCIプロツールパリ~ツール選手権。今シーズンのプロツールのラスト前、平坦コースとしては最終となるレース。生きのいい逃げと集団の懸命な攻防、ゴール前での息を飲む大スプリント、そして今季勝ちきれなかった古豪の復活。なかなかに面白いレースであった。当たり前かもしれんけど、やっぱワンデーの方が密度は濃いやね。

序盤から残り45kmほどまでは3人の逃げに対して集団が徐々に差を詰めていく展開。放送に映っていない間のほとんどを逃げていた逃げグループだったが、割とあっさり「ご苦労さん」という感じで捕まり(ここら辺はちょっと切ない光景ですな)、一旦はレースが落ち着く。が、終盤になると、短い坂と細く曲がりくねった市街路を利用したアタッカーの仕掛けが多発。

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2005年10月26日

●'05チューリッヒ選手権

JSPORTSの録画で、UCIプロツールチューリッヒ選手権。シーズンも終盤。有力選手たちが来季に備えて休養に入り始め(ってことなんだろうな)、いささか顔ぶれ的には寂しくなってきたものの、残った選手はまだまだ熱い戦いを繰り広げる。スイスでの伝統のレースは、クイックステップのベッティーニが問答無用の脚力で圧勝。

ベッティーニのワンマンショーだった。40km周回コース(全長は240km余り)の残り1周、第2集団から意表を突くアタック。アシストを連れてもの凄い勢いで上がっていくベッティーニ。邪魔なカメラバイクを追い散らすベッティーニ。先頭集団に追いつきチームメートに「引けやおめえら!」と檄を飛ばすベッティーニ。そして単騎で抜け出して独走するベッティーニ。すげー。ステージレースだとやや中途半端なタイプかもしれんけど、最も「バランスよく強い」のは彼かもしれん。

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2005年10月21日

●'05世界自転車選手権

NHK-BSで世界自転車選手権ロードレース・エリート男子。普段観ているプロツールとは色々と異なる点が多く、今年からのニワカ自転車ファンとしてはなかなか新鮮なテレビ観戦となった(まあ、何事も最初の頃は何を見ても新鮮に感じられるわけではあるが)。

まず、NHKの中継、しかもわずか50分の枠であったこと。昔フジテレビでツール・ド・フランスとかやってた頃は全く興味がなかったので、JSPORTS以外で真面目に観るのは初めてなんである。が、さすがNHK。実況は多少大げさではあったが無難にこなしていたし、解説は今中大介さんだったので全く問題なし。時間の方も、JSPORTSの放送のようなのどかで楽しい雰囲気は残念ながらないけれど、その分ムダがなくて大一番(「世界選手権」だからね、何しろ)の緊迫感がひしひしと伝わってきてグーだった。

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2005年10月09日

●'05ブエルタ・ア・エスパーニャ終盤戦

ブエルタ・ア・エスパーニャ、いよいよ終盤戦に突入。このくらいになると、タイトルに関係のない選手たちが直後の世界選手権に備えて(?)どんどんリタイアしてしまい(16S勝ったばかりのベッティーニまでも!)、ちょっとメンツが寂しくなってきたような。


第18ステージ。今大会最後の山岳ステージだそうな。レース自体最後三つ巴(総合争いにはあんまり関係なし)のアタック合戦になってなかなか楽しかったが、ゴールが昔の城塞都市の中ということで、城壁脇の石畳が勝負ポイントになっていて光景的にも面白かった。アンダルシアの広野とともに、我々の持っている「スペイン」のイメージにぴったりというか。で、その坂をパワフルに上りきってなお足を残していたCSCのセレンセンが勝利。お見事。

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2005年10月04日

●'05ブエルタ・ア・エスパーニャ第12~16ステージ

ブエルタ・ア・エスパーニャ、後半戦に突入。内陸部に戻ってきてまた風景が変わった。緑が少なく、むき出しの茶色の土が目につくように。
 
 
第12ステージ。さほどの峠はなく、総合争い的には平穏なステージ……と思いきや、アクシデント発生。エラス転倒&負傷!一緒にコケたピールは救急車で運ばれる重症、エラスも裂傷を負い、走りながら(!)医者に縫ってもらうはめに。あいや、どえらい事になったねえ。膝を縫ったりしたら(15針だとか…)、影響が出ないはずがないよな。これからどうなるんだろうか。

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2005年09月26日

●'05ブエルタ・ア・エスパーニャ第5~第10ステージ

連夜のブエルタ・ア・エスパーニャ。中継にもツール・ド・フランスほどのテンションの高さはないし、こちらもそれほど真剣に見ているわけではないので、今のところ1ステージにつき平均1回以上の頻度で居眠り(笑)。うつらうつらしながら画面を眺めていると、第5ステージあたりから少し風景が変わってきたような気がする。アンダルシアの赤茶けた荒野から、灰色の岩肌とやや色の薄い木々が目立つように。


第5ステージ。峠を越えてスーッと下ってからのゴールスプリント、今度こそのハスホフトが制してポイントランキングトップに立つ。ツール・ド・フランスを観た限りでは彼はマキュワンやボーネンほどの圧倒的なスプリント能力はなさそうなので、この日のような上り下りから雪崩れ込めるコースは合ってそうな感じではある。

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2005年09月20日

●'05ブエルタ・ア・エスパーニャ序盤戦

始まってしまいました、ブエルタ・ア・エスパーニャ。ツール・ド・フランスと同様JSPORTSで毎日放送(録画だけど)……まったく自転車レースとは、時間を食う魔物である。そして、「また観てるの?」とつれに白い目で見られまくること請け合いなんである。でも観ちゃうんだな、半分居眠りしながらも。

ブエルタを観るのは今回が始めてだが、一目でわかるツールやジロとの違いは、レースの後ろに流れる風景。例年より時期が早まっているせいもあるかもしれないが、とにかく緑が少ない。ツールだとほとんど森や畑、あるいは草原で緑に囲まれながら走っているイメージで、空撮でも綺麗な古城なんかが映ったりするのだが、今回は道の両脇は延々と続く荒野。一応オリーブの木が立ったりはしているのだけれど、その数も少なく、むき出しの土の印象。それで8月の太陽が照りつけて…気温40度にもなるの?うーむ、ハードだ。

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2005年09月04日

●'05クラシカ・サンセバスチャン

JSPORTSで欧州自転車レース「クラシカ・サンセバスチャン」UCIプロツールも後半戦に突入。シーズン唯一のスペイン開催ワンデーレースは、地元スペインの伏兵コンスタンティーノ・サバラ(サウニエルドゥバル)が鮮やかなスパートで優勝。

まだあまり数を観てないのでこれがワンデーレースとして普通かどうかはわからないけれど、とにかく出入りの激しい展開だった。先行集団からいい感じで抜け出していたメンショフが案外早く追いつかれ、集団が割れたり統合したりしているうちにホーナーが1人グンと引き離して、これは行くかと思ったらやっぱりいつの間にか集団に飲まれて、あららと思っていたら今度は全然別の数人が前に飛び出して…。ツール・ド・フランスなんかと比べると中継映像の質も悪く、実況のSaschaも追いつくのに精一杯で可哀想なくらい。まあ、クルクル入れ替わりまくって面白いっちゃ面白かったけれども。

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2005年07月24日

●'05ツール・ド・フランス第20・21ステージ

2005年ツール・ド・フランスもいよいよラストである。さすがにハイテンションで3週間も続いた大会、見続ける方の感慨もなかなか大きなものがあり、まさしくサッカーW杯や五輪と並ぶビッグ・イベントなのだと思い知らされる。


第20ステージ。ジュリクやヴィノクロフの「スーパーラップ」、バッソの闘志溢れるチャレンジ、そしてウルリッヒの超人的スピード。その全てを超越したのが、王者ランス・アームストロングだった。これで文句なし、か。これまでのステージ、ランスは強さを示しつつも一線は越えず、常に優勝の座は譲ってきた(結果として何人もの初優勝者が出た)わけだが、最後はやっぱり自分で締めて花道。違うんだね、この人は、やっぱり。レース後は子供たちに群がられてちょっと苦戦してたけど(笑)。

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2005年07月22日

●'05ツール・ド・フランス第19ステージ

夜、JSPORTSでツール・ド・フランス第19ステージ。快調な逃げ集団、ペース停滞の後方大集団、というのは昨日までと同じ。違ったのは、逃げ集団の後方2分のところに10人ほどの追走集団がいたこと。

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2005年07月21日

●'05ツール・ド・フランス第17・18ステージ

いよいよ終盤戦に入ってきたツール・ド・フランス。いよいよ祭りも終わり近し、という雰囲気でちょっと寂しいね。

第17ステージ。日程中最長の239.5km(ひえ~)。もう総合優勝は見えてきたし、疲れが溜まりきってもう無理したくないということなのか、のんびりクルーズする大集団。一方20人近い逃げ集団はチャンスということでハイペースを維持し、差は20分台後半にまで拡大。ちょっと間延びした感じ。

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2005年07月19日

●'05ツール・ド・フランス第16ステージ

今日は23時半まで仕事。さすがにここまで遅くなると、帰ってから5時間余りの放送をじっくり観るのは不可能だ。

ということで、早送りを駆使しながらツール・ド・フランス第16ステージ。山岳ステージの最終区間。最後の見せ場とばかりに先行集団から、また後続集団からアタックする選手が続出し、せわしない展開に。途中、超級の峠からの下り(急傾斜のカーブが続き、ガードレールは皆無)はかなりのスリリングさ。興味深いシーンが続く。

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2005年07月17日

●'05ツール・ド・フランス第15ステージ

興奮と狂乱(笑)の味スタから帰宅し、祝杯をあげながらJSPORTSでツール・ド・フランス第15ステージ。今日は10人と大人数になったせいもあるのか、逃げ集団が後続を10数分も引き離し、結局「ステージ優勝を狙う逃げ集団内勝負」と「総合優勝を巡る後続集団内駆け引き」という2つのレースに分離した形に。

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2005年07月16日

●'05ツール・ド・フランス第13・14ステージ

第13ステージ。序盤にヴォクレールやフレチャらが飛び出し、いい感じで逃げる展開。しかし、そうはさせじとダヴィタモン・ロットが後続集団を引っ張って次第に差は詰まり、ゴール寸前ついに最後の逃げも飲み込まれて大スプリント大会に。すごく素朴な疑問で恐縮だが、やっぱ平地だと逃げを決めるのは難しいのだろうか?

勝ったのはまたまたマキュアン。集団の脇をスススーッと上がってゴール前で一気に加速、後続も巧みにブロックして完勝、いや楽勝。なんかもう貫禄勝ちというか、ボーネンいなけりゃツールに敵なしである。ダヴィタモン・ロットの思い切った追撃ペースアップが功を奏したレースでもあった。マキュアンみたいなアシスト不要のスプリンターがいるからこそ、ああいう判断になるのかもしれんな。

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2005年07月14日

●'05ツール・ド・フランス第11・12ステージ

第11ステージ。NHK-BSで清水×東京戦を見終えた後でチャンネルを切り替えたら、いきなりフォナックのペレイロがカーブを曲がりきれずにコースから転落して姿を消す衝撃映像が!あまりに突然なんで、びっくりしたなあもう。まあ、特に怪我もなかったようで何よりです。つーか、平気な顔して復帰しとるし(笑)。

勝負の方は、先行集団から抜け出した(というか残りがこぼれ落ちていった)ヴィノクロフが、一旦は納豆走法のボテーロに追いつかれながらもゴール前スプリントを制して優勝。ちょっと小太りのおっさん体型に見えるんだけど、すげえなあ(笑)。ただ、ヴィノクロフは第10ステージで5分以上も遅れちゃってるんで、おそらくこの勝利は総合優勝争いの大勢に影響しないのだろう。

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2005年07月12日

●'05ツール・ド・フランス第10ステージ

夜、JSPORTSでツール・ド・フランス第10ステージ。今回はバリバリの厳しい山岳ステージ…になるんだよね?興味深く観ていたのだが、最初の峠を越えて下ったあたりで夕飯に飲んだビールが効いてきて居眠りしてしまった(笑)。思えば、今まで観てきて、一度もウトウトせず見通したのは数えるほどだな。

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2005年07月11日

●'05ツール・ド・フランス第7~第9ステージ

さすがに週末は生観戦は厳しく、録画で早送りなど織り交ぜながら。

第7ステージ。平坦最後のステージは、これまでと同様逃げが大集団に捕まり、ゴール前大スプリント大会に。勝ったのはマキュアン。ほとんどアシストの助けも借りず、観ている側からはどこにいたのか全くわからないまま前線へ進出。早すぎず遅すぎない絶妙の仕掛けで完勝。さすがマイヨ・ヴェールを2回獲っているだけのことはある。一方、ポイントリーダーのボーネンはスムーズに上がっていけず、ずいぶん無駄に足を使ってしまった印象。ここら辺は経験の差が出た、ということなのだろうか。

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2005年07月07日

●'05ツール・ド・フランス第6ステージ

JSPORTSで、ツール・ド・フランス第6ステージ。ゴール手前1kmのコーナーで抜け出していたマンジャンがスリップして落車、後続集団の有力スプリンターたちが巻き込まれて波乱のレースとなった。マンジャンは地元選手だったんだ……現実は『アンダルシアの夏』のようにはいかないんだね。何ともまあ残酷な、と言いたいところだが、勝ったベルヌッチはこれがプロ初勝利らしいので、単に神様が気まぐれでいたずら好きということなんだろう。

トップのゴール後しばらくして、ともに落車したボーネンとマキュアンが肩を並べ(おそらく集団転倒のシーンについて)話し込みながらゴールしたシーンは、自転車レースの「呉越同舟」的な雰囲気が出ていていい感じ。

2005年07月06日

●'05ツール・ド・フランス第5ステージ

JSPORTSでツール・ド・フランス第5ステージ。等々力でビール2杯飲んでいたし、往復徒歩の疲れもあったので、フレチャたちが逃げてるのを見て「オー頑張ってるな」なんて思いながらついウトウト。つーか、ほとんど寝ていて終盤の落車騒ぎ(歩道に突っ込んだ選手は大丈夫なのか?)でようやく目が覚めた(笑)。

で、最後のスプリント。今日はマキュアンがボーネンを差しきり、2・3ステージの雪辱を果たした。胸を指して「アイム、マキュア~ン!」ポーズには大笑い(いや本当はそんな意味じゃないのだろうけど)。熱いんだなあ。例の頭突きといい、神出鬼没の忍者なんだけど、陰湿な感じでないのがいいね。

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2005年07月04日

●'05ツール・ド・フランス第3ステージ

JSPORTSでツール・ド・フランス第3ステージの生中継を観る。…おっもっしっれ~~!!ルール(というかレースの要領)が分かってきて、少しずつだが選手の名前・顔も覚えてきたところでこの最高にスリリングなレース!なるほど、ハマる人が多いのもよくわかるような気がする。

途中まではいたって平和なレース展開。緑の中に次々表れる古城の風景など楽しみつつ、気がつけばついウトウト(笑)。ところが終盤に入り、様相が一変した。デッケルを中心とする先行3人と集団との差がなかなか詰まらない。デッケルは見事山岳賞を獲得し、なお逃げる逃げる逃げる。差が1分を切ってから10kmくらいは逃げたのではあるまいか?ポルタルと引っ張り引っ張られ、最後は1人になりながらまだ粘る。すげー。残り3kmくらいでようやく捕まってしまうのだが、観ていて大いに燃えたぞ。拍手。

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2005年06月25日

●'05ツール・ド・スイス 第7ステージ

JSPORTSでツール・ド・スイス第7ステージを観る。チームCSCの新鋭、弱冠22歳のドイツ人ゲルデマン君が見事初優勝……って、自転車レースの中継はほとんど観たことがない(確か、1レース通しで観たのは初めてのはず)ので、大会のグレードとかこの優勝がどれくらいの快挙なのかとか、全然わからないのだが。

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