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2007年09月14日

●言葉にならない ('07ラグビーW杯 日本×フィジー)

水曜日の深夜は、JSPORTSでラグビーW杯グループリーグ第2戦。日本 31-35 フィジー。厳しい日程を勝ち抜くべく、ジョン・カーワンの秘策「ダブルチーム大作戦」を決行中の日本代表。初戦はその負の側面(?)が出て豪州に91失点の大敗を喫したが、今度こそは真価の問われる第2戦である。試合は終始緊迫感のある接戦となり、日本は最後まで健闘を見せたものの、結果はわずかに4点届かず。悔しい、実に悔しい敗戦だった。


日本健闘の要因としては、まずFW陣の健闘が挙げられるだろう。特に、大野・トンプソン・マキリ・オライリー・箕内と並んだ第2~3列はおそらく世界のどこに出しても恥ずかしくない強力さ。しばしば密集でボールを奪い取り、スクラムを押し、ゴール前ではラインアウトからのドライビングモールでフィジーを圧倒して2トライをスコアした。W杯でジャパンのFWが相手と互角以上に渡りあったのは、もしかしたら初めてのことかもしれない。

2つめは、粘り強い守備である。個の力で上回るフィジーのBKを一発では倒せないものの、あっという間に二の矢三の矢を浴びせかけ、タックラーのリカバーも非常に速かった。特に前半、大西が膝上に突き刺さるタックルでノックオンを誘発した場面と、右タッチ際で数的不利に陥った場面の有賀の連続タックルには魂が震えた。ラグビーで一番大事なのはタックルである。そして、そのタックルへの集中が最後まで途切れなかったのが良かった。

そう、「最後まで戦えた」こと。これが第3に挙げるべき要素。大会序盤、他にも力の劣るチームが健闘した試合は見られるものの、大抵は最後に「切れて」しまい大差がつくもの。しかし、ジャパンはSHを失うアクシデントにもめげず最後まで食い下がり、あと一歩までフィジーを追いつめた。選手たちの溢れんばかりの闘争心はもちろん、そのスピリットを喚起したこと、2チーム制で大事な試合に体力を温存したこと。JKの功績は非常に大きい。


一方、勝つために足りなかったものは何だろう。まず挙げられるのは、パス攻撃の拙さだろうか。守備は破綻せず、FWの頑張りでボールも奪えていた。セットもまずまず。となれば、もっとチャンスを作っても良かったはずだが……肝心の場面でパスミスが多発、逃げのキックを連発。これはチーム作りの時間が足りなかったのと、「日本の特長はパス攻撃」である時代はとうに終わったということか。トライは個人技とモールで奪ったもののみ。残念だ。

2つ目の要因としては、やはり細かいミスが多かった。そしてそのいくつかは重大な結果を招いてしまった。前半、箕内のパス出しの狂いがFLゲラの独走トライをもたらしてしまった。後半では、有賀のキャッチミス(太陽が目に入ったんだな……)からフィジーの攻撃となり、結果的には痛いトライに結びついた。普通の試合だったら「ドンマイ」といった感じのミスなのだが、ガチのインターナショナルマッチでは致命傷になるということだ。

敗因の3つ目。これは、もう、痛恨としか言いようがないのだけれど、交代出場したSH矢富の負傷退場。フィジーFWに捕まる場面が次第に増えていた吉田からフレッシュな矢富への交代は、チームの活気を蘇らせたように見えた。極端な話、矢富が入って22分に相馬のトライで1点差まで詰め寄った時、「これは勝てる」と思ったものだ。だが、SHがいなくてはラグビーにならない。もちろんその割によく粘ったのは確かなのだが……。


SH不在の混乱の中でトライとPGを許し、11点差まで突き放された時点でおそらく観客も、日本で見ているファンの大半も敗北を覚悟したことだろう。だが、選手とコーチらは全くあきらめていなかったようだ。ここからの最後の踏ん張りこそが、この試合に単なる「惜しい負け」以上の価値をもたらしたと思う。怒濤のドライビングモールからトンプソンのトライ。大西のコンバージョン。4点差。そしてロスタイムに入っても延々と続いた数分間の連続攻撃。

僕は、自分の国の代表があれほどまでの熱い戦いを見せてくれたことを誇りに思いたい。試合後のスタジアムのスタンディングオベーションと「ジャポン!」コールは社交辞令なんかじゃないだろう。中継が終わった時、フットボールを観た後としてはおそらく6年ぶりに、言葉を失ってしまった。悔しかったし、無念だったし、興奮したし、熱くなったし、嬉しかったし……。しかし、ジャパンとは、このように戦うべき存在なのではあるまいか。

この負けを無駄にしてはならない。とにかくあきらめず、粘り強く、勇気を持って「日本の戦い」を続けていくことだ。強化の段階で迷走があり、本番でアクシデントに見舞われたにも関わらず、フィジーとは際どい勝負になったのだ。もっと時間をかけてチームを作れていたら……。こういう戦いを繰り返すことで、これまで見えなかったものが見えるようにもなるだろう。健闘で満足するのではなく、真に勝つための努力を継続することが必要だ。

次は勝利を!!

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コメント

うぐぐ。どんな競技でも自国が負けるとすごくぐやじい。それにしても肉と肉と肉がぎゅーぎゅーしてて(すごく初心者な表現w)、あんなところに梶山入れたら即死んじゃうなって思いました(笑)

各国キャラが立ってて面白いですね。フランスのラスプーチンとか、南アのフラッシュゴードンとか。

>肉と肉と肉がぎゅーぎゅー
わはははは。確かに、サッカーファンの目でラグビーを見るとそう感じるんでしょうね。あと、「グラウンド、せまっ!」とか。

>あんなところに梶山入れたら即死んじゃうなって
いや、案外うまくヌルリと抜け出してくるかもしれませんぜ(笑)。

>フランスのラスプーチン
日本の実況アナは「怪人」とか連呼してましたが(笑)。本国ではどう呼ばれているのでしょうかね。フラッシュゴードン……。

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