« 気の毒なケース | メイン | 哀しき秘密兵器、その名は「風船爆弾」 »

2007年02月05日

●まだ、差はあった ('06-'07マイクロソフトカップ決勝)


昨日の午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ決勝。東芝ブレイブルーパス 14-13 サントリーサンゴリアス。今季日本ラグビー界の覇権を争う両チームの対決は、トップリーグらしからぬ(?)ロースコアの激戦に。どちらが勝っても全くおかしくない展開だったが、東芝が土壇場で底力を見せ、劇的な逆転勝ちで王座防衛。熱い戦いだった。

この試合、なんといっても嬉しかったのは、スタンドが超満員になっていたことである。観客数実に2万3千。社会人の大会で立見も出るというのは極めて珍しい(試合後、富岡は「初めて」と語っていた)。招待券をかなりバラまいていたのかもしれないが、この寒い時期にこれだけの人が実際に足を運んでくれたという事実は素直に喜ばしい。もちろん観客が多ければ、場内の雰囲気、そして試合そのものの印象も断然違ってくるのだ。

 

試合は強風の中で始まった。まずは風上に立った東芝がSO廣瀬やFB立川の効果的なキックで優位に立つ。サントリーはSO菅藤のキックと状況判断の拙さもあり、自陣からなかなか出られない。しかし、東芝にハンドリングエラーが多発したことと、サントリーの「前半は耐える」意識の徹底、そしてLO篠塚の活躍などでラインアウトでサントリーが完勝したことによって、トライチャンスにはほとんど至らず時計が進む。

24分、廣瀬からCTBマクラウドへのパスをWTB栗原が出足よくカットし、そのまま独走してサントリー先制。久々に栗原らしさを見たような気がするトライだった。その後は東芝がLOバツベイやWTBオトを縦に撃ち込む攻撃で反撃し、31分にはマクラウドがパスダミーから一気に駆け抜ける走り(トイメンが2人ともFWであることを見切った好判断!)でトライ。結局同点で前半終了。この時点ではまだ、後半風上のサントリー有利に思えた。


後半、案の定サントリーが攻勢に出るかと思いきや、意外と形勢は傾かず互角の戦いに。風が弱まったことに加え、NO8佐々木、栗原、CTB平と負傷者が続出したのが痛かったか。また、FWの消耗度の差も大きいように見えた。東芝のFWが後半になってもピンピンしていたのに対し、サントリーの方は時間が経つにつれて足が止まってしまう。ここら辺は数年間の「蓄積の差」なのだろうか。大久保直弥がいれば少しは違っただろうが。

11分、サントリーがようやくPGで加点。7-10。そして18分、ライン際を抜けかけた平(?)に対してバツベイがハイタックルの反則でシンビン。おそらくは、ここが勝負の分かれ目だったろう。ゴール前のペナルティでスクラムを選択して攻めたてるサントリー、耐える東芝。ゴールライン間際、あと1m、あと50cm。結果的には、数的優位にも関わらずサントリーは近場にこだわり過ぎたのかもしれない。突進は全て止められてしまった。

37分、ニコラスのPGが決まって6点差。だが、この時点でもうサントリーFWは完全に機動力を失っていた。あとは一方的な東芝の攻勢に。バツベイの突進にWTB吉田や立川への展開が加わってあわやの場面が続く。それでも、有賀やニコラスらの懸命のタックルにより「あと1プレイ」まではしのいだのだが……46分、ゴール前正面の密集からバツベイが斜めに倒れ込むようにしてトライ。悲鳴とも歓声ともつかぬ声がスタンドから溢れ出す。

そして、吉田が逆転のコンバージョンを難なく決めたところで岩下レフリーの終了の笛。なんと劇的な幕切れか。赤いジャージの選手たちが抱き合い跳び上がって喜ぶ傍らで、黄色いジャージが崩れ落ちていった。あまりに明確で、あまりに残酷なコントラストだった。



両チームともに肝心な所でミスが多く、密集近辺での汚いプレーもかなりあった模様。ロースコアの接戦ながら、全体的にはタイトというより粗い試合だったように思う。だが、両チームのライバル意識と大観衆の後押しゆえか、「熱さ」に関しては文句なしだった。意地と意地とが存分にぶつかり合ったゆえの「1点差」だったのだと思う。これもまたラグビー。ケチをつけようと思えばつけられるが、とりあえず前向きに受けとめたい。

実力に関して言えば、ギリギリの勝利とはいえやはり東芝の方が上。怪我人の分を割り引いたとしても、残り20分の底力の差は明白だった。特にFWの耐久力とハーフ・CTBにおける「前の見える」選手の有無(マクラウドは1人レベルが違う!)が大きな差になっているように感じられる。ここら辺は短期間では如何ともしがたいところで、次はサントリーの側に何らかの「仕掛け」が必要になるだろうが……佐々木と栗原の怪我が気がかり。

この日はメインの右寄り前段で観ていたので、試合後の挨拶から表彰式までずっとサントリーの選手・スタッフの様子を目の前で見ることになった。肩を落とすベテランたち。目を赤く泣きはらした有賀。そして悔しさを押し殺した表情で東芝の歓喜をじっと眺める清宮監督。うーむ。彼らやトップリーグの行く末を考えればここで簡単に勝たなかったのは良いことだ、とも思うのだが、やはりこういう姿にはちょっと心を動かされるな……。

トヨタやヤマハも巻き返してくるだろうし、日本選手権がますます楽しみになった。


ちなみに。ハーフタイム時、あまりの人出にトイレ(特に女性用)にえらい行列ができてしまったのだけど、それを目にした真下昇チェアマン(ラグビー協会副会長)の「鶴の一声」で急遽協会のクラブハウスが開放され、かなりのお客さんが試合を見損ねずにすんだらしい。おかげでうちのカミさんもすっかり真下ファンである(笑)。ちなみに、真下チェアマンはかつてのトップレフリーで、「イアン・ウィリアムス奇跡の逆転トライ」「雪の早明戦」等を吹いたことで有名なお人。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2184

コメント

家で見てました。行こうと思ったんだけど、起きたら2時でした。
東芝ばかりが勝つのも面白くないので日本選手権では一泡吹かせてもらいたいのだが・・・

>東芝ばかりが勝つのも面白くないので
確かに。
トヨタは東芝に勝つのは難しいだろうし、サントリーでは「またか」という感じだから、ここはひとつヤマハに頑張ってもらいたいところ。

>>ここはひとつヤマハに頑張ってもらいたいところ。

大物食いのヤマハだけにおもしろそうだね。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)