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2014年12月15日

●たまにはくだけたって、いいじゃない (ウルトラファミリーデー)


国内サッカーシーズンが終わろうとしている週末だけど、フットボール二毛作ファンにはオフなどない!ということで、秩父宮ラグビー場で久しぶりにトップリーグを観戦してきた。何しろサントリー×東芝とパナソニック×神戸製鋼という、そのままプレーオフ準決勝になってもおかしくない好カードだったのである。
 
 
まず第1試合はサントリー 32-16 東芝。前節パナソニックに快勝した東芝が序盤こそ風上の優位を活かしてペースを握るも、前半途中からはサントリーの多彩なパス攻撃が炸裂し、一方的にトライを積み重ねる展開に。終わってみればトライ数5対1という圧勝。東芝は調子がピークを過ぎたのかタックルの甘さが目につき、一方のサントリーは攻撃オプションの豊富さと精度の高さが見事だった。やっぱり強い。


続く第2試合はエキサイティングな展開となった。パナソニック 29-27 神戸製鋼。前半は神鋼がパナソニックのミスを逃さず効率的にトライを積み重ね、後半は気合を入れ直したパナソニックがスクラムの優位を突破口にゲームを支配して反撃。前半が3-27、後半は4トライを連取して26-0(!)。これほどはっきりした逆転劇も珍しい。

後半の神鋼が特段不出来には見えなかったので、前半のパナソニックの方が「らしくない戦い」だったのだろう。にしても、ワイルドナイツの面々はハーフタイムを境にまるで別人のようだった。前半はミスを犯した後のカバーリングが遅く、あっという間にカウンターからトライを献上していたのが、後半はなかなか得点できなくても幾度かターンオーバーされても粘り強く集中力を保ってDFの穴を探し続けた。

そして、田中・堀江のスーパーラグビー勢を中心に、アタッカーが「ここぞ」という場面で見事な機転とコンビネーションを発揮。山田・堀江・ピーターセン・稲垣と4トライを畳み掛け、終了間際に攻め込まれた場面でも素晴らしいカウンターラックで得点を許さず、ついに逆転勝ちを収めた。何というか、力の集中させる勘所をよくわかっているというか、ウイニングカルチャーとはこういうものか、という勝ち方だった。
 
 
この日の2試合だけを見ると、やっぱりパナソニックとサントリーが抜けている印象を受けた。ただ、今シーズンはこのメンツにヤマハを加えた5チームが組み合わせによって勝ったり負けたり、という感じで来ているので、まだまだわからないのかな。
 
 
で、今回はここからが本題(笑)。


この日は会場で「ウルトラファミリーデー」と題して円谷プロとのコラボイベントが行われたのだが、けっこう徹底してくだけてたんだな、これが。審判紹介BGMはおなじみの「むね〜に〜つけ〜てる〜マークは流星〜」の主題歌、選手入場時にはウルトラマンとゴモラがお出迎え、そしてトライやPGなど得点が入るたびに大型ビジョンに初代ウルトラマンの変身シーンが流れ、ハーフタイムにはバルタン星人やダダが乱入!


一番笑ったのはメンバー紹介で出てきた選手の科学特捜隊コスプレ(はめこみ合成)。日本人選手だとまだいいんだけど(田中とかよく似合ってるし)、豪州や南アの代表選手とかがバンバンいる試合でこれをやると……「10番スタンドオフ、ベリック・バーンズ!シュワッチ!」だって。シュワッチってなんだよ(笑)。一体何がどうしてこういう企画になったのかはわからないけど、この手のおバカなノリは個人的にけっこう好きである。


で、とどめに、試合後の勝利監督とMVP選手のインタビューもウルトラマン・ゴモラ付きで。ロビー・ディーンズって、スーパーラグビーで5回優勝して豪州代表も率いた世界最高峰のヘッドコーチなんだけど、いいんだろうか(笑)。ゴモラがディーンズさんの言葉に「うんうん」と頷いたり、ちゃんと通訳の方を向いて話を聞いてるのも笑えた。堀江はけっこうノリノリで、スペシウム光線のポーズとかとってましたな。

という感じで、全体的にくだらないノリで楽しかったんだけど、残念ながら会場の盛り上がりとしてはイマイチだったような。これは、企画として唐突だった(もっと大々的に告知すればいいのに)のと、ラグビーファンがイベントに慣れていないのが大きいのかな、と。最近は少し派手な演出もあるとはいえ、ラグビー場ってやっぱり素朴で地味なイメージだもんね(古いファンの多くはそれも味のうちと考えてるし)。

まあ、あとは、そもそも真剣勝負の場でこういうのはどうなのよ、という考え方もあるのかもしれない。それはちょっと思わないでもない。これがプレーオフだったら、僕ももっと引いてたかも。

とはいえ、こういう企画で盛り上げてやろうという運営側の気概と遊び心は買ってあげたいと思うのだ。ファンの裾野を広げるためにも、既存のお客さんをより喜ばせるためにも、色々と試してみるのは必要だろう。その上で、多くの人が納得出来る落とし所を見つけられればそれでいい。たとえば川崎フロンターレのホームゲームだって、あのユニークなイベントが定着するまでには試行錯誤もあったのではなかろうか。

少なくとも、殺伐とするよりはおバカな空間がいいな、と僕は思う。それとスポーツとしての熱さはきっと両立するはずだから。シュワッチ!
 
 
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