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2009年11月01日

●W杯決勝を10年先取りできたのかも (ブレディスローカップ NZ×豪州)


昨日の夕方は、国立霞ヶ丘競技場でニッスイ東京2009ブレディスローカップ。ニュージーランド代表 32-19 オーストラリア代表。「ブレディスローカップ」とは80年近い歴史を誇るNZ代表と豪州代表の定期戦のことで、昨年の香港に続く2度目の「海外開催」とのこと。まさかオールブラックスとワラビーズのガチンコ勝負が日本国内で観られるとは……日本ラグビーにとっては、2019年ワールドカップ招致成功に続く快挙と言ってもいいのかもしれない。
 
 
試合の1時間ほど前、大江戸線「国立競技場前」駅に到着。駅構内は既に大量の黒衣ニュージーランダー&カンガルー軍団に占領されていた(笑)。もともとラグビーはサッカーあたりに比べてゴツイ体型の観客が明らかに多いのだが、この日はまたデカい人が多くて……つーか、こんなに多くの南半球人が日本にいるとは思えないので、わざわざ来日した人もいるのだろう。スタジアムに入場すると、さっそく売店のビール売場には大行列ができていたのはさすが。

試合前のセレモニー。IRB(国際ラグビー評議会)のラパセ会長に続いて、元オールブラックスのジョナ・ロムー氏がスピーチ。いやー、なんか随分おっちゃんになったねえ。この人も現役時代に病気で苦労した人だから、こういう形で引退後もラグビー界に貢献してくれているのは嬉しいことだ。そして、最後に日本ラグビー協会森喜朗会長のあいさつ。シンプルな内容でなかなか良かったし、この人は中身はともかく(笑)体格は立派だから、見栄え的には良い。
 
 

NZのハカ(ちょっと形式的ですな)に続いて、キックオフ。両チームとも意識的に「落としている」感じのしないメンバーであり、激しいボール争奪戦にスタンドから幾度かどよめきが起こる。序盤は互いに守備の隙がなく、反則が起こる度にペナルティ・ゴールを狙い合う展開。まず豪州の10番ギタウが2本決め、続いてNZの10番カーターがゲットで3-6。両チームとも時間がたつにつれてミスが減少したこともあり、ひしひしと真剣勝負の雰囲気が伝わってきた。

前半20分、NZは左サイドへの速い展開から豪州のDFラインをブレイク。FLマコウが倒れながら放したボールをFBムリアイナが素早くタッチ際へ投げ、WTBシヴィヴァトゥが飛び込んだ。サッカーで言えばワンタッチパスの連続で崩したような素晴らしいトライ。ちなみに、この3人の合計キャップ数は「195」である(笑)。難しいコンバージョンもカーターが決めて10-6。その後もカーターが素晴らしいキックで味方を操り、試合はNZ優位で進むものと思われた。

しかし、30分を過ぎたところで、ハイパント後の早すぎるタックルで反則をとられたシヴィヴァトゥがシンビン(一時退場)。すかさず攻勢に出た豪州はギタウのランを軸に波状攻撃をかけ、34分にはSHゲニアのロングパスで抜けたWTBハインズが2人がかりのタックルを受けながら右隅に飛び込んだ。長いビデオレフリーの末にトライ。NZの左サイドにFWが固まってしまい、さらにカバーも一瞬遅れた隙を見逃さない好プレーだった。13-16と豪州リードで後半へ。
 
 
後半になると15人に戻ったNZが再びペースを握る。開始直後の5分、WTBジェーンのオフロードパスを受けたCTBスミスが巧みなコース取りで豪州DFの間を駆け抜けて、トライ。シンプルだが力強い、実にオールブラックスらしいプレーだった。20-16。豪州はここでFLジョージ・スミスを投入。スミスは通算105キャップを数え、ボール奪取プレーの呼び名「ジャッカル」はこの人のニックネームから来たという説もあるくらいの大選手である。場内拍手喝采。

そこからは豪州がギタウのペナルティ・ゴールで迫ってはNZがカーターのゴールで突き放す展開が続く。どちらも難しい角度をものともしないのが凄い。ただ、リードしているNZがやや余裕を持ってキックで押し返すのに対し、豪州はギタウが何度も突っかけるもののそこからの攻め手に欠ける印象であった。CTBアシュリークーパーやFBオコナーが22mライン内へ突入する場面もあるにはあったが、トライをとれそうなニオイはほとんどしなかったように思う。

終盤になるとさすがにバテが出たのか豪州FWに反則が増えていく。チャンスを逃さず、タッチ際深い位置でも確実にペナルティ・ゴールを狙い、確実に決めていくカーターの存在感よ。終盤は終了時間を巡るホーンとレフリーの判断が曖昧になったりもしてダレたのが残念だったが、結局13点差でオールブラックスが堂々たる勝利。試合後の表彰式、森会長(凄い栄誉だぞオイ)からブレディスローカップを渡され、片手でひょいと受け取ったマコウはすげー(笑)。
 
 

いやー、面白かった。なにしろ「これ以上はない」本場モンだもんね。

試合を観ていて感じたのは、まず「ピッチの狭さ」。両チームとも体が異様にデカいから視覚的に小さく見えるのもあるんだけど、個々の選手のプレー範囲(攻撃も守備も)がとにかく広いのでスペースがなくなってしまっている感じである。あえてワイドに散っているのではなくて、トイメンとの数合わせさえできていれば自然とDFがタッチラインに至るまで埋めてしまえるという。片側に寄せれば逆サイドが空くとか、そういう単純なスペースメイキングは不可能に近い。

それと、これももちろん「狭さ」に関係してくるんだけど、プレースピードも素晴らしかった。パスやランの速さはもちろん、ポイントに到着する速さとその繰り返しに耐えるフィットネス。特にカバーディフェンスに駆けつける人数の多さは凄まじく、なんか一度のシークエンスの間にピッチ幅3往復くらいは余裕でしているのではなかろうか。いやー、あれだけのサイズの選手たちにこれをされちゃったら、少なくとも同じ方法論では日本は太刀打ちできないよな……。

NZ勝利の結果については、実力的には順当だったと思う。プレースキックの精度がとんでもなかったSO2人はまあ互角としても、FWのボールキープ力やBKの突破力・連携ではいずれもNZの方が上だった。豪州にしてみればCTBのモートロックやバーンズが怪我で使えなかったのは痛かったのだろう(個人的にも、この2人は見たかった……)。カーターに比べれば、ギタウにかかる負担はかなり大きかったような。まあ、ワラビーズは建て直し中ということかな。

ともあれ、良い試合を見せてもらった。眼福。

あと、良かったと言えばスタンドの雰囲気もなかなかに楽しかった。バック側左は比較的豪州ファンが多かったのだが、もちろんNZファンも普通に混在していた。得点が入ると興奮する客も出てくるわけだが、そこはラグビーである。とりあえず僕の周りではシャレの範囲を越えるような罵倒もなく平和的だった。それまで英語で野次を飛ばしていたスキンヘッドの豪州ファンが、裸になったNZ人に対して日本語で「デブノハダカ、ヤメナサイ!」とか叫んだのには大笑い。

ちょっと戸惑ったのは、南半球では盛んに行われるらしい観客のウェーブである。長引いたビデオレフリーの間とかにあてつけ半分でやるのは面白かったし、自分たちで起こした波が場内一周した時には嬉しかったのだが、攻防の最中にも始まるのにはちょっと閉口。スクラムの最中に「ワン!ツー!スリー!ワー!」とかやられてもなあ。なかなかノッてくれない日本人に業を煮やしたNZのオッサンが、豪州の子供たちと一緒にアオったりしたのは素敵だったけど。

ま、いつか現地で観る機会には僕もやっちゃおうかな、と思う。



ちなみに、今回はカテゴリー2のチケットだったのだが、これがなんと1万6千円。フツーに考えればとんでもなく高い値段設定である。一緒に観戦した「フットボール賢人」こと森末潤一さん曰く「試合の価値を考えれば8千円かな。でも、僕は残りも日本ラグビーに対するお布施と思っているから」とのこと。僕が値段を付けるとすれば、ちょっと甘めで1万円くらいかな。ただ、この先W杯までの10年間、このクラスのチームが来てくれるかどうかはわからないからね。

試合後は、森末さんと2人であれこれ話しながら赤坂見附まで歩き、駅前の「坐・和民」で飲む。プレミアムモルツをジョッキで何杯か、あとシングルモルトウイスキー「山崎」を使っているという「スーパープレミアムハイボール」を3杯ほど。森末さんが新婚旅行で行ったスペイン・ポルトガルの話とか。森末さんの奥さんは、その時に観たクラシコ(6-2でバルサがマドリーを撃破)が今のところ生涯唯一のフットボール観戦なのだそうだ。それって凄い話だと思うぞ。

同じ店にはワラビーズのジャージを着た客の姿も。ノーサイドの後のビール、それもラグビー。
(いや、別にサッカーの後でもどうせ飲むんだけどさ(笑)。)
 

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