« 底力と言うべきか、幸運と言うべきか | メイン | 1ボランチ → 2トップ ? »

2005年01月30日

●東芝府中×神戸製鋼 ('05マイクロソフトカップ準決勝)

午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ準決勝。東芝府中 41-0 神戸製鋼。念入りなスカウティングの賜物なのだろう。神鋼の強みを完全に抑えきり、かつ弱みを突いた攻守で東芝が完勝。


立ち上がりから一貫して東芝のペース。攻めては、神鋼DFラインの間をたて続けに突破して、前半半ばまでに3トライ。一方防御では、いつもの堅実なライン形成・カバーリングに加え、この日はWTBホラを徹底マーク。セットプレーで、あるいはラックができるたびに東芝選手が「ホラ!ホラ!」「ホラ見ろ!」(声の響きが可笑しくて思わず吹き出しそうになったが(笑))の声を上げていた。ストロングポイントを抑えられた神鋼は敵陣に入ることもなかなかできない。

前半の後半になると、立川のコメントにあるように東芝が神鋼の駄目さ加減に合わせるような雰囲気になり、両チームともノックオンやキックのキャッチミス、を連発。「こりゃ今年の日本一は学生だな(笑)」なんて声もスタンドでは上がっていた。それでも、終了間際に日原がフィールド中央からのロングPGを見事に決めて22-0。後半に流れをつなげる意味で、この3点は大きかった。

後半も最初こそ神鋼が攻勢に出たものの、すぐに東芝が反発力を見せて逆襲。10分に高橋のトライが決まると、はや「勝負あった」の雰囲気に。その後は神鋼DF意地のプレッシャーの前に東芝のパス攻撃が横流れ気味になり、一方的なお祭り騒ぎになるところまでは行かなかったものの、東芝が試合をコントロールし続けて2トライを追加。最終スコアは41-0。このレベルでこれほど差がつく試合も珍しい。


薫田監督のコメントにもあるように、東芝は綿密な神戸対策(DFラインのギャップ攻略、ホラや大畑の抑え方等)を立てた上でこの試合に臨んでおり、その成果が見事出た形になった。チームのまとまりといい、モールからパス展開まで幅の広いチーム作りといい、トップリーグで最も志の高いチーム作りは素晴らしい。ただ、プレーの精度についてはちょっと反省すべきかもしれない。オフロードパスの失敗の多さ(一歩間違えば独走トライされてるはず)、CTBマクラウドが抜けた時のフォローの遅さなどは、このチームにまだまだ伸びしろがある証拠かもしれない。

神鋼は…このチームはゲームのテンポを落とす(場合によってはゲームを殺す)事によってしか勝負できなくなってきているように思える。持っている強みの少なさ。チーム編成の苦しさ。SO元木、CTB大畑、FB斉藤という布陣は「苦肉の策」あるいは「奇策」でしかなかろう。スペースを与えられない大畑、接近戦のスピードで相手FWを圧倒できない斉藤のどこに怖さがあるだろうか?チーム事情は色々あるのだろうし外国人を何人も連れてくるのもいいけど、今正攻法の強化をしておかなければこれから先かなり苦労しそうな気配である。

しかし、あまり根拠はないかもないかもしれないが、つい今日の神鋼の姿に今のジャパンを重ねてしまうんだよな…。薫田さん、三冠とったらスパッとジャパンの監督に転身、なんてのはどうですか?


【追記】
1 ホラの徹底マークを見て、99年慶応×ケンブリッジで「岩淵見た!」が連呼されていたのを思い出した。
2 メインスタンドで僕の斜め後ろに小林深緑郎さんが座っていて、大きなノートで熱心にメモをとっていた。ますます親近感がわいたな。僕がいつも使うのは小さなメモだが、やっぱりノートの方が書きやすそうである。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/71

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)