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2005年11月05日

●日本代表×スペイン代表


午後、秩父宮ラグビー場でテストマッチ。日本代表 44-29 スペイン代表。2011年W杯開催国決定2週間前のカウントダウンマッチと位置づけられた、それこそ「絶対に負けられない戦い」。苦労し一時はリードを許しながら、なりふり構わず逆転に成功。なんとか格好はつけることができた。エリサルドジャパン、まずは白星スタートである。


ジャパンがやろうとしていたラグビーは、攻撃に関しては「よくボールを動かす」「なるべくラックを作らない」「ランは相手DFの隙間を突く」「近場遠目にはこだわらない」といった感じだったろうか。攻撃の方向やテンポについては、かなりその場の(特にハーフ団の)判断に委ねられるようである。割と好感の持てる方向性だと思う。守備については…不発タックルが多すぎてよくわからない(笑)。キックが意外と多かったのは、やはり試合の位置づけを考えて堅実に行こうということだったのだろうか?

試合展開的には苦戦の部類。4分にFB立川の「あら、抜けちゃったよ!」的トライで先制したものの、すぐにトライを奪われ、12分に力づくのモールトライで突き放すも、19分にグラバーの競争でCTB大西がSHフェイホーに負けて逆転を許す。さらにドロップゴールでリードを広げられる。経験の少ない選手たちの意気消沈ぶりがスタンドに伝染(あるいは逆か?)し、ヤバめの雰囲気に。甘いタックル、キック戦やセットプレーの拙さが目立ち、圧倒できそうでなかなか崩せない。終了間際にまた赤塚の力づくトライでやっとこさ逆転。なんというか、色々な意味で心配で、焦れったい前半だった。

後半、SO廣瀬のPG・DGで9点差まで離すも、27分にやはりミスから自陣に追いつめられてスペインのトライ。4点差。この勝負所で、ジャパンはこの日押せていたモールを多用。この選択が勝利を引き寄せることになった。32分にモールからオトが雪崩れ込んでトライ。これで勝負あった。ロスタイムにはWTB小野澤が左タッチライン際で力強いダンス・ランを見せ、相手を引きづりながら最後片手を伸ばしてトライ。難しいコンバージョンを廣瀬が決めて場内が歓声に包まれたところでトライ。良い雰囲気でゲームを終えることができた。



この試合、ジャパンの準備期間は4日しかなかったそうである。そこで腹を括って「過去の実績より現在の調子」で選手をセレクトしたのは、エリサルドの1つの姿勢を示すものなのかもしれない。とはいえ、この日のスタメン・サブの22人でこの先も戦って行けるかと言われると、苦しいところではある。特にフランカー2人とSH池田、FB立川あたりは、うーん…という感じか。大きな役割を背負わされるSHは大変だと思うし、立川はアタックではかなり効いていた。でも、判断がちょっと、ね。森末さんも言っていたが、現ジャパンのキーワードとなっている「適応」は、即ち日本の選手の苦手な部分でもある。

まあ、それでもチームのプレー自体はこれから向上の余地もあるのだろうが、相も変わらず駄目であり続けそうなのは、強化体制(あるいは態勢)の方である。快勝が必要なプレゼン試合だというのなら、なぜわずかな準備とぶっつけ本番で臨まなければならないのだろう?春の代表シーズンを全く無駄にしておいて、ここで1試合だけやって、次に代表が招集されるのは3月だという。これで本当にジャパンは強くなれるのだろうか?IRBにおける、日本の「代表強化」に関する懸念は的を射ていると言わざるを得ない。エリサルドは孤立無援の戦いを余儀なくされるのかもしれない。

一方、スペインは可能性を感じさせてくれる好チームだった。FW、特にモール守備なんかは弱かったものの、なんというか、力の使い所に賢さを感じるというか。デカいCTBのクラッシュにしても、ちゃんとアクセントとして効かせていたしね。9番や15番、あと22番の果敢なランには何度も肝を冷やすことになった。SHやFBにいい選手がいるチームは、単なる「15人の合計」以上の強さを発揮することがある。皆が頼りにしたい、頼りにならなくちゃいけないポジションだからね。彼らを見て、ジャパンの今のチョイスはちょっとどうなんだろうと思ってしまった(かと言って、他にいい人材がいるかというと…うーん)。

とりあえず、今日は8本のキックを全て決めてくれた廣瀬大明神に手を合わせておいて(笑)、次に期待するとしよう。

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コメント

お疲れ様でした。
もしかして、近所の大歓声が気なったりして(笑)。

エリサルドの適応でSHは頭がパンクしないか心配です。
あごの怪我さえなければwataさんが適任者だったかもしれませんね。
ウチの菊ちゃんは如何だったでしょうか?
彼にボールを預ければ確実に前進してくれます。
国宝様の精密機械のプレースキックは御堪能できたようですね。

せっかくの中断ですから、ファンとしてはトップリーグの外国人をかき集めて”トップリーグ・バーバリアンズ”を結成して2試合ほど日本代表のスパーリング相手をして欲しいと願うものですが。

どうもどうも。秩父宮に来られなかったのは、残念でしたね。

>エリサルドの適応でSHは頭がパンクしないか心配です。
池田はちょっと苦しんでいるようです。2年なり3年の強化期間があるのなら、若いSHを抜擢して鍛える方法もあるかと思いますが、現実的にはやっぱベテラン中心になっちゃうのかな?村田さんは第1候補ですかね、確かに。

>ウチの菊ちゃんは如何だったでしょうか?
頑張ってましたが、ちょっと空回り気味にも見えました。
まあ、FWに関してはもうちょい木曽に締めてもらわないと、という話を潤さんとしましたよ。

>国宝様の精密機械のプレースキックは御堪能できたようですね。
堪能というより、彼の19点がなければどうなっていたか…有難味が身にしみました(笑)。

>トップリーグ・バーバリアンズ
いいですね!元オールブラックスやら元ワラビーズやら、とにかく凄いメンバーになりそうですもんね。大敗したりして(笑)。

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