2008年01月23日

●『蹴りたい言葉』

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昨年のうちに読んだ本だけど、忘れないうちに紹介しておこう。いとうやまね著『蹴りたい言葉 サッカーがしたくなる101人の名言』(コスミック出版)。プラティニ、マラドーナ、モウリーニョ、クライフ、カントナ……。サッカー界における様々な著名人の名言(迷言?)を、サッカーライター・ユニット「いとうやまね」が独自のセレクションで紹介した一冊。紹介された人物=言葉の数は実に101!!わんちゃんか(笑)。


この本の良いところは、まずその簡単かつ明解な構成だろうか。見開きページの右側に「人物」「その人物の名言」「発言が行われた時と場所」が大きく印刷され、左側に発言の意味や背景にある事象の解説、そして人物の詳細なプロフィールが掲載されている。見やすい作りである。また、著名人1人につき1発言のみに絞ったのも、より多くの人々の発言をわかりやすく紹介する上では好都合ではなかろうか。

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2007年08月14日

●原博実監督について (『最も愛される監督・原博実-ヒロミズム』を読んで)

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『最も愛される監督・原博実-ヒロミズム』(出版芸術社)読了。お馴染みサッカーライターの西部謙司氏が、インタビューで引き出した数々の言葉を手がかりとして原博実監督(「ハラヒロミ」)の魅力に迫った一冊。土曜日の味スタで完敗に打ちのめされた東京ファンにしてみれば、悪い冗談のようなタイトルかもしれないが(あまりのタイミングの悪さに著者も出版社も頭を抱えていることだろう)、僕は西部ファンでもあるので読んでみた。
 
 
「この薄さで1000円かよ!」というツッコミはさておき(笑)、なかなか良い出来の本だと思う。さすが西部さん、原さんの魅力についてよくつかんでいて、それを実にわかりやすく噛み砕いて伝えている。この本で描かれているのは僕たちが知っている「ハラヒロミ」だ。とにかくサッカーが好きで、サッカーの魅力を理解していて、ファンや選手に気を使うことができて、威勢が良くて、天然で、理想家で、「他にはない自分」を貫ける人物。

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2007年06月07日

●勝因と、『敗因と』 (後編)

前編から続く)
 
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では、なぜ日本は一つになれなかったのか、というのがこの本の主題である。ここは人によってはすっきりとしない部分だろう。金子さんは反トルシエ・ジーコ監督推進の立場だった人で、今回はその総括を期待した読者も多かったはず。が、結局ジーコへの批判は巧みに回避され、「原因は、一つではない」という言葉が登場する巻末部分はどうも不明瞭な印象だ。唯一示されるのは「ドイツ大会の日本には「目標」が欠けていた」という指摘のみ……。


だが、実はこの結論(?)はいいところを突いているのでは、と思う。昔から、代表における対立自体は珍しくない。アトランタの時も、岡田時代も、「トルシエジャパン」においても、選手同士、あるいは監督と選手の衝突はあった。だが、それが致命傷にならず大きな成果を挙げることができたのは、やはり「28年ぶりの五輪出場」「初のW杯出場」「開催国として義務付けられた決勝ラウンド進出」といった、皆が共有できる明確な目標があったからだろう。

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2007年06月05日

●勝因と、『敗因と』 (前編)


日曜の夜は、国立競技場で女子サッカー北京五輪最終予選を観戦。日本代表 6-1 韓国代表。事前には接戦も予想されていた「グループA最大のライバル」との対戦は、意外や意外、一方的な展開に。怒涛の攻撃で6点を奪ったなでしこジャパンが予選突破をほぼ確実にする勝点3を獲得。スコア的にも内容的にも文句のつけようがない、胸のすくような快勝だった。


日本のプレーはとにかく「素晴らしい」の一言。宮本を起点にパスをつないで攻撃を組み立て、スペースが空いたとみるやサイドチェンジやオーバーラップを繰り出す。そしてボックス付近では明確な意図をもったクロスと荒川・澤らのドリブル勝負。バリエーションの豊富さとテンポの良さ、さらに決定的プレーの精度に圧倒され、韓国はほとんど何もできなかった。観客としても最高に面白いサッカー。今まで観た「なでしこ」の中でも一番かもしれない。

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2007年02月16日

●『機動戦士ガンダム一年戦争全史 上』

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先日、さる方からいただいた『機動戦士ガンダム一年戦争全史 上』(Gakken)を読んだ。おなじみ『機動戦士ガンダム』(いわゆる「ファースト・ガンダム」)で描かれた地球連邦とジオン公国の戦争について、「歴史群像」シリーズと同様の形式でまとめた架空戦記書。

内容としては、「宇宙世紀」の年代記、ミノフスキー粒子の「物理学的な」説明、両国の政治体制や軍事組織の解説、MSの工学的検討、兵器や作戦についての考察、etc……すげえ膨大な量であり、一つ一つのこだわりも凄い。たかが一つのアニメのためにようこここまで作るなあ、とひたすら感心。「アホだ」とも言えるし、「やはりガンダムは偉大だ」とも言えるだろう。

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2006年10月19日

●『映像のカリスマ』

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黒沢清著『映像のカリスマ 増補改訂版』(boid、エクスナレッジ)読了。現代日本を代表する映画監督・黒沢清による名評論集が、初刊行から15年の時を経て復活。1973年から92年に至るまでに書かれた「映画なるもの」を巡る評論・対談・脚本が満載され、さらにボーナストラックとして近年の未公開文章も収録。まさにファン待望の1冊。


僕のサイトを昔から見てくれている人ならご存じかもしれないが、黒沢清は僕が最も敬愛、いや偏愛する映画作家である。『勝手にしやがれ』シリーズに『復讐』『CURE』『蜘蛛の瞳』『カリスマ』『回路』『ドッペルゲンガー』etc……。世間的にはあまり知られていないかもしれない。でも、僕にとってはどれも珠玉と呼んでいい作品たちである。

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2006年10月06日

●『街場のアメリカ論』

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内田樹著『街場のアメリカ論』(NTT出版)読了。フランス現代思想を専門とする筆者が、「日米関係の歴史」「アメリカン・コミック」「リスクヘッジの統治システム」「シリアル・キラー」「訴訟社会」などといった様々な側面から、アメリカ合衆国という国の特質や病理について考察した異色の論考集。


以下、断片的に感想を挙げてみる。

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2006年08月29日

●『1974 フットボールオデッセイ』

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西部謙司著『1974 フットボールオデッセイ』(双葉社)読了。今やサッカーの歴史において伝説となった感のある、74年W杯決勝西ドイツ×オランダ戦。その試合で対決した両チームの「スター」たちの人となりや経歴を、色々な意味で転回点を迎えていた当時のサッカー界の状況にも言及しつつ、小説の形式をとってドラマティックに描き出した本である。

読んだ感想は、とにかく「面白かった」の一言に尽きる。筆者曰く「起こった出来事については、ほぼ事実」「人物造型に関しては9割方フィクション」だそうだが、主要人物の振る舞いや言動はいかにもそれらしく、生き生きと「作られている」。もちろん、小説であるがゆえに描写の臨場感(特に決勝の序盤と主人公格フォクツの登場時!)はノンフィクションとは比べものにならない。エンターテイメントとして、非常に高いレベルの一冊に仕上がっている。

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2006年08月19日

●『ジョゼ・モウリーニョ』

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ルイス・ローレンス著『ジョゼ・モウリーニョ』(講談社)読了。ご存じチェルシーの名物監督にして、数々のビッグタイトルを手にする若き名将ジョゼ・モウリーニョの伝記。傲岸不遜なパブリック・イメージで知られる彼だが、実はその裏側に意外な素顔が……なんてことは全くなく(笑)、いかにも彼らしい人となりを伝えるエピソードが満載。

この本が扱っているのは00~04年の出来事。描かれているのは、今と変わらぬ、巷間のイメージそのまんまのモウリーニョである。自分流を自信満々に押し通す豪腕ぶり。ビッグクラブからの引き抜きに平然と乗る野心家の顔。重要な戦いでは手段を選ばない攻撃性。人への敬意を忘れず、信頼の絆で選手をまとめる名監督ぶり。そして、家族を愛するよき父親の姿。「複雑ではあるが、ブレず芯の通った」人物像。そこが魅力でもあり、嫌われる所以でもある。

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2006年08月14日

●『9条どうでしょう』

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『9条どうでしょう』(毎日新聞社)読了。人気哲学者・内田樹氏と彼が選んだ個性豊かな3人の論者たちが、日本国憲法第9条(及びそれを改正しようという国内の動き)について語った本。

この本の勝因(勝手に勝ったことにしてるが)は、とにかく人選に尽きる。平川さんは元々内田さんの盟友だし、小田嶋さんも何かこの手の話を書きそうに思える人だけど、まさか町山さんとはね。なるほど、軍事オタクの過激派(笑)が入った事で本全体の娯楽性と幅広さがぐっと高まっているように思えるのだ。

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2006年08月01日

●『封印作品の謎2』

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安藤健二著『封印作品の謎2』(太田出版)読了。様々な理由により絶版や放送禁止の憂き目に遭い、今では目にする事のできない過去の名作たち。それら"封印"問題の背景や経緯、"封印"という行為がもたらす問題について追うルポルタージュの第2弾。今回取り上げられた作品は、『キャンディ=キャンディ』『ジャングル黒べえ』『オバケのQ太郎』『サンダーマスク』の4つ。

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2006年07月17日

●『うつうつひでお日記』

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『うつうつひでお日記』(角川書店)読了。『失踪日記』の大ヒットによって一般世間にもその名が知れわたったロリコン不条理漫画家・吾妻ひでお先生が、日々の生活を「やまなし」「おちなし」「いみなし」で坦々と描いた日記マンガ。

『失踪日記』は2度の失踪やホームレス生活、アル中での入院といった「シャレにならない現実」を明るくダウナーなノリで描いた傑作だった。この本は、同じノリではあるけれど、内容は正真正銘の「日常生活」だけ。ドラマティックな出来事はほとんどなく、プチヒッキー(笑)な吾妻先生だけに、描かれているのは本やテレビの感想と三食の様子と時折襲ってくる鬱と、あと脈絡のない女の子の絵がほとんど。

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2006年06月03日

●『草競馬流浪記』

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『草競馬流浪記』(新潮社)読了。競馬や将棋、野球などをこよなく愛した故・山口瞳さんが、昭和50年代後半に全国の公営地方競馬全27場(当時)を巡った旅の様子を綴っている本。4月の末にさる友人から借りていたのだが、結局読み通すのに1ヶ月以上かかってしまった。5月は忙しかったからなあ。仕事とか飲み会とか、あとジロとかジロとかジロとか…(笑)。

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2006年03月28日

●『巨人軍論』

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野村克也著『巨人軍論 -組織とは、人間とは、伝統とは』(角川書店)読了。選手として、そして監督として数十年の長きにわたって読売ジャイアンツ最大のライバルであった野村監督が、「巨人軍とは何だったのか」について語る。

この本の大半を占めるのは、「栄光の巨人軍」の歴史と、それに絡めた「野村の野球論(組織論)」という2つの要素である。野村さんの現役・監督時代の巨人への敵愾心はよく知られているが、元々は子供の頃からの巨人ファンであり、彼の方法論(「ID野球」)も全盛期巨人の合理的野球(「ドジャース戦法」)から着想を得ているのだという。まあ、やっぱり、という感じではある。好きじゃなかったらあれほどこだわらないよね、そりゃ。

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2006年03月16日

●『悪役レスラーは笑う』

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森達也著『悪役レスラーは笑う -「卑劣なジャップ」グレート東郷-』(岩波新書)読了。50~60年代に日米のプロレス界を股にかけ、数々の悪辣ファイトで名を馳せた希代の悪役レスラーかつ伝説のプロモーター・グレート東郷。その謎に包まれた生涯とアイデンティティーの「秘密」を孤高のドキュメンタリー作家が追いかける。

この本のテーマは大きく分けて2つ。1つ目は、複雑で錯綜するナショナリズムについて。戦後のマット界の英雄・力道山は大和魂を叫びながらも実は在日一世であり、彼と固い友情を結んだグレート東郷も母親が中華系であるが故に在米日系社会から差別を受けた生い立ちを持つ(と言われていた)。そんな事ととは露知らず、彼らの活躍に喝采した日本人。なるほどその歪んだ構図はまことに興味深く、そこから現代日本の偏狭な排外「愛国」主義の高まりに思いを馳せ、ため息をつくのはいつもの森テイストである。

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2006年02月27日

●『街場の現代思想』

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内田樹著『街場の現代思想』(NTT出版)読了。フランス現代思想と映画評論と武道論の間を軽快に渡り歩く当代随一の論客が、様々な題材を用いて世の理路を解き明かしていく。

タイトルに「現代思想」なんて付いてはいるけれど、思想家とか難しい用語はあまり出てこず(皆無ではないが)、身の回りのモノについてのお話が大半。ありふれた事象に対して筋の通った解釈を施し、それに対する心構えを説く、というスタイル。特に第3章「街場の常識」は、まんまそのまんま人生相談である。

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2006年01月25日

●『奇跡のラグビーマン』

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大友信彦著『奇跡のラグビーマン-村田亙37歳の日本代表』(双葉社)読了。ヤマハ発動機ジュビロの一員としてトップリーグで活躍するラグビー(元)日本代表、村田亙選手の半生を描いたノンフィクション。
 
村田亙といえば、生来のスピードを生かした攻撃プレーによって数々の栄冠に輝く一方、ジャパンの一員としては「不遇」のイメージがつきまとう選手でもある。強力なライバルの存在もあってW杯では十分な出場機会を得られず、「145」の惨事の当事者ともなった。積極果敢なスタイルゆえに怪我は多く、競技生活の総決算となるはずだった前回のW杯でも直前でメンバー落ち。ファンとしては、その能力を考えればどうしても「報われていない」ように思えてならないのだ。

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2006年01月18日

●『消えた魔球』


夏目房之介著『消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか』(新潮文庫)読了。前に『マンガの深読み、大人読み』をレヴューした時に「夏目房之介という人は、初期の『Number』で連載を持っていて、古いスポーツマンガについて模写(引用?)も交えながら楽しく紹介していたような記憶があるな。あのコーナー、どこかで単行本に収録されたりしてないのかな?」と書いたら、速効でご本人から「単行本化され、その後新潮文庫になりました」とのコメントをもらったのだった。ネットってスゴイかも(笑)。しかし、いざ探してみると既に店頭にも在庫も無いようなので、Amazonのマーケットプレイスで購入。

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2006年01月15日

●『生協の白石さん』

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『生協の白石さん』(講談社)読む。東京農工大学生協に設置されている、利用者の質問や意見を受け付けるための「ひとことカード」。切実な要望からおフザケの入った質問まで、学生たちから寄せられる様々な投稿に対する生協職員「白石さん」の軽妙な回答がネット上で話題となり(→blog版)、ついに単行本化されたもの。最近よくある「ネット発出版」であるが……。

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2006年01月03日

●『オシムの言葉』

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木村元彦著『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える』(集英社インターナショナル)読了。サッカーファンの間で話題になっている例のヤツ。品切れ状態が続いていたが、ようやく年末にアマゾンで入手した。面白い、という一言では済まない読みごたえ。1冊読むのに何日何週間とかかってしまう遅読の僕でも、わずか2日で読み通してしまった。

ピッチ上で表現されるオシムサッカーの凄さは、この3年間で幾度となく目撃している。彼の経歴についても、パルチザンとユーゴ代表の監督を歴任し、ユーゴ崩壊後はオーストリアで名を挙げてから市原へやってきた、くらいの事は知っていた。もちろん、独特の含蓄ある発言にはいつも楽しませてもらっている。でも、その一方で、偏屈を装うような物腰、メディアに対するガードの固さが気になってはいた。「ユーゴ代表では苦労したのだろうな」という程度の認識しか持っていなかったのだけれども……。

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2005年12月13日

●『魔障ヶ岳』

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諸星大二郎著『魔障ヶ岳-妖怪ハンター』(講談社)読了。諸星さんの代表作とも言うべき『妖怪ハンター』シリーズ久々の新作。人里離れた「魔障ヶ岳」に存在する奇妙な遺跡を訪ねた考古学者・稗田礼二郎は、不思議な「物の怪」に遭遇し、さらに遺跡の奥でうごめくこの世ならぬ「モノ」(神とも魔とも鬼とも名付けうるもの)を目撃する。その後、帰還した稗田と同行した3人の身の周りに次々と不思議な事が起こって……。

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2005年12月07日

●『ドキュメンタリーは嘘をつく』

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『ドキュメンタリーは嘘をつく』(草思社)読了。傑作ドキュメンタリー『A』『A2』等の監督として知られる森達也さんが、ズバリ「ドキュメンタリーとは何か」「表現とはいかなる行為であるか」を突き詰めた連作エッセイ。日本有数の個性派映像作家たる森さんらしく、豊富な体験・エピソードを交えつつ、思慮深く、しかし頑固に自らの信念を綴っている。

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2005年11月29日

●『長い道』

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『長い道』(双葉社)を読む。昨年度の文化庁メディア芸術祭大賞を受賞したこうの史代さんの、受賞作『夕凪の街 桜の国』に続く単行本。4年に渡る雑誌連載をまとめたものだとか。前作ほど大きなドラマ性がある訳ではないが、より身近で、より地に足のついた余韻と感動をもたらしてくれる良作。

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2005年11月11日

●ビバ!田中圭一!!

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「たけくまメモ」11/1付のエントリーを見て「『ドクター秩父山』か…そういえばそんなのもあったなあ」と懐かしく思い、復刊された『ドクター秩父山』と、あと同じく田中圭一さんの作品集『神罰』を買って読んでみた。


まずは『神罰』(イースト・プレス)だが……これが「最低漫画全集」というサブタイトルどおり、超ウルトラスーパーメガトン級のくだらなさ。絵的には手塚治虫のパロディ(そっくり、というよりもはや憑依しとるなこれは)が中心で、あとは永井豪や本宮ひろし、藤子不二男調のものやラブコメ的なタッチまであったりと様々なのだが、にも関わらず物語やオチは大半が下ネタ(笑)。後半部分の連続4コマなんて、タイトルからして「局部くん」(笑)。全く素晴らしすぎである。

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2005年11月04日

●『マンガの深読み、大人読み』

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夏目房之介著『マンガの深読み、大人読み』(イースト・プレス)読了。マンガ家でありマンガ評論家でもある夏目房之介さんの評論集。主に表現手法を切り口として、扱う題材は手塚治虫、鳥山明、ねこぢる、『ピーナッツ』、浦沢直樹、『クレヨンしんちゃん』、いしいひさいち、永井豪、未来都市、黄表紙、『巨人の星』、『あしたのジョー』、日本マンガの海外進出と、実に様々。

難しめの本である。収録されている評論1本1本は、確かにマンガの見方を変えてくれそうな興味深い内容で、特に「アトムや矢吹丈の正面顔」の話やいしいひさいち論あたりはかなり面白かった。でも、それらをまとめて一冊分のボリュームにしちゃうと、読むのが大変だな、というのが正直な感想。全体的にアカデミックな色彩が強いため、ちと心してかからねばならないのである。あと、巻末の日本マンガ文化論は(本人も認めているように)ちょっと論としてのクオリティがイマイチかな、と。

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2005年10月14日

●『健全な肉体に狂気は宿る』

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『健全な肉体に狂気は宿る』(角川書店)読了。仏文学者・内田樹さんと精神科医・春日武彦さんの対談本。明白な形で単一のテーマが示されているわけではないのだけれど、あえて言うとすれば「生き方」に関するよもやま話、といったところだろうか。気が合う2人ゆえに興がのり、ずけずけとした物言いがテンポよく続く。頷いたり考え込んだりする部分は色々あれど、とにかく面白く読み進めることができた。

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2005年09月27日

●『技術力』

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西部謙司著『技術力 サッカー 世界のスタープレーヤー』(出版芸術社)読了。世界各国の「名将」や「チーム作り」を主題に様々なサッカーのあり方をとりあげた前作『監督力』に続く第2弾。今度は「選手」を主題として、現代のサッカーの流れの中でなお残り続ける多様な個人・プレースタイル・ポジションを描き出している。

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2005年09月16日

●『不肖・宮嶋 国境なき取材団』

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宮嶋茂樹著『不肖・宮嶋 国境なき取材団』(新潮社)読了。ご存じ有名報道カメラマン「不肖・宮嶋」の数多くの戦場取材のうち、これまで単行本未掲載だった短編10本をまとめた総集編的(?)な本。

僕は、自分ではそれなりに好奇心のある方だと思っていて、時折ふらっと1人で興味のあるところに行ってみるのが好きだ。また、スポーツにせよ何にせよ、「後方で冷静に考える」事も大事だと思う一方、やはり「現場で観るにしかず」と思っている部分もある。でも、そのくせ困難な所へ辛いことを乗り越えて行くだけの根性には欠けていたりする。要はヘタレである。

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2005年08月31日

●『歴史としてのドイツ統一』

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高橋進著『歴史としてのドイツ統一』(岩波書店)読了。1988年ハンガリー-オーストリア間国境の開放に始まって89年ベルリンの壁開放、そして90年統一実現に至るまでのドイツ統一を巡る政治過程を、政治家や外交官たちの回顧録を中心に解明した書。

外交プロセスに的を絞って当時の会談や検討の模様を正確かつ詳細に再現する手法をとっているため、正直なところ政治や外交にあまり興味のない人、特に89年前後の国際政治に関する知識がない人が読みこなすのは困難な本である。しかし、逆に言えば、僕のようにペレストロイカや東欧革命に心を揺り動かされて大学の政治学科なんぞ行ってしまった人間にとっては、これほど素晴らしい読み物はないとも思う。

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2005年06月29日

●『コモンズ』

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ローレンス・レッシグ著、山形浩生訳『コモンズ』(翔泳社)。買ってから実に2年くらい置きっぱなしにしていた本だが、ついに手をつけて読了。人間の創造性の発揮における自由な領域(「コモンズ」)の大切さ、特にインターネットにおけるコモンズの確保の重要性について、様々なフェイズや理論・事例を取り上げて説いた本。すげえ力作で、400頁以上のボリュームだが、2年かけて(笑)読むだけの価値はあった。

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