2009年07月28日

●大団円じゃーん ('09ツール・ド・フランス第18~第21ステージ)


優勝候補のど本命がリードを保ったまま終盤戦に突入したツール・ド・フランス。果たしてコンタドールがそのまま盤石の強さで最後まで走りきるのか、ランスは表彰台に上れるのか、シュレク兄弟はアスタナの牙城を崩せるのか、別府や新城は最後の見せ場を作れるのか、そしてカヴェンディッシュはシャンゼリゼでモーモーに一矢を報いることができるのか……etc。個人的には、これほどまでに楽しく観られるツールは初めてであった。ドキドキワクワク。
 
 
第18ステージは40.5kmの個人タイムトライアル。放送開始前に新城も別府も、さらにはぶっちぎりのタイムを叩き出したカンチェラーラも走り終わってしまうJSPORTS的に苦しい展開(笑)。総合争いの中ではアンディ・シュレクが健闘して2位に踏ん張り、その座を脅かすと思われていたアームストロング・ウィギンス・クレーデンはいずれも伸び悩んで表彰台争いは団子レースの様相を呈してきた。やはりモンバントゥーはガチの勝負レースになるか。

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2009年07月26日

●動かなかった?動けなかった? (FC東京×サンフレッチェ広島)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第19節。FC東京 0-0 サンフレッチェ広島。石川・平山の覚醒などでリーグ戦5連勝、公式戦8連勝と波に乗る東京。今回はサンフレッチェとの後藤健生杯「日本でいちばん面白いサッカー」決定戦である。エキサイティングな攻め合い・撃ち合いが期待されるところだったが、試合は全体的にまったりとした見せ場の少ない展開となってしまい、2万8千観衆のため息が聞こえるスコアレスドロー。
 
 
この日、広島は怪我や出場停止で槇野やミキッチ、森崎が欠場。対する東京は体調不良の情報もあった今野も先発していつもの「ベストメンバー」。序盤はスローペースで、双方前からチェイスしない中、互いにパスを回して機会をうかがう。1分、羽生の浮き球で石川がDFライン裏に抜けるが、GK中林が前に出て間一髪クリア。6分、ボックス手前から石川がノーステップで強烈なミドルシュート、中林がジャンプ一番弾き出す。石川の好調さは相変わらずである。

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2009年07月24日

●たわ~、たわ~、東京タワーにのぼったわ~


ちょっと早い夏休みをとったのだが特に出かけるあてもなく暇をもてあましたとある平日、ふと思い立って東京タワーに行ってみた。東京に30ウン年住んでいて、ここに上ったのは「はとバスツアー」に参加した20数年前の一度きりである(多分)。あいにくの雨模様の中、JR浜松町駅から徒歩15分で到着。入口ではマスコットのノッポンがお出迎え。このノッポン、双子の兄弟だそうで、まあイロイロと都合の良さそうな設定というか……この音楽はナンダ(笑)
 
 
まずはエレベーターに乗って地上150mの大展望台へ。料金820円也。天気が悪いせいもあるのだろうが、六本木ヒルズや横浜ランドマークタワーを経験してしまった身にはやや物足りない高さであるのは否めない。フロアの内側には土産物屋と並んで手相占い屋やら記念メダルの自動販売機やらがあり、まあ「いかにも」な光景。あ、あと、創立20周年(昭和52年)に作られた神社もあった。「23区で最も高い所にある神社」として受験生に人気だとか。ほー。

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2009年07月23日

●克服する意志 ('09ツール・ド・フランス第14~第17ステージ)


平坦ステージ連続の中だるみも過ぎ、いよいよ終盤戦が近づくツール。総合争いはトップ10に3人(ライプハイマーリタイアまでは4人!)を送り込むアスタナ帝国にサクソバンクが挑みながら、アスタナ内でランスとコンタドールがバトルを繰り広げる複合的展開。一方ポイント賞争いは「ボク狙わないも~ん」と公言しながらセコくクレバーにポイントを積み重ねるカヴェンディッシュに迫る「グリムスターの雄牛」ことフースホフト。どちらも目が離せない。
 
 
第14ステージ。最後の平坦ステージは翌日に重要な山岳を控えていることもあり、メイン集団が早々に逃げを容認する展開。残り10kmで逃げグループから飛び出したイワノフが独走優勝。ロシアチャンピオンがカチューシャに初勝利をもたらしたんだから美しいわな。また、16秒遅れてゴールしたヒンカピーにはマイヨ・ジョーヌのチャンスもあったが、コロンビアを含む追走がペースを上げたこともあってわずか5秒差の総合2位どまり。これはしゃーないな……。

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2009年07月19日

●浦和と川崎の背中が見えた (大宮アルディージャ×FC東京)[訂正あり]


昨日の夕方は、NACK5スタジアムでJ1第18節。大宮アルディージャ 0-3 FC東京。ナビスコ杯決勝ラウンドとの「かけもち」のため、暑い季節にも関わらず厳しい日程となった7月の東京。今回は中6日のアルディージャに対し、7日間で3試合こなす状態で迎えた「ハンディ付」マッチである。案の定お疲れの内容ではあったが、いよいよ覚醒が本物らしい大型FWの活躍で東京が3点を奪って完勝。上位チームにググッと肉薄する結果となった。
 
 
この日はバックスタンドで観戦したのだが、席に着いたらいきなり目の前をセグウェイ(スポンサーは日高屋)に乗ったアルディくんがバビューンと横切っていったので驚いた(笑)。一番前の席に座っていた東京ファンが柵のところにドロンパのぬいぐるみを置いていて、アルディ君は見つけて頭をなでてくれましたな。ミーヤちゃんとも相変わらずラブラブのようで何より。蒸し暑い季節ですが、コア・ブロックも水分補給に気をつけて頑張ってください。

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2009年07月18日

●絶賛なかだるみ中 ('09ツール・ド・フランス第10~第13ステージ)

今年のツールは第1週に個人及びチームTTとピレネー山脈があり、最終週に決戦TTとアルプス越えが配置されている。よってその間の2週目は平坦基調の、総合争い的には「つなぎ」となるはずなのだが、最初の休息日におけるランスの挑発コメントはレース全体にいい刺激をもたらした、かな?一歩間違えば(というか既に)ただのワガママオヤジだけど。
 
 
第10ステージ。休息日明けの「革命記念日」は無線使用禁止の特別ルールが適用されたこともあり、逃げを得意とするフランス人選手にとって絶好の狙い目。のはずだったのだが、ウポン・ヴォグルナール・ドゥムランの逃げプランは、空気を読めないロシア人・イグナチエフのツキイチ→隙を突いての仁義なきアタックによって崩壊。結局集団スプリントになって、余裕の加速でフースホフトを振り切ったカヴェンディッシュが大会3勝目を挙げた。

カヴちゃんがゴール後に見せたサングラスを外すパフォーマンス、一見意味不明だったんだけど、どうも「この緑のグラサン、いいでしょ~!!」という感じだったらしい。ガキか!つーか、お前「マイヨ・ヴェールなんて狙わないもんね~!」ってコメントしてたじゃねーかよ(笑)。まあ、おそらくフースホフトはコツコツとポイントを稼ぎ続けるだろうから、カヴがポイント賞を獲るためにはあと2~3勝は必要かな。シラッと勝っちゃいそうな気もするけど。

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2009年07月16日

●「日本でいちばん面白いサッカー」 ('09ナビスコ杯準々決勝1stレグ)


昨日の夜は、味の素スタジアムでナビスコカップ準々決勝1stレグ。FC東京 5-1 名古屋グランパス。どういう巡り合わせなのか実現してしまった7月「名古屋3連戦」の第2戦は、タイトル獲得を目指すチームにとって大事な決勝ラウンド第1戦。つい3日前に快勝したばかりの相手との再戦はかえっていやなものに思えたが……試合開始直後から東京が怒濤のゴールラッシュで畳みかけ、予想もできなかったような大勝。準決勝進出へ大きく近づいた。
 
 
キックオフ。前節大敗の名古屋は布陣を大幅に改めてきた。MFは中村が復帰し、FWは玉田に代わって杉本が、左SBは阿部に代わって佐藤が、GKは楢崎に代わって(!)西村が先発。2分、左に流れた杉本からのサイドチェンジを小川が折り返し、今野の裏をとる形でボックス内に突入したダヴィがシュートに持ち込むピンチ。慌てて追いついた今野がブロックして事なきを得る。この場面に限らず序盤は東京の守備がややユルい印象で、不安を抱かせた。

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2009年07月15日

●さらばシャムさん、またあう日まで

シャムスカ監督解任のお知らせ (大分トリニータ公式)
 
 
これはもうやむを得ないのだろう。この監督交代が吉と出るか凶と出るかはわからないが、14連敗などという異常事態になるとこれといった打開策などそうはなく、しかしクラブとしてはファンやスポンサーの手前何か手を打たざるを得ない、といったところだろうか。むしろ解任が遅すぎたという声もあるかもしれないが、大分くらいの歴史の浅いクラブになると(それこそシャムスカ獲得のような幸運でもない限り)迅速な対応も難しかったのではなかろうか。

いずれにせよ、リーグの半分を終わって勝点「4」という現状では、J1残留は不可能と言わざるを得ない。今後のミッションは、今季の後半を使ってチームを立て直し、できれば来季のJ2で1部復帰の切符をつかむ、ということになるのだろう。これまで作ってきたチームを再構築して戦力を整えて結果を出す、というサイクルを考えれば、まあ1年半は妥当なところかな、と。問題はその仕事をシャムスカに任せるか他の監督に任せるかだったろうが……。

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2009年07月14日

●アスタナ帝国進軍中 ('09ツール・ド・フランス第5~第9ステージ)


チームTTでアスタナが他を大きく引き離し、早くもコンタドールとアームストロングのマッチレースの様相を呈してきた今回のツール。しかし、総合争いよりもステージ優勝狙いのチーム・選手にとってはもちろん毎日が一発狙いのチャンスなのであった。ブエルタあたりだとダレかねない展開なれど、さすがにツールは選手たちのモチベーションが違うということだろうか。
 
 
第5ステージはほぼ真っ平のコースだが、どうも「平穏無事」に済まない日が続く。吹きつける横風・向かい風に煽られたプロトンはたびたび分裂し、逃げグループとの差もなかなかつまらない。残り5kmで逃げの中からトマ・ヴォクレールが力強く飛び出し、そのまま逃げ切り勝ち。毎年積極果敢な走りで目立ちまくるヴォクレールだけど、ちょっと驚いたことにこれがツール初勝利なんだね。地元選手の活躍に観客も大盛り上がりで、よかったよかった。

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2009年07月13日

●「ダヴィだこりゃ」byピクシー改めミスター (FC東京×名古屋グランパス)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第17節。FC東京 3-0 名古屋グランパス。今年のリーグ戦も早くも折り返し地点。芝の貼り替え工事のため1ヶ月半ぶりとなったホーム味スタに迎える相手は、今月ナビスコカップ準々決勝と合わせて3度対戦することになるグランパス。夏場らしいややまったりとした流れになった試合は、「いつも絶好調」男の先制弾など、要所で好プレーが出た東京が3得点の快勝。これから始まる連戦に向けて弾みをつけた。
 
 
真夏に差しかかる時期だけあって、立ち上がりはややスローなムード。ともに高いDFラインを保ち、新しい味スタ芝への戸惑いもあるのかパスをつなごうとしてつなぎきれず、ダヴィや平山を狙う縦パスが増えていく。そんな雰囲気を切り裂いたのはまたしても石川だった。3分、左からのパスを受けざまにターンしてボックス正面に切れ込み、DF3人に囲まれながらシュート!楢崎の横っ跳びも届かずゴール右隅に突き刺さった。ドリブルシュートのお手本だ。1-0。

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2009年07月08日

●ランスはランスである ('09ツール・ド・フランス第1~第4ステージ)

写真はArashiro
7連覇の「伝説の男」ランス・アームストロングの現役復帰に「三冠王」アルベルト・コンタドール2年ぶりの参戦、そして13年ぶりとなる日本人レーサー(しかも2人!)の出場と、話題には事欠かない今年のツール・ド・フランス。序盤から期待に違わずというか、予想をはるかに超えるエキサイティングな展開となり、JSPORTSで観戦する日本のサイクルロードレースファンは寝不足の海に叩き込まれているのであった。いや、幸せな事なんだが……。
 
 
第1ステージはモナコ公国を舞台とした個人タイムトライアル。F1では見慣れた市街地コースを自転車が高速で駆け抜けていくのは、それはそれで新鮮な光景だった。中継のゲストが我らが片山右京だったのもナイスな人選。右カーブのトンネルを抜け、ヌーベル・シケインを曲がり込んだところがゴール。あそこは92年のモナコGPでセナが絶好調マンセルを抑えきったところだね。三宅アナの「ここでのパワーはホンダが上か!」の実況、最高だった。

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2009年07月05日

●東京のクリロナ(笑) (ヴィッセル神戸×FC東京 テレビ観戦)

土曜日のJ1第16節はe2 by スカパー!の録画でテレビ観戦。ヴィッセル神戸 0-2 FC東京。リーグ中断を挟んでメキメキと調子を上げてきた東京。今回はインフルエンザ禍に大久保の復帰、カイオ・ジュニオール監督の辞任と、激動のシーズンを送るヴィッセルとのアウェイゲーム。前半から試合をうまく運んだ東京の攻撃力がハーフタイム明けに爆発、石川・カボレのダイナミックなプレーで連続得点を奪い、そのまま2点差で完勝を収めた。
 
 
前半立ち上がりから、前がかりの意識が高かったのはホームの神戸。早い守→攻の切り替えからボッティの配球でアタッカー陣がDFライン裏を狙う。7分、大久保のミドルシュートがゴール右上を抜ける。17分、大久保の浮きパスで我那覇がブルーノの背後に出たシーンは権田が思い切りのよい飛び出しで防ぐ。だが、東京は落ち着いて3ラインの守備をしき、前線へのパスをシャットアウト。攻勢が続かない神戸は次第に攻めあぐむ姿が目立つように。

一方の東京は効率的にチャンスを作る。最初は平山の巧みなボール処理から少人数で、前半半ばを過ぎるとパスも回り始めて押し込むように。23分、神戸陣でパスカットした石川が鮮やかなステップでDFを振り切って突進、ラストパスを受けた平山のシュートをGK榎本が横っ飛びでセーブ。41分には平山の落としから石川が強烈な反転ボレーシュート、榎本が何とか弾き出す。他にもいくつか好機があり、なかなかよい感触でハーフタイムへ。

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2009年07月03日

●『ラストキング・オブ・スコットランド』『運命じゃない人』『タクシードライバー』

最近ハードディスク・レコーダーから掘り出して観た映画その2。


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ケヴィン・マクドナルド監督『ラストキング・オブ・スコットランド』。医大を卒業したばかりのスコットランド人ニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は若者らしい気まぐれと冒険心からクーデター直後のウガンダに渡航し、医療支援に従事するように。彼はふとしたきっかけから新大統領のアミン(フォレスト・ウィテカー)に気に入られ、主治医として政権の中枢に関わるようになるが、次第にアミンの独裁者としての恐るべき正体が明らかになっていく……。

この映画、主人公は気が強いばかりで視野が狭く、エゴが先に立つイヤな奴。でも、そんな男が他人の女に手を出したり、独裁者の理想論に魅せられたり、特別扱いされていい気になったり、といった「若気の至り」から徐々に泥沼にはまり、気がつけば進退きわまっていた、というお話はけっこう身につまされる。それまで反発してた英国人外交官に助けを求めるも拒絶されるくだりなんて痛々しくて……世の中、取り返しのつかないことがあるのよのう、という感じ。

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2009年07月01日

●『13/ザメッティ』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『ジャガーノート』

最近、ハードディスク・レコーダーの容量がかなり心もとなくなってきたので、ずっと前に録画して観ずじまいだった映画をいくつか片づけた。その中で印象的だったものをレヴュー。
 
 
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ゲラ・バブルアニ監督『13/ザメッティ』。フランス在住のグルジア移民セバスチャンは、屋根修理の職人仕事で一家数人をやっとこさ養う貧乏青年。ある日ひょんなきっかけから、儲け話につながりそうな「チケット」を手に入れるが、たどり着いた先は森の奥の怪しげな屋敷。そこで行われていたのは、謎の金持ちたちが大金を賭ける死のゲームだった……。

要するに『ホステル』と同じような構造で、ちょっとした出来心から若いヤツが地獄に踏み込んでしまう、というストーリー。まあ、あっちは動機がスケベ心で行き先が拷問屋敷、こちらは金ほしさで強制されるのが集団ロシアンルーレット、という違いはあるし、『ホステル』ほどのデモーニッシュな雰囲気は望めないけれども。共通しているのは、人の命のまるで小銭のような軽い扱いと、行われる行為が妙にきっちりとルール化されていること、だろうか。

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