« このモヤモヤ、どうしてくれようか(FC東京×川崎フロンターレ) | メイン | 懐かしんでる場合じゃないのかもしれんけど »

2016年04月23日

●歴史的勝利を目撃したぞ (サンウルブズ×ジャガーズ)



サンウルブズ 36−28 ジャガーズ (スーパーラグビー第9節)

スーパーラグビーに日本チームとして初参戦を果たすも、開幕から7戦全敗のサンウルブズ。前節は敵地でチーターズに17-92と大敗を喫してしまい先行きが危ぶまれたところだったが、「真のホーム」秩父宮に戻った今節は粘りのラグビーを見せ、接戦を制してついに初勝利を挙げた。


キックオフ直後にハイパントを競り合ったロロヘアとトゥクレットが共に負傷退場するという波乱の幕開けから、5分、SOピシが50m近くあるPGを決めて幸先よくウルブズが先制。だが、そこからはジャガーズが優勢に試合を進める。SOエルナンデスが多彩なキックをDFの背後や隙間に蹴り込み、処理にもたつくウルブズに対しジャガーズは新鋭BKのボフェリを中心に果敢なキャッチングを見せ攻め込んでいく。

7分、縦突進の連続からHOクレービーが右中間にトライ。続く10分には右サイドのモールから左へ速く大きく展開してブレイクし、WTBアモロシーノがトライ。ただし、エルナンデスのGKが決まらず差はあまり開かない。20分、今度はウルブズが22m内の連続攻撃から左サイドを突き、ピシ→立川→笹倉と細かくつないでトライ。ピシが難しいGKを決めて10-10。さらに32分にピシがまた長いPGを決めて13-10と逆転した。

しかしジャガーズペースはまだ変わらない。34分、右タッチ際を快走したWTBモヤーノがミニパントを上げ、好捕したボフェリが走りきってトライ。13-15。エルナンデスが変わらずコンバージョンを失敗してくれるのはウルブズにとってラッキーだった。その後今度はピシが正面のイージーなPGを外してしまい、逆にエルナンデスがやっとこさPGを決め、13-18と微妙な点差でハーフタイムへ。


後半、先に得点したのはサンウルブズ。45分、フィルヨーンがPGを決めて16-18。しかしその直後、ピシが脳震盪で一時退出となっている間にCTBカーペンターがパスをインターセプトされてNO8イサに独走トライをくらってしまう。16-25。フィルヨーンへ通っていればビッグゲインできそうな紙一重のパスではあったものの、もう少しで逆転という局面だっただけに場内も「あ〜あ」という雰囲気に。

ところが、ここからウルブズが粘って試合は接戦に。ピシが戻った56分、敵陣スクラムからのサインプレーでカーペンターが弾丸のように抜けて汚名返上のトライ。23-25。後半半ばになるとジャガーズの足が止まり始め、速いパス展開から立川や笹倉、フィルヨーンらがゲインを重ねるように。66分、ピシがPGを決めてついに逆転!その直後にキックオフから攻め込まれてPGで26-28と再逆転を許すが、ゴール前でのキック選択に昨秋の南ア戦を思い出したのは僕だけではあるまい。

71分、ピシが左サイドからの難しいPGを決めて29-28と再々逆転。ジャガーズはトリッキーなパスを交えて攻め立てるも、ウルブズDFはすんでのところで踏みとどまり続ける。そして残り数分はウルブズがキープしながら攻め続け、キャリーバックのスクラムからピシが踊るように走り、最後は立川がポスト下に飛び込んで勝負あり。最終スコアは36-28。サンウルブズ、歴史的な1勝目である。




日本のラグビーファンとして、この勝利を見届けられて嬉しいのはもちろんなんだけど、それ以上にホッとしたというか安堵したというか。

開幕前は急ごしらえのサンウルブズがスーパーラグビーでどこまで通用するか全くわからず、開幕戦や2戦目のチーターズ戦では「意外とやれるな」という印象を受けたものの、その後は厳しい戦いが続き、2回目のチーターズ戦では「ブルームフォンテンの悲劇再び」の大敗を喫してしまった。最下位候補のキングスにも負け、正直なところここで勝てなければ全敗も覚悟しなければならないと僕は思っていた。

この試合、エルナンデスのキック不調や後半のジャガーズBK陣のミス連発(前半の暑さがこたえた?)など、ツキやホームアドバンテージが大きく作用したのは確かだ。それでも、ウルブズも地球を一回りするような過酷な移動の連戦の後で相当に疲労がたまっていただろうし、怪我人も多く決してベストメンバーとは言えない(エース山田も不在の)中でよく健闘したと思う。誇りうる勝利なのは間違いない。

つーか、いやー、ホント、全敗しなくてよかった(笑)。

MOMは間違いなくトゥシ・ピシ。プレースキックの成功率の高さはもちろん、パスプレーや陣取りのキックでも大車輪の活躍だった。少なくとも攻撃については完全に「ピシのチーム」だよね、今のサンウルブズは。あとこの日はフィルヨーンも安定感があって効果的なプレーを連発。笹倉はようやく本領発揮という感じか。FWではモリと細田がよく目立った。あ、あと立川はとにかく素晴らしかったよね。サイコー!

まあ、チームとして相変わらずの課題はいくつかあって、スクラムはやや改善したように見えるものの(それでも幾度か反則を取られていた)、ラインアウトは不安定なまま。パスプレーでのオプションの少なさももう少し何とかならんかと思わないでもない。メンバーに関してはもう仕方のないことかもしれないけど、FW第三列とWTBが薄いんだよなあ……残り7試合、その制約の中でどれだけやれるか。

ともかく、これで「1勝のプレッシャー」あるいは「全敗の恐怖」からは解放されるのだから、今のサンウルブズなりのより良いラグビーで、あと1勝でも2勝でももぎとってほしいものである。考えてみりゃ、最初の1勝だけでなく全ての勝利が歴史になるんだもんね。頑張ろう。


秩父宮の試合ではサンウルブズが得点するたびに場内放送で「うぉーん」という狼の雄叫び(?)が流れる演出があり、最初は「なんかわんこみたいで可愛いね」と笑ってたんだけど、3試合目にして早くも定着してきたというか、ウルブズのチャンス(あるいはピンチ)では観客席からも「うぉーん!」の大合唱が。おそらく選手たちも応援されてるんだか何だかよくわからんと思うのだが(笑)、あれはあれで笑えていいな、と。


↓よかったらクリックして下さい。
にほんブログ村 その他スポーツブログ ラグビーへ
にほんブログ村

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2843

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)