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2007年01月14日

●「関東学院」を忘れてた!!

昨日の午後、JSPORTSでラグビー大学選手権決勝。早稲田大学 26-33 関東学院大学。早稲田念願の3連覇はならず、10年連続決勝進出の関東学院が6度目の優勝。予想外の結果、と言っては失礼だが、しかしここ最近の早稲田の盤石ぶりと、夏~秋の関東の出来の悪さを考えれば「ビックリした」というのが本音である。強豪・関東学院の存在を忘れていましたゴメンナサイ、という感じ(笑)。


「前後半の最初の10分を制する」との宣言通り、関東学院は立ち上がりから重量FWを前面に立ててラッシュ。早稲田は低く足を止めるタックルと機先を制するフォローで対抗し、モールの前進を許さない。関東の攻勢が続くもなかなかゴールは割れず、「さすがは早稲田、よく研究しているな」というのが第一印象だった。そのままモール戦を巧みにしのげれば、ラインアウトの不利も致命傷にはならないように思えた。

だが、関東は局地戦に固執しなかった。9分に縦突進の繰り返しで先制した後、消極的にならずむしろ冒険的なほどのパス攻撃に出てきたのは予想外だった。21分、DFの裏に出たWTB朝見が五郎丸をぶち抜いてトライ。29分にFB山下が走りきってまたトライ。勢いとは恐ろしいもので、不安視されていたコンバージョンも全て成功。前半の終わり頃は両WTBの快走で早稲田がペースをつかむが、9点差まで迫ったところであえなく「水入り」。

後半開始直後、朝見がまた素晴らしいランを見せてトライ。あまりのプラン通りの展開に、春口監督は笑いが止まらなかっただろう。早稲田は持ち前の速いパス回しでペースを握りたいところだが、関東の当たりの強さに攻撃ラインはバラけ気味、そしてセットプレーの完敗が混乱に拍車をかける。「いつも通り」にできればもっと点を奪えたはずだが……いくらハーフ団が健闘しても、全体の形が崩れてしまってはどうしようもない。

で、その後はやや大味な攻め合いとなり、両チームが交互にトライを取り合う形になって、最終スコアは26-33。関東学院は20分どころではなく、前半30~40分を除く70分間で試合を支配していた。スコア以上の完勝である。1週間前に、いったい誰がこの結果を予想できただろうか(それとも、秋頃から継続して観ている人はまた別の感想を持っているのだろうか)?おみそれしました。


しかし、法政を破った京産大に余力残しで完勝した準決勝を考えれば、「あの早稲田が学生同士で負けるかねえ」という感じではある。受けに回った状況での意外な(いや、人によっては「案の定」かもしれないな)脆さが表に出てしまった形に。まあ、対抗戦で独走しちゃってる状況で、競った試合の経験値が積めない苦しさはあるんだろうけども。矢富や曽我部、両WTBはさすがの活躍だったが、FWとCTBがちょっと……。

逆に、関東学院はこの大舞台で正真正銘のベストゲームを披露。なんつーか、監督の力量を含め、チームとしての場数が出たということなんだろうか。それとも、学生チームの伸びしろはやはり凄いということか。いずれにせよ、相変わらず大味ではあるものの、自分たちの強みをいかんなく発揮しているように見えた。春口監督の会心の笑顔も頷ける戦いぶり。感覚的には、強かった頃のメイジにちょっと似てきたような気がする。

残念だったのは、両チームの守備のユルさと密集での雑さである。まあ、関東はそもそも組織が未成熟なのを気迫でカバー(独走寸前の首藤の踵を払ったFO田中の好プレー!)していたので「頑張りました」と言うべきかもしれないが……。早稲田は、低いタックルはモール対策のためだけなのか?ラインDF・二線防御での腰の高さ(特に今村と五郎丸!)はいただけない。逆に、密集では双方とも立てず倒れ込む者続出なのがまた情けない。

色々な意味で学生同士の真剣勝負らしく、面白い試合だった。ただ、彼らならばもっと高いレベルでやり合えるような気がする。そろそろ、決勝で同一カードが続くこと(というより、「続いてしまう」状況)の弊害が出てきているのではなかろうか。慶応あたり、頑張れ。

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コメント

早稲田に気の緩みがあったんじゃないかな。
いいお灸になればいいんだけど。
それにしても関東学院はのびのびというかイケイケのゲームプランでしたね。

>>独走寸前の首藤の踵を払ったFO田中の好プレー!

個人的にはこれが勝負の行方を分けたと思ってます。

>早稲田に気の緩みがあったんじゃないかな。
やっぱり3連覇は難しいんだね。去年あたりは挑戦者となった関東をはね返すだけの強靱さがあったんだけど、今年は関東の思い切りに押されちゃった感じですな。

>個人的にはこれが勝負の行方を分けたと思ってます。
おっしゃるとおり。ほんの数cmが勝負を分けた。それくらい、「数cm」は大事だということなんだろう(ドーハの悲劇を振り返るカズのコメントを思い出す)。

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