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2005年11月28日

●ウェールズ×オーストラリア

週末にJSPORTSで放送されたウェールズ代表×オーストラリア代表は、とびきりの好ゲームであった。W杯でも六カ国対抗でもトライネーションズでもない「ただのテストマッチ」なのだが、それでも選手が涙するほどの熱戦になるのは、やはりラグビー独特の「対抗戦思想」の名残なのだろうか。勝点や順位といったものが関係ないだけに、よりフェアでより純化された闘志のぶつかり合いになる、とでも言おうか。

最終スコアはウェールズ 24-22 オーストラリア。ミレニアム・スタジアムの大観衆に背中を押されたウェールズ代表が、対豪州戦の連敗を「9」でストップ。思い切ったパス回しのぶつかり合い。ハンドリングエラーも多く落ち着かない試合ではあったが、見応えある接戦だった。勝敗は、精神的な紙一重の差で分かれたように思う。ウェールズはホームの空気を味方にして最後まで攻めきり、ワラビーズはスクラムの弱さが足を引っ張って後一歩押し切れなかった。

ウェールズはなるべくラックを作らず、ポンポンとテンポ良くパスをつなぎ続ける。密集での争奪戦が激しさを増している現代ラグビーでは主流になりそうなスタイルだし、スペイン戦のジャパンがやろうとしていたのもこれに近かったかもしれない。前半早々に自陣から相手22m内まで、タックル際の短いパスを延々と繰り返して前進したのには驚いた。「オフロード」なんて小難しい事言わんでも、とにかく「味方につなぐ」という意識か。

そして、その中で目立ったのがWTBシェーン・ウィリアムズ。「胸のすくような」という形容がピッタリのスピード感。背の低いBKは個人的にかなり好みだ。仏のドミニシとか、日本では水野とか有賀とかもそう。小男が大男たちの間を抜けていく痛快さ。しかもウィリアムズの場合、ちょっと泣き顔の入った童顔なのがまた楽しい。後半13分、自陣からのカウンター、グラバー&FBトーマスとのパス交換で逆転トライをゲット。CTBトゥキリのタックルをギリギリかわしてゴールへ走り込み、跳び上がってトーマスと抱き合った姿(子供か(笑))を見て「これはウェールズのゲームなんだ」と確信した。

一方、ワラビーズは前半陣地的には劣勢ながら、粘り強い守備とFW第三列(というかジョージ・スミス)のボール奪取力を生かしてリードを奪う。終了間際の大チャンスは逃したものの、決して悪い雰囲気ではなかった。だが、後半にやはりスクラムの弱さから崩れてしまった。このレベルのテストマッチにおいてコラプシングでペナルティトライなんて、初めて見たような気さえするな。で、ズルズルと自信喪失して受けに回って逆転を許し、最後反撃するも時既に遅し、と。なんか1つのチームとして衰退のサイクルに入ってしまった感じである。エディ・ジョーンズ監督は退任するだろうし、立て直しのためにはそれが妥当なのだと思う。

しかし面白かった。ラグビーは強豪国の数自体が少ないし、交流も昔より盛んになったとはいえまだまだだから、一戦一戦の重みがサッカー(例えば「キリンチャレンジカップ」とか)とは違うやね。なんでもウェールズがホームで豪州に勝ったのは24年ぶりだとか。ウェールズのラグビーファンは朝まで大騒ぎだったろうな。うらやましい…。

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