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2006年01月07日

●第85回全国高校ラグビー決勝

JSPORTSで全国高校ラグビー決勝。桐蔭学園 12-36 伏見工業。前半風上を選択した伏見が軽快なパス攻撃で着実に3トライを奪う。後半は桐蔭が強力FWを前面に立ててモール・縦突進で反撃するも、伏見は粘り強いタックルでしのぎ、トライの奪い合いに。結局、前半の24点差は変わらず試合終了。伏見4度目の全国制覇となった。
 
前半の伏見も「圧倒した」という印象ではないのだが、しかしここぞという場面での切れ味はさすが。ラックからの速い展開に桐蔭DFが前に出きれないところ、ポンポンポンとお手玉のようにWTBまでつないでトライを奪う。解説の小林さんや村上さんは「接近戦」という言葉(大西ジャパン!)を持ち出していたけれど、そこまで行くかはともかく、「目の前のDFをパスで外して抜く」という、すげえ単純なんだけど実は社会人でもあまりできていないプレーがきちんとできるのはお見事。

一方、桐蔭学園の方も、最後離されはしたが、強みであるFWで真っ向勝負を挑んだのは賞賛されていいだろう。前半風下にも関わらず果敢に押し込んで、そこで伏見のカウンターにやられてしまった(特に終了間際の3点目)のは残念だったが、後半は幾度かチャンスを作り、点差以上に相手を苦しめたのではないだろうか。いいチームだった。

そう、いつもながら、この大会は本当にいいチーム揃いだ。伏見をあと一歩まで追いつめた長崎北陽台や東海大仰星、桐蔭にうっちゃられた大工大付属。実力は紙一重で、ボールをよく動かすチームあり、FWの強さにものを言わせるチームありと、個性も豊かだった。何より、「最後まであきらめない」事を文字通り実践したチームが多かったのが素晴らしい。その象徴が、勝者も敗者も号泣して抱き合った、決勝戦後の光景だろう。思わずもらい泣きしそうになったよ。
 
この大会で、高校生たちが流す涙。ひたむきさの価値。それを忘れなければ、日本のラグビーは決して滅びることはないだろう。日本のラグビーファンは、年に1回花園で大事なエネルギーを補給するのである。……つーか、何で高校でこれだけいいラグビーができて、大学やジャパンがああなってしまうのだろうと、いつも不思議に思う。相手方の強さの問題だけじゃないような気がするんだよな。

あと、1つ文句をつけたいのは、表彰式におけるお偉いさんの長話。特に日本ラグビー協会の真下副会長!あれだけの試合をしてクールダウンも終わっていない選手たちをこの寒さの中立たせっぱなしにして、あの人たちは何も感じないのだろうか。あんまり続くんで、ドリフかモンティ・パイソンのコントかと思ったよ(笑)。この手の勘違い、ラグビーを愛する人々(選手、関係者、ファン)に対する無神経こそが、日本のラグビーを危機に追いやっているのだと思う。

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