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2008年01月27日

●まんまるたこ焼き、まんまる笑顔 (サントリー×ヤマハ)


昨日の午後、秩父宮ラグビー場でトップリーグ第12節。サントリーサンゴリアス 31-7 ヤマハ発動機ジュビロ。プレーオフでの戦いに向けて調子を上げていきたい2位サントリーと、神鋼・三洋に連敗して苦しい状況に追い込まれた5位ヤマハとの一戦。ベスト布陣を取り戻しつつあるサントリーが素晴らしいパフォーマンスを発揮し、ファンも監督も満面の笑みを浮かべたくなるような快勝でマイクロソフトカップ進出を決めた。


冒頭の写真は、試合前に食べたたこ焼き。競技場入口の屋台で売っているもの。作り置きだったようだがきちんと湯気もたつくらい暖かく、中がトロリとしていて美味しかった。たこの大きさも下品すぎず、しかし小麦粉の中に埋没しない存在感があって良し。500円也。

試合は序盤から双方が積極的に地上戦を挑み合う展開となったが、ペースを握ったのはサントリー。この日はタックルの成功率が高く、ヤマハの前進を確実に阻止し、攻めてはWTB山下やFB有賀のパワフルなランでゲインを重ねる。セットプレーも安定しており、一方的な攻勢が続く。3分、ゴール前の密集からPR尾崎が飛び出してトライ。11分には有賀の突破からSO菅藤がゴール内へゴロパントを入れて山下が走るも、惜しくもトライならず。

19分、ヤマハが自陣10m付近でパス攻撃を仕掛けようとしたところ、CTB大西からの飛ばしパスをWTB小野澤が躍り上がるようにしてインターセプト、独走してトライ。12-0。さらにサントリーは26分にも重厚なモールを形成して一気に押し切り、トライ。19-0。ヤマハも次のキックオフからようやくサントリー陣へ攻め込むが、ゴール前まで迫ったFO加藤を菅藤が懸命のタックルで防ぐなど、サントリーも粘りの守備を見せる。そのまま前半終了。

後半に入ると前半とはうってかわり、ハーフウエーを挟んでキックも交えてせめぎ合う陣取合戦が続く。キックの使い方ではヤマハの方がやや上手のようで、2度ほど深く攻め寄せるが、サントリーの防御は厚く、セットのミスもあってなかなか得点に至らない。ようやく62分、途中出場のSH矢富がテンポ良いパス出しでリズムを作り、最後はWTBソトゥトゥが有賀のタックルを受けながらタッチ際を走りきってトライ。大西が難しいコンバージョンを決めて19-7。

普通に考えれば、サントリーにしてみれば嫌な展開である。だが、この日はここから底力の差が出ることになった。ニコラス、野村、山岡、前田らフレッシュな選手を投入したサントリーは再び攻勢に転じ、69分、22m内右中間のラックからパスを受けた山下がステップを切りながらDF2~3人を振り切ってトライ。まるで「根の生えたような」足腰の強靱さを発揮したプレー。数年ぶりに見た、いかにも山下らしい会心の走りだった。26-7。

さらに5分後、投入されたばかりのSH成田がやはり右中間のラックからブラインドサイドへ持ち出し、自慢の快足を飛ばしてとどめのトライ。これまた持ち味を存分に生かした好プレーであった。31-7。その後はヤマハが最後の反撃を試みるも、相変わらずサントリーの防御を突破しきれない。結局、そのまま24点差でノーサイド。サントリーの快勝となった。



清宮監督自身が試合後にコメントしていたとおり、サントリーにとっては今季の(今のところの)ベストゲームだろう。そのくらい「強さ」を感じさせる内容だった。要因としてまず挙げられるのは、守備の安定である。これまでサントリーの「数合わせ優先」にも見えるやや強度に欠けた守備には不満を感じていたのだけれど、一つ一つのタックルがしっかり決まるようになればそれは「ぶ厚い守備」に転じるのであった。なるほど。

もう一つは、チームの総合力、層の厚さを再確認できたこと。SH田原や菅藤といったシーズン前半ではあまり姿を見なかった選手が先発起用で機能し(BKを生かすなら野村より菅藤か)、CTBニコラスを控えに回しても戦闘能力の低下は感じられなかった。途中出場の選手もそれぞれ持ち味を発揮して活躍。あと、なんといってもキャプテン山下の復活!清宮監督が「これでチームに一本芯が通る」と語るのも頷ける頼もしさであった。


それにしても、試合後の清宮監督は本当に嬉しそうだった。まさしく満面の笑み。ほころんだ顔のまん丸さは試合前に食べたたこ焼きを思い出させた……ってのは単なるこじつけだが(笑)、強敵相手の勝利にプレーオフ進出決定、そして手応えの感じられる試合内容。そりゃ嬉しいに決まってるよな。最終節は好調トヨタとの対決。おそらくプレーオフはこの両チームに三洋を加えた3チームの争いになるはずで、前哨戦として非常に興味深い対戦だ。


ヤマハのベテランSHであり日本代表の元正SHでもある、我らが村田亙選手は今シーズン限りで引退とのこと。この日もテレビカメラはずっと村田選手の表情を追いかけていたようだ。「天才」堀越のライバルとして登場し、堀越以後の(苦しい)時代のジャパンを支え、フランスに移籍して海外進出の嚆矢ともなり、晩年はトップリーグに参加してその黎明期を盛り上げてくれた。本当にファンの心に残る名選手である。どうもお疲れ様です。
 

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コメント

4強争いが白熱してきましたね。残り2席はどこが滑り込むのか?
こんなに大混戦で白熱しているのに、あまりスポーツニュースとかで話題にならないのが残念だ。

>>競技場入口の屋台で売っているもの

オレは「てんこもり焼きそば」が好きです。

いや、ほんと、今年は4チームプレーオフ制導入がうまくはまったというか、無茶苦茶面白いんだけどねえ。

三洋とサントリーが決まって、トヨタもだいたい大丈夫かな。で、あと1チームは……順当に行けば東芝なんだろうけど、対戦相手を考えれば、神鋼は案外まだ望みがあるね。もうちょい得失点が良ければ、というところなんだが。

>>あと1チームは……順当に行けば東芝

NECと神戸製鋼を応援しているオレからすると旨くない展開なんだが、可能性としては東芝が一番高いだろうなぁ。

ここはひとつ、ヤマハにがんばってもらって(笑)

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