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2015年11月03日

●釜石シーウェイブスが熱い! (日野自動車×釜石シーウェイブス)



日野自動車 11−16 釜石シーウェイブスRFC (ラグビートップイーストリーグ)

W杯の決勝戦と同じ土曜日の昼間、秩父宮ラグビー場でトップイーストリーグ1部の試合を観戦してきた。


トップイーストは要するに2部リーグ。それをわざわざ観に行ったのは、ジャパンの活躍ですっかりラグビー熱が高じてトップリーグ開幕が待ちきれなかったのと、豪州代表のスコット・ファーディー(元シーウェイブス)が東日本大震災の際に釜石に残留してボランティアで活躍してくれた、という新聞記事が心に引っかかっていたから。あと、元日本代表の伊藤剛臣さんが釜石に所属しているというのも大きな理由であった。

試合前にシーウェイブスのテントに行ってみると、マスコットの「なかぴー」と「なかりん」がお出迎え。なんで虎やねん、とか色々とツッコミどころはありそうだが、お付きのお兄さん(顔全体に虎のペイント)ともどもなかなか愛想の良い2匹であった。応援グッズは当然のごとく大漁旗。釜石といえばそりゃあ大漁旗だよ、キミぃ。昔は毎年成人の日に国立競技場のスタンドででっかい大漁旗が振られてな……。

あと、入場門の前でキョロキョロしながら歩いていたら、やたらデカくて姿勢のいい背広の男性にぶつかりそうになって、慌てて避けながら顔を見たら桜庭吉彦ディビジョンマネージャーであった。さすが元日本代表ロック(W杯出場3回!)、カッチョいいのう。というか、そんな凄い人がそこらに普通にいるのがラグビー。

メンバー表を確認すると、釜石には伊藤さんの他にも元神鋼の松原裕司とか元パナソニックの北川勇次とか、けっこう大物が移籍してきているのね。一方の日野自動車には元サントリー/NTTコムの山下大悟の名前が!いや、ちょっとびっくりしたというか、ラグビーもサッカーのように2部リーグでかつての(と言っては失礼かもしれんけど)名選手の雄姿が見られるようになってきたということか。



試合は、立ち上がりから日野自動車のペース。風上の釜石はキックを多用するが、日野はSO調らが機敏に対応して互角以上に蹴り返し、CTB山下を中心としたスピーディーなバックスプレイとLOサムエラの怒涛の突進で攻め込んでいく。5分、パス展開の中で釜石DFのギャップを突いたWTB篠田が走りきってトライ。その後も幾つかチャンスがあったが、釜石DFがゴールライン際の懸命のタックルで防いで8-3でハーフタイムへ。

後半になると釜石が反撃。キック戦法から一転、伊藤、北川、バー・トロケら突破力のある選手がぶちかまし、あるいはタックルを振りほどきながらジリジリと前進していく。しばらくはぎりぎりで止めていた日野も次第にペナルティを犯しはじめ、釜石は着実にショットを狙って得点を積み重ねる。60分、68分とSO村田がPGを決めて8-9と逆転。さらに釜石はCTBマプスアやWTBカマナらを投入して畳み掛けにかかった。

そして70分、釜石はラインブレイク→素早いフォローの繰り返しで自陣から一気に攻め込み、伊藤のパスで抜けたPR鄭からのラストパスを受けた松原が豪快に飛び込んでトライ。これは見事な連続攻撃だった。8-16。終盤は日野が反撃を見せ、序盤のような速いパスプレイで釜石ゴールに迫る。だが、釜石はたて続けにシンビンを受けて数的不利となるも、最後はFW陣が踏ん張って失点をPG1つにとどめ、5点差で逃げ切った。



僕は前半はメインスタンドで、後半はバックで観たのだが、特にバックはシーウェイブスのサポーターが圧倒的に多かった。それも、さすがは釜石、昔ながらのラグビー場っぽい雰囲気で面白いんだよね。僕の近くに座っていたおじさんは相手ボールのセットプレーのたびに「相手ボールはマイボール!取り返せばいいんだ!!」と凄くいい声で繰り返すのが可笑しかったし、あと試合前やハーフタイムに応援歌を1人熱唱するおじさんがメインとバックにそれぞれいたりとか。

で、試合終了の瞬間には歓喜爆発。もちろん上位争いの大事な試合というのもあるけれど、「やったー!」とみんなで両手を挙げて大喜びする感じがすごく気持ち良かった。松原のトライの瞬間には僕も思わず拳を握りしめてしまったよ。カテゴリーなんて関係なく、選手たちの頑張りとスタンドの熱心な応援があればそれで充分素晴らしい空間ができうるんだな、と再認識した。試合後挨拶に来た日野自動車の選手たちへの拍手も大きかったし、W杯とはまた違った素晴らしさ。これもラグビーである。

もう一つ嬉しかったのは、かつて代表やトップリーグで活躍していたベテランたちの元気な姿が見られたことだ。伊藤剛臣さんは全盛期のスピードや機動力はなくなっていたけれど、勇敢でありつつも柔らかさのある突進や密集での仕事は相変わらずだし、パスは昔より上手くなったんじゃなかろうか。山下大悟も抜きにかかるランの鋭さはかつてほどじゃないが、接近の距離感と周りを生かす上手さはさすがだった。

こうしたベテランたちの「もう一花咲かせる」頑張りは日本ラグビー界全体の層を厚くしてくれると思うし、何よりファンとしては嬉しいんだよね、やっぱり。伊藤さんなんてジャパンが「ブレイヴ・ブロッサムズ」と呼ばれるきっかけを作った1人なんだから。今回、日本代表の快進撃を伝える海外ニュースがその呼称を使うたび、彼が中心選手だった2003年W杯の事が頭をよぎったりもしたのである。元気そうで良かった。

てな感じで、身も蓋もない言い方だけど、やっぱりラグビー場は楽しいな、と(笑)。今年のトップリーグは日本代表人気でチケットの売れ行きが大変なことになっているらしいので、是非ああいう空間の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいと、僕は心からそう願っている。


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