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2006年02月05日

●東芝府中×サントリー ('06マイクロソフトカップ決勝)


午後、秩父宮ラグビー場でマイクロソフトカップ決勝。東芝府中 33-18 サントリー。準決勝を観た後で「サンゴリアスとしては、とにかくゲームスピードを上げて点の奪い合いに持ち込みたい」なんて書いたのだけれど、一方的に奪われちゃあかんがな、サントリー(笑)。大差こそつかなかったものの、東芝の完勝だった。


東芝の最初のトライが両チームの力量差をよく表していたように思う。4分、サントリー陣10m付近中央での東芝のラック。サントリーは両サイドにDFを散らして十分な人数で待ち構え、対する東芝は密集付近に集まりすぎて展開が難しそうな場面。ボールを出すSH吉田が後ろにいたBKたちと目を合わせた刹那、おそらく予定通りのムーヴなのだろう、全員が一斉に右サイドへ散っていく。サントリーDFの対応は一瞬遅れ、ほぼ同数のマッチアップからCTBマクラウドがグイッと抜け出し、WTB廣瀬にラストパスを通してトライ。どう見ても防御側有利の状況だったのだが……うーむ。


その後も東芝の攻勢が続く。東芝の選手たちはお互いの動きを信じ切っており、ランにせよモールにせよ全く迷いがないのに対し、サントリーはDFの数はきっちり合わせてくるのにタックルが甘く、ズルズル突破を許してしまう。特にマクラウドは1人でサントリー防御をチンチンにやっつけていた。モール、縦突進、展開織り交ぜた攻撃で13分にNO8ホルテン、18分にマクラウド、26分にはCTB富岡がトライ。一方的な展開であった。

サントリーもBKへのパス展開により反撃しようとするのだが、東芝の穴のない防御を前になかなか前進できない。後ろの席の若いニイチャンが「ラックばっかで前進できないのは(アドバイザーのエディー・ジョーンズがコーチしていた)オーストラリア代表と同じじゃん!」と言ってたが、まあその通りだよな。加えて、ハーフ団、特にSO菅藤の不出来ぶり。キックでミスを連発し、ランも不発で、1人でリズムを壊しているようにさえ見えた。早めに代えてしまった方が良かったかもしれない。

前半は28-6。トライ3つ以上の差。いくら後半サントリーが風上気味になるとはいえ、3トライ奪った上に東芝を完封できるとも思えず、この時点でほとんど「勝負あり」のように思えた。今日は風が強く、日陰のメインスタンドは耐え難いほどであったのに試合の方もお寒いのでは、ちょっとね。


ということで、ハーフタイムに日なたのバックスタンドへ移動(笑)。こちらの方が寒さはいくらか、いやだいぶまし。久しぶりのバックスタンドだったのだが、真ん中寄りが「応援団」的な賑やかさで、端の方は関係者も多くじっと見入っているのは相変わらず。雰囲気はいいけれど、メインに比べて傾斜が少なく逆光になるのが難点。

試合の方は、後半になるとサントリーがボールを支配して攻めたてる時間がぐっと増えた。が、やはり東芝の素早くスペースを埋める防御に阻まれて大きな前進ができない。そしてもたついているうちに、10分、菅藤が味方のいないサイドへノータッチキックという凡ミスをやらかし、案の定マクラウドにカウンターをくらって最後はLO横山がトライ。点差的にも、気持ち的にも、これで本当に勝負あった、というところか。

ようやく19分に菅藤→沢木の交代が行われ、沢木は堅実なプレーで攻撃のリズムを作ったが、まさしく時既に遅し。23分、やっとできた東芝DFラインの穴をNO8若松が抜け、ポスト下にトライ。続いて31分、東芝のミスキックで得たラインアウトのチャンスからピッチを右→左に横断するパス攻撃でWTB小野澤が隅っこへトライ。しかし、反撃もそこまで。場内がどよめいた(笑)4分の追加タイムにもめげず東芝DFは粘り、ついに3つ目のトライを許さず、15点差で試合終了。


より強き者が勝つべくして勝った試合だった。東芝は薫田監督になった1年目は「冒険的なパス攻撃」で、王者を目指す2年目は頑強なモールも交えた「引き出しの多さ」で我々を驚かせてくれたが、今年は「完成度と集中力の高さ」だろうか。立川の不在でやや陰りが見られるものの攻撃の決め手は十分で、しつこく目の細かい守備にも隙はないように思える。本当に強い。今年こそ獲れるんじゃないかな、三冠が。

一方サントリーの方は、ポテンシャルの高さは窺えるものの、ポジションごとの選手の力やコンビネーションプレーの精度にばらつきがあって、力を出し切れていない印象。特にハーフ団は、よほど成長するかもっと良い選手を連れて来ないと厳しい。あと、東芝と渡り合うためには、タックルの甘さも改善しないといけない点。理に適った動きで数は合っているのに止められない。やはり現・サントリーコーチの林雅人さんが監督をしていた日本A代表がNZ大学選抜に大敗した事があったけど、確かあの試合の日本も今日みたいにタックルがユルかったような……。

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