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2006年02月15日

●スーパー14ってスゴイのね

録画していたスーパー14開幕戦を観る。ウェスタン・フォース 10-25 ACTブランビーズ。昨年まで「スーパー12」だった南半球3カ国(NZ、豪州、南ア)の地域プロクラブ対抗戦が、新たに2チームを加えて拡大リニューアル。今回は新規加入フォースのホームだったが、スタンドも3万人台の観衆で大盛り上がり、「活気があるなあ」という感じである(我ながらアホみたいな感想だ(笑))。

試合の方は、序盤こそフォースの粘り強い防御に苦しんだものの、グレーガン、ラーカム、モートロック、ギタウら現・元ワラビーを多く抱える強豪ブランビーズが徐々にボールを支配。後半半ばにバックスの展開からきれいな2つのトライを奪い、4トライのボーナスこそ逃したもののまずは順当な勝利。個人的には、現在一番好きなSOスティーブン・ラーカムの元気な姿を観ることができたのが何より。

今までは「スーパー12」なんて聞いてもピンとこなくて、観ようと思えばいつでも観られたのに食指が動かなかったのだけど、名称も変わったしJSPORTSが力入れてるみたいだしということで、今日は久しぶりに1試合通して観てみたのである。……うーむ、新鮮というか、違和感があるというか、普段観ている国内ラグビーとの違いについて考え込まされた。

パッと見、最も特徴的なのはブレイクダウンの局面だろうか。単にでかいとか当たりが強いだけではなく、ボールへの絡み方のスムーズさには目を見張らされる。日本のトップレベルでもしばしば「タックルで倒すこと」と「相手ボールへ働きかけること」は分離してしまっているが、この試合では大半の選手が一連の動作としてそれらをこなしていた。欧州のトップレベルでもこれほどボールキープが難しくはないだろう、という印象。

数年前のラックの連続でフェイズを重ねていくラグビーと今のラグビーでは「密集」自体の意味合いが全く違ってきているわけで、世界最先端の南半球プロラグビーにおいてブレイクダウンのプレーが北半球よりも一段洗練されているのは、ある意味当然の事なのかもしれない。日本国内においても、そこら辺の動きが比較的できている東芝府中と早稲田大学が、それぞれのカテゴリーで覇権を握っているのは周知の通り。なるほどさすがスーパー14、という感じか。

ただ、そうしたプレーが連続するラグビーが面白いかどうかと言うと、また別の話である。両チームのタックラーのボールへの絡みがあまりに激しくしつこいものだから、なかなかラックからボールは出てこず(そういやモールはほとんど使わないのな)、出てきたときにはDFが揃っていて、ボールキャリアーが捕まってはボール争奪戦、という繰り返しである。見方によっちゃ単調で、ある意味「シールドロック」(下記注参照)の状況に近いものがあるな。この試合がたまたまそうだったのかな?

まあ、何にせよ、たまにはいつもと異質なゲームを観るのもけっこういいものである。いい刺激、気分転換になった。


[注](2/16追加)
「シールドロック」とは、1999年第4回W杯前後によく使われた(最近あまり見かけない)用語。現代ラグビーにおけるディフェンスの発達により、攻撃側がラックから繰り返しボールを出しても防御側ラインの人数・密度が攻撃側のそれを上回り続け、攻撃が手詰まりになってしまう現象を指す。「鍵がかかって開かない」イメージ。

第4回W杯前後のトップレベルのラグビーでは、豪州ワラビーズを頂点に「ひたすらラックからのボール出し(ボール・リサイクル)を連続させ、時には十数次に達する攻撃」と「FW・BKが混在しながら横一線強固なDFラインを素早く構成する守備」がそれぞれ成熟し、単調なタックル・シチュエーションが延々繰り返される場面が頻出した。

現在は当時ほどラックにおける攻撃側のボール保持権が保護されなくなっているため、ボール・リサイクルを前提とした攻防ではなくボール争奪技術の重要性が増しているのは、本文で記載したとおり。そこら辺のルール改正は、日本国内でも大学における慶応→関東・早稲田、社会人におけるサントリー→東芝府中の覇権交代にも影響を与えている……かもしれない。

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