●今年もがっぷり四つ ('07-'08トップリーグ開幕戦)
昨晩は、秩父宮ラグビー場でトップリーグ開幕戦。東芝ブレイブルーパス 3-10 サントリーサンゴリアス。現在のトップリーグを牽引する2強がいきなりの激突。開幕戦にふさわしい、というより、なんだかちょっともったいないようなカードである。悪天候の中行われた試合は、大方の予想通りキックと密集を中心にロースコアのせめぎ合いとなり、ただ一度目の覚めるような展開プレーでトライを奪ったサントリーが勝利。
小雨降るコンディション、開幕戦、そして強敵相手。やはり慎重な蹴り合いと密集周辺のせめぎ合いが繰り返されることになった。特に前半は双方の22mラインの間を行き来するばかりで、地味というか、見ていてじれったい展開。サントリーはBK展開のリズムがつかめず、モールで押そうとするも東芝の巧みな防御にしばしばボールを奪われ、一方の東芝もターンオーバー後の攻め手を欠いた。ニコラスのPGによる3点のみでハーフタイムへ。
後半もじりじりとした攻防が続いたが、雨がやんだせいもあるのか、サントリーはパス回しのテンポが少し良くなったように見えた。そして58分、サントリーは右ラインアウトからスピードに乗ったパスが次々とつながり、WTB小野澤がDFのタックルを振り切りながら左タッチ際を快走、22mライン内で捕まったところで内へ折り返し、フォローのFB有賀が飛び込んでトライ。胸のすくような素晴らしい流れの中での得点だった。コンバージョンも決まって10-0。
しかし、ここで終わらないのがこの両チームの対戦。23分、ラックサイドを抜けて独走しかけたWTB吉田の前に有賀が立ちふさがり、吉田がミニパントを上げたところで両者が接触してペナルティ。PGが決まって10-3。そこからは、両チームのファンの悲鳴が飛ぶ中ひたすら肉弾戦が繰り返される。モールでキープして逃げ切りたいサントリーと、前へ出てプレッシャーをかける東芝。結局、そのままスコアは動かず、7点差のままフルタイム。
試合内容的には、物足りないと言えば物足りない。雨の中強敵相手に慎重になったのはわかるのだが、それにしてもラックからの球出しやプレー選択において冒険心が足りないように思えた。ラックもモールも「しっかり固めてから」という意識が強すぎて、かえってボールを失っていたような……。まあ、「とにかく勝つ」ことが優先されたのだろうから、この試合は仕方がないのかな。少なくとも飽きるような試合ではなかった。熱は感じられた。
サントリーは、清宮監督が試合後に語っていた通り、FWの健闘が勝利の要因である。FWが互角でさえあれば、日本において負ける相手のいないはずのチームだから。逆に言うと、BKはもっとやれるだろうし、ハーフ団が弱いのは相変わらずか。一方東芝の方は、プレーの強度はさすがであったけれど、攻撃における武器の少なさは今後に不安が残る。CTBマクラウドが負傷交替してからは得点の香りがぐっと少なくなってしまった。
いずれにしても、戦いは始まったばかり。
この試合、10月の雨、しかもナイトゲームという観戦環境にも関わらず、9千人余りの観客が集まったのは健闘と言うべきか。僕の席の後ろの方にサントリーファン(会社の人?)のオッサンが座っていて、「回せー、ウイングに回せー!」「FWがステップなんか踏むなー!」「ナイスモール!」「キープ!キープだぁ!」などとずっと叫んでいたのは微笑ましかった。「ナイスモール」って(笑)。この手のオヤジは発言内容はともかく、あり方として正しい、と思う。
あと、今シーズンから導入されたタイムキーパー制だが、わかりやすくてベリーグーですな、これは。40分に鳴るホーンの音がちょっと安っぽくて(「ぱふぉおおおおおん」みたいな(笑))イマイチだけど、あれは秩父宮の音響が悪いのかもしれないな。ビデオレフリーなんかいらないけれど、これはいいや、と思った。
コメント
いい席で見てるじゃん。
オイラはサイドスタンドの屋根の下で見てました。
>「FWがステップなんか踏むなー!」
いいなー、和む。
ウチラの席のそばにも試合終了間際にモールからヘッドキャップを選手が放り投げたのを、ボールが出たのと勘違いして、
「おおーっ!」って声が上がり、しばらくしてからあちらこちらからクスクス笑いが・・・
東芝ファンにイライラが募ってた時間帯だったが、それで場が和んでた。
Posted by: こばえもん | 2007年10月28日 18:14
>いい席で見てるじゃん。
うちのすばらすぃーカミさんが雨の中メインスタンドの席を確保してくれました。エラい(笑)!!
>モールからヘッドキャップを選手が放り投げたのを、ボールが出たのと勘違いして、
それもいいな~。やっぱりラグビー場はピリピリばかりじゃいかんと思うのだよ。まあ、個人的な好みかもしれないし、負けたチームのファンにとってはそんなこと言ってられないのかもしれんけど。ユーモアもあってこそのラグビー場。
Posted by: murata | 2007年10月28日 23:21