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2008年01月07日

●「ジャパンの10番」候補現る? (NEC×トヨタ テレビ観戦)


前日の飲み過ぎと、あと年が明けて以来なんだかんだと出かけてばかりということもあり、日曜日は秩父宮へ出かける予定をとりやめてテレビ観戦に切り替え。でもカード的には魅力的なんだよね、と思っていたら、案の定というかこれが好ゲームになってしまった。NECグリーンロケッツ 24-40 トヨタ自動車ヴェルブリッツ。ここまでやや不調だったトヨタが前節まで2位だったNECを激しい攻防の末に撃破。いや、失敗した!!


肉体的なクラッシュの激しさはトップリーグの中でもトップに位置する両チームは、立ち上がりから熱くぶつかりあった。トヨタは麻田・正面のリードから遠藤・菊谷・難波・水野が突撃を繰り返し、NECは辻とヤコの冷静なさばきからセミシが、箕内が、向山が体を張って迎え撃つ。守ってはトヨタは個々の鋭い飛び出しからプレッシャーをかけ、一方NECは秩父宮のピッチ状態の悪さも考慮して、キックを織り交ぜつつソリッドに試合を作る構え。

そんな前半、ペースを握ったのはトヨタの方だった。箕内のチャージから先制トライこそ許したものの、13分に麻田のDFの頭越しのパスが通って水野が、さらに26分には正面の果敢な突破から難波がゴールへ飛び込んで逆転。終了間際には正面の見事なDGも決まり(思わず原博実風に「良い時間帯に決まりましたね~」と言いたくなった)、10点差でハーフタイム。NEC優位と思い込んでいた僕としては意外な展開だった。

この試合、そもそも実力伯仲の両チームだけにPGを狙う場面は多く、後半も半ばまではシブく3点の取り合いとなった。2分NEC、4分トヨタ、10分NEC、20分NEC……得点は19-23。そして、この時間帯になって序盤からの激しい攻防の反動が出たのか、トヨタFWの足が止まる。22分にはDFライン裏への嫌らしいキックを岩本が処理し損ねたところ、WTB大東が難なく押さえてついにNEC逆転。トヨタは反則も増え、いかにも苦しい状況。

だが、ここでトヨタはまだ「切り札」を隠し持っていた。27分、フィジー出身のウィリアム・ライダー投入。交代の効果はてきめんで、ライダーの豪快な走りは停滞していたトヨタのパス攻撃をあっという間に活性化。30分、岩本が悔しいミスを帳消しにする走りで再逆転のトライ。33分にはライダーが時空を歪める変則ステップ(笑)でヤコと安藤を置き去りにして独走トライ。さらに36分には、正面がとどめのDG。終わってみれば24-40。トヨタの快勝だった。


トヨタの強さには驚いた。後半に入ってパス攻撃をことごとく止められ、キック攻撃も不発で「やっぱり隙のないNECが勝つのか」と思ったのだが……NECも決して悪くはなかったのに、弾丸タックルに象徴される積極姿勢がトヨタフィフティーンの高いポテンシャルを引き出し、終盤一気に圧倒。前の日森末さんと「トヨタは能力は高いけど勝ちに行く姿勢が足りない」なんて話していたのだが、いやいやハマれば爆発力は日本一である。

ライダーは面白い選手。7人制出身の選手は往々にして15人制プロパーとは違うリズムを持っているものだが、彼も高く大きなストライド(身長174cmにはとても見えない)が生み出す懐の深さ、緩急の感覚がDFとのズレを生み、ひとたび抜ければ一気にトライラインまで駆け抜けてしまう。以前アイイという選手を武器にニューカッスル・ファルコンズを破ったこともあるトヨタだけど、この手の「秘密兵器」はもはや伝統だろうか。

あと、嬉しかったのは、トヨタSO正面健司の活躍だ。いい時間帯の2DGをはじめ、攻撃の起点として突破とつなぎ、キックをバランス良くこなし、終盤は必殺のタックルをいくつも決めて勝利を引き寄せた。失点につながるキックミスなど拙い部分があるのも事実だが、少なくともこの試合ではポジティブな要素が優っていたように思う。キック専門職のようなこぢんまりとしたSOが多い中、久々に現れた大物正統派「10番」ではあるまいか。今後注目の選手である。


トップリーグの順位争いの方も、この試合の結果と、前日神戸製鋼がヤマハを破ったことで俄然面白くなってきた。三洋電機の快進撃は変わらないものの、サントリーと東芝が勝点36で並んで7位の神戸製鋼までが勝点差5、すなわち「1ゲーム差」の中にひしめく状態。こうしてみると、「4チームでプレーオフ」という今年からのルールは、(1位チームにとっては不本意だろうが)終盤まで緊張感を保つ上できちんと機能しそうな気配である。

いやあ、何だかんだ言って、サッカーのシーズンオフもノンビリできないのね、僕たちは(笑)。
 

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コメント

あけましておめでとうございます。
今はオフシーズンじゃなくてオンシーズンですよ(笑)。

関東方面では同期の佐々木隆道、有賀剛の影に隠れてしまいがちですが、濃尾平野より西では正面健司の名は絶大ですぞ!

2DGは絶妙な時間帯といい、出来過ぎです。
突破に関しては、あれは普通です。 僕たち見慣れてます(笑)。
必殺タックルは、何かの間違いです(爆)。
フランスにおける大西将太郎のPGように神が宿ったかのようなタックルの応酬でした。
彼のキックは奇をてらうのではなく、決めたスペースへ確実に蹴る、遠くに蹴る、確実にタッチに出すとオーソドックス…

1年目ながらシーズン通してFBのポジションを守って素晴しい活躍をしたのに、昨季から囁かれていましたが、今季はSOでの出場にトヨタファンの間でも勿体無いような何処か疑問符を感じながら見ていましたが、この試合を以ってそんな疑問を払拭したかと思います。
まずは、『ジャパンの10番』より、『トヨタの10番』のポジションを確立して欲しいですね。

先日の松山での事…
試合終了後、スーツ姿でスタッフの人と一緒に競技場から出てきた正面健司選手に声をかけ、会場で貰った旗にサインをしていただきましたが、彼のサインにはしっかり『10』の数字が書かれていました。
それを見て彼のSOに対する意気込みを感じたことが、今回の活躍によってかなり興味深いものになりました。

今年もよろしくお願いします。>クロゴマさん

>濃尾平野より西では正面健司の名は絶大ですぞ!
いやあ、失礼しました。また森末さんに「これだから東京の人間は!」と怒られちゃいますね(笑)。しかし、彼らの世代も、早稲田に佐々木あり、関東学院に有賀あり、同志社に正面ありで「黄金世代」ですね。あ、法政に森田もいたのか……。

>突破に関しては、あれは普通です。 僕たち見慣れてます(笑)。
おお、そうですか。関東だと生で観る機会がどうしても少なくて……。僕はSOでは「蹴り屋」よりも「走り屋」の方がタイプとして好きだし望ましいと思っているので(後者が前者を兼ねることはできても逆は困難だから)、彼のようなタイプが台頭するのは嬉しいです。

>彼のサインにはしっかり『10』の数字が書かれていました。
お!ちょっとグッと来る話だ(笑)!!

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