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2007年12月23日

●今年最後のトップリーグは「中盤の山場」


土曜日の午後は、味の素スタジアムでラグビートップリーグ第8節。東芝ブレイブルーパス 36-17 神戸製鋼コベルコスティーラーズ。前節、三洋電機に大敗した東芝と、サントリーに完敗して2連敗となった神鋼。どちらも首位争いに生き残るためには負けられない戦い。最高気温8度、かつ小雨もちらつくこの冬一番の寒さの中で試合は行われた。


前半は神鋼ペースだった。徹底したハイパント攻撃はサントリー戦と同様ながら、その精度は明らかに高まっており、22mライン付近を狙うSO森田のパントにFBウィルソンがどんピシャのタイミングで飛び込んでチャンスを作る。9分にはまさにその形からWTB濱島が先制トライ。その後も神鋼の攻め込む場面が多く、平尾総監督の策はズバリ当たっていたように思う。

しかし、神鋼はせっかくの攻勢を得点に結びつけられない。インターセプトからFO松原が抜け出した場面はフォローの遅さで逸機し、2度のイージーなPGも森田が外してしまった。逆に東芝は地味ながら慌てず繋ぎ続ける攻撃を繰り返し、39分、モール突進からLOホルテンが右隅に飛び込んで逆転トライ。WTB吉田が難しいコンバージョンも決め、10-5で折り返し。

後半になると、徐々に地力の差が表れてくる。東芝はCTBマクラウド投入により近場で繋いで前へ出る勢いが増し、神鋼はなかなかボールを持たせてもらえずズルズルとキャリアーを追いかける形が目立つように。8分、オトがゴール前の壁を突き破ってトライ。神鋼も15分にWTB小笠原の快走でトライを返すものの、その直後にFL渡邉のトライが出て22-12。

神鋼はもうパント攻撃を繰り出すこともできず、展開してCTB今村やWTBの走力を生かそうとする戦い方へシフト。しかし、東芝の厳しい寄せにノックオンを連発し、松原・濱島の負傷退場もあって流れを取り戻せない。結局、その後東芝は控えSH藤井の快走などで2トライを追加、神鋼の反撃は1トライにとどまって19点差で試合終了となった。東芝の完勝である。


この試合、まず面白かったのは、前半両チームが相手陣深くでPGを狙ってきたこと。もちろんそれは正しい判断なんだけど、トップリーグでは「まずトライ狙い」の雰囲気が強いだけに「おっ」という感じだった。双方とも絶対に落としたくない試合であり、地力で優っている自覚はあったであろう東芝にしても、がむしゃらに攻めて4トライ獲る自信はなかったのかもしれない。

神鋼にしてみれば、せっかくハイパント作戦が当たった形になったのに、そこで得点を重ねられなかったのは痛恨だったろう。森田のキック失敗は、単なる「8点分」だけではない重みがあったかもしれない。一方の東芝は、さすがに「ネジを締め直してきた」印象であった(特に富岡のランの鋭さ!)。さすがはチャンピオンというか、瀬川監督も根性見せたというか(笑)。


この試合の裏で行われていた首位攻防戦@太田の方は、JSPORTSの中継を録画して観戦。三洋電機 35-24 サントリー。立ち上がり三洋電機がオープン攻撃で鮮やかな2トライ、その後はサントリーが徐々に盛り返して小野澤・有賀の活躍で逆転するも、また三洋が北川の快走で再逆転……というシーソーゲームは、三洋が制して全勝を堅持。

昨年までの三洋は「攻撃の破壊力は凄まじく、ハマればいい勝ち方をする」一方で、「受け身に回ると脆い」という印象があった。しかし今季はその脆さがなりを潜め、東芝戦にしろサントリー戦にしろ、肝心な場面での粘り強さがよく目立つ。この日の試合も僅差ではあったし、プレーオフになればまた勝負はわからないけど、それにしても宮本監督は良い仕事をしていると思う。


これで、リーグ戦の順位は三洋が勝点差7をつけてちょっと抜けた形になり、続いてサントリー、東芝、ヤマハが団子状態に。まあ、この3チームにNECを加えたあたりのプレーオフ争いとなりそうな気配である。この日見た限りでは神鋼は選手層に難がありそうだし(松原の怪我は大丈夫だろうか)、トヨタはちょっとムラがありすぎるのではないかと。さて、どうなるか。

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コメント

まいど!

僕はヤマハ*リコー@ヤマスタ行って来ましたよ。ヤマハはチームとしてよくまとまっている印象です。大崩れはしなさそう。

トヨタは「あの方」のレポートを待ちたいと思いますが、今年は世代交代期と割り切って試合毎に出場選手を大幅に入れ替えて、選手の見極めをしています。今年はトップ4に残れなくても仕方がないと踏んでいるのでは。でも、爆発力はあるので、突然すごい試合するかもしれませんが。

どもども。

>ヤマハはチームとしてよくまとまっている印象です。大崩れはしなさそう。
ヤマハはだいたい毎年そうなのですが、まとまっているがゆえに、裏を返せば「突き抜けきれない」印象もあります。

>今年は世代交代期と割り切って試合毎に出場選手を大幅に入れ替えて、選手の見極め
ああ、なるほど。そういう事情もありましたか。おっしゃるとおり、トヨタは爆発力はリーグ1なので、プレーオフに引っかかりさえすれば結構面白いと思うんですけどね。勝点でヤマハの上に行くのはちょっと無理かな……。

東芝-神戸戦見てましたが、神戸はあれだけPG外してはいけませんなー、と思いました。
後半になって東芝がしっかりアジャストしてきたところを見ると、やっぱり団体競技における監督の要素ってのは大きいんですな。

東芝のFW戦は迫力がありましたな。
また観にいきますよー。

愛媛から戻ってきました(笑)。

試合の行方はどっちに軍配が上がってもおかしくない試合でした。

トヨタは個々の収穫はあれど、チームとしてはサニックスに対していっぱいいっぱいで、浮き足立った心許なさを感じました。 というより遠路駆け付けたファンのほうが余裕が無いかもしれませんが…

もし、正面健司のチャージからのトライ(G成功)が無ければと思うとぞっとします。

トヨタが敢えて推し進めている戦術云々よりも個の鍛錬…
サイン通りに動くのではなく、各選手が試合中に感じてその場の状況に即したプレーを共通のイメージを持って動く事。
98年度に全国社会人を獲った時のチームが理想でしょうか?

昨今のトップリーグの流れとは相反する方向へ持っていこうとする我が軍の再構築は時間がかかりそうです。

とにかく目先の結果で見失ってしまい石井監督の方針にブレが生じないことを願って…

年が明ければ対戦カードもタフになってきますが、今季は覚悟しています(笑)。
なにがあろうと最後まで我が軍に寄り添うことには変わりありませんから(笑)。


サニックスに関しては、我が軍の事で頭がいっぱいであまり印象に残っていません(爆)。

ただ、正面君に対してのプレッシャーが強かったのと、大雑把な印象は、トヨタよりサニックスの方が、この試合に関してのゲームプランを考え抜いていたような印象を受けましたが…

愛媛県(松山市)といえば、98年度全国社会人大会優勝メンバーの1人だった、故仙波優の郷里でしたね。 
松山滞在2日目の夜に友人からメールでの指摘でその事を思い出しました。

>神戸はあれだけPG外してはいけませんなー、と思いました。
おっしゃるとおり。前半に3本あったプレースキックのうちせめて2本決めていれば、リードもしくは同点で折り返しとなったわけで、そうすれば後半もハイパント戦術で東芝を焦らせるのは十分に可能だったように思います。

>後半になって東芝がしっかりアジャスト
ラグビーはサッカー以上に、試合中に指示するのが難しい(そしてゲームプランが極めて重要な)ので、ハーフタイムの10分間にどれだけの事ができるかは監督の腕の見せ所ですね。

>クロゴマさん
お疲れさまです。相変わらず見事な機動力ですね(笑)。

>トヨタが敢えて推し進めている戦術云々よりも個の鍛錬…
そこは感じますね。よく言えばフリー、悪く言えばルーズというか。でも、トヨタの「個の力」が非常に高いレベルにあるのは衆目の一致するところでしょうから、そこを突き詰める、というのは筋が通ったやり方なのかもしれませんね。
サニックスやコカコーラとは反対の方向性というと言い過ぎかな?いずれにしろ注目してます。

>故仙波優
懐かしいですね……あの自動車事故からもう8年ですか……。

土曜は昼の部・夜の部お疲れさんでした。

>インターセプトからFO松原が抜け出した場面はフォローの遅さで逸機し、2度のイージーなPGも森田が外してしまった。

これが土曜の試合はすべてだったと思います。
森田のキックは個人練習してもらうとして、フォローの遅さはチーム全体でやらないといけませんね。
「急にボールが来たので」フォローできなかったでは困りますな。

というわけで、また行きましょう。
次は1月27日(日)の予定ですが。

>「急にボールが来たので」フォローできなかった

(笑)。

まあ、当日も散々言ったけど、松原はボールの動きについてとても読みのいい選手なので、他の選手がついていけないというのはわからないでもないんだけどね。

森田君は……練習頑張ってねん。

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