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2006年06月11日

●共に戦え…ません、これでは。 (ラグビー日本×イタリア)


午後、秩父宮でラグビーのテストマッチ。日本 6-52 イタリア。最初は腹が立って、次第に笑えてきて、それを通り越すと…悲しかった。力の差があるのはわかっていた、のだけれど、ここまで何もできないとは。2年前に対戦した時は、最後は突き放されたけどまだ「やりようによっては勝てないことはない」という感じだった。でも今回は…。ジャパンの相対的な弱体化に愕然、である。


試合前の君が代独唱は平原綾香さん。上手いね~。声量と声のきれいさに音響設備が追いついていないような様子だったけど、素直に感心して聞き入ってしまった。雨の中肩出しの衣装で頑張ってくれたし。あと、ハーフタイムには彼女のデビュー曲の『Jupiter』も披露してくれたんだけど、どうせなら『World in Union』(ホルストの『Jupiter』に歌詞をのっけたW杯公式ソング)を歌ってくれれば良かったのに、と思ったのは僕だけか?


試合の方は、既に書いたように「何もできない」大敗。タックルに関してはそれなりに粘り強くやっていて、だからこそロスタイムまでは30点台の失点でしのげていたのだが…それ以外には本当に何もなかった。イタリアDFの速い出足を前に、裏を狙うキックはぶれまくって逆にピンチを招き、パス回しでも情けないミスを連発。PKのタッチキックがラインを越えないって、今時高校生でもないがな、アータ。

そして、何より腹が立ったのは、セットや帰陣やフォローといった基本動作の緩慢さである。ただでさえ密集に人をとられて人数が足らなくなりがちな攻撃ラインなのに、倒れたプレーヤーがなかなか立たないものだから常に3人程度しか残っていない。あれでは、パス攻撃なんてできるわけがない。相手より小さい日本が、動きで先手をとれなくて勝てるわけがないのである。これって、日本ラグビーが数々の苦い経験から学んできた不動の事実だと思うんだけどな。


対するイタリアの方は、飛び抜けて強力な選手は見あたらないものの(いや、12番のベルガマスコは目立ってたな。彼はスターらしい)、組織的に統制された動きが見事だった。攻守ともサッとラインが組み上がって、それが状況に応じて変型したりスライドしたり。「キレイだなあ」と感心した。森末さんは「カテナチオの伝統でしょ」と言ってたが、さすがに、シックスネイションズで戦うにはあれくらいじゃないと粉砕されちゃうんだろうね。それに比べて日本は(以下略)。

まあ、組織力は棚に上げるとしても。薄々(でもないが)思っていたのだけれど、エリサルドのセレクションって、ちょっと(いやかなり)アレではないだろうか。確かに今の日本で選択肢は多くないのだろうが、たとえばハーフ団のファーストチョイスが池田&大西って、そりゃないでしょ。おまけにSOの控えが安藤ってどうなのよ、みたいな。長いスパンでチームを熟成させるべきクラブチームの監督と違い、代表監督の場合はセレクションの比重が高いのだから、「見る目がない」となればその時点でアウトだが…。

あと3連戦、相手はオールブラックスジュニアとサモアとフィジーである。これは、もしかして、エラいことになるのではないかと悪寒がしてきた。特にオールブラックスジュニアは、本国では「容赦」の2文字はあり得ないだろうし、ましてや「38年前の復讐戦」なんて意気込まれたりした日にゃあ確実に100点ゲームである。どうしよう…という負の予想を見事に裏切ってくれる事を、切に望まないではいられない。


以下、余談。

今日はメインスタンド中央にある貴賓席のすぐ脇で観戦していた。後半の途中に歌い終わった平原綾香嬢が貴賓席で観戦を始めたのだが、その隣で解説を始めたのがなんと森喜朗会長。平原さん、VIP扱い(笑)。それはいいんだけど、「しかし隣で森さんに喋られっぱなしだと、彼女もかえって楽しめまいに」と気の毒に思ったのもつかの間、ジャパンがズダズダにされるのを眺めているうちに「こりゃあ森さんの方が気まずいのでは」と思い始めた。何でそんな同情をせねばならんのだ、僕が(笑)。つーか、この結果に怒りを覚えろ、森会長よ。

ちなみに、貴賓席を挟んで僕と反対側では、サントリー監督の清宮さんがご家族を連れて観戦していた。キックオフ直後にスタンドに現れた時には「どうも、どうも」とにこやかだった清宮氏だが、試合を眺めているうちに、口元のアルカイックスマイルはそのままだったが、手は頬に当てっぱなしになり段々目つきが怖くなっていたような……(笑)。そういや、今日のメンバーにサントリー所属選手は1人もいなかった。頼みますよ、ホント。


試合後は、フットボール賢人森末潤一氏と赤坂の「坐・和民」(またかよ)で反省会。エリサルドの選手選考の間違いについて。日本ラグビーのプレゼンテーションの下手さについて。ジャパンの「歴史」のアピール不足に対する歯がゆさについて。山本昌邦さんの不幸について。磐田サポーター内の意識の相違について。同じくFC東京ファン内のそれについて。色々な話をしたけれど、どうもネガティブなのが多くなっちゃったような。まあ、そんな時もあるさ。