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2006年01月08日

●第42回全国大学ラグビー選手権決勝


午後、国立競技場で全国大学ラグビー選手権決勝。早稲田大学 41-5 関東学院大学。5年間にわたる清宮体制の総決算。「アルティメット・クラッシュ」の実現。早稲田がFWのボール争奪力にものを言わせた攻撃ラグビーを見せ、5トライを奪取。ライバル・関東学院大学(この5年ずっと決勝の相手!)に完勝した。


前半の立ち上がりは下馬評通り早稲田が優位に立つも、ラインアウトのミスや関東のしぶといタックルによりなかなか得点を挙げられず、やや膠着気味の展開。ターンオーバーの応酬から関東陣22m内へ攻め入っては、関東がキックで押し戻す場面が続く。15分押し込み続けた末に早稲田がPGを狙った時には、「攻めあぐんでいるな~」と接戦の期待も抱いたし、実際その後は関東が早稲田陣へ攻め込む場面も出てくるのだが…。

24分、最初のトライ。関東が早稲田陣22m内でモールを作りそこねた場面、PR畠山が抜け目なくボールをもぎ取ってそのまま展開。楕円球は右→左へと素早くピッチを横断し、ミスマッチの状況となったところでWTB首藤が抜け、独走。押し込んで取れず、攻められた所からの切り返しで一発ゲット。いかにもフットボールらしい逆説的な得点だった。続く29分にSO曽我部が鮮やかなDG。この手のプレーは相手に無力感を感じさせ、3点以上の重みを持つ。早稲田の優位はいっそう明らかになった。

さらに34分。左サイドの連続展開から右へ大きく振ってWTB菅野が抜け、タックルされた所でSH矢富が即座にボールを出す。パスを受けた曽我部はタッチライン際で迷わず勝負、最初のタックラーをひらり飛んでかわすと、DF2人をはね飛ばしながらゴールへ飛び込んだ。素晴らしい攻撃。ただ、早稲田BKの活躍が目立ってはいたが、両チームで明らかに差があったのはFWの方。接点、そして走力も。FWがBKと遜色ない機動力を見せる早稲田に比べ、関東は球出しが遅れる上になかなか外へ振れず、近場を攻めてはボールを奪われるシーンが何度もあった。


後半に入ってもこの流れは変わらない。5分、PKの速攻からオープン攻撃、タックルを受けても倒れないFB五郎丸からさらに展開、首藤が左隅に飛び込んでトライ。そして、ここまでパーフェクトの五郎丸がまたもコンバージョンを決めて27-0。実質的に勝敗は決した。10分には関東が1トライを返すが、これは偶然の要素が大きいもので、早稲田に特に動揺の色はうかがえない。その後は早稲田にも細かいミスが続き、一方関東もがむしゃらに攻めはするのだが早稲田の壁を破れず、時間が進む。

25分、関東ゴール前で早稲田ボールのスクラム。ここでちょっと考え込んでしまった。早稲田がスクラムトライを狙いに行ったのだ。関東FWはもう一杯一杯で、コラプシングの連続。あと1回やったら認定トライだったろう。それほど早稲田FWは強かった。ただ、早稲田がそれをやるのはどうなんだろうな……と思ったりして。「FWに差があるからこそ、あえてBKに回して美しく取る」姿が見たいんだよな、個人的には。ゴリゴリやってる間、五郎丸は腰に手を当ててつまらなそうだったし。……と思っていたら、次のスクラムが潰れたところで速攻から五郎丸に回してトライ!うん、それでいいのだ(笑)。

そして37分。「これぞ集大成!!」というトライが飛び出した。右サイドからの展開、矢富→曽我部からの飛ばし→CTB今村から飛ばし→首藤と速いパスを見事につなぐ。首藤は左タッチ際を快走、つかまりかけたところで内へフォローしていた五郎丸へ折り返す。五郎丸が必死の関東DF2人に倒されたところで「届かないか」とも思えたのだが、ボールはその脇をさらにフォローしていたFL松本へ渡り、トライ。お見事、鮮やか、参りました。これでなんと36点差。

ロスタイムには、控えのFB高橋銀太郎(人気者らしく、スタンドから「銀太郎~!」と盛んに声援が飛んでいた)にPGを狙わせるも、何とゴール正面のキックを外してしまうというご愛敬も。結局、そのまま41-5でタイムアップ。試合の大半を早稲田が支配した、完勝であり圧勝であった。文句なしの大学王者。



早稲田は本当に強かった。大学レベルとはいえ、これだけ抜けて強いチームも珍しい。とにかく完成度が「高すぎる」のだ。学生のレベルを超えていると言ってもいい。となると、さあ日本選手権…と言いたいところだが、「大学選手権で優勝する」事と「社会人に互する」事は方法論も全く違うだろうから、あまり期待しすぎない方がいいかもしれない(とはいえ期待しちゃうのだが)。試合後、珍しく清宮監督は言葉につまって大泣きしていた。おそらく今季が最後となるのだろう。つくづく、良い仕事をしたものである。

関東学院は、9年連続の決勝進出という偉業を成し遂げたが、決勝の結果は完敗に終わった。FW戦で太刀打ちできず、いざBKに回しても早稲田のしつこいタックルに思うようなプレーができなかった。FB有賀は逸材と言っていい選手だと思うけれども、劣勢の中突破以外の仕事に忙殺されてしまったのは残念。このチーム、毎年70%くらいの完成度で(つまり伸びしろを残したまま)決勝に出てくるような気がするのだが、気のせいだろうか?「それでも決勝まで来るのはスゴイ」とも言えるし、「もうちょっとやれそうなのに…」と残念な気もする。

まあ、両チームとも3年生以下の選手も多く、2強時代はまだまだ続くようにも思える。そろそろ、別のチームにも出てきてもらいたいものだが……。

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コメント

あ、見に行ってたのか。
バックスタンドの自由席で見てた。

「FWに差があるからこそ、あえてBKに回して美しく取る」

早稲田FWが明治FWに押されまくって認定トライを献上していた頃が現役だったオイラからすると、
FWで押し込むのは確かに違和感があるというか不思議な感じもするんだが、
関東のDFが人数足りないわ、ちゃんとそろってないわでメチャメチャな状況では、
「BKに回せばいつでも取れる」し、それなら、FW強化の成果を見せるためにFW勝負にこだわった
というのは、それはそれでアリだと思ったよ。

結局、最後はBKに回してトライを奪ったあたり、必要以上にFWにこだわらずに、
選手がゲームの流れを的確に読んでいたということに感心したよ。
前半のこう着状態で珍しく?PGを選択して確実に先制してゲームの主導権を握ろうとしたりした
場面なんかもね。

松本のトライは良かったね。Jスポの実況でも「フォローが沸いてきます」なんていわれてたが
こういう試合ができていれば、もしかしてもしかすると、社会人に一泡ふかせられるかもしれない。

俺もバックスタンドで観てた。親父と一緒だったので、指定席だったけど。

>FW強化の成果を見せるためにFW勝負にこだわったというのは、それはそれでアリだと思ったよ。
それは確かにそう。というか、チーム全体としてもそうだし、FWの8人としても、昨年までスクラムトライなんて(しかも関東相手に!)ほとんど取れなかったんだから、「よし力を見せてやる!」となるのはむしろまっとうな発想だとは思う。
でもね~。あの時間帯はもう力の差がはっきりしてたからね。「やめてあげて兄さん!もう十分よ!!」って感じだったんですよ、俺としては(ところで「兄さん」って誰だ(笑))。

ちなみに、確か20年前の大学選手権準決勝だったかな、慶応ゴール前で早稲田FWがスクラムトライを狙いに行って、見事押し返されてボールを奪われた(で、負けた)事があった。それもちょっと頭をよぎったよ。昨日は負ける可能性はなかったけど。

>松本のトライは良かったね。
あれは、今季の日本ラグビーのベストトライではなかろうか。パス回しの思い切りのいい速さ、ランナーのコース取り、そして尽きなかったフォロー。最高だよ。

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