2015年01月29日

●B29とレコード、ツィゴイネルワイゼン

先日、都内の某博物館で新規の収蔵資料に関する仕事をしていた時の話。

今年、その博物館に太平洋戦争時に都内で拾った「高射砲の弾の破片」を寄贈してくれた方がいて、それはそれでもちろん貴重な(何しろ70年前の戦争を生で伝える)資料なんだけど、添えられていた手紙に書かれていた体験談が興味深かったのだ。

その方はいわゆる東京大空襲の翌日(つまり1945年3月11日)、ご自身はなんとか難を逃れて焼け野原となった都内を歩き回っていたとのこと。で、とある橋のたもとにたどり着いた時、おそらく偵察か写真撮影をしていたのだろう、米軍のB29爆撃機が低空で飛んで来たのだそうな。

とっさに身を隠したところ、特に銃撃を加えたり威嚇したりするでもなくB29は飛び去っていったのだが、頭の上を通過する際にB29の機体からサラサーテ作曲のヴァイオリン曲『ツィゴイネルワイゼン』が聞こえてきたのだ、と……。

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2015年01月28日

●『リトル・マーメイド』は『人魚姫』にあらず

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子供と一緒に観るディズニー映画、記念すべき第10弾は『リトル・マーメイド』

人魚姫のアリエルはある日遭難現場で助けた王子エリックに一目惚れし、エリックもまた声だけを耳にしたアリエルに惹かれてしまう。周囲の反対を受けながらもエリックへの恋心を募らせるアリエルに海の魔女アースラが近づき、アリエルの美しい声と交換に3日間人間の姿にする取引を持ちかける。アリエルは思わず契約を交わしてしまうが、それはアースラの狡猾な罠だった……。


うーむ。面白いことは確かに面白かったのだが……やっぱり『人魚姫』といえばアンデルセン童話の中でもとびきりの悲恋物(頼みの声を奪われた人魚姫の恋は叶えられず、愛する王子の命を救うも誰にも知られないまま泡になってしまう。あらすじを書いてるだけで泣けてくるな)なのに、ディズニーの手にかかるとハッピーエンドのアクション物になっちゃうんだなあ、と。

もっとも、僕は『人魚姫』みたいな「誤解と不運によるすれ違いと悲劇」みたいな話が苦手(可哀想でいたたまれなくなっちゃうのね)なので、ディズニー版はそこら辺がマイルドに抑えられてるからこそ最後まで観ることができた、ということは言えるのかもしれない。いや、ホント、こう見えて悲しい話には耐性がないので。童話と映画じゃ求められるものも違うしね。

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2015年01月26日

●ジュビロ頂点への挑戦 (LIXIL CUP 2015準決勝その2)

で、もう一つの準決勝は花園開催でリーグ戦1位と4位の対戦。神戸製鋼コベルコスティーラーズ 12-41 ヤマハ発動機ジュビロ。こちらは下馬評とは全く逆に、ヤマハのあっと驚く快勝となった。


実はこの試合、所用で出かけていたためリアルタイムで観れずWEB速報をスマホでちらちら見ていたのだが、ヤマハ贔屓の僕は得点が動くたびに一喜一憂、矢富のトライで先制して「おっ」中園のトライで「おお!」正面に1トライ返されて「うーむ」五郎丸のPGで「よし!」後半早々1本ずつ取り合って「ぬお!」そしてクリシュナン・三村・斉田の連続トライで「うおおおお!!」という感じでなかなか楽しかった。

もちろん、口には出さず心の中で叫んでたわけだけど、おそらく表情には出てただろうから周りの人間から見たらさぞかし不審だったろうな、と(笑)。

で、帰ってからJSPORTSの録画を観たのだが……清宮監督が試合後にコメントしたとおり「まさかこれほどハマるとは」という試合だった。監督にしてみれば全体のゲームプランも勝負所のサインプレーも、ほぼ思い通りだったのではなかろうか。ヤマハ自体は決して決定力のあるチームではなく、この試合も逸機はそれなりに多かったのだがそれでも6トライ。大半の時間帯はジュビロのペースだった。

リーグ戦では10-40と大敗しているヤマハだったが、立ち上がりから怯むことなく大胆なパス展開(まるで早稲田のような!)を挑んだのには驚かされた。一方の神鋼はその勢いに押され、また攻守の要フーリーの欠場も大きかったか、受け身に回ってしまった印象。というか、多彩なサインプレーに象徴されるようにこの一戦に賭ける姿勢が顕著だったヤマハに比べると、神鋼はいかにも普通に試合に入ってしまったように見えた。

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2015年01月25日

●超人軍団爆発 (LIXIL CUP 2015準決勝その1)

さて、国内ラグビーシーズンもいよいよ佳境、プレーオフトーナメント(いつの間にかLIXIL CUPなどと大そうな名前(笑)になっていた)準決勝である。



まずは、本日秩父宮ラグビー場で観戦したリーグ戦2位と3位の対戦。東芝ブレイブルーパス 15-50 パナソニック ワイルドナイツ。リーグ戦の戦績はパナが上位ながら、直接対決では東芝の2連勝という相性。よって競った試合を予想していたのだが……。


先に点を奪ったのはパナソニック。開始直後に22m内へ攻め込むと、FW・BK一体となったパス回しから右サイドを西原が抜けてトライ。0-7。あっけない先制点だった。もちろん東芝も黙っておらず、そこからしばらくはボールを支配してFWの突進を中心に攻めたてるが、パナは強靭なタックルと素早いDFラインの再形成、ここぞというタイミングでのカウンターラックでトライを許さない。

16分、パナは左ラインアウトから展開、バーンズの速いパスから猛然と飛びだした山田が力強い走りでDF数人をまとめてかわしてトライ。豊島・立川のタックルをものともしない走りはまさに規格外、思わず「すっげー!」と声が出た。3-17。さらに28分、パナは田中・堀江らのアクロバティックなパス回しから北川が一気に右サイドを駆け抜けてトライ。3-27。あれよあれよのトライラッシュである。

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2015年01月24日

●ピンクの象さん大行進(『ダンボ』)

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子供のお供でのディズニーDVD鑑賞もさすがに半ばを越えた、というところか。第9弾として『ダンボ』を観た。


いやあ可愛いっすねダンボ。人懐っこい笑顔と表情豊かな耳の動きはまことに愛くるしいし、コウノトリから引き取った高齢のお母さん象(「ジャンボの子供」をからかった言い方が「ダンボ」なんだね)の愛情たっぷりのかわいがり方も実に微笑ましい。これは70年後の今なお人気なのもうなずけるよな、という感じであった。可愛い可愛い、本当に可愛いよダンボ。

ストーリーは、一言でまとめれば、子供のイタズラによる誤解でお母さんのジャンボと引き離されてしまった子象のダンボが、他の象のいじめなどの困難を乗り越えて空を飛べる能力を身につけてサーカスのスターとなり、ジャンボとも再会できてよかったよかった、というお話。

なので基本的には感動物語なんだけど、けっこう変な場面も多くて、ダンボとネズミのティモシーが酒を飲んで幻覚を見てしまう場面はその最たるものだろう。ピンクの象の大群が飛んだり跳ねたり踊ったり……って、酔っ払いというよりラリってるというか、『Lucy in the Sky with Diamonds』みたいな60年代サイケそのもの。「ルーシーは お空の上で ラリパッパ」(笑)。

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2015年01月22日

●『ピノキオ』

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年が明けてからも子供と一緒にポツポツとディズニー映画は観ていて……第8弾として『ピノキオ』を観てみた。


貧乏コオロギのジミニー・クリケット(声はサイボーグ007)が名曲『星に願いを』を歌うオープニングがあまりに有名な映画だけど、僕はてっきりピノキオが「人間になりたい」と願う話だからこの主題歌だと思い込んでたのである。でも、実際は、子供のいない善良な人形職人のゼペット爺さんが「この人形が自分の子供であってほしい」と願いをかける話だったんだね。

で、そんな爺さんの願いを受けてブルー・フェアリーの起こす奇跡でピノキオは生命を得るわけだが、ピノキオが出会うのは狐の詐欺師(声はルパン三世(笑))に粗暴な人形遣いに奴隷商人に凶暴なクジラ、etc。外の世界は厳しくなかなか辛い場面が続く。巨悪はおらず小悪党ばかり、しかもそいつらが懲らしめられることがない、というのはけっこうビターな物語ではあった。

つーか、そもそもピノキオ自体、可愛い造形と声にはなっているけど、すぐ煽てられて調子に乗って騙されるし嘘をつく(そして鼻が伸びちゃう)し、ぜ〜んぜんいい子じゃないんだこれが。ピノキオが悪い仲間(超クソガキ)と一緒にビール飲んで葉巻吸いながらロバにされかけちゃうシーンなんて「はたしてこれを子供に見せて良いのだろうか」と本気で悩んでしまった(笑)。

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2015年01月18日

●ゆく人くる人2015 (さよならエドゥーと追加編)

補強が足りん補強が足りんと書いていたら、逆に攻撃の核となっている選手が移籍することになってしまった。どうなってんねん(笑)。


エドゥー選手 全北現代モータース(韓国)へ完全移籍のお知らせ (FC東京公式)

エドゥーは事前に報道されていたとおりKリーグへ。これは痛いよなあ。

万能タイプのFWだった。テクニックがあり、屈強で、スピードも短い距離ならそこそこあった。勝負の意識は高くシュート力もあるが味方を生かすパスも出すことができた。ブンデスリーガのシャルケに在籍(内田篤人のチームメイトだったんだよね)して欧州CLに出場するなど、様々なリーグで活躍した経験があった。Jリーグの外国籍選手の中でもかなり上位に位置する、いい選手だったと思う。

東京に加入してからは、開幕戦からしばらくチーム全体が機能しないでの孤軍奮闘をはじめ、前線でロングボールや楔の収め役として、また武藤や河野を生かすアシスト役として、そしてもちろんストライカーとして活躍してくれた。鮮烈だったのは14節のガンバ戦、とどめの3点目となったボレーシュート。後ろからの浮き玉をちょいと浮かしてノーステップで引っ叩き、ゴラッソ!あれは格好よかった。

ただ、そんな感じでチームにとって大きな損失なのは間違いないんだけど、考えてみれば前田遼一とはかなりタイプがかぶるだろうし、どちらかをベンチに置いておくわけにはいかないだろうし……と考えると、まあやむを得ない面はあるのかな、と。残念ではあるが、移籍先での成功を祈りたい。

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2015年01月17日

●阪神・淡路大震災20年

今日で阪神・淡路大震災の発生からちょうど20年。神戸では天皇・皇后両陛下(とにかく国民に寄り添う姿勢を貫く方々だね)も出席して追悼式典が行われたそうな。


僕は当時大学生あの日は三鷹台にあった関西地方出身の同級生(残念ながら男だけど)の家に泊まっていて、地震が発生した5時46分にはベッドの中でまだぐっすりと眠っていた。突然部屋の電話が鳴って、そいつの「え!地震!?」という叫び声でぱっちりと目が覚めた。彼の実家からの電話で、幸い震源からやや離れた大阪だったので被害はない、ということだったと思う。

で、慌ててテレビをつけたんだけど、最初に画面に映ったのが傾いた電柱だったのをよく覚えている。その映像を見てもまだ「ああ、被害が出たんだな」くらいにしか思わなかったたんだよね。まさかあんな恐ろしい被害が出ているとは……それでも午前中のうちには高速道路の倒壊や長田区の火災、崩壊した三宮駅の映像が入ってきて、これはえらいことだ、と。

東日本大震災のように東京も大きく揺れたわけではなく、インターネットや携帯電話があまり普及していなかった時代。だから今から思えば、4年前の3月11日に比べると情報の伝わり方がゆっくりだったような気がする。そしてずっとテレビの前を離れられなかった。発災当日の夜、キャスターの木村太郎さんが倒壊した高速道路の下敷きになったトラックの前からレポートしてたっけ。

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2015年01月13日

●ゆく人くる人2015 (くる人編)

2015年シーズンに向けての移籍動向、「ゆく人編 」その1その2に続いて今回は「くる人編」。


前田遼一選手 完全移籍加入決定のお知らせ (FC東京公式)

これはビッグニュースだった。世間的には今のところ、今オフのFC東京に関する最大のトピック。

石川や茂庭と同じいわゆる「アテネ世代」。とはいっても(既に磐田でレギュラーになってはいたが)アテネ五輪の時にはまだまだ未完成な印象で、その後に本格化した選手である。一見華奢に見えるが184cmの高さと強靭な体幹を持ち、にも関わらず足下の技術としなやかさも備えた本格型のストライカー。2009〜2010年にはJリーグ得点王とベストイレブンを連続して獲得した。

と、書くと何だか凄まじくいい選手みたいだな(笑)。実際いい選手ではあるのだが。

選手としての経歴や能力は文句のつけどころがないとして、問題は起用法だろう。移籍が噂されるエドゥーの替わりに武藤嘉紀と2トップを組むか、あるいはフォーメーションによっては3トップのセンターか。いずれにせよポストプレーと裏に抜ける動きの両方をやってもらうことになるが、彼ならば例えば渡邉千真よりはずっと上手くやるだろう。ただ、平山とタイプがかぶりそうな……。

いずれにせよ、おそらくはよっち(と残留すればエドゥーも)へのマークがグッと厳しくなるであろう今年、前田の活躍がチームの浮沈に直結するのは間違いない。二桁得点と、できればそれに迫る数のアシストを期待したいと思う。活躍が楽しみだ。

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2015年01月12日

●そしてプレーオフへ (東芝×NTTコム、ヤマハ×パナソニック)

気がつけば国内ラグビーシーズンも佳境に近づき(というか昔は1月15日が最後の盛り上がりだったんだよな……)、トップリーグ2ndステージ最終節。昨日は現地とテレビでそれぞれ1試合を観戦した。

まずは秩父宮ラグビー場で東芝 31-14 NTTコミュニケーションズ

前節サントリーと接戦を演じたNTTコムだったが、序盤から実力上位の東芝にペースを握られる。10分頃にゴール前で東芝ボールのスクラムとなると、組み負けたNTTコムが反則を連発、延々とやり直しが続いた末にペナルティトライとなって7-0。直後にNTTコムが自ゴール前でノックオンしてしまい(つくづく人間というのはやってはならん事をするもんだ)、再びスクラムからのペナルティトライで14-0。

その後は東芝がハンドリングエラーを連発して逸機を続けるも、FWのごり押しでジリジリとトライを重ね、一方NTTコムは思い切ったパス攻撃で見せ場を作るが決定力を欠いて得点を奪えない。後半半ばまでに31-0まで差が開いて勝負あり、終盤にようやくNTTコムが意地の2トライを返すも大勢に影響はなかった。結局、17点差で試合終了。東芝は勝点5を加えてプレーオフ進出を決定した。

とはいえ、試合後に冨岡監督(ついキャプテンと書きそうになるな(笑))がシブい顔をしていたように、東芝もミスが多くて試合内容は決して良いとは言えなかった。つーか、前半のウンザリするスクラム組み直しを含めてとにかくゴール前のゴニョゴニョばかりで……観客のため息が多い試合だった。

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2015年01月10日

●『アラジン』

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引き続き子供のお供でディズニーDVDを観とるわけですが。第7弾は『アラジン』


貧しくも心の美しい青年アラジンは相棒の猿アブーとともに、小さな盗みで糊口をしのぐ毎日。ところがある日、王国乗っ取りを図る大臣ジャファーにだまされて魔法の洞窟に送り込まれ、「三つの願いを叶えられる」魔法のランプを手に入れる。アラジンはランプの怪人ジーニーの力で王子に変身し王女ジャスミンにプロポーズするも、結婚の直前にジャファーにランプを奪われてしまい……。


この映画の最大の魅力はなんといっても、アラジンが魔法の絨毯にジャスミンを誘い、夜空の下のランデブーでそのハートを見事に射止める場面だろう。主題歌『A Whole New World』の流れる中、2人が絨毯に乗って、街の美しい夜景を、雄大な遺跡を、神秘的な白馬の群れを、眺めながら飛んでいくロマンティックなシーン。2人の感動が観ているこちらにもよく伝わってきた。

男女に限らんかもしれんけど、二人の仲を特別なものにするためにはやっぱり「特別な体験」の共有が一番。だから、たとえばデートともなれば上等なご飯を食べに行ったり美味しいお酒を飲みに行ったり綺麗な夜景を見に行ったり映画や芝居やスポーツを観に行ったりディズニーランドに行ったりするんだよね。そりゃ魔法の絨毯にはかなわないけど、大なり小なり感動はあるわけだ。

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2015年01月08日

●ゆく人くる人2015 (ゆく人編 その2)

昨日のその1に引き続いてFC東京の移籍動向、「ゆく人編」その2。


渡邉千真選手 ヴィッセル神戸へ完全移籍のお知らせ (FC東京公式)

好きな選手の大きな放出なんだけど、予期していたのでショックは少ないというか。

全国高校サッカー(国見高校)や関東大学リーグ(早稲田大学)で大きな実績をあげ、Fマリノスに入団した年には13ゴールのJリーグ新人記録を作った大型ストライカー。その後もコンスタントに得点をあげて僕も実力を評価していたので、東京入りが決まった時はかなり嬉しかったのを覚えている。加入初年度こそ6ゴールにとどまったものの、2013年には17ゴールをあげてエースとして活躍した。

彼の魅力は左右どちらからでも強いボールが蹴られるシュート力。たとえば2013年のホーム名古屋戦やアウェイ湘南戦のほぼノーステップで決めたミドルシュートなんかは、そりゃあ鮮烈だった。加えて独特の愛嬌があって、ハットトリックで2点差をひっくり返した一昨年の鳥栖戦、「カズマックス!」ポーズで笑わせてくれたのも忘れがたい。そしていつも一生懸命な選手でもあった。

ただ、加賀ほどではないけれど(笑)、ちょっと不器用なところもある選手だったんだよね。全体がよくも悪くも割とルーズなサッカーだったポポヴィッチ時代はともかく、フィッカデンティ監督になってからはタイトな戦術の中で持ち味の豪快さも失われちゃって、妙にこじんまりしてしまった。昨季は何とシーズン3得点。本来の実力を考えれば、移籍は仕方のないところだろう。

行き先はヴィッセルか。ネルシーニョを監督として迎えるそうだから、あの知将がカズマックスという魅力的だが難しいところもある素材をどう料理するのか、それはそれで楽しみである。頑張れ!

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2015年01月07日

●ゆく人くる人2015 (ゆく人編 その1)

「シーズン終わるのが早いな」「オフが長い」などと贅沢なことを言ってるうちに、気がつけば国内サッカーの2014年シーズンが終わってはやひと月余り。年も明けてストーブリーグも山を越しつつあるようなので、ここらで移籍の動向なぞ見てみようか。


塩田仁史選手 大宮アルディージャへ完全移籍のお知らせ (FC東京公式)

まずはなんといってもこれ。ついに行っちゃうのか、と。

若い頃から非常に安定感のあるGKで、コーチングや至近距離のシュートへの反応にも光るものがあり、ハイボール処理などでは勇気のあるところも見せてくれた。チームに土肥や権田という日本代表クラスのGKがいたせいで多くのシーズンでカップ要員となったものの、出場した試合では堅実なプレーを披露し、貢献度は高かった。特に2004年のナビスコ杯優勝は彼の存在を抜きにして語れない。

大卒でプロ入りしてから11年間FC東京一筋だったのか……彼ほどの実力者が控えでいてくれたのは、文字通りの選手層という意味でも心理的な安心感という意味でも本当に大きかった。もっとも、そんな選手が少ない出場機会に甘んじてていいのかという見方もあるわけで、僕もオフのたびに「早く移籍した方がいいんじゃないか」と思ったりしてたんだけど、実際に移籍しちゃうとなると寂しい、ね。

正直なところ、一時期、彼が試合前の練習が終わった時にしきりに胸のエンブレムを叩くジェスチャーをするのがファンに媚を売ってるみたいで嫌だったんだよね。でも、それも最近ではなくなってたし、今となってはいい思い出というか。とにかく功労者として、新天地での成功を祈りたい。

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2015年01月05日

●野武士軍団の「強さの秘訣」は

昨日は駒沢陸上競技場で3日連続のラグビー観戦。トップリーグ2ndステージの第6節、パナソニックワイルドナイツ 38-13 キヤノンイーグルス


この試合、下馬評的にはパナソニックの圧倒的優位だったのだろう。しかし、意外なことに、立ち上がりからキヤノンの健闘が目立つ展開となった。まず8分にパナがPGで先制するも、直後の11分、キヤノンはSO和田の好タッチキックでパナ陣深くへ攻め込み、ラインアウトからのテンポ良い連続攻撃で押し込んでFLマーフィーが左中間にトライした。コンバージョンも決まって3-10。

もちろんパナも黙ってはおらず、14分に素晴らしいトライ。中盤で展開し、キヤノンDFがかぶり気味に出てきたところでSOバーンズが速いロングパスを左隅のWTB山田へ。山田は迷わず勝負しトイメンの菅谷をかわして快走、内側をフォローしたバーンズが折り返しのパスを受けて左中間にトライ。全くスピードを落とすことなく2人で50mを走りきった豪快なトライだった。8-10。

だが、ここから試合は膠着する。パナはボールを左右に回して攻め立てようとするが、キヤノンは素早いDFラインの構築で粘りの守備を続け、フェイズを重ねるうちにパナにミスが出て、の繰り返し。キヤノンはキック戦でも負けていないばかりかPGで追加点も加え、パナはようやく前半終了間際に百武の飛ばしパスを受けた山田が左隅に飛び込んでトライを奪うにとどまった。

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2015年01月03日

●清宮ジュビロ危機一髪(なのか?)

昨日に引き続いて秩父宮ラグビー場に足を運び、今度はトップリーグを観戦してきた。2本立ての第1試合で、東芝ブレイブルーパス 28-29 ヤマハ発動機ジュビロ


試合は序盤からジュビロペース。東芝の密集周りの反則につけ込んでたて続けに攻め込み、容易な角度からもPGを蹴らずにトライを狙っていく。まずは8分に右ラインアウトからつないでCTBマレ・サウがDFライン右隅を突き破ってトライ。続く12分にも連続攻撃からNo8堀江が鋭い突進でトライ(FB五郎丸のコンバージョン成功)をあげ、幸先良くジュビロが12点を先制した。

完敗するとプレーオフ出場権(4位)が危なくなる東芝は、スクラムの優位(というか麻生レフリーとの相性の良さ?)を活かして反撃。ゴール前の連続攻撃からNo8リーチ・マイケルが中央に飛び込んで26分にトライ。7-12。しかしジュビロはすぐに攻め返し、ゴール正面のPGさえも狙わずにラインアウトから再び堀江が飛び込んでトライ。7-19での折り返しとなった。

後半立ち上がりは東芝が深く攻め込むが、2度に渡るゴール前のモールを押し切れず、逆にジュビロは五郎丸の素晴らしいタッチキックからチャンスを得て、54分にまたも堀江がゴールラインギリギリでボールを押さえてトライ。7-26。4トライのボーナスポイントを得たジュビロは一転PGを狙うようになり、20分に五郎丸が決めて7-29。残り20分で22点差は決定的に思えたのだが……。

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2015年01月02日

●東海も慶應も、明日があるさ (全国大学ラグビー選手権準決勝)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

本日は死ぬほど寒い中、小金井市と江東区で仕事の挨拶回りという厳しいスケジュールだったのだけれど、何しろ今年はフットボール二毛作のチャンス。合間を狙って全国大学ラグビー選手権の準決勝に足を運んだ。いつもの国立競技場が解体中(まだ業者も決まってないみたいだが)なので、秩父宮ラグビー場での開催である。



第1試合は筑波大学 17-16 東海大学

キックオフには間に合わず、前半途中で到着。東海がWTB近藤のトライ(SO野口コンバージョン成功)で0-10とし、その後もFWの優位を生かしながらペースを握る。終了間際には東海FB野口のドロップゴールが決まって0-13。後半に入っても追加点こそ奪えないものの、東海が堅実な守備で筑波の前進を許さないシーンが続き、スコアはなかなか動かない。

筑波はスクラムやブレイクダウンの劣勢で球出しに苦労し、パス攻撃も順目に回しては突破できず、の繰り返し。日本代表WTB福岡にもほとんどボールが渡らない。47分にようやくFB山下がPGを決めて3-13とするも、56分のPGは失敗。逆に67分に東海FB野口がまたもドロップゴールを決めて3-16と再び13点差に。気がつけば残り数分、勝負あったかに思えた。

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