●野武士軍団の「強さの秘訣」は
昨日は駒沢陸上競技場で3日連続のラグビー観戦。トップリーグ2ndステージの第6節、パナソニックワイルドナイツ 38-13 キヤノンイーグルス。
この試合、下馬評的にはパナソニックの圧倒的優位だったのだろう。しかし、意外なことに、立ち上がりからキヤノンの健闘が目立つ展開となった。まず8分にパナがPGで先制するも、直後の11分、キヤノンはSO和田の好タッチキックでパナ陣深くへ攻め込み、ラインアウトからのテンポ良い連続攻撃で押し込んでFLマーフィーが左中間にトライした。コンバージョンも決まって3-10。
もちろんパナも黙ってはおらず、14分に素晴らしいトライ。中盤で展開し、キヤノンDFがかぶり気味に出てきたところでSOバーンズが速いロングパスを左隅のWTB山田へ。山田は迷わず勝負しトイメンの菅谷をかわして快走、内側をフォローしたバーンズが折り返しのパスを受けて左中間にトライ。全くスピードを落とすことなく2人で50mを走りきった豪快なトライだった。8-10。
だが、ここから試合は膠着する。パナはボールを左右に回して攻め立てようとするが、キヤノンは素早いDFラインの構築で粘りの守備を続け、フェイズを重ねるうちにパナにミスが出て、の繰り返し。キヤノンはキック戦でも負けていないばかりかPGで追加点も加え、パナはようやく前半終了間際に百武の飛ばしパスを受けた山田が左隅に飛び込んでトライを奪うにとどまった。
13-13のタイスコアでハーフタイムへ。キヤノンの粘りが試合を面白くしてくれた。
後半になると、ようやく目が覚めたかパナソニックがフルスロットルの攻撃を見せる。キックオフ直後からFW・BKが一体となって密集の近場を集中攻撃し、まず42分、LOヒーナンがまるでミニチュアの街を踏み潰す怪獣のように(笑)ディフェンスの中央をバリバリバリっと破ってトライ。キックがやや不調気味のバーンズもさすがにこのコンバージョンは決めて20-13。
そこからしばらくはキヤノンがパナ陣深くまで攻め込んで連続攻撃を加えるも、今度はパナの方がしぶといDFを見せてトライを許さない。逆に56分、22m内でSH田中が絶妙のフラットパス、途中出場の1HO堀江がスポッと抜けてポスト下にトライ。ここら辺の決定力の差(あるいはレッドゾーンディフェンスの差)が勝敗を分けたと言ってよいだろう。続いてバーンズがPGも決めて30-13。
さらに63分、パナが山田やNO8コリニアシの激しい突進で今度は左コーナー付近まで攻め込み、最後はPR稲垣がゴールラインを乗り越えてトライ。この10分ほどはキヤノンはほとんど何もできず。そして残り時間はパナが田中・コリニアシ・バーンズらを休ませながら、ほぼ危なげなく(終了間際のキヤノンNO8菊ちゃんの突進は惜しかったけど)逃げ切った。最終スコアは38-13。
終わってみればパナソニックの快勝というか、やっぱつええな、と(笑)。
前半は完全にパナの苦戦パターンだった。ワイルドナイツはもちろん最強チームではあるんだけど、自分でボールを支配して攻め続ける(加えて相手のディフェンスが粘り強い)とひとりでにリズムを崩してしまう癖があって、この試合も、そしてそれ以上に大苦戦した先月の神鋼戦もそうだった。相手にほどほどに攻めさせて切り返す方がハマる感じなんだよね。要はカウンター型。
でも、それはそれで一つの弱点ではあるんだけど、このチームの「強さ」はそういった傾向と表裏一体なのではないか、とも思ったりする。つまり、ある程度偏ったりルーズだったりする部分があるからこそ、力の使いどころを間違えないしここぞという場面での集中力も出る、と。サントリーや東芝のある種の生真面目さとはちょっと異質な感じなんだよね。懐の深い強さというか。
プレーオフは一発勝負だし、最終的にリーグ優勝がどうなるかはわからない。でも、ウイニングカルチャーという意味ではパナソニックが一番その座に近いという風に思えるのだが。さてどうなるか。
それにしてもパナの得点、特に山田→バーンズでとったトライと田中→堀江でとったトライはいずれもものが違うというか、まさにスーパーラグビー級!だった。この4人の能力が飛び抜けているのは間違いないとして、彼らがいずれも28〜30歳というラグビー選手として最も充実した年齢にあるという事実がチーム全体の充実にも直結しているように思う。ホント、このチームは今が見頃なんだね。
試合後の駒沢公園の様子。戦いすんで、日がくれて……。
↓よかったらクリックして下さい。
にほんブログ村