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2006年05月29日

●大団円 ('06ジロ・デ・イタリア20S・21S)

19Sでガラーテに勝利をプレゼントしたフォイクトのコメントが良かった。「僕はずっと前を引かなかったから、勝利には値しなかったんだよ」。フォイクトは後方のバッソを助けるために逃げ集団でも前を引かず、ガラーテと一騎打ちになってからも先頭交代に積極的ではなかった。だから…というのはまことに筋の通った話。フォイクトの男気、そしてCSCのくそ真面目と言っていいほどの実直さ。ガラーテもフォイクトを讃えていたようだし、なんと気持ちのいい男たちなんだろう!


第20ステージ。「チマ・コッピ」(その年一番の難所)パッソ・ディ・ガヴィア、1級山岳モルティローロ、そして山頂ゴールと、難所続きの最後の山場。「チマ・コッピ」を越えた時点で既に先頭集団は総合上位のみとなり、モルティローロの山頂ではやはりというかバッソとシモーニの一騎打ちになっていた。グティエレス・クネゴ・ピエポリ・サヴォルデッリが切れ切れになりながら後を追う。今回のジロを象徴するような光景。そして、残り5km、ついにバッソがペースアップ。

「バッソが、飛んでいきます!!」

実況の白戸さんが思わず叫んだように、そのスパートはもはや次元が違っていた。昨年の日本ダービーでディープインパクトが5馬身ぶっちぎった時の、88年の日本GPでエンストしたアイルトン・セナが全車ごぼう抜きした時の、あの感覚が蘇ってきた。TTかと見まごうほどのスピード感。あっという間にシモーニの姿ははるか遠くに消え去り、ゴール前では産まれたばかりの息子の写真も取り出す余裕の完勝。凄い。「凄い」としか言いようがないよこれは。

シモーニは、結局バッソから1分17秒遅れ。3位とはさらに1分半離れていたのだから、彼もまた立派な、優勝に値する快走ではあったのだ。ただ、前に1人飛び抜けてスーパーな男がいたというだけで。おそらく年齢的にも彼が再び頂点を目指すのは難しいと思うけれども、この終盤で堂々とバッソに挑んだ「男の戦い」(by今中大介さん)はまことに潔く、印象深いレースぶりだった。いや、彼のおかげで本当にいいレースを観ることができた。感謝せねばなるまい。


そして最終第21ステージ。ツールと同様、ジロも最終Sは途中までパレード状態。選手たちもすっかりリラックスしていて、笑顔で話し込んだりインタビューに応じたり。まあ、一見不思議な光景にも思えるけど(一応レースは続いている訳だから)、これだけキツい連戦をこなしたんだからそりゃ最後の平坦に入ればもう解放感は凄いわな。ベッティーニがハイテンションで喋りっぱなしなのと、あとミサーリャ(セッレイタリア)の掟破りの逃げを全選手挙げて潰しにかかったのには笑った。一種の学生ノリだな、あれは。

ミラノ周回コースに入って次第にペースが上がり、CSCの相変わらずくそ真面目な引き(笑)もあって最後は超高速スプリント勝負に。勝ったのはフェルスター(ゲロルシュタイナー)。この日も落車で第2スプリンターを失ったミルラムが混乱しているところ(とりあえず列車だけは作ったのだが)、思い切りかぶせる積極策が功を奏した形に。ベッティーニはきっちり4位に入ってマリア・チクラミーノ(ポイント賞)獲得。もちろんバッソもアシストに守られて無事ゴールイン。いやー、お疲れさんでしたー。

結果として、CSCは無事バッソの戴冠に成功したし、クイックステップはベッティーニの他にガラーテもマリア・ベルデ(山岳賞)を獲ったし、ゲロルシュタイナーは3勝も、サウニエルデュバルも2勝できたし、終わってみれば健闘したチームは皆それなりの見返りがあったのかな、と思う。ディスカバリーやランプレはまあ物足りないけど上位には来てるし。とりあえず、めでたしめでたしといったところではないだろうか。……あ、ミルラムだけはちょっとアレか(笑)。

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コメント

第20ステージ見ましたけど、ディープインパクトばりに強かったですね。そんな山での強さを見てパンターニを思い出した。

で、バッソはツールでそのパンターニ以来のダブルツールに挑戦か。これに対抗できるのはウルリッヒ(体重次第(笑))とバルベルデくらいかな。勝負の鍵は個人TT(ウルリッヒがどれだけぶっちぎるか)と山岳(バッソについて行くものがいるのか)になると思うんですが。

1ヶ月以上先の体調はわからないので何とも言えないですが、今のバッソの力なら、仮にTTでウルリッヒに、ステージ優勝でバルベルデに遅れをとったとしても、気がつけば総合タイムで独走してるんではないかと。

まあ、ホント、体調だけですね。きっと。

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