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2006年07月14日

●「本命」なき静かなるピレネー ('06ツール・ド・フランス第10~第12ステージ)

さて、いよいよ山岳ステージの開始である。とはいえ、栗村さんが盛んに強調していたように、この時点では誰が有力でどういう展開になるのか全く読めない。そりゃそうだ、バッソもウルリッヒもマンセボーもバルベルデもいないんだから。


第10ステージ。JSPORTSが6時間もの生中継を敢行(途中の解説陣の補給食はたこ焼き(笑))。逃げの試みが連続する序盤は、普段は観られない場面だけになかなか面白かった。次々に仕掛ける逃げ選手と集団をコントロールするTモバイルの駆け引き。ほとんどのアタックは失敗に終わるのだが、ある時ふとしたタイミングで逃げが成功する。結局、この日は逃げ切りの展開になった。サッカーと同様、「無駄走り」が重要なんだね。

それにしても、「本命」不在の影響か、各チームの戦いぶりは手探り状態が続いている様子。Tモバイルはさんざん集団を引いたあげくに成果なしだわ、マイヨ・ジョーヌが先頭を引く場面はあるわ、ディスカバリーは地味なチームに成り下がってるわ、アルカンシェルがボトルを運んでるわ…って、最後のは単にボーネンがいいヤツだからか。結果、アグリチュベル(非プロチーム)のメルガドが優勝で、AG2rのデッセルが総合トップに立つ波乱。大勝負は明日からか?

 
第11ステージ。超級1級1級1級1級、と山岳が連続する超難関コース。4つ目の山まではデラフエンテやウェーグマン、ヴォクレールら一発狙いの逃げ屋たちが前方を賑わすが、結局集団が追いついてエースたちのガチンコ勝負に。ボーヘルトの鬼引きで最後の上りはランディス、メンショフ、エヴァンス、サストレ、ライプハイマーの5人まで絞られ、メンショフがゴール・スプリントを制して優勝。

ツールも折り返しを過ぎて、ようやく優勝候補が見えてきたステージだったろうか。この日見た感じではランディス(総合トップに躍り出た)とメンショフが頭一つ抜けているようだが、チーム力を考えればメンショフ有利か。何しろボーヘルトやラスムッセンがアシストだからね。逃げにもフレチャを送り込めるし。その点フォナックやロットは心許ないし、CSCは人数が不足気味。Tモバとディスカバリーは芯が通ってない感じがする。


第12ステージ。この日は仕事で遅くなり、TVをつければもうラスト20km。序盤は出入りの激しい展開だったようだが、ポポヴィッチ、ルメヴェル、フレイレ、バッランの逃げが決まっていた。激しいアタック合戦からまずルメヴェルが脱落し、あとは延々駆け引きが続く。残り3km手前でポポヴィッチが何度目かのスパートをかけたところ、全く前に出ないフレイレにバッランがキレて2人は動けず、そのままポポヴィッチが勝利。ようやくきたかディスカバリー、という感じである。フレイレはクレバーに立ち回ろうとしすぎたかな。

逃げた4人は総合では遅れている選手たちで、かつ平坦基調に近いコース。よって後ろは平穏に集団ゴールとなった。総合優勝争いにはほとんど変動がなし。一応この段階での「本命」はランディスということになるんだろうけど、おそらく勝負のかかるであろう15~17Sはまだ数日後。それまでいかにレースをコントロールして力を温存できるか。フォナックにそうしたチーム力は期待できるのだろうか?


(各ステージのリザルトはこちら)

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