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2009年07月08日

●ランスはランスである ('09ツール・ド・フランス第1~第4ステージ)

写真はArashiro
7連覇の「伝説の男」ランス・アームストロングの現役復帰に「三冠王」アルベルト・コンタドール2年ぶりの参戦、そして13年ぶりとなる日本人レーサー(しかも2人!)の出場と、話題には事欠かない今年のツール・ド・フランス。序盤から期待に違わずというか、予想をはるかに超えるエキサイティングな展開となり、JSPORTSで観戦する日本のサイクルロードレースファンは寝不足の海に叩き込まれているのであった。いや、幸せな事なんだが……。
 
 
第1ステージはモナコ公国を舞台とした個人タイムトライアル。F1では見慣れた市街地コースを自転車が高速で駆け抜けていくのは、それはそれで新鮮な光景だった。中継のゲストが我らが片山右京だったのもナイスな人選。右カーブのトンネルを抜け、ヌーベル・シケインを曲がり込んだところがゴール。あそこは92年のモナコGPでセナが絶好調マンセルを抑えきったところだね。三宅アナの「ここでのパワーはホンダが上か!」の実況、最高だった。

そんな場所で行われた「プロローグ」を制したのは、ファビアン・カンチェラーラ。コースの後半平坦基調になってからの速さったらあーた!月並みな表現だが、1人だけ速回ししているような感じだった。ていうか、なんで抜かれてるんだよ、メンショフ(笑)。いや、お見それしました。本命のコンタドールは18秒差の2位。序盤でマイヨ・ジョーヌの負担を回避したこと、他の総合系ライバルからリードを奪ったことを考えれば上出来と言えるのではなかったろうか。
 
 
第2ステージはやや凸凹のあるステージ。少数の逃げを残り数kmでプロトンが吸収する王道の集団スプリント・パターンとなったが、小さな波乱が起こったのは残り700mの右カーブだった。全体がスピードに乗ったところで発生した落車のあおりを受け、ボーネンらがコースアウト。難を避けたコロンビアグループからカヴェンデッシュが発射されると、レースはそのまま終わるかに思えたのだが……その後方からブルー地にトリコロールのヘルメットが。

ブイグテレコムのトレインをヴォクレールが引いてるのを見て、「もしかしたら新城かも」とは思った。ドーフィネ第2S11位の記憶もあり、先頭集団の一員に食い込むところまではイメージもできた。でも、そこからさらにグングン伸びてカヴェに肉薄してきた(ように見えた)のには本当に驚いた。思わず叫び声をあげたのは解説の栗村さんだけではない。新城幸也、堂々のステージ5位。「何か」があれば優勝も夢じゃない。そんな期待も膨らむ快挙だった。

でも、栗村さんとサッシャさん、いくらなんでも鼻血は出してないだろう(笑)
 
 
第3ステージは完全なる平坦ステージで、ここも典型的なバンチ・スプリント……になるはずのところが、残り30km地点の猛烈な横風で集団が中切れを起こすアクシデント。前の集団に残ったコロンビアとスキル・シマノが引きまくって後続の追撃を許さず、最後は万全の状態で飛び出したカヴェンディッシュがフースホフトを振り切って完勝。同じ地点からスプリントかけたら絶対に負けないよな、この男は。勝つためには前で出し抜かないといけない。

前日の新城に続き、今度は別府史之が8位に入る健闘。なんでも、突発的な横風を予見してスキル・シマノのチームメートに「上がれ!」と指示したのは別府なんだそうである。なんつーか、こういうエピソードを聞くと「飛び抜けた身体能力はなくとも戦う武器はあるんだ!」と嬉しくなってくる。先頭で力強く引く場面も多かったし、正直なところ春先から活躍していた新城に比べるとやや実力で劣るのではないかと思っていただけに、ビックリ(そして嬉しい)。

このレースで問題だったのは、アスタナ。中切れの後、後ろの集団にコンタやライプハイマーが残っているにも関わらず、ランス付のアシスト2人はローテーションに参加。最初は「サクソバンクを消耗させる作戦か?」と思っていたのだが、サクソバンクが追撃をやめてからも引き続け……ランスは3位に浮上、コンタを逆転。レース後の「俺もエースだ」的コメントからしても、結局この人はアシストに回る気なんてないのかな、と。らしいといえばらしいのだが。
 
 
第4ステージはチームTT。前日の疲れがあったのかコロンビアが伸びず、サクソバンクも突き抜けるには至らない。で、案の定というか、アスタナがディスカバリー・チャンネルを思い起こさせるスムーズなローテーションでタイムを伸ばして見事区間優勝。ただし、マイヨ・ジョーヌは1秒もない僅差でカンチェラーラがキープ。僕のようなアンチ・ランス派は「よし!よくやった!」と訳のわからない喝采を送るのであった(笑)。そんな簡単に行ってたまるかーい。
 
 
大会が始まってから、特にこの2日間、ランス・アームストロング選手に対するメディアの注目度は異常なほどで、テレビカメラもサストレやシュレク兄弟はおろか、コンタドールさえあまり映さない始末である。おそらく、7連覇でやめずに06年に出場していたとしても、これほど人々の耳目を集めることはなかったに違いない。いわゆる「王の帰還」というやつで、一度出奔してから再び戻ってくる英雄、というパターンが大衆は太古の昔から好きなんである。

しかし、ランスの傍若無人さと隣り合わせのカリスマ性(ついファーストネームで呼んでしまうあたりもそうだ)を久しぶりに目にすると、まあさすがというか、大したもんじゃああるよなあ、とは思う。これくらいの人じゃないとツール7連覇なんてできないんだろうな、と。ただ、若い頃ならともかく、これほどのビッグネームになってお金やら何やらのバックグラウンドもある状態でやってしまうと、ある種の「政治」やら「抑圧」を感じてしまってやはり好きにはなれない。

あるいは、このアームストロングを倒すことが、コンタ君が真の王者になるための試練、ということなのだろうか。そうとでも考えないと、やっぱり理不尽だよなー。ライプハイマーも頑張れ。
 

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コメント

お久しぶりです。
今年はJ SPORTS Plus以外の視聴できるチャンネルで生中継してしてくれているお陰で連夜テレビを付けっ放しにして観戦しております。
ツール・ド・フランスが、俺の手元に戻ってきた(涙)。
顔ぶれが浦島太郎状態ですが、ぼちぼち覚えていきます(笑)。 それでも単純に駆け引きや映し出される風景を見るだけでも遠い異国に思いをはせていい刺激になります。
高校時代、30分ほどの自転車通学していた身としては、当時NHKで放送されていたツールを見てなりきりながらママチャリで坂道を上り下りして通学していたのを思い出します(笑)。

私の脳内は、ツール・ドフランス=高校時代の自転車通学(爆)。

日曜日の味スタは行けません(苦笑)。

どうも、ご無沙汰してます。

私がツールを初めて目にしたのは、フジテレビでダイジェスト中継やってた時ですかね。日曜日にF1の後とかによくやってたような。あの頃走っててまだ現役を続けているのは、ランスとモローくらいっすかね。

>私の脳内は、ツール・ドフランス=高校時代の自転車通学(爆)。
私はママチャリで坂を上る時に気分がマイヨ・ア・ポア・ルージュです(笑)。

>日曜日の味スタは行けません(苦笑)。
すいません、月末の瑞穂は行けません(笑)。リーグ戦の名古屋は行くかも。

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