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2007年07月20日

●ヴィノクロフの涙に、涙 ('07ツール・ド・フランス前半戦)

今年も観てますツール・ド・フランス。いやあ、やっぱり楽しい。なにしろ昨年は開幕前日に優勝候補の2人がドーピング疑惑で排除、おまけにミラクル優勝を果たしたかと思われたランディスがやはりドーピング陽性と、スッキリしないどころか「もうどーでもいいや」という展開だったから(繰り上がり優勝?のペレイロ君は素敵だったけど)。ペタッキが出られないのは残念だけど、昨年に比べたらもう……。とりあえず第10ステージまでの感想。


プロローグと第1Sのイギリス開催は新鮮だった。これは昨年の忌まわしい記憶を振り落とし「新しいツール」をアピールするのにもちょうど良かったように思える。特にプロローグは、快晴のロンドン中心街を次々に高速で駆け抜けていくエキサイティングなもので、個人的にも3年前のロンドン旅行の記憶をなぞることができてとても楽しめた。あわやバイクに追突するスピードを見せたカンチェラーラもマーベラス。

その後は、日替わりで新たな活躍者が出るめまぐるしい展開。第1Sは順当にマキュアンが制したものの、第2Sはクイックステップのアシスト役ステーグマンが「うっかり」ボーネンに先着。第3Sはマイヨ・ジョーヌを着たカンチェラーラが脅威のロングスパートで快勝。その後はフースホフト、ポッツァート、ボーネンと順繰りに勝って、第7Sは24歳のゲルデマンが逃げ切ってマイヨ・ジョーヌ獲得。そうそう序盤はこうでなくちゃ、という感じ。

ちなみに、ゲルデマン君は僕が初めてロードレースを真面目に観た一昨年のツール・ド・スイス最終戦で逃げ切った選手なので、「へえ、あいつか」とちょっとした感慨を覚えたのであった。当時はCSC所属。


ところが、いよいよ総合争いが始まる……というところでなんと優勝候補筆頭のヴィノクロフが落車事故で負傷。豪華布陣のアスタナはクレーデンまで負傷して、一気に苦しい立場へ追い込まれた。負傷をおして根性で走るヴィノクロフの様子は、もう涙なしには見られない。少なくとも落車したステージは「待ってやれよ!」と思ったけどプロトン全然ペース落とさないし、バルベルデなんてヴィノの苦しそうな様子を見てアタックかけまくるし。

第9S、大幅に遅れてゴールしたヴィノクロフが人目をはばからずに涙したのには驚いた。昨年はドーピング問題の煽りを受けて不出場。「今年こそは」の思いが強かったんだろうな。元々無表情でマシンみたいな走りをする「軍人」イメージが強い選手だけど、そんな彼だからこそ、追い込まれて見せた人間的な部分に胸が締め付けられる思いである。泣くなアレクサンドロ、来年があるよ。05年の最終ステージを観たファンはみんな信じてるぞ。


さて、引退間近のヴァスールが勝ってめでたやの第10Sも終わり、いよいよ舞台はピレネーへ移っていく。今後の展望などをちょっと。

総合争いは、アルプスの第8Sで独走したラスムッセンが現在トップ。ラスムッセンはTTの転倒+メカトラブルで目前の表彰台を逃した05年の印象が強いので、今度こそ頑張ってほしいと思う。彼は能力のバランスは悪いけど、「飛び抜けた特殊能力」が「バランスのとれた総合力」を凌ぐのも面白い。普通に考えればバルベルデが有力なんだろうが、どうも好きになれないんだよな。天才の割にはちょっと戦いぶりがセコい感じ。

ポイント賞は是非ともトム・ボーネンに獲ってほしい。もう押しも押されぬ大スターだし、実力は誰もが認めるところなんだけど、マキュアンやペタッキに比べると勝つことへの執念やクレバーぶりがやや足りないのかな、と思える選手。だから、今度こそツールでマイヨ・ヴェールを最後まで着て、本当の「ボーネンの時代」の幕開けにしてもらいたいと思う。そういや、ボーネンとカンチェラーラとバルベルデは日本で言えば同じ学年なんだね。

あとは、コンタドールやシュレクら若手にも期待したい一方で、やはりそろそろオッサンの域に達しつつある者としてはオッサン軍団に頑張ってほしかったりする。トリコロールジャージでガンガン攻めるモロー、地味系実力者のサストレ、あとなんといっても「これぞオッサン」(笑)のツァベル!頑張れ頑張れ!!そういや、今回はコンメッソとかいないのがちょっと寂しいね。


まあ、あと10日余りは睡眠不足の日々が続くということで。いや、観ながらけっこう居眠りしちゃったりするので、別に睡眠不足ではないか(笑)。


[追記]
エントリーを一通り書き終わったところで、なんと「Tモバイルのシンケヴィッツが抜き打ちテストでドーピング陽性反応」というニュースが。ドイツではツールの生中継が中止になったとか(元々ウルリッヒの一件で相当ゴタゴタしていたらしいが)。いやはや、「またかよ」ということになってしまうのだろうか?
 

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コメント

前半戦補足です。
(喜怒哀楽方式で→主観入りますが)

・喜
マヨ復活!?
・怒
HV放送でない日がけっこうあるぞっ!(絶景の山岳ステージなのに)
・哀
マイケル・ロジャースの辛い辛いリタイアシーン
・楽
ワンワン落車(選手/犬にとっては災難だが)

ヴィノの落車は本当にに残念です。
まあ、ヴィノ本人にとっては我々が想っている以上に無念なんでしょうね。。。

今のところバルベルデに追い風が吹いてますが、今年は珍しいレース展開(マイヨ・ジョーヌがロングスパートで平坦ステージ優勝など)がいくつか続いていますので、このままでは終わらないでしょう。

まあ、ジロのディルーカのような熱い走りを見せてくれれば、納得するかも。

>マヨ復活!?
本人は「エウスカウテルでは地元バスクの応援プレッシャーが強すぎた」という趣旨のコメントをしているようですね。確かに、去年あたりのだらしない出来やチームとの確執には精神的な問題も感じられましたから。

>HV放送でない日がけっこうあるぞっ!
いやあ、栗村さんたちのメイクが大変だからじゃないですか(笑)。まあ、実際には、Plusの方ばっかでやると、1・2の視聴者へのアピールができないから、ということなんでしょうけどね。でも、HV放送、凄いですね。山や平原やお城の風景、下手な環境ビデオとかよりずっときれいだ。

>今年は珍しいレース展開がいくつか続いていますので、このままでは終わらないでしょう。
確かに。バルベルデはうまく立ち回ろうとしては失敗しているイメージがありますしね。ホント、彼、オールラウンダーとして素晴らしい才能を有しているんだから、だからこそもっとハジけてもいいのに……うーむ。

もう言葉も出ません。。。

全く同感です。レースが終わったら、ちょっと書きます。

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