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2006年07月12日

●トム・ボーネンの苦闘 ('06ツール・ド・フランス第4~第9ステージ)

お隣ドイツでW杯が盛り上がっている間も密かに(?)続いていたツール・ド・フランス。ピレネー山脈まで連続する平坦コースは、ポイント賞の大本命ボーネンがもがき続ける展開となった。


第4ステージは、またマキュワン。圧倒的な加速力でダントツの勝利!なんか、ステージレースのゴールスプリントでこれだけ大差がつくのも初めて見たような。最後のカーブで発射台のアシストが外れた瞬間、あっという間の加速で抜け出していた。ハスホフトもボーネンもぜ~んぜん届かず。まだまだ「格が違う」ということなんだろうか。「マキュワン先生」だな。

ボーネンは5着。いい感じでアシストに引っ張られてたのに、最後失速して一気に順位を落としてしまった。どうも今回、爆発力もイマイチだけど、脚の使いどころの感覚が狂ってるように見えるんだよね。マークされる立場なのと、あと多少慌て気味でもあるのだろうか。守りたかったマイヨ・ヴェールを失う一方でマイヨ・ジョーヌにとどまったのは、ちょっと皮肉。黄色は似合わないぞ…。

 
第5ステージ。マイヨ・ヴェール争いが激化しているせいか、少人数の逃げがペースアップした集団に潰されてゴール・スプリント、という展開が続く。この日の勝者はオスカル・フレイレ。固まりになったスプリンター軍団からはボーネンが抜け出てきたのだが、そこから離れた位置をスススーッと1人で上がって勝ってしまった。「あれ?スリップストリームは?」と不思議な感じだったが、ゴチャゴチャ揉まれるよりも単騎加速した方がいい場合もあるということか。


第6ステージ。またまたマキュワ~ン!今回は、「発射台」ステーグマンの走りも凄かった。絶好の位置にいたボーネンが前を遮られて加速しあぐねたところ、その横をマキュワンを引っぱりながら一気に追い越して集団から突き抜け、最後は「はい、どうぞ」って感じでマキュワンに譲って「勝たせた」。彼自身も8位入線で、そのまま自分で勝負しても勝てたんじゃないかとさえ思う。ともかく、マキュワンに風が吹いてる感じである。


第7ステージ。個人TT。実は密かに「CSC大反撃」のレースと思っていたんだけど、ジュリックがまさかの転倒リタイア。代理エースまでいなくなっちゃったYO!ザブリスキーも大したことなかったし…。で、代わりにというか、ゴンチャールがダントツの優勝でマイヨ・ジョーヌを獲得、クレーデン・ロジャース・シンケウィッツも上位入選と「Tモバイル大反撃」の結果になったのであった。まあ、確かに、CSCに比べたらTモバの方がエース離脱の心理的ダメージは少なそうだ(笑)。


第8ステージ。ザブリスキー・ケスラーら6人の逃げが形成され、それを集団が追走して徐々に差を詰める展開。残り25kmでカルザッティ(AG2r)がアタックして逃げがバラけ、「さあ集団のペースアップでスプリントだ!」と思ったのだが…集団のペースは一向に上がらず。昨日のTTでの消耗があったのと、ボーネンのパンクも影響したのだろうか。特にランプレはW杯決勝戦の前哨戦として(伊×仏(笑))、追いかけると思ったんだけどな。

結局、カルザッティはそのまま逃げ切ってグラン・ツール初優勝。残り3kmで監督とハイタッチする姿も初々しく、好感が持てた(「んなことやってないで走れ!」とも思ったけど(笑))。で、2位と3位に逃げ残りが入って、4位以下がスプリント勝負。制したのはマキュワン。残り100mまで全くテレビに映っていなかったのだが、さすがは忍者スプリンターである。ボーネンは9位…。焦ってるのか、早め先頭で差し込まれる展開が続く。勝てずとも、もう少しポイントを拾わないとキツいのだが。


第9ステージ。ピレネー前最後の平坦Sは、予想通りスプリント勝負に。ゴール前、一度は集団から弾き出されたクイックステップ勢が歯を食いしばって再び好位へ。それに応えてボーネンがショートサイドを抜けた時には「今度こそ」と思ったのだけれど…勝てなかった。ゴール寸前、後方から斜めに抜け出してきたフレイレとマキュワンに差される。うーむ、マキュワン曰く「スプリントはタイミング」か…。フレイレとマキュワンは途中で頭突きを浴びせ合っていたようだが、あれは彼ら流のハイタッチなんだろう、きっと(笑)。

ともあれ、これでマイヨ・ヴェールはマキュワンがかなり、いや絶対的に有利になった。山岳でヘタレてリタイアしない限りは、だが。


(各ステージのリザルトはこちら)

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