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2009年07月14日

●アスタナ帝国進軍中 ('09ツール・ド・フランス第5~第9ステージ)


チームTTでアスタナが他を大きく引き離し、早くもコンタドールとアームストロングのマッチレースの様相を呈してきた今回のツール。しかし、総合争いよりもステージ優勝狙いのチーム・選手にとってはもちろん毎日が一発狙いのチャンスなのであった。ブエルタあたりだとダレかねない展開なれど、さすがにツールは選手たちのモチベーションが違うということだろうか。
 
 
第5ステージはほぼ真っ平のコースだが、どうも「平穏無事」に済まない日が続く。吹きつける横風・向かい風に煽られたプロトンはたびたび分裂し、逃げグループとの差もなかなかつまらない。残り5kmで逃げの中からトマ・ヴォクレールが力強く飛び出し、そのまま逃げ切り勝ち。毎年積極果敢な走りで目立ちまくるヴォクレールだけど、ちょっと驚いたことにこれがツール初勝利なんだね。地元選手の活躍に観客も大盛り上がりで、よかったよかった。

 
第6ステージはバルセロナ(街が、美しい!)をゴールとする、小さな凸凹のあるコース。今度は吹きつける雨にさらされ、終盤プロトンで落車が多発した(新城も!)。残り30kmでディヴィット・ミラーがアタックして独走。TT得意のミラーだけに2日連続の逃げ切りかとも思われたが、ゴール前モンジュイックの丘にさしかかったところで際どく集団が吸収。「上りもイケる」ジリ足スプリンターたちの争いとなり、フースホフトがフレイレを振り切って優勝を飾った。

コメントを読むと、どうもヴォクレールのアタックは「どうせ集団に追いつかれるから今のうち飛び出して(目立って)おこう!」という意図だったらしい。栗村さん言うところの「かあちゃんアタック」である。ゴール前でやたら振り向いたのも自信のなさの表れだったっぽい。でも、その本能的(?)なチャレンジがまんまと成功して、逆に計算尽くに思えたミラーのアタックはギリギリのところで失敗してしまうのだから、自転車レースというのは面白いというか。

ラボバンクのチームカーの助手席にヨハン・クライフ御大が乗っているのがチラと映ってましたな。バルサ&オランダつながり。でも実況&解説はスルー、って、どういうことやねん!!
 
 
第7ステージ。バルセロナからアンドラへと異国を渡る、大会最初の山岳ステージ&山頂ゴール。レースは逃げ集団と総合争いに二分され、終盤にロングスパートを決めたブリース・フェイユが優勝。この23歳、これがプロ初勝利なんだとか。末恐ろしい、というより、「一発屋」でないといいのだが(つーかジャージの前は閉めよう(笑))。また、逃げの中で粘り倒したノチェンティーニがマイヨ・ジョーヌを獲得。こちらはベテランの31歳。苦労が顔に出てるな……。

総合争いの方は、延々と続く上りでカンチェラーラが脱落。有力勢の我慢比べとなったが、残り2kmでお得意のロケットアタックを決めたコンタドールが抜け出し、後続に21秒の差をつけて総合2位に浮上。「よし、きたー!」という感じ。どうやらチームのプランとは異なるアタック(無線引きちぎり!)だったようだが、この果敢さこそが彼の本領なんである。一方ランスは、順位はひとつ下げたものの、闘志満点の走りでコンタと2秒差に踏みとどまったのはさすが。

この日の結果を受けて、アスタナのチームオーダーは落ち着くのか、それともますます一騎打ちの様相を呈するのか。ガンガンやり合ってくれた方が面白っちゃ面白いのだが(笑)。
 
 
第8ステージは、2つの1級山岳でエヴァンスとアンディ・シュレクがアタックして出入りの激しい展開となったが、いずれもアスタナが完璧なコントロールを見せて総合争いは動きなし。逃げ残った4人がスプリントでステージ優勝を争う展開に。先頭交代に加わっていなかったエフィムキンが一旦は飛び出すものの、残り3人の怒りの追撃(笑)にとらえられ、最後はカザールとの駆け引きを制した”LL”サンチェスが有言実行(優勝宣言してたそうな)の勝利。

逃げ4人の騙し騙されの人間模様も面白かったのだけれど、個人的にツボだったのはアスタナの支配っぷり。2つめの1級山岳でアンディがアタックをかけた時も、みるみる集団が縮小して「おお!」と思ったのもつかの間、気がつけばアンディがアスタナの5人に包囲されていたという(笑)。他のどのチームが仕掛けても絶対に乱れず遅れず、無表情のままズゥーンと(重低音とともに)迫ってくる様子はほとんどホラー映画の世界(もしくは悪の帝国)である。

で、当然のことながら、反アスタナ連合結成の訴えも。そりゃそうだよなー、このままじゃコンタ・ランス・ライプハイマーで表彰台独占、なんてことにもなりかねんぞ。
 
 
第9ステージ。ちょうど中間に超級トゥール・マレーがそびえ立つレイアウトだが、総合争いにはほとんど動きなし。前日のアスタナの「完全制圧」が効いたのか、あるいは翌日に休息日を控えて「早く休みてー」という気分の選手が多かったのか(両方かな)。そんなプロトンの状況も利用し、ペッリツォッティとフェドリコがたった2人で逃げ切り、スプリントを制したフェドリコが優勝。昨日のドロドロした駆け引き(笑)とは異なり、力と力の真っ向勝負が心地よかった。
 
結局、ノチェンティーニはこの日もマイヨ・ジョーヌをキープ。「できるだけ長くキープしたい」というコメントとは裏腹に、表情の疲れが増しているように見えるのだが、大丈夫なんだろうか。うまく行けばあと1週間くらいは着ていられそうかな。あと、どーでもいいけど(よくないけど)、ここ数日、表彰式のポディウムガールが大変にかわいらしいように見えたのは、一緒に画面に映ってるのがこのオッサンだったせいもあるのだろうか。
 
 
で、月曜は大会最初の休息日。連日夜更かしの我々極東テレビ観戦組も、ようやくひと休み。
 

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