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2008年01月23日

●『蹴りたい言葉』

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昨年のうちに読んだ本だけど、忘れないうちに紹介しておこう。いとうやまね著『蹴りたい言葉 サッカーがしたくなる101人の名言』(コスミック出版)。プラティニ、マラドーナ、モウリーニョ、クライフ、カントナ……。サッカー界における様々な著名人の名言(迷言?)を、サッカーライター・ユニット「いとうやまね」さんが独自のセレクションで紹介した一冊。紹介された人物=言葉の数は実に101!!わんちゃんか(笑)。


この本の良いところは、まずその簡単かつ明解な構成だろうか。見開きページの右側に「人物」「その人物の名言」「発言が行われた時と場所」が大きく印刷され、左側に発言の意味や背景にある事象の解説、そして人物の詳細なプロフィールが掲載されている。見やすい作りである。また、著名人1人につき1発言のみに絞ったのも、より多くの人々の発言をわかりやすく紹介する上では好都合ではなかろうか。

また、「名言集」とは言っても、いわゆる格言を集めた類のものではない。紹介されている言葉は、発言者やその置かれた状況と合わせてみてはじめて本当の意味がわかるものが多い。例えば、「キーパーもワインと同じ。熟した方がうまい」なんて、40歳でW杯を獲得したゾフが言うからこそ重みが出るものだし、「僕は『7』の方が合っている」も、発言者が00年のデル・ピエロでなければ何の変哲もない一言である。

言い換えれば、この本は「名言集」であると同時に、その人物の発する典型的な、もしくは一世一代の決め台詞を通して、古今東西のサッカー人の魅力を紹介している「名士録」でもあるのだ。そして、ここが最も重要だけど、僕の見た限り、掲載された人物やその発言のセレクションは概ね妥当なものだ。この本を読めばここ数十年の主要なサッカー人(ただし日本人を除く)を総覧できる、とまで書くと大げさか。

もしかすると、いわゆるサッカーオタクにとっては「そんな発言知ってるよ」「その選手なら、当たり前の発言じゃん」というものが多いのかもしれない。でも、僕なんかからすると、インザーギやジョゼさんのキャラについてはある程度知っていても、ビル・シャンクリーやイアン・ラッシュの人となりについてはこの本を読むまで全く知識がなかった。「サッカー教養」を付ける上で役立つ本なのは間違いない。

たとえばの話、ウチのカミさんに読ませてみたらどうだろうか……でも、そのままサッカーオタクへの道を歩んでしまいそうでちと怖いな(笑)。まあ、ひいき目抜きでオススメの一冊です。


最後に、収録された名言の中で僕が特に気に入ったもの3つ。

アレックス・ファーガソン  「わざと狙ったのなら、私は今でも現役だ。」
ヨハン・クライフ  「偶然は必然だ。」
ジョージ・ベスト  「俺は莫大な金を、酒と女と車につぎ込んだ。残りは浪費した」

それぞれの意味については、実際に本を買って読んでみるべし。ちなみに、これも印象的なルート・フリットの「セクシーフットボールをお見せしよう。」という発言こそが、FC東京ファンが掲げる(?)「セクシーフットボール」の元ネタなのであった。
 

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コメント

「勝つことが私の興味の大部分。残りは哲学であり、ポエムであり、無駄話だ」カペッロ親方

けっこうこれが好きだったりする。イタリアやフランスの選手や監督は、言葉の選びが面白くて好きだわ。普通に喋るのは罪とも言わんばかりに(笑)
ん?関西人もそうか!関西人のオカンって世界で勝負できるからなあ。

世界に通用するオカン(笑)。

イタリアやフランスは、ほんと「地が出てます」って感じの名言ですもんね。私はどちらかと言えば、どことなく皮肉とプライドの漂う英国系が好きかな……。

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