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2005年01月15日

●『封印作品の謎』

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安藤健二著『封印作品の謎』(太田出版)読了。取り上げられているのは『ウルトラセブン』12話(「遊星より愛を込めて」)、『怪奇大作戦』24話(「狂鬼人間」)、『ノストラダムスの大予言』、『ブラック・ジャック』41話(「植物人間」)・58話(「快楽の座」)、そして埼玉県監修のO157予防教育ソフト。

これらの作品に係る経緯は様々なれど、多くに共通しているのはある種の強烈な抗議の存在と、それが抗議する側の意図以上の影響(萎縮)を制作者側に与えて自主的な「封印」に至っていること。そして、そういった事例の積み重ねの結果として、今のマスメディアにおいて、行き過ぎた抗議へのトラウマが表現の窮屈さをもたらしているという現実がある。たとえ差別反対の趣旨であっても、差別の要因となる事象それ自体を語ることが難しくなってしまっているのだ。それってナンセンスちゃう?

マニアの間では周知の事実でも、一般的に取り上げられにくいこの手の作品についてその封印の経緯を掘り起こしたという意味で、これは評価されるべき本だ(まあいずれにせよ「普通の人」には興味ないことかもしれんが…)。残念だったのは、O157ソフトを問題化した「新たな圧力団体」としての「2ちゃん」についてチラリとしか触れていないこと。その後映画『コンクリート』の事件もあったことだし、もっと深く掘り下げればなお良かったと思うのだが。

あと、ちょっと驚いたのは、『キャンディ・キャンディ』と『オバケのQ太郎』って「諸事情により」全単行本が絶版になってるのね。

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