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2006年02月27日

●『街場の現代思想』

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内田樹著『街場の現代思想』(NTT出版)読了。フランス現代思想と映画評論と武道論の間を軽快に渡り歩く当代随一の論客が、様々な題材を用いて世の理路を解き明かしていく。

タイトルに「現代思想」なんて付いてはいるけれど、思想家とか難しい用語はあまり出てこず(皆無ではないが)、身の回りのモノについてのお話が大半。ありふれた事象に対して筋の通った解釈を施し、それに対する心構えを説く、というスタイル。特に第3章「街場の常識」は、まんまそのまんま人生相談である。

内田さんの強みは、自然体(少なくともそう見える)から繰り出される鋭い論理に加え、人生経験に裏打ちされた(ように思える)理屈を超える言い回しが使えるところ。しばしば登場する、「だって、そうでしょ?」と「そういうものなのである」というフレーズはある意味反則技である。否定を許さないというか、反論が非常に難しいというか。

僕が説教される側の若者だったら、そういう部分については「ちょっとズルくない?」あるいは「サギっぽいな」とか思うかもしれない。少なくとも、釈然としないものはちょっと残るだろうな(笑)。まあ、この歳になると、確かに世の中理屈だけでは割り切れない、そういうものなんだということがわかってくる(ような気がする)ので、そんなに抵抗なく読めたのだけれども。

1日10分、寝る前にでもちょっとずつ読み進めて、まったりと我が身を振り返ったりするのにはちょうどいい本。

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