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2005年09月16日

●『不肖・宮嶋 国境なき取材団』

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宮嶋茂樹著『不肖・宮嶋 国境なき取材団』(新潮社)読了。ご存じ有名報道カメラマン「不肖・宮嶋」の数多くの戦場取材のうち、これまで単行本未掲載だった短編10本をまとめた総集編的(?)な本。

僕は、自分ではそれなりに好奇心のある方だと思っていて、時折ふらっと1人で興味のあるところに行ってみるのが好きだ。また、スポーツにせよ何にせよ、「後方で冷静に考える」事も大事だと思う一方、やはり「現場で観るにしかず」と思っている部分もある。でも、そのくせ困難な所へ辛いことを乗り越えて行くだけの根性には欠けていたりする。要はヘタレである。

だからなのかはわからないが、僕は不肖・宮嶋のファンだ。「行かずにはおれない」という姿勢には共感するし、「絶対に無理だろう」と思われる場所まで独力でかけつける(そして野営する)行動力にも大いに唸らされる。また、それでいて、どんな過酷な体験についても文章にまとめれば(まあこれについては勝谷誠彦さんの力も大きいのだろうが)オモロおかしくかつシブい余韻の残るものにしてしまうのは本当にエライ!

この本に掲載されているのは1989年から99年の10年間、東欧・中東・アフリカ・アジアの10カ国以上にわたる取材モノ10本。中でも印象的なのは、やはり自衛隊ルワンダPKOに従軍した「仁義なき大陸」かな。全く救いがたい状況とはまさにこのことなんだけれども、そこでも不肖テイスト炸裂、実に面白い読み物になっている。「土人」て、あーた(笑)。あと、トルコ地震の復興支援「ブルーフェニックス作戦」も、難民キャンプの人のあまりの歓待ぶりに「1人にしてくれ~!!」と絶叫するあたりが楽しい。

こういう本に対して、悲惨な状況をオモロく書くとは何事か、などと青筋をたててはいけないのである。どんな事件の報道・ルポであれ、それが興味を持たれ、読まれなければ伝わるものも伝わらないのだから。僕は断固として不肖・宮嶋のあり方を支持したい。別に思想的にどうとか、そんなものはこの際関係ないのである。

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