●『オールナイトサッカー』
サッカー本レビュー3連発のそのさーん。
最後は杉山茂樹編・著『サッカー番長杉山茂樹・オールナイトサッカー』(コスミック出版)。「フランクにワイワイガヤガヤ」、外国のサッカーラジオ番組をコンセプトにした(?)ムック本。ある意味大物名物ライター(笑)たる杉山茂樹氏の「責任編集」と銘打っているだけあって、前ページ通じてスギヤマ色(でわかるかな)に溢れた一冊。
基本スタンスは「日本サッカー」(特に岡田監督)批判。語り手はセルジオ越後、釜本邦茂、加部究らが並ぶ。となれば当然に内容は「辛口」となるわけだが、確かに品の良いコラムや理屈っぽい文章も多いサッカー媒体の中でこの「生々しさ」は新鮮である。対談やインタビューを多用しているせいで非常に読みやすいし。中でもチョン・テセくん(憲剛には頭が上がらないのね)と、あと江本孟紀さんの記事は楽しかった。張本さんの「町人ども」発言って(笑)。
ただ、一方で、そういう性質の本だから仕方がないのかもしらんが、オピニオンについてはやっぱり「?」マークが付く部分が多い。今の日本サッカーにおける「上層部」やアイコンや主流メディアやらを仮想敵としているのはわかる。でも、「つまらない」とか「日本は遅れてる」とかそういう物言いで批判するばかりで、理屈では崩しきれていないようにも思える。「回すサッカーはいかん」とか言って遠くからバカバカシュートを撃つけど、枠内はほぼゼロ、みたいな感じ。
そんな中で、セルジオ越後さんの言っていることが(相対的に?)まともに思えてしまったのは、一昨年のアジアカップの時に相当ムカついていた僕としてはちょっとショックだった(笑)。あと、釜本さんも、説教くさいっちゃ説教くさいんだけど、元名選手の話としては筋が通った内容になってるんだよね。杉山さんは……「番長」などと自称している割には「シメてる」感じがない(笑)。原さんについてNumberに書いた記事なんかは、けっこう好きだったんだけどな。
とにかく、まあ、肩の力を抜いて気軽に楽しむくらいがちょうどいい一冊、だろうか。