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2005年05月11日

●『終戦のローレライ』

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福井晴敏著『終戦のローレライ』(講談社文庫)読了。あまりの端折りぶりにダイジェストの出来損ないみたいになってしまった映画版に対して、小説版は全四巻にもんのすごい情報量を詰め込んだ大作。前者を映画版『ヤマト』とすると、後者はテレビ版『ガンダム』といったところか。きっと小説版を先に読んだ人にしてみれば、映画版はすっかすかで物足りなさすぎるのだろうな。その密度ゆえに、小説は小説でクリアの難易度は高そうだが。

やっぱりこの物語、燃えるエッセンスはかなり多い。呉大空襲の最中の出撃シーン、米潜水艦隊との息を呑む死闘、健気なヒロイン、そして「真の敵」に心意気と情をもって立ち向かう登場人物たち。ただ、映画と同様気恥ずかしくなるような台詞もところどころに見受けられ、そこを乗り越えられるかどうかが分かれ目だな(何のだ)。カラッとした楽観主義ともの悲しさが同居するクライマックス(集中砲火を浴びる船内で乗組員たちが『椰子の実』を絶唱…)は個人的にすごく好きだ。

残念だったのは戦後~現代を描いた「終章」かな。これは蛇足だと思う。ちょっと説教くさいしね。生き残った主人公とヒロインが海上で無線機から流れる玉音放送を聞く、あのシーンで終わった方が良かった。

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コメント

先日ようやくDVDで見ました、映画を。
原作はまだ読んでないのですがこの記事を読んでいると
とても読んでみたくなりました。
映画を先に見ておいてよかったかな…。
全4巻ですか、かなり長そうですね。

>映画を先に見ておいてよかったかな…。
そうですね。私も映画を先に見たからそう思うのかもしれませんが、やはり2時間では慌ただしすぎるきらいがあるので、導入的に映画を見てから、キャラを重ねながらゆっくり小説を読むのが正解ではないでしょうか。

>全4巻ですか、かなり長そうですね。
長いです。が、1巻目をクリアすれば、その後はおそらく飽きることはないでしょう。

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