●『日本のいちばん長い日』
ビデオで、岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』観る。1945年8月14日から15日、終戦という到達点へ向かう大日本帝国の政府・軍部における暗闘をドキュメンタリー調で描いた大作。タダゴトではない緊迫感の中、「日本史上最も重要な1日」の様子がものすごいスピードと密度で描かれていく。
天皇による終戦の決断から始まり、終戦の詔勅を巡る陸軍大臣と海軍大臣の対決、詔勅公布のために駆け回る官僚たち、陸軍省若手参謀たちの反乱決起、玉音放送レコードの争奪戦、終戦を知らず飛び立つ特攻機。そして血なまぐさい夜が明けて、ある者は静かに終戦を迎え、ある者は血だまりの中で息絶える…。なんというボリューム。これが本当に1日の出来事なのか、にわかには信じがたい気さえしてしまう。あくまで政府・軍部の内部に的を絞っているにも関わらず、全太平洋を巻き込む大戦争の終点というのはやはりエライコトだったのだと納得させられる映画だ。