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2005年04月14日

●『激動の昭和史 沖縄決戦』

ビデオで岡本喜八監督『激動の昭和史 沖縄決戦』観る。一度見たらもう金輪際絶対戦争なんてやるもんかと思える、太平洋戦争ものの傑作。

固いナレーションの下、ドキュメンタリー調で映画は進んでいく…のだが、行き当たりばったりの展開、無数の登場人物が繰り広げるドタバタ劇はコミカルとさえ言えるもので、その大半が史実に基づいたもの(一応「一部創作」という断り書きは出るが)だとはにわかに信じがたい。でも、本当なんだな。それがまた沖縄戦の悲惨さを際立たせるのである。岡本監督の皮肉たっぷりの演出もあり、全編に漂うのは「滑稽な哀しさ」といったテイストだ。

この映画を今作ろうと思っても、おそらくは無理だろう。監督の資質ももちろんあるが、それよりも、これだけ迫真の「戦時下演技」ができる役者陣を揃えるのが不可能であるように思えるから。目を閉じ、汗と涙にまみれながら「一緒に死んでくれ」とモゴつく丹波哲郎、自軍の壊滅ぶりに呆然とする仲代達也、穏やかに死へ進む小林桂樹、状況に流される「庶民」田中邦衛、そして悲しい乙女たちの死に様。世代的に、やっぱりあの戦争に近い人間じゃないとこういう演技はできないんじゃないかな。

やだよな、ホント。逃げ場のない感じが。映画の中では最後に救いがあるとしても。

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