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2009年02月16日

●城福東京、08年から09年へ (2008年回顧 前編)

ふと気がつくと、前のFC東京関係のエントリー(といっても実はマンガと特撮テレビの話だが(笑))からはや1ヶ月以上がたち、そして開幕までもう1ヶ月を切っているではないか!いや、サッカーの世界の休みは短いのう(つってもチームはとっくに練習を始めているわけだが)。というわけで日程もヘンテコなマスコットも発表になったことだし、開幕に向けてリハビリ気分でつれづれ書いてみようかと。今回と次回、まずは08シーズンの回顧から。
 
 
1 「リスタート」に成功した春

2008年の開幕時は「期待半分、不安半分」といったところだったろうか。監督は長年慣れ親しんだ原さんに替わり、U17代表での実績はあるがJリーグ経験のない城福さんが就任。オシムサッカーの申し子・羽生やKリーグ得点王・カボレの獲得に成功する一方で、ルーカス・馬場・鈴木規といった主力がチームを去った。そして「Moving Football」のスローガン。変わってほしいと願う一方で、あまりの変貌ぶりに心細さを感じるのが正直なところであった。

実際、開幕から1ヶ月余りの間、チームは不安定な戦いを続ける。新加入エメルソンと長友の活躍や時折見られる小気味よいパス回しはあったものの、組織守備の弱さやペース配分の拙さが目立ち、工夫されたセットプレーでなんとかしのぐ状態だった。神戸戦・京都戦では勝ちきれず、新潟戦・札幌戦でようやく辛勝、横浜には0-3の惨敗。僕はといえば、06年のイヤな記憶もあり、「とにかく壊れないでくれ。結果が出てくれ」と毎試合祈り続けていた。

転換点となったのは、やはり第6節、この年最初の東京ダービーだろうか。3年ぶりの同本拠地チームとの激突でファンも選手も熱く燃えたこの試合、逆転勝ちという結果もさることながら、「前半守備的に入って耐え、後半”スイッチを入れて”攻勢」というパターンを確立したこと、羽生がスーパーシュートを決めて存在意義を証明してくれたこと、そして大竹・椋原という生え抜き新人の活躍。チームに大いなる勢いをもたらす勝利だったのは間違いない。

そして翌週の第13回多摩川クラシコ。2度に渡るビハインドをはね返した反発力、赤嶺・カボレの泥臭い得点、大竹というスターの誕生、「Moving Football」を具現化したラブリーな4点目……僕はこの試合を08年のベストゲームに挙げたい。その後は清水などに惜敗しつつも、覚醒した梶山の活躍を中心に大分・大宮・磐田相手に勝利を収め、なんと3位に浮上。リーグ中断中もヴェルディに連勝してナビスコ杯予選を突破。ここまでは順調な道のりであった。
 
 
2 「産みの苦しみ」?試練の夏

ところが。6月末のリーグ再開後、最下位の千葉に引き分け、浦和・鹿島にアウェイで連敗したあたりから歯車が狂う。不調のガンバ・マリノスとは何とか分けたものの内容は芳しくなく、ナビスコ杯準々決勝は大分相手に敗退。やっと名古屋戦で羽生・平山の活躍により辛勝したかと思えば、浦和・ヴェルディになんとホームで連敗。順位も11位まで下降し(ヴェルディは10位浮上)、春の快調さとは一転、城福東京は窮地に陥ってしまったのだった。

この時期は、とにかく雰囲気が悪かった。チームは試行錯誤してもなかなか結果が出ず、フラストレーションの鬱積からヒステリックな野次やブーイングを飛ばすファンもぐんと増えていた。特に国立でのダービーの逆転負けの試合後の罵声飛び交う様は……06年夏の大「ガーロやめろ」コールが頭をよぎった。多くの人に悪気はなかったろうし、それまで全勝で小馬鹿にしていた相手にやられたせいもあったのだろうが……あれは今思い出してもひどい。

冷静に考えれば、この試合の内容は決して悪いものではなかった。プレーには気迫がこもっていたし、パスワークは機能、シュートだって16本も撃っていたのだ。また、カボレを左に張らせて生かす形など、その後につながる工夫も見えていた。確かにダービーは大事かもしれないが、それでも「絶対に負けない」ことなど不可能だし、このシーズンの東京が新しいチャレンジをしていたことを考えれば、必要なのはもう少しの我慢ではなかったのだろうか。

ここが、シーズン一番の危機であり、「折り返し地点」だった。
 
 
3 快進撃と挫折の秋

東京ダービーの翌週、豪雨の日立台。エース赤嶺のドライヴシュートが決まって再び東京が走り出した。続く大宮戦を大竹のFKと石川の活躍で逆転勝ち、折り返しの多摩川クラシコでは数的不利を全員守備ではね返し、磐田戦ではカボレの爆発で5得点。さらに札幌戦も赤嶺・大竹のゴールで確実にものにして、これでなんとチームタイ記録の5連勝。つい1ヶ月前まではスタンドから罵声を浴びせられていたのが信じられないような快進撃である。

この連勝中はとにかく戦い方が安定していた。DFは長友・佐原・茂庭・徳永がほぼレギュラーに定着し、赤嶺は持ち前の得点感覚を生かしてゴールを量産。カボレも左サイドでのびのびと実力を発揮し、中盤は復活した石川を含めて豊富な駒でやりくり。夏場には外すことも多かった城福監督の采配もピタリ当たることが増え、「チームが固まってきた」ことによる果実をチームとファンで共有できていた。首位名古屋との勝点差はわずか「4」にまで縮まった。

だが、「さあ、上位進出だ!」と意気込んだところでまた挫折が待っていた。第28節の清水戦、1-5の大敗。気分よくスキップしていた時に落とし穴にドーン!とはまったようなものである。磐田戦あたりから落ち始めていた内容が結果に現れた、と言えばそれまでだが、春に見せていたパスサッカーがいつの間にか失われ、中盤で完敗したのも原因だったように思う。続く大分戦でも「タートルフットボール」の前に完敗し、上位は再び遠ざかった、かに見えた。
 
 
後編に続く)
 

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コメント

中断明けのHOME千葉戦での今ちゃん退場から歯車が狂ったのかなぁ…という印象を持ってます。ベストゲーム=HOME川崎戦にはまったく同意です。

後編、楽しみにしてます♪

>宇宙の海は俺の海

どうもです。中断明けでそれまで不在だった主力の一部も帰ってきて、「さあ行くぞ!」というところで失速。サッカーというのは難しいものだと思わされましたよね。

確かに、今野退場の瞬間からスタジアムの空気が一変しましたよね。「ナンダヨソレー!」みたいな。逆に、秋の多摩川クラシコまで行くとそこをはね返す強さを取り戻していたのですが。

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