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2008年08月25日

●とにかく次、がんばれ、がんばろう (FC東京×東京ヴェルディ)


土曜日は、国立霞ヶ丘競技場でJ1第22節。FC東京 1-2 東京ヴェルディ。今季4回目の東京ダービーは、同カード3連勝中の東京にとってはここ最近の不振を振り払いたい一戦であり、一方のヴェルディにしてみれば意地でも負けられない戦い。東京がカボレのスーパーシュートで先制したものの、後半カウンターから同点とされ、さらにロスタイムにセットプレーで逆転を許す残念な展開。微妙な判定のあやもあり、悔しい敗戦となった。
 
 
降りしぶく雨の中キックオフ。所々水たまりの悪ピッチにも関わらず、両チームともきっちりつなごうとしているように見えた。最初にペースを握ったのは東京。梶山の指揮の下、赤嶺のポストプレーに羽生・エメルソンが絡み、左サイドに流れるカボレの突破や今野の飛び出しも交えて攻めたてる。5分、梶山の直接FKがポスト左を抜け、その直後にはコンビパスで羽生が突破、味方の上がりを見ながらボックスまで持ち上がるも、シュートは体勢がやや崩れて枠外。

8分、梶山のパスで今野がDF裏へ抜けるが、クロスはFWに合わず。東京はDFでは茂庭の動きが良く、前後左右自在のカバーリングで攻撃の芽を摘み続ける。11分、DF裏に富澤が飛び出す場面は長友が走り勝ってクリア。中盤を支配されたヴェルディは次第に放り込みが増えていく。13分、梶山がスルスルと左サイドを持ち上がり、角度のないところからシュート、惜しくもサイドネット。18分にはカウンターから大黒にボールが渡るが、佐原が好タックル。

順調な立ち上がり。しかし、ここ最近の傾向で、パスワークでボックス前までは行けるのだが、そこからの仕掛けが決まらない。一対一、二対二の停滞。逆に、攻めあぐみ気味の東京に対し、ヴェルディはシンプルなプレーでチャンスを作り始める。22分、左サイド服部の低いアーリークロス、大黒がDFに競り勝ってシュート、塩田前に出て止める。その直後には東京ゴール前で混戦となりディエゴの足下にボールがこぼれるがシュートは塩田キャッチ。

25分、東京に大チャンス。今野との連携で長友が右サイドを突破、クロスをファーで羽生が折り返すも、カボレはボレーを空振り、さらにこぼれ球を狙った今野のシュートは枠外。もったいない……。ところがその3分後、羽生の引き出しからリターンパスを受けたカボレが、30m超はあろうかというロングシュート!ドライブのかかったボールはあっという間にゴール左上に飛び込んだ。「うわ、ちょ、すげーー!!」(笑)。一直線に城福監督の所へ駆け寄るカボレ。

いよいよ「ダービー4連敗」が見えてきたヴェルディはここで前がかりに。しかし、ここまでの3戦による苦手(得意)意識もあるのか、いくつかの攻撃が不発に終わるとまた流れは東京へ。34分、カウンターから羽生のラストパスにカボレが飛び込むもDFのブロックで逸機。40分、FKから梶山の低いシュートは土肥がキャッチ。41分には相手陣でこぼれ球を拾ったエメから左サイドの羽生につなぎ、ラストパスは惜しくもカボレに届かず。1-0のまま前半が終了した。
 
 
後半も東京優勢は変わらない。落ち着いてパスを回し、ペースを握り続ける。46分、エメのフォアチェックから長友が突破してクロス、こぼれ球を赤嶺が反転ボレーで狙うが土肥がストップ。49分、赤嶺の粘りから右のエメへ、クロスに梶山が飛び込むもオフサイド。さらに53分、今野のミドルシュートのこぼれ球を長友が拾ってクロス、赤嶺がダイレクトで狙うもポスト右。その直後にはディエゴのヒヤリとするミドルシュートがあったが、これはポストに当たって外れ。

流れを替えたのは59分、富澤に替えてレアンドロを投入するヴェルディの交代策である。増えたアタッカーに対して東京は対処にてまどり、DFライン前でヴェルディ側に数的優位が。そして61分、ショートカウンターからレアンドロのスルーパスで大黒が抜け、飛び出す塩田の上を冷静に抜いてゲット。1-1。この直後に東京はエメOUT浅利INで中盤の底を固め、梶山を前に出す中盤強化策に出るのだが、結果的に立ち後れる形になったのは残念だった。

ここからは一進一退の攻防に。65分、カボレが土屋をちぎってボックス付近へ、左足のコントロールショットはわずかにゴール右上。68分、レアンドロのミドルは塩田キャッチ。69分、梶山からボックス内の赤嶺に縦のボールが入り、シュートを撃ちに行くがDF3人の壁に阻まれる。70分、東京DFの間に潜り込んだ飯尾のシュートがポスト左を抜けヒヤリ。71分、赤嶺のポストから羽生がドライブのかかったミドルシュートを撃つも、土肥がジャンプ一番弾き出す。

際どかったのは74分の場面、緑陣左サイドのFKから梶山がインスイングのクロス、今野が土肥に競りかけてこぼれたボールをボックス正面に走り込む長友がシュート、ボールは両軍入り乱れる中をきれいに滑り抜けてゴール左隅に吸い込まれた。長友、北京のモヤモヤを吹っ飛ばす渾身のゴール!……かと思いきや、なんとオフサイドの判定。後でビデオで見直したが、ゴール前に残っていた今野はボールに触っておらず、オフサイドには思えない。うーむ。

これで勢いがせかれた格好の東京は、羽生OUT石川INで攻撃の再活性化を図る。が、石川は中で絡むより右に流れるプレーが多く、以後攻撃は妙にサイドに偏ってしまう。80分、カボレの股抜きパスで梶山がボックスへ突入するが、DFと奪い合いになったところでファウルの判定。83分、今野との連携で石川がサイド突破、クロスに赤嶺が飛び込むもシュートはミートせず。その直後に金沢のとんでもないミスパスを服部にカットされるが、幸いシュートは枠外。

終盤はさすがに両チーム疲れが出てルーズな攻め合いに。86分、右から切れ込む石川がシュート、DFに当たったボールをまたシュートするが枠をとらえられず。88分、左から切れ込む平本のシュートは塩田がガッチリキャッチ。そしてロスタイム、ディエゴの強烈なロングシュートは塩田が弾いてしのいだものの、次の右CK、今野を振り切って飛び込んだ那須が頭で叩きつけたボールは、ワンバウンドでゴール右隅に飛び込んだ……あ~あ、の逆転負け。
 
 
まあ、なかなかうまくいかないものだな、と。

前節浦和戦に引き続き、内容は決して悪くはなかった。特に前半はカボレを左サイドに置いて将棋の「角」的に使う布陣も当たって、かなりの数のチャンスを作れていた。少なくとも選手たちはそれぞれの役割の下で能力を出していたし、気持ちのこもったプレーを見せてくれたと思う。最大の問題にして致命的だったのは、またしても2点目が奪えなかったこと。レアンドロ投入までの間に追加点がとれていれば、普通に逃げ切れていた試合だった。

もっとどんどんシュートを撃っていれば、という意見はあるだろう。実はスタッツ上16本も撃っているのだ。ただ、最後のワンタッチが大きくてシュートチャンスを逃したりDFに当ててしまったりという場面も多く、印象上少なくなっているのだろう。それでも、カボレの一撃に羽生の惜しいの、長友の幻のゴール、効果的なミドルはいくつもあった。問題は、数よりもその前の崩しと精度。そもそも、ボカスカ撃ってボカスカ入るものだったら去年までも苦労してないっつーの。

別の言い方をすると、今の東京について劇的に状況が好転するような処方箋は、多分ないのだと思う。とにかく今のやり方を辛抱強く続けて、少しずつレベルアップして行くことが肝心だ。城福監督の采配にしても、確かに拙い部分があるのは否めない。だけど、それは彼の経験の少なさを考えれば初めからわかっていたこと。昨年の焼け野原状態を考えれば、たとえなかなか結果が出なくても内容のある挑戦を続けていること自体評価したいのだが……駄目(笑)?

そりゃ、なにしろ「ダービー」だもん、みんな悔しいよな。僕だって悔しい。だけど、一番悔しいのは選手やスタッフ、すなわちあの場で勝負に敗れた当事者に決まってるじゃないか。同じホーム同士の対抗戦としての「ダービー」は、もちろん34分の1ではあり得ないし、是非とも勝ちたい試合だ。でも、それを強調するあまり、チームが中期的に進むべき道を踏み外すようなことがあってはならない。感情にかられて後戻り、という2年前の過ちはもう御免だ。

僕は、何があっても、少なくとも今シーズンは城福監督と選手たちの挑戦を応援したい。

それにしても試合後のブーイング、はまあ大事な試合で負けたのだからある程度仕方がないかもしれないが、それに加えて選手たちに浴びせられた野次や罵声の酷かったこと。特にメイン側に選手たちが挨拶に来たとき、一番前に陣取ってた連中(赤い服の方がよっぽど似合いそうな感じの(笑))がちょっとここに書くのも憚られるような言葉を浴びせていて、あの時の選手たちのひきつった顔は忘れられないな。いくら何でもあれはかわいそうすぎる。

さすがにそこまで酷いのは一部だとは思うが、しかしスタンド全体もいつも以上にヒステリックな雰囲気だったように感じた。いつから東京のファン・サポーターはこれほど余裕をなくしてしまったのだろう?今の体制になってからたった半年、結果が全く出ていないわけでもないのに、ダービーで3勝の後に1敗したくらい(ヴェルディサポの方がよほど悔しかったろうよ)でブーブーギャーギャー言っちゃって、東京「サポーター」はどんだけ根性なしやねん、という。

思い出してみよう。原さんが監督に就任した2002年、東京は1stステージでたったの勝点17しか挙げることしかできなかった。でも、ファン・サポーターは新しいチャレンジにもがく東京を好意的に支え、それが結果として03年の素晴らしい攻撃サッカーの開花と04年のナビスコカップ制覇につながったはずなのだ。それに比べて今は……こんなことでは、FC東京というチームで思い切った挑戦をする監督や選手は誰もいなくなってしまうのではないか。

とにかく、次の柏戦、選手にも監督にも頑張ってほしいと心底思う。今まで書いたことと矛盾するように見えるかもしれないが、最後は結果が求められるのは避けられないから。ここはとりあえず「落ち着かせる」ための結果がほしい。
  
 
 
[参考リンク]

発展途上のチームと発育不全のファン (勝っても負けても東京!東京!)

遥かなる現実。偉大なる過去。それぞれの未来との決別。 (東すかWEB)

浦和レッズ×FC東京(2006年8月13日) (うまねんblog)
 

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コメント

そうですかね?
純粋ホームで公式戦最後に勝ったのはいつか?(マジもう思い出せない)この試合落とせば順位としてヴェルディに抜かれてしまうということ。その辺考えれば、よく今まで表立った不満が噴出しなかったと感心しているくらいです。みんな城福監督への期待値高いんだなぁ、ほぼルーキーなんですけどね。

正直どんな素晴らしいチームプランを持っていても、ここまで勝てないと問題ありです。これでは選手や監督からまず自信を、次に積極性を奪ってしまいます。

サッカーはメンタル面が物を言うスポーツなんで自身喪失は致命傷です。(WC後のパクチソンとか自信をつけることで滅茶苦茶伸びることありますよね)

とにかく近いうちにホームで勝ち点3を。もしくは2得点以上を挙げないと、えらい事になる予感がします。

選手が一生懸命やっているのは、わかります。ダービーということで、同点後、まるで負けているかのように前掛りになり、スタミナを消耗させてしまいました。スタジアムの雰囲気がそうさせた、とも言えますが・・・。

流れの中で相手守備を完全に崩してのゴールというのは、どのチームにとっても難しいこと。だから、前回コメントの繰り返しになってしまいますが、セットプレーで点が取れれば楽になるんですがねぇ、と思います。

千葉・札幌も止まってますし、磐田も元気がありません。ジタバタせず、自分達のサッカーをするのが、肝要です。

試合前にあれほどしつこくユルネバ歌ってたのに、試合後に手のひら返したようにブーイングするのはどうかと思いますね。ツンデレならぬデレツンか!とつっこみたくなります。
気持ちが見えていなかった試合ではなかったと思うし、僕にも少しヒステリックなブーイングに聞こえました。

かなり昔に投稿したものです。
自分の気持ち、思いはmurataさんと少々異なります。

「ヒステリックなブーイング」
わかる気がします。

緑戦はダービーです。
~これまでの事は関係ありません
~試合内容も関係ありません
理屈抜きで勝てば(最悪引き分けで)OKなのがダービーと思うのです。
自分のような考えを持った人は少数意見なのでしょうか??

4月味スタAWAYのこれまでにない大きな「声」はこのような思いをもったサポータが大勢いたからと思ったのですが。。。

大多数のイメージは緑戦でも所詮34試合の中の1試合なのでしょうか?
なんか寂しい気がします。。。

やっぱり今のチャレンジは味スタ移転と同時にかかるべきだったのでしょうかね。
しかし当時の戦力だと間違いなくJ2落ちだったよなあ・・・。

二週連続の「駄目(笑)?」には笑かしてもらいました。

それはともかく、ファンに余裕がないなあと言うのには同感です。まだ前半の早い時間なのに出た「ク○レフェリー」コールがその象徴ではないかと。あと、ゴール裏のユルネバが毎度やたらと走ってしまうのも。

バックスタンドU席にもいましたよ、汚い言葉で選手やチームをののしる人が。同じソシオとして恥ずかしかったです。負けたという結果に対してのブーイングは理解できるけど、交代策やら選手への罵倒は全くの的はずれだと思いましたね。内容は今季一番だと思ったし。

みなさん、コメントありがとうございます。

私としては、土曜の試合に関して言えば、ダービーは大事なれど、しかしそれにとらわれすぎてもっと大事なものを失いたくない、と強く思ったのです。ヴェルディに負けたのは悔しい。でも、次勝てばそれで取り返せるはず(まさに緑さんたちがそうしたように)。しかし、ここで新しいサッカーをあきらめたら、また深い迷い道に入り込んでしまいそうな気がするのです。

それと、城福さんについて言えば、もちろん監督としては経験も浅いかもしれないし、結果が出ないときに不満が募るのは仕方がないかもしれないけれど、しかし情熱といいコンセプトといい、現状の東京が一緒に戦って挑戦していくにはそう悪くない巡り合わせだな、と思っています。だから少し長い目で見て応援したい。まだたったの半年しかたっていない。

要するに、私は、2年前の夏とちょうど同じ気持ちなのです……と書くと、かえって反発を招きそうな気がするな(笑)。何にしても、そんなに簡単に強くならないでしょ、サッカーチームは。

まあ、FC東京というクラブができて今年で10年ですが、まだたったの10年とも言えるわけで、あまり色々なところで「結論」を急がない方がいいんじゃないかな、じっくり構えた方が後々大きくて深い喜びを味わえるんじゃないかな、と。ダービーの位置づけだって、東京のスタイルだって、まだ確固たるものがあるわけではないし。私の最近の基本スタンスはそんなところです。

余裕の無い人多すぎじゃないでしょうか。
ダ-ビーに負けて自分自身余裕があるといえば嘘になりますが、こんな状況であるときこそジョークの一発でもかましていきたいと思います。
洒落とやせ我慢が無い東京なんてつまんないじゃないですか、それこそが東京の心意気!・・と言いたいです。

先般はありがとうございました。
murataさんの思いが通じ、「結果」が出ましたね。しかも、順位も思いがけなく上がって「7位」に。
自戒を込めて、「冷静に」かつ「浮かれることなく」見守っていきたいものです。

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