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2008年10月05日

●いきなり落とし穴、ドーン!! (FC東京×清水エスパルス)


昨日の午後は、味スタでJ1第28節。FC東京 1-5 清水エスパルス。ともに一時の不調を抜けだし、中位から上位進出を狙うチーム同士の一戦。東京にしてみれば「チーム新記録」の6連勝がかかった試合でもあった。試合は、前半半ばから小気味よいパスサッカーでたたみかけた清水が大量リードを奪い、後半ようやく目覚めた東京が反撃するも1点止まり。逆に終盤の連続失点で突き放され、実に5失点を喫する大敗となった。
 
 
試合は比較的地味な、しかしじりじりとした雰囲気で始まった。清水はMFがダイヤモンド型の4-4-2、東京は今野・浅利・梶山の右手前に石川が張り出すような4-3-3気味の布陣。中盤では清水が数的有利となり、しばしばMF1枚がフリーになるのが気になったが、序盤は浅利が駆け回って何とかケア。狭い地域でのボール争奪戦が続く展開。6分、DFライン裏に飛び出した赤嶺が梶山のフィードをダイレクトボレーで狙い、惜しくもサイドネット。

しばらく攻防を眺めていて目についたのが、清水のチームとしてのまとまりの良さ。「大駒」こそいないものの、選手間の距離や連携の動きが攻守とも適確で好調ぶりがひしと伝わってきた。一方、羽生・エメルソンを欠く東京はコンビプレーで崩す場面がほとんどなく、梶山に渡してはプレスをかけられ、仕方なく右サイドに回して石川や長友が単騎で無理仕掛けしてはボールロスト、の繰り返し。18分、オフサイド崩れで石川が抜けた場面もクロスはDFがカット。

20分、中盤右でこぼれ球を拾った山本真が思い切ったロングシュート、糸を引くように飛んだボールは横っ跳びの塩田も届かずゴール左隅へ。0-1。見事な一撃だったが、ノープレッシャーでもあった。これで清水は一気に勢いづき、キレの良いパス回しで密度の薄い東京のMF陣を翻弄。波状攻撃から兵藤と枝村の強烈なシュートが東京ゴールを襲う。28分にはカボレのバックヘッドで赤嶺がゴール前へ飛び出すも、DFに体を当てられてシュートならず。

次の失点は「何とか1点差で終われるか」と思い始めた39分。右CKで枝村のクロス、飛び出した塩田が触れずに岩下が押し込んで0-2。痛た……。何とか反撃したい東京は42分に右から切れ込む長友が左足で強烈なミドルシュートを撃つも、石川を直撃。44分、梶山のミドルも惜しくもポスト左。そして45分、梶山のパスをカットした清水のショートカウンター、枝村のパスを受けた原がルーレットのようなトラップで茂庭をかわし、塩田との一対一も抜いてゲット。

愕然の0-3、である。引き上げながら、長友が石川に向かって盛んに何かを言っている。
 
 
このままでは終われない東京は後半頭から石川・浅利に替えてエメルソンと大竹を投入。これが功を奏し、中盤の推進力が強化された東京は前がかりに。開始直後いきなりカボレが左サイドからゴールライン際をえぐって突入するが、トラップがわずかに乱れて逸機。46分、CKのこぼれ球を拾ったエメが巻き込むクロス、佐原の寸前でDFがカット。50分には大竹とのワンツーで長友が右サイドを突破、クロスをファーでカボレが落とすも味方に合わず。

59分、赤嶺とのワンツーでボックス右手前に進出したエメが仕掛け、DFの間をぬうようにドリブルしてシュート、GK山本海の右脇を鮮やかに抜いた。1-3。その後も大竹の地を這うような力強い持ち上がりにエメの技巧、そして前半沈黙していた徳永の攻撃参加も加わって、押せ押せの雰囲気の中で東京の攻勢が続く。しかし、CKも含めて何度もクロスが入るものの、引いて守る清水DFを崩すまでには至らない。清水は山本真に替えてマルコス・パウロ投入。

惜しかったのは66分。梶山から右に流れた赤嶺へ展開、左足インスイングのクロスはカボレと引きつけられたDFの頭上を越し、フリーの今野がヘディング!決まった、かに思うタイミングだったが、シュートは山本海の正面に飛んでしまいノーゴール。これが決まっていれば……。68分、清水のCK、かぶった塩田がクリアしきれない場面は高木のヘッダーが外れて命拾い。72分には今野の縦パスを受けたカボレが反転シュートを狙うも、密集するDFがブロック。

なおも東京の攻勢は続く。74分、ボックス左から徳永がクロス、中央でカボレが落としてエメがボレーで狙うがDFに当たって枠外へ。75分、カボレOUTで平山IN。76分にはFKのクリックリスタートで長友が右サイドを突破、逆サイドに流れたクロスを拾ったエメが返す刀で平山を狙うもわずかに届かず。この辺りになるとさすがに東京の攻撃も息切れした様子で、清水が市川を投入して5バック気味にしたこともあり、せっかく投入した平山までボールが運べない。

そして78分、徳永の軽い守備から清水のカウンターとなり、岡崎が長友に競りかけられながら斜めにボックスへ突入、シュートが塩田の脇を抜いてゴールへ突き刺さった。1-4。これで勝負あり。後は徳永のクロスに平山が頭で合わせて枠を外すシーンが2度あったりもしたが、逆にロスタイム、岡崎の前線での粘りから戸田が「お前、どこに隠しとったー!?」と言いたくなる見事なミドルシュートを突き刺して1-5。完膚無きまで叩きのめされたのであった。



ついこないだ「あの磐田に5-1で勝ったぜー!!」と喜んでいたのに、次のホームゲームで1-5の大敗を喫すとは。磐田の仇を清水で討つ、じゃないけど、静岡県民は妙な復讐の仕方をするものだ。違うか(笑)。

敗因は前半の0-3、というと身も蓋もないか。個々の失点シーンを云々する以前に、あれだけ中盤で劣勢になっちゃそりゃやられるよな、という。清水が割と長めに蹴っているうちはまだ良かったけど、こぼれ球処理の失敗で先制されてからはパスを回され放題、やっと攻撃に転じても追い越す動きなく、フォローなく、何もできないままボールを失う、の繰り返し。清水が良かったこともあるが、東京は攻守においてあまりにも連動性を欠いていた。

4-3-3の布陣が機能しなかった、という言い方はできるだろう。右サイドで「遊兵」と化した石川。効果的な動きができずに消えた今野。きちんと意図をもって清水MFと戦えていたのは守備時には浅利、攻撃時には梶山のそれぞれ1人ずつだけのように見えた。うーむ。加えて、選手たちの判断で修正しようという動きも見られなかった。個人技の冴えで勝った札幌戦では見えなかった問題点。羽生・エメ・大竹をまとめて欠くとこれほどひどいのか、という感じ。

で、後半の大攻勢。不出来の前半に連続失点、ハーフタイムの選手交代で活を入れて追い上げ、という展開は06年のジェフ戦「ガーロの3枚替え」と似たようなものだが、やはり今回も届かなかった。45分間断なく攻めきれる力はないのだから、カボレOUTの75分までに2点目が奪えるかどうかが分かれ目だったか。今野のヘッダーが決まってればなあ……。夢を見られたのは15分間くらい。清水は引きすぎの感もあったのに、中での仕掛けも少なすぎたかも。

個々の選手では、佐原・茂庭・長友といったDF陣はスコアの割には健闘していたと思う。梶山と浅利はそれぞれ攻・守を1人で担っているような感じで気の毒だった。塩田はどうにも自信がなさげ……というか一体何に怯えているのか?徳永は左サイドでもちょと弛んできたかな。石川と今野は試合に参加できていなかった。2トップは、彼らなりに頑張ったのでは。エメルソンと大竹は勇気を与えてくれた。平山は評価不能(笑)。つーか、羽生先生早く帰ってきて。

まあ、気持ちよくスキップで歩いているような時こそ、落とし穴はドーンと深いということで(笑)。次頑張ろう。
 
 
しかし、エスパルスはいいチームだった。さすがによく鍛えられているというか、連動性も意思統一も選手たちの技術レベルも高くて、「なんでこのチームがこないだまで残留争いに顔を出してたのよ」みたいな。長谷川監督も4年目だからそろそろマンネリに陥る頃かな、と思っていたのだけれど、少なくともこの試合については長く同じサッカーをやっていることの強みを出されたような。今季の4試合、結局東京は1つも勝てなかった。また来年、だね。

てっきり「パルちゃんショー」があるのかと思って、密かに楽しみにしていたのは内緒である。
チェッ(笑)。
 

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コメント

浦和が千葉相手に「やっちゃった」し、鹿島・名古屋も勝ち切れず。
結果論ですが、昨日勝っていれば、首位と2差だったと思うと、本当に残念。

東京が直接上位と戦うのは、次節大分戦とその次の鹿島戦、ここで1勝1分以上で行かないと、3位も厳しいでしょう。

とは言え、東京がこの時期に上位にいるのは、1シーズン制になって初めてのはず。残留を心配して戦うより、断然良い経験をしていると思います。選手には自分の力を出して、思い切りやってほしいと思ってますし、私も精一杯応援しようと思います。

>静岡県民は妙な復讐の仕方をするものだ。

うちも今年はさいたまと五分だったということで(笑)

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