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2009年06月21日

●3ヶ月弱の逆転劇 (柏レイソル×FC東京)


昨日の晩は、日立柏サッカー場でJ1第14節。柏レイソル 0-3 FC東京。W杯予選とナビスコ杯グループリーグが終わっていよいよリーグ戦の再開である。14位から中位、さらには上位への進出をもくろむ東京の初戦の相手は、17位と降格圏でもがき苦しむレイソル。試合はほぼ全般に渡って東京が支配し、石川・カボレ・平山と好調のアタッカーが3得点を重ねて快勝。昨年とはうって変わって素晴らしいリスタートを切ることに成功した。
 
 
実は今回アウェイ側のチケットを買い損ねてしまい、昨年と同様に柏側スタンドでの観戦となったのであった。売店でビールとジャンボフランク、「レイソルカレー」を購入。カレーはざく切りのレタスや揚げチップ、半熟卵なんかが載っていてなかなか豪華。試合前は柏ゴール裏みゃ長の楽しいトラメガトークを堪能し(柏が勝ったら東京ディズニーランドは「浦安ディズニーランド」になっていたらしい)、選手入場時の紙吹雪にも参加。なんだ、楽しいじゃないか(笑)。

 
キックオフ。東京はカボレ・平山の2トップに羽生が復帰していつも通りの4-4-2、柏側もおなじみの4-5-1で、フランサとポポがサブ。立ち上がりこそ五分五分に見えたが、均衡が破れるのは意外に早かった。9分、カウンターで羽生から右サイドの石川へ展開、中を上がるブルーノが折り返しを受けてスルーパス。オフサイドギリギリでDF裏に飛び出した石川が好トラップから右足を一閃すると、ボールはあっという間に逆サイドネットに突き刺さった。1-0。

先制した東京は落ち着いてパスを回し、ポゼッションを高めていく。選手がパス&ムーブを繰り返すたびにリズムが良くなり、振り回された柏は自陣に釘付けに。右サイドの太田を狙った無理な展開もラインを割ったり長友に奪われたり……。18分、FKのこぼれ球を平山がダイレクトボレーで狙い、バーの上。20分、FKからの流れで梶山がパントを上げ、平山がバックヘッドで流したボールを走り込んだカボレがカンフーキック!GK菅野の右を破った。2-0。

東京ペースは続く。相手からボールをむしり取る米本を起点に、小気味よいパスを次々とつなげて圧倒。23分、右サイドのパス交換から平山がDFを引きずってボックスへ突入しシュート、菅野が横っ跳びでセーブ。さらに波状攻撃から縦のボールに反応した平山が小林を振り切ってゴール前に抜けるが、前へ出る菅野の脇を抜いたシュートは惜しくもポスト左に外れ。28分、柏もようやく右CKから波状攻撃のチャンスを作るが、権田の好セーブに阻まれる。

30分、羽生のスルーパスで飛び出したカボレがDFとGKをまとめてかわしてヒールで狙うもポスト左。37分、平山がドリブルからフェイントでDFを外してシュート、菅野がきわどく弾き出す。さらに42分には平山のスルーパスで石川が飛び出して一対一となり、これも菅野がストップ。終了間際には柏の攻勢となるが、柏のパス展開よりも東京の守備ブロック形勢の方が速い。唯一危なかった菅沼のシュートもバーに当たって入らず、2点差で前半終了となった。
 
 
後半、いきなりの追加点。右から切れ込んだ平山がDFの間を狙って左足で意表を突くシュート、砲弾のような勢いのボールがゴール左上に飛び込んだ。いや、驚いた!昨年の瑞穂での一発を思い出させる(いや、あれよりずっと強烈だな)キャノン砲であった。3-0。ここからはレイソルがさすがに意地の攻勢に。49分、菅沼の浮き球で太田がDF裏へ飛び出すが、今野がナイスカバー。51分には北嶋と太田に代えてフランサ・ポポのブラジル人コンビを投入。

さすがにフランサが入ると迫力が違う。DFを呼び込んでから絶妙のキープとパスで味方を前に出し、チャンスを演出していく。53分、フランサを中心にしたパスワークでボックスへ突入、ポポのシュートを権田が横っ跳びで弾き出す。58分には菅沼が今野と競りながらドリブル突破、こぼれ球を拾ったポポの強烈なシュートがバー直撃で冷や汗。もっとも、合間合間で東京もパス回しで時間を使い、柏の一方的な攻勢は許さない。60分、菅沼OUTで大津IN。

63分、オーバーラップした徳永が右サイド突破、ニアの石川を狙うクロスはかろうじてDFがカット。66分、東京ベンチが初めて動いて羽生→田邉草民。後半も半ばを過ぎると柏アタッカーの足が止まり始め、フランサに周りが連動できないように。一方の東京もパス攻撃の勢いは失ったものの、落ち着いて自陣のブロック守備を固めていく。柏はボックス付近で行き詰まっては工夫のないクロスを上げるか、無理な突破で今野・ブルーノに止められるか、の繰り返し。

終盤、東京は自陣のパス回しで時間を使いながら、交代出場の赤嶺・鈴木が逆襲の機会をうかがう万全の態勢。特に鈴木は古巣相手に奮い立ったかフォアチェックが凄まじく、1人で柏のパス回しを寸断しかねない勢いであった。86分、鈴木のドリブルから追い越す長友が左サイドをえぐってクロス、飛び込む赤嶺は惜しくもシュートできず。ロスタイムには鈴木の弾丸ミドルシュートを菅野が横っ跳びでセーブする見せ場も。結局、東京が危なげなく逃げ切った。
 
 

東京ファンとしては内容・結果ともに申し分なかったのだが、試合後は複雑な心境でもあった。

3月に対戦した際は、その時点でのベストメンバーで臨んだにも関わらず東京が組織(特に守備面で)の未成熟を露呈し、1.5軍編成の柏にチンチンにされたのであった。それが、3ヶ月弱たった今回は力関係が逆転。テンポよいパスワークと整然と形成されるブロック守備で東京が完全に試合を支配。東京の戦いぶりは見違えるようであり、一方柏はサイド速攻とフランサ頼みが相変わらずで、進歩らしい進歩を見せられなかった。サッカーって怖いもんだ。

東京にとって大きいのは、ここ数試合で実感できていた「いい流れ」を中断期間後も継続できたことだろう。5月初めから取り組んでいる4-4-2布陣でのパスサッカーについて、何とか続けてきた成果としての3連勝。その間、代表組や怪我人の出入りによりメンバーが変わっているにも関わらず、ほぼ同等かより良いクオリティーのプレーが出来た。代表組が復帰した途端にギクシャクして最下位の千葉に勝ち損ね、調子を崩した昨年とは大違いである。

MVPには平山を挙げたい。強さと足下の巧さを生かして攻撃の中心となり、1ゴール1アシストの大活躍。彼は他の日本人FWに比べて足下でボールを持つのが上手いため、「低めから作っていく」今の東京の攻撃にはよりフィットするのだろう。もともとボールをよく動かせる選手で「あとは点に絡むだけ」なんて言われてたのが、ナイスシュートと(本当は苦手そうな)ヘッドの落としを決めたんだから、そりゃ文句なしである。目指せ、東京のベルバトフ(笑)!

……って、平山もカボさんもリーグ戦ではようやく今シーズン初得点なのか!それはそれで問題のような気がしないでもない(笑)。

中盤では、米本が良かった。守っては粘り強く巻きついてアタッカーを自由にさせず、ボールを奪うと堅実なつなぎと豊富な運動量で攻撃の結節点に。試合ごとに良くなっていくのがわかって、観ている方としてもとても楽しい。このまま行くと、梶山だってうかうかしてられないんじゃなかろうか。あと、MF陣では復帰の羽生がとても良いプレーぶりだったのが好材料。最近の田邉(リーグ戦デビューおめでとう)の活躍が彼にとってもいいヒントになってるのかもね。

DF陣ではブルーノさんの存在感が素晴らしかった。菅沼にドリブル勝負挑まれたらヤバイと思ったのだが、幸い相手がそこまでボールを運べなかった(笑)。代表組2人も、強行スケジュールに関わらずいい動きを見せて大いに勝利に貢献してくれた。特に今野は、平松や藤山と比べると守備範囲の広さが段違いで、今さらながら「能力の出し所をはっきりさせてあげれば別格の選手」なんだな、と。もうCBに専念してカンナバーロみたいになっちゃえ、と思う。

で、こんな感じでチームの調子も上がってきたところだし、鹿島や浦和あたりとやってみたい、やってみたらどうなるんだろう、と思うんだけど、上位陣との対戦は来月半ばの名古屋戦まで待たなければならない(7月に名古屋と3回も試合するのね)。残念……といっても、その間に当たる清水・神戸あたりも順位的には重要な相手で、上位への挑戦権を得るためには負けられないところである。特に清水は、先日とは別人になっている可能性があるので要注意だ。

ま、とにかく、今回みたいな勝ち方はいい気分デスネ(笑)。
 
 
しかし、レイソルは……これで勝点9の17位か……。3月の試合を観たときに「多分大崩れはしない」なんて書いたんだけど、ちょっと見方が甘かったか。というか、「崩壊」というより「停滞」という感じなんだよね。誤解を恐れずに書けば「ノブリンベース」が裏目に出ているというか。「カリスマ監督、4-5-1、ショートカウンター」での成功体験からの次のステップで苦しむという構図は少し前のFC東京と同じで、見ていて他人事とはとても思えない。「なんでこうなっちゃったんだよ!」と叫ぶレイソルサポーターの声を間近に聞いて、ちょっと複雑な心境になった。
 
 
[追記]
この日のレイくん(念のために言っておくと柏レイソルのマスコットね)はスーツ姿で黒ぶちの眼鏡をかけ、しかも変なチョビ髭まで付けていたのだが、あれは何のキャンペーンだったのだろうか。……もしかして、「父の日」?あと、試合直前に行われる2度目の選手紹介がスーパーマリオのテーマだったのには思わず笑ってしまった。春のナビスコカップの時は、確か「キューピー3分間クッキング」の音楽だったような気が(笑)。ホントいいセンスしてるよなあ。
 

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コメント

お疲れでした、私もバック側で堪能しました(主にブルーノさんの大きい声をw

>鹿島や浦和あたりとやってみたい
いや、同意です、コンプレックスにしない為にもベストに近い今の状態でやりたいですよね。

後ろから強奪する今野や中盤でキープしてる時の長友のターボ加速とか凄かったです。
いなし方が上手いそうたん、ファールでないと奪えない米本、ミスが少ない梶山w、廻してる時間の石川ナオの落ち着きっぷりと(もう一人羽生さんが居るみたいでw)

佐原もモニも平松も大竹も頑張らないと帯同すら危うい(この日だったら純粋に洩れたのは椋原だと思うし)
もしACL枠に入れる事が有ったらもっと小平やサテでの争いが重要に成る事でしょう。

柏は序盤の4トップ気味で中盤省略は駄目だったと思います、前半は我慢って事だったんだと思いますが…菅野の出来で3点以上は防がれてるのは良いんですが全体的に緩いかも?
第二期原東京末期位に不味いと思います、何とか頑張れ!

tp://blog.reysol.co.jp/news/2009/06/620fc_1.html
写真を撮りプリントする「太陽スポーツ新聞」ってのが面白いでしたね、家族向けに味スタでもこうゆう企画も良いんじゃないかな?とか。

試合開始前は、鋭いプレスでボールを繋げず何もさせてもらえなかった三ヶ月前の再現になるのでは、と心配していたのですが杞憂でした。

前回に比べ、権田・米本の成長があったことと、チーム全体が戦術に自信を持ってやっていることが大きかったと思います。

カボレが古賀の執拗なマークを受けていましたが、その分平山へのマークが外れ気味で楽に動けたのも幸いでした。

いつもこんな試合が出来る訳ではありませんが、監督・選手には大きな自信になった試合と思います。

>廻してる時間の石川ナオの落ち着きっぷり
個人的には、最近の試合ではここがツボだったりします。石川はスピードばかりがとりあげられがちですが、実は羽生と同様に技術面でもしっかりしたものがあるので、意識の向け方さえ間違えなければパス回しの中でもちゃんと機能するんですよね。

>第二期原東京末期位に不味い
あ、やっぱりそこを思い浮かべちゃいます(笑)?

>チーム全体が戦術に自信を持ってやっていることが大きかった
私もそう思います。今季に入ってからも紆余曲折(というか監督の迷い)があったようにも思いますが、とりあえず5月以降は今のサッカーを続けてきて、内容が上向いてきたことで自信を得たんでしょうね。あとは結果を出し続けて「確信」に変えるべし、ですか。

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